ゲーム制作工程論

歩留まりの悪い工程は先に置くべし。これは非常に単純な議論である。ある製品を作るのに工程A・B・Cを通過する必要があるとする。それぞれの工程において良品が出る確率は80%・50%・20%である。このラインに100個の原料を流すと、出て来る完成品は8個である。これは工程ABCがどの順番で並んでいても変わらない。

しかし無駄になる半製品の数は工程の並べ方によって大きく変わる。もし工程をABCの順に並べたとすると、100個の原料のうち20個は工程Aで不良になる。40個は工程Bで不良になり、32個は工程Cで不良になる。つまり:

  • 工程Aを経た不良品:20個
  • 工程ABを経た不良品:40個
  • 工程ABCを経た不良品:32個
  • 完成品:8個

である。一方工程をCBAの順に並べた場合:

  • 工程Cを経た不良品:80個
  • 工程CBを経た不良品:10個
  • 工程CBAを経た不良品:2個
  • 完成品:8個

となる。後者の方が明らかに無駄な労力が少ないのだ。前者は8個の完成品を得るのにのべ220工程を必要とする。後者は130工程で済む。何故か。前者はたくさん手間をかけた半製品を捨てているからである。後者は手間をかける前に捨てている。

ゲーム制作でも全く同じ事だ。ゲームは大きく分けてテーマとメカニクスから出来ている。テーマとは車とか騎士とか、「何が出て来るか」である。メカニクスはそれが「どう動くか」である。そしてテーマ作成の工程は歩留まりが高く、メカニクス作成は低い。ゆえにメカニクスを先に作ると生産性が高いのだ。

メカニクスを更に分割すると、報奨系と誘引系になる。報奨系とは「何をすると勝つか」という報奨と懲罰のメカニクスである。誘引系とは「プレイヤーが何をするか」である。どちらもそれぞれ良品と不良品が生まれる。しかし報奨系の不良品は時間をかけて補修すれば良品になる。誘引系の不良は直し様が無い。つまり大きな意味での歩留まりは誘引系の方が低いのである。

そこで生産性の高いゲーム制作手順は次の様になる。まずプレイヤーどんな動作をするかという誘引系を作る。カードを重ねるとか並べるとか、ダイスを振るとか。ここで楽しい事が確認できたら次に進み、どう頭を使うかという報奨系を作る。例えばカードは同じ色を並べればよいのか違う色を並べるのか。この工程で良品が出て、始めてそれにテーマを乗せる。積み重ねているのは塔なのか座布団なのかアイスクリームなのか。それまでに作ったメカニクスを上手く説明する物を選んで来る。

筆者は面白いゲームを作る方法など知らぬ。作った物が一定確率で面白かったり面白くなかったりするだけである。唯一の有効な戦術は数を増やす事であり、その方策は不良半製品を早期に捨て去る事である。

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