ナショナルエコノミー・メセナ カードデザインノート(5)

新カードが作られた経緯など(その5)


消費財

消費財神経衰弱の遊び方:同じ品目をめくったら取れる

 

消費財おみくじの遊び方:同じ品目が出るまで1枚ずつめくる

2枚:凶

3〜4枚:末吉

5〜6枚:小吉

7〜9枚:中吉

10〜枚:大吉

 

消費財ババ抜きの遊び方:1枚抜いてその品目をババにする

ナショナルエコノミー・メセナ カードデザインノート(4)

新カードが作られた経緯など(その4)


鉄工所

コスト1 評価額8 あなたの労働者が鉱山にいればカードを2枚引く

バランス調整は続編の重要な側面である。バニラにはかなり意図的に強いカードと弱いカードを入れていたのだが、メセナでは強い方の極を多少マイルドにしつつ弱い方の極を底上げしてパワーの分布を狭める事にした。

この「鉄工所」はカードを2枚引けるが先に鉱山に入っていなくては起動できない。つまり正味2人で3枚のドローである。序盤に生産力が不足して手詰まりになった場合の打開策として機能する。

 

養殖場

コスト2 評価額12 消費財を2枚引く 手札に消費財があれば3枚引く

農場と大農園の中間である。条件付き3枚ドローでそれ自身とシナジーを形成する。これが存在する事で建物カードより消費財を1枚残しておきたい局面が生ずる。

今作で非常に気に入っているカードの一つ。カードパワーがちょうどいいのである。終盤になってもそれなりに使われる割に序盤に出てもゲームを壊さない。

ナショナルエコノミー・メセナ カードデザインノート(3)

新カードが作られた経緯など(その3)


プレハブ工務店

コスト3 評価額12 評価額10以下の建物を1つ無料で作る

全ての物の意味は他の物との関係によって規定される。そして全ての物は他の物の在り方に影響する。何が言いたいかというと、この種の「無料で作る」タイプの建物は環境中に存在できる他のカードをだいぶ左右するのだ。

例えば無印では農業系を無料で作る「開拓民」が存在したため最大の農地はコスト3であった。今回はプレハブ工務店のために評価額10と12がある意味で不連続になっており、バランス上の要請から数値が調整されている。この工務店自身、グレイグーになるのを防ぐために評価額が10より高いのである。

 

食品工場

コスト2 評価額12 農業系を所有していれば建設コスト-1 手札を2枚捨て4枚引く

メセナの基本方針のひとつはカードパワー分布をある程度圧縮し、弱い方のカードにも活用の機会を与える事であった。そこで農地へのテコ入れ政策としてシンボルを参照して建設コストが変わる工場を導入した。

プレハブで建設できると変動コストが台無しになるため評価額12である。またギミックが重複して煩雑になったりバランスが不安定になるのを防ぐため、建設会社系の「安く建てる」機能は今回のセットには入っていない。

 

旧市街

コスト2 評価額10 売却不可

それだけでは全く意味をなさず、他の物に参照されて初めて活躍する「ほぞ」。1枚で3つのシンボルが付いているのでお得だ。

シナジーが多いメセナならではのカードである。プレイヤーの工夫と段取りで強さが大きく変化する。上手い使い方を見つけて欲しい。

ナショナルエコノミー・メセナ カードデザインノート(2)

新カードが作られた経緯など(その2)


 

鉄道駅

コスト3 評価額18 終了時建物6つ以上所有で+18点 売却不可

無印の大量得点源だった不動産屋を再構築したもの。建物を作れば作っただけ線型に点が伸びるよりは、ある閾値に達すると大幅に挙動が変わる方が興味深い戦略上の選択を生み出しやすい。

「この条件を満たせ」というミッション方式の建物は他にもいくつか導入している。プレイヤーはある程度の計画性と、どこから勝利点を得るかの選択が求められる。

 

地球建設

コスト4 評価額16 建物を2つ同時に作る 手札が空になったらカードを3枚引く

建物を作るのは楽しい。2個作るのはもっと楽しい。作って手札を空にするのはさらに楽しく、空になった手札で化学工場に行きカードを大量に引くのはそれをも上回るほど楽しい。というわけで全部を1枚のカードに集約した。

建設コストは2つ分支払わなくてはならんのでこれでも二胡市よりはマイルドである。また起動には最低4枚(2枚の建物+それぞれのコストで2枚)の手札が必要なので単独で永久機関にはならない。

 

大聖堂

コスト10 評価額50 勝利点トークン5枚以上で建設コスト-4 売却不可

コンセプトは「バカが考えたカード」である。でかい数字を適当にねじ込んだだけに見えていればデザインは成功したと言える。パッケージにも登場する今作の顔だ。

これの存在意義は勝利点トークンに複数の意味を持たせる事だ。トークンはただ点になるだけでなく聖堂ルートを開く鍵でもある。ゲーム内の各要素が他の複数の要素と接続されている「多脚」構造はルールの単純さと展開の複雑さを両立する決め手になる。

 

( ・3・)<いちおうね

ナショナルエコノミー・メセナ カードデザインノート

新カードが作られた経緯など


ナショナルエコノミー・メセナでは全ての建物カードを新しいものに取り替えた。ここ1年ほどのデザイン哲学の発展と絡めて「なぜその形になっているか」を書き留めておこう。

 

醸造所

コスト4 評価額18 消費財を4枚取り置き次ラウンド開始時に手札に加える

新ブロックをデザインする際に最初に手をつけたのは無用な要素を減らすことだ。拡張や続編でもゲームとしての複雑さは増加するべきではない。1つ新しいルールを入れたら古いルールを1つ減らす。そこで使用頻度が低かった「倉庫」と「社宅」を退場させ、持っているだけで機能するパッシブ効果をゲームから排除した。

そして代わりに言わば能動的な倉庫として次のラウンドにカードを引いてくる建物を作った。手札に入るのは枚数上限チェックの後なので9枚でラウンドを始められるわけだ。

 

観光牧場

コスト3 評価額14 手札にある消費財1枚につき$4を家計から得る

これも比較的初期段階から案出していたカードで、農協を強力な集金マシンに生まれ変わらせたものだ。無印の問題点のひとつはゲーム後半に使える強力な家計系建物が無く、建設関連が充実すると家計の金がしばしば無視された事である。「非常に強力だが家計が潤沢でないと起動できない」代物を導入することで、他のプレイヤーが家計を放置している場合の強力な選択肢にした。

 

宝くじ

コスト2 評価額10 家計から$20を得て$10返す

これも同様の意味で存在している。正味の効果は$10引っ張って来るという事だが、家計に$20以上存在していないと起動できない。つまり家計が潤沢にあればあるほど大量の金を効率良く引っ張り出せるというわけで、ゲーム内市場である程度自動的に価格調整が行われる仕組みである。

完全にメカニクス先行でデザインしたカードだがたまたま丁度いい名前を与える事ができた。

なお「家計」という語は「家計金融資産」に見られる様な「集合的な家産」の意味で用いている。

 

( ・3・)とりあえずこんなもんで

EU4マルタ騎士団攻略

Europa Universalis 4(1.19)のマルタ騎士団(The Knights)で勢力拡大を目指す手順


 

1.地場固め(1444〜1470)

まずはビザンツに間諜を送ってギリシア部分の請求権を捏造。軍隊を動員限界まで増やしてオスマンが攻め込んだら即座に便乗参戦し2州切り取る。これでギリシア語地域が増えるので主文化を切り替え、領土をカトリックに改宗できる。僧侶に土地を配って異端審問官を雇うとスムーズ。

艦隊はガレーを製造してできるかぎり拡大。動員限界を超えてもよし。金は近隣の沿岸を略奪すれば手に入る。オスマンが怒り狂うが気にしてはいけない。ヴェネツィア・ハンガリー・オーストリアに使者を送って同盟を形成すれば抑止力は確保できる。教皇アクションで外交評価を上げるとギリギリ届く。この段階では軍隊は10個連隊揃える。

ガレーが十分に溜まったらキプロスの請求権を捏造して攻め込む。マムルークが独立保障をかけているのでこちらも相手にする羽目になるが、ガレーが10隻程度あれば海戦で完封できる。鹵獲か製造で輸送船を10隻揃えて上陸戦を仕掛け、占領したらひたすら待つ。十分な時間が経つと抵抗を諦めて島を引き渡してくれる。

この段階では顧問は雇わない。金が余っている様に見えてもすぐに足りなくなる。重点は外交分野を選び、外交技術LV7と探索アイディア3つをできるだけ早く揃える。

 

2.探検(1470〜1500)

順当に行っていればこの時点で数百ダカットの貯金がある。外交顧問をひたすら取り替えて航海士が出るまで頑張ろう。外交技術LV7と航海士と探索アイディアを合わせると西アフリカの空き地にギリギリ届く。ここに一瞬だけ入植して最寄りの現地国家の請求権を捏造し侵略すべし。先にスペインやポルトガルに埋められていた場合は開戦理由無しで無理やり攻め込もう。

首尾よく土地を奪ったらそこを拠点に版図を広げる。ただしこの段階では騎士団はとても弱く、雑魚だけを狙わないと返り討ちにされる。アフリカ技術グループで軍事技術がLV5以上ある国は要注意。同時代の西欧歩兵が戦闘力3なのにアフリカ戦士は戦闘力6もある。

並行して南米の先住民国家も侵略しておこう。真っ先にブラジルを形成できればトルデシリャス条約で他のカトリック国を排除できる。

2つ目のアイディアは物量(Quantity)を選んで人的資源を増やす。アフリカのジャングルではとにかく人が死ぬのでいくらいても足りない。

 

3.アフリカ侵略(1500〜)

軍事技術がLV9に達したら本格侵攻を開始する。この時点で現地国家に野戦で負けることはまず無くなっている。大抵はコンゴ周辺が最も弱く切り取りやすい。宗教アイディアを取って切取り次第にするのがお勧め。地元民を改宗させて教皇への影響力を稼ぐこともできる。

喜望峰および領土と領土を繋ぐ州への入植が終わったら探索アイディアは放棄してよい。管理(Administration)か攻撃(Offensive)が役に立つ。過剰拡大と反乱に気を配りつつ周囲の弱い国をどんどん斬り伏せると、世界のどの勢力よりも急速に領土を増やせるだろう。

なおマルタ騎士団は神権政体で公国ランクに固定されているが、2つの方法で王国に改組できる。管理技術LV20以上になれば決断(Decision)を通じてAdministrative Monarchyにできる。それ未満でも貴族階級の影響力を故意に高めて政権を掌握させれば貴族共和制になり、鎮圧すると元の政体ではなく専制(Despotic Monarchy)になっている。

ただし神権政治は常に正統な後継者が用意されるという強みがあり、同君連合にされる危険も無いので見た目ほどに悪くはない。アフリカで戦っている間は特に変える必要は無いだろう。

 

( ・3・)<こんだけでかくなりゃ後は猫でもできるわい

XCOM 2の戦い方

XCOM 2のレジェンド難度攻略指南


XCOM: Enemy Unknownの続編XCOM 2が2016年に発売された。これに関して2つ明らかにしておきたい。まずこのゲームは非常に面白い。EUの時点で相当な完成度だったが、2はそれを全ての面で少しずつ上回った。次にこのゲームは難しい。EUの時点で相当な地獄だったが、2はそれを少しどころではなく上回っている。というわけで最高難度の攻略を掲載しCOMキチ氏を助ける事にする。

 

1.バカとXCOMは高いところが好き

最も重要な戦術訓は「高所を取れ」だ。撃とうとする敵よりも高い場所に射手がいれば命中率に+20の修正が付く。これは鼻が擦り合う間合いまで接近した場合の距離ボーナスと同じである。特に最初のマップではまず高い建物を見つけ、敵をそこで待ち伏せるか、遠過ぎるなら3人が待ち伏せて残り1人が突っ込むと良い。接近戦よりよほど確実に敵を始末できる。

また高所にいる側は後ろに下がる事で射線が通らない様にもできるし、必要なら飛び降りて地上戦にもできる。位置エネルギーは素晴らしい。

 

2.偵察せよ

索敵はこのゲームの非常に重要な側面である。2分隊と同時に交戦しないだけでも壊滅の危険は大きく減る。また敵の視界ギリギリで固まって監視をしておけば、敵のターンに一斉監視射撃を浴びせた上に次の自分のターンでも動けるので、実質的に2ターン分の先制攻撃ができる。

このため、潜伏技能を持つ隊員を先行偵察させたり、バトルスキャナーを投げて敵の位置を把握するのは非常に有利な行動だ。「一方的に居場所を知っている」というのは「銃口をケツに突っ込んでいる」と同じ程度の優勢である。

 

3.リスクを選択せよ

武装が充実する後半はともかく、序盤戦は絶対にゼロリスクで進める事ができない。どんなに完璧に動いても運が悪い時は隊員が死ぬ。ゆえに指揮官は安全と危険の選択でなく「どの危険を取るか」の選択を迫られる。

危険は大きく分けて3つある。

  • A.側面を取られる
  • B.敵を始末できない
  • C.別の敵分隊と遭遇してしまう

原則はA<B<Cである。つまり敵が遮蔽に隠れていて、回り込むと側面を取れるが自分も無遮蔽になってしまう場合、構わず突っ込む方が正解である。無遮蔽でボッ立ちになる危険よりも敵を討ち漏らして反撃される危険の方がたいてい大きい。

ただし突っ込む事で別の分隊に遭遇してしまう危険が予想される場合は自重した方がいい。敵を倒し切れない危険があるにせよ、一度に2分隊に襲い掛かられる危険よりはまだ小さい。

そして言うまでもなく遮蔽を取るために無駄に前進して敵分隊に発見されるのは最悪である。

 

4.火力を優先せよ

以上を踏まえている限り敵から奇襲を受ける危険は比較的小さい。つまり殆どの交戦は自軍の攻撃から始められるのだ。ゆえに投資は防御力よりも火力に回す。1ターンで敵を倒し切れば防御力は参照されない死んだ数値に過ぎない。

研究は磁力兵器をできるだけ早く完了させるのが良い。それ以前にすべき研究はバイオテクノロジー・オフィサー解剖・モジュラーウエポン・複合素材・トルーパー解剖(バトルスキャナー)ぐらいである。

 

5.医療を甘く見るな

戦略レベルでの典型的な負け方は、まず作戦レベルで事故が起きて一軍メンバーが負傷し、その間に別のミッションが発生して雑兵を送り込み、戦闘力が足りずにズルズルと負けを重ねる・・・というものである。これを防ぐ為に医療には能動的に投資すべきだ。先進戦闘センターはゲリラ戦術学校の次に作ってよい。非常に重要なスキャン目標が存在せず、3人以上が負傷しているなら本部で医療ボーナスを受けるべきだ。

 

( ・3・)なお全てを完璧に動かしても負ける時は負ける(無慈悲)

翻訳記事:「アグリコラ」–繁殖の空間すら無いゲーム

これは翻訳記事です

2016/11/16 Cheng Lap

 
「アグリコラ」の様な言わずと知れた名作をわざわざ紹介する必要は無い気もするが、名作をどれも紹介しない事にすると原稿の種が無くなってしまうので不要とは知りつつ取り上げてみよう。それに世界にはまだまだこのゲームを遊んだ事の無い人が残っているだろうし、紹介した所で大多数はどうせ遊ばないにせよ、遊べばきっと面白いのだ。少なくとも私は好きだ。そういうわけで一度紹介する事にした。

アグリコラはドイツ製ゲームである。プレイヤーはドイツの農家になり、2〜3個の食料と2人(夫婦を表している)の人間と大きな空き地を持って始める。そして他のプレイヤーと共にそこら中を駆けずり回って天然資源を採取し、家人を養い、土地を耕し、我が身と我が家を整えて天下泰平を目指すのだ。6回目の収穫の後最も点数の高いプレイヤーが勝者になる。

そして忘れてはならないのだが、最初の時点では家の空間は2人が生活するのにやっとの狭さであり、公営住宅よりマシな点と言えば羊や豚をペットとして飼ってもいい事だけだ。

どうして家が狭いのを強調するのかと思うかもしれないが、これが非常に重要な点なのだ。遊べばすぐに分かるだろうが、このゲームでは「家族を増やす」行動が極めて重要である。というのも家族1人はラウンドごとの行動1回を表しており、家族成員が多ければ多いほど点数を上げやすく、少なければ低いままになりやすい。さらに家族の人数そのものも最後に1人3点で計算される。このため多くの人が認める通り、アグリコラとはいかに子孫を増やすかのゲームなのだ。一直線に5人まで増やすべきかはやや疑問の余地があるものの、少なくとも3人目の家族はできるだけ早く生んだ方が有利だという点は誰もが同意するはずだ。

しかしこのゲームでは子供は作りたければ作れるという代物ではない。何か特殊能力を使わない限り、最初の狭い家では「家族を増やす」アクションを使うことすらできず、大人しく他の活動に励むしかない。木を集め、部屋を増設し、家を3部屋なり4部屋なりに拡大して繁殖のための空間を用意して初めて繁殖アクションを使えるのだ。要するに開始時点では「子作り部屋すら無い」という事である。結婚して家を建ててようやく始まるという恐ろしく現実的な仕様だ。もし家を建てやすいゲーム展開になれば出生率は上がるし、何らかの原因で家を建てるのが困難になれば出生率も期待できない事になる。

それにも増して現実的な事に、ゲーム終盤の12〜13ラウンド(14ラウンドが最後)になると「空き部屋がなくても繁殖」というアクションが新たに出てくる。果たして年齢も限度に近づいて焦り始めたのかどうか、生活水準も顧みず、部屋があろうと無かろうと構わず、とにかく子供を生んでしまう。そして生まれて来た子供は自分の寝室すら無く誰かと雑魚寝である。実に悲劇的だが、これでもちゃんと3点になる。

 

しかもこれは人間に限った事ではない。ゲーム中に出てくる他の動物も同じなのだ。羊も牛も豚も、家の中でなく牧場で暮らしているとは言え、その牧場に十分な空間が無ければ繁殖できない。つまり空間が余っていなければ仔牛も生まれて来ない。どうせ生まれて来ても人間に食われるだけにせよ、居住空間が狭すぎると動物ですら子作りの気分にならず何も生まれないのである。

そればかりか植物すらこの運命から逃れられない。このゲームでは土地を耕して畑を作らなければ、作物の種を撒いて育てる事は不可能である。農地が無ければどうなるか? 残念、植物もまた繁殖できない。つまり何もかも土地問題に収斂していく。一見したところ点数を取り合う農業ゲームに見えるが、その本質は繁殖空間争奪ゲームである。人間だろうが動物だろうが植物だろうがみな同じなのだ。

これを遊び終えた時ひとつの真実に気付くだろう。どうして香港や台湾の出生率は一人っ子政策も無いのにこんなに低くなっているのか。政府はもっと子供が生まれれば良いと言うが、一体何をどう生むつもりだ? 部屋が無ければ繁殖アクションすら使えないと知っているか? ボードゲーマーですら気づいている事に税金泥棒どもは目をつぶり、自分は何も間違った事をしていないと嘯いているのだ。

 

原文はこちら:http://www.cup.com.hk/2016/11/16/chenglap-agricola-boardgame/

ゲームマーケットに挑む人向けガイド

ゲーム作ったんでゲムマ出たい!という人向け案内


ゲームマーケットは近頃とみに盛況である。出展者と参加者の両方が増え続けており、新たにボードゲームを作ってみたいという人も多い様だ。そこで簡単な案内を提供する。人によって求める物が違うために「あれをしろ」「これをしろ」という指示は出しにくいので、「何が期待できるか」「何が期待できないか」「何を準備しておくか」という切り口で書いてゆく。

 

何が期待できるか

経験。制作は作って終わりではなく着弾確認まで行ってやっと完了である。完成させ、売って、遊んでもらい、感想を聞く。最後までやり遂げたプロジェクトは途中で放り出したプロジェクトよりも遥かに大きな経験になる。

情熱。制作の成果が誰かを喜ばせる事ができれば、それは次を作る原動力になる。必要とする誰かがいるから手を動かせるのだ。

交友。同業者とか隣接分野の人々と知り合う機会が非常に多い。自分から挨拶に行ってもいいし、誰かが来るのを待ってもよい。

 

何が期待できないか

利益。もし初めてゲームを作ってゲームマーケットに参加し100個を売り切ったら、ベルカーブのかなり右の方にいると考えてよい。中央値付近では印刷費を回収するのがやっとだ。豪華な箱やコンポーネントを入れたらだいぶ足が出るかも知れない。儲けが出るのはそれなりに固定客を掴み、規模のメリットを利用できる様になってからだ。

契約。ゲームを作ったらどこかの会社が見つけて契約してくれる/拾ってくれるというのは殆ど神話である。ライセンス契約をする場合、国外だろうと国内だろうと既に相当売れていなくてはならない。誰も馬の骨に資本を賭けたりしない。

評判。どんなに自信があろうと最初の反応は大した規模にならない。非常に奇抜だったり不謹慎な作品を出せば多くの人がそれについて言及するかも知れないが、それは不審者の写真を大勢で回覧しているのと大して変わらない。人気者とは違う。

要するに人生は1日で好転しない。

 

何を準備しておくか

釣り銭。コインケースに入れて多めに持って行く。半端な値段設定の場合は特に重要。

値段表。売っている物と価格の一覧を1枚の紙にまとめて印刷する。多く用意して配ってもよい。喧騒の中で何がいくらか口頭で伝えるのは悪夢だ。行列を解消するので周囲への配慮にもなる。

名刺。人が訪ねて来て名刺を置いていく事もある。交換できないと少し間が悪い。それに誰の印象に残り誰が連絡して来るか分からないものだ。

ガムテープ。売れ残りを梱包したり案内の紙を貼り付けたり壊れた備品を応急修理したりアポロ13号を地球に帰還させたりする*。

仲間。1人で出るとトイレに行けないぞ。

 

それではビッグサイトであいましょう( ・3・)ノシ

*厳密にはダクトテープ。

翻訳記事:「ナショナルエコノミー」–人口は力か重荷か

これは翻訳記事です

香港のニュースサイトで取り上げられたナショナルエコノミーのレビュー記事。
2016/8/10 Cheng Lap

 

「ナショナルエコノミー」–人口は力か重荷か

経済ゲームが好きなプレイヤーはとても多い…まあ大抵はゲームの中で富が増えるのが楽しいからだが。こう言うと些かさもしい様に思えるが、そもそもそれが経済ゲーム人気の衰えない主な理由でもある。

ただし我々が目にする多くの経済ゲームは「雪だるま式」の経済だ。要するに、人口が多ければ多いほど生産力が伸びるし、生産力が伸びれば経済力もうなぎ上りというわけだ。

経済が好調なら人口ももっと増える。これは問題ない。では人が増えれば生産力が伸びて経済がもっと良くなるか? これはちょっと問題だ。というのも政府の人間はしょっちゅうこう言う。人口が増えれば生産力が増え、市場が大きくなり、とにかく人が多ければ多いほどいい。数は素晴らしい。だが忘れてはならない、たとえ政府高官だろうと原因と結果を取り違えるのはいつもの事だ。ある国の人口が多く、「うちの国は上手く行っている」と叫ぶのが仕事の高官がいて、彼が人口が多いのは素晴らしいと言っているとしよう。この場合本当に人口が多いのは良い事なのか? 彼自身も本当は知らないのだ。

大抵のゲームもこの調子だ。アグリコラだろうとストーンエイジだろうとエイジオブエンパイアだろうと、人口は多ければ多いほどいい。ただしこの「ナショナルエコノミー」というゲームだけは完全に別だ。

このゲームは一見すると簡略版アグリコラの様だ。多分デザイナーも参考にしたのだろう。最初は2人のワーカーで始まり、典型的なワーカープレイスメントの流れで、各プレイヤーが毎回1つ職場を使う。開始時に存在するのは基本職場だけで、鉱山(カードを引く)、大工(カードを出す)、学校(ワーカーを増やす)、これで終わりだ。もしアグリコラを遊んだ事があればこう思うだろう。ワーカーを増やす前にまず家を建てなきゃいけないんだよな? どういう前提条件が必要なんだ?

答えは「何もなし」だ。増やしたければ増やせ。実際このゲームのワーカーはモリモリ増える。中盤になると一度に2人とか3人増やす事すら可能だ。ワーカー1人は行動1回だから、増えれば増えるほど生産力もGDPも自然と大幅に上がる。始めたばかりの頃はこれがものすごく得に思える。何しろあっちのプレイヤーは2人しかワーカーがいないのにこっちは3人で、カードだって沢山引けるのだ。違うか?

この発想で行くと3人と言わず13億人ぐらいまでワーカーを増やしたくなるかも知れない。だが申し訳ない、社宅を建てない場合5人が限度だ。それにそもそも、実際に遊んだら5人にだって増やしたくないと思えるだろう。

なぜならこのゲームのワーカーは飯を食う、じゃなかった、給料を持っていくからだ。まあ運用上飯を食うのとそれほど違いは無いのだが。ゲーム開始時には各ワーカーは2ドルの給料を要求する。ワーカーが増えればそれだけ給料の支払いも増える。もし給料が払えるだけの金が無ければ自分の建物を売らなければならないし、売ってもまだ足りなければ高利貸しに泣きついて1ドル借りるごとに3ドル返す羽目になる。そういうわけで毎ラウンドきっちり給料を払える様にしておきたいのだ。

給料を払うためには金を稼がなくてはならないだろう。となるとこう思うはずだ。だったらワーカーに金を稼いで来させればいいじゃないか、それでそいつ自身の給料を賄ったらいいんじゃないか? 例えばストーンエイジでも狩人は自分が食べる分を狩った上に余剰食料も持ち帰ってくれる。ゲームってどれもそういうものだろう? ところがこのゲームは違うのだ。

というのもこのゲームでは、ワーカーは直接金を稼ぐ事ができない。彼らは製品を作るか、建物を作るかで、直接金を生み出す事はできないのだ。なので手元の金はあっという間に給料に消えてしまう。現物支給は? 駄目だ。ワーカーを使って製品を市場で売って金を作るしかない。ところが市場がまた有限だ。つまり、市場に存在する金が有限で、製品を売るのも早い者勝ちなのだ。誰かが内需市場の金を全て持ち去ってしまったら、いくら手元に製品があっても売る事のできない不良在庫と化す。例えば1万本のスプーンを作っても内需が1000本分しか無かったら9000本は使い道のないゴミという具合である。

そういうことだ。現実世界における生産力・生産量崇拝者の一味はこのゲームでは大いに苦しむ。売る先の無い生産力はただただ無駄になり金に変わらないのである。

内需市場が尽きる? でもそれでも給料は払わなくてはいけない。どうすればいいんだ? 心配無用、市場には金が補充されて来る。人口が多いと市場が多いという話を覚えているかな? 実はこれはある程度正しい。なぜならこのゲームでは、プレイヤーの払った給料が全て市場へと流れていくからだ。言い換えると、プレイヤーは自分のワーカーに給料を払い、彼らが製品を買える様にしているのだ。同じ金が不断に流動していく。これこそがこのゲームの最も優れた点だ。よく政府高官が経済が不調だ消費が弱いとこぼし、それと同時に賃金を下げて「競争力」を上げろと要求するが、彼らはこのゲームを遊んだ事が無いに違いない。消費する金は元を正せば稼いだ金であって、労働者に可処分所得が無ければ企業だって内需市場の恩恵を受けられないのだ。

ただし大前提としてまず給料が払えるだけの金がプレイヤーに無くてはいけない。そうでなければ市場に流す事も不可能だ。しかもこのゲームの金は徐々にインフレで価値が下がる…というかワーカーの給料が徐々に上がっていく。どんなに人を増やしても給料を払えなかったら人口イコール市場とは言えない。2ドル給料を払ったら2ドルの市場が生まれ、4ドルなら4ドル、8ドルなら8ドル。2ドルの給料を払ったら8ドルの市場が生まれるという事は絶対にあり得ないのだ。このゲームを遊んだら金というのは同一のものが流動しているのであって無から生まれるのではないと分かるだろう。

ではどうやって市場に出回る金を増やせばいいのだろうか? 外資である。このゲームではプレイヤーが作った建物は全て外国人投資家に売り払える。そして建物という資産に応じて金を払ってくれる。この金は市場の外から出てくる。そしてその金はまた市場へと流れ込み、売り払った建物は公共建築と化して誰でも使える様になる。

ゲームの最後に全ての資産の売値を合計したものが勝利点になる。人口を増やしたければ好きに増やせばいいが、他のゲームと違って一部の建物の効果を除き人口は全く点数にならない。それどころか、製品を作って売る事ができないのであればワーカーどもは全くの重荷である。無駄に人口が多くとも点数や生産力が伸びないばかりか、巨大な消耗と化して経済を食いつぶし、富の集積を全く不可能にしてしまう。もし毛主席がこのゲームを遊んだらワーカーを7人まで増やすだろう……そして勝利点がゼロかマイナスで終わるはずだ。

人が少なすぎれば利潤を最大化できない。しかし人が多すぎれば今度は利潤を食いつぶしてしまう。本当に必要なのは人口と経済のバランスの取れた発展だ。初見プレイヤーの多くは他のゲームと同様に人を無闇に増やし、そして手痛い教訓を得るだろう。

最初はワーカー増加による生産力が非常に魅力的に見える。そして皆が落とし穴にはまる。そしてゲーム中盤から後半になってワーカーが重荷になり始めた時こう聞く。人を減らす方法は無いのか? 答えは「無い」だ。家族計画も、自然災害も、大飢饉も、大粛清も、大虐殺も文化大革命もここには無い。一度人口を増やしたらずっと養わなくてはいけないのだ。経済発展がそれに追いつかなければ、人口が負債になるとはどういう事か身にしみて理解できるだろう。

本作は貨幣経済の概念を表現した数少ないゲームのひとつと言えよう。いつか誰かが人口が多ければ生産力も市場も大きくなると言い出したらこのゲームを勧めてやるといい。すぐに過ちに気付くはずだ。

 

原文はこちら:http://www.cup.com.hk/2016/08/10/chenglap-national-economy-board-game/

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