#36 ぷにもにょ

道具も何もいらない、2人用の簡単な遊戯。


 

問題を出す人が「ぷにぅ」と言ったら「もにょ」、「もにょ」と言ったら「ぷにぅ」と返す。

( ・3・)<ぷにぅ! もにょ!>(・q・ )

( ・3・)<もにょ! ぷにぅ!>(・q・ )

 

最初は3つから始める。

( ・3・)<ぷにぅ・ぷにぅ・もにょ! もにょ・もにょ・ぷにぅ!>(・q・ )

 

慣れたら段々増やそう。

( ・3・)<ぷにぅ・もにょ・もにょ・ぷにぅ・もにょ・ぷにぅ! もにょ・ぷにぅ・ぷにぅ・もにょ・ぷにぅ・ぷに……あっ>Σ(・q・ )

 

間違えたら交代。リズムに乗せてキャッチボールをしよう。

( ・p・)<もにょ・もにょ・もにょ♪ ぷにぅ・ぷにぅ・ぷにぅ…>(・ε・ )

評価の問題

評価やランキングにこだわると何が起きるかという問題


pixivにいる人達は絵の評価を気にするそうである。一部の人にとってはランキングに入るかどうかが重大な問題だそうだ。ランキングを巡る感情の濁流を題材にした漫画も描かれている。似た様な状況はニコニコ動画でも起きている。わざわざ早起きして動画ランキングの順位をいじる人は以前からいる。一体「評価」とは何ぞや。それにこだわると何があるのか。私は何度か動画をランキングに入れた事があるので、この問題に関してくちばしを挟む資格があると思う。ランキングにこだわる人、眺める人、そしてSNSやコミュニティを活用してビジネスをしようと考えているお兄さんお姉さんを対象につらつら書いてみよう。

 

権力とは恣意性なり

例えば私が非常に込み入った重要施設の長だとしよう。元々いた技術主任が退職するので部下の内から後釜を選ばねばならぬ。この職位にある者は施設の全ての細部を把握している必要があり、技能要求水準は極めて高い。同時にこの施設は間違って動いた場合に致命的な事態をもたらすので、極力ふさわしい人員を要所に配置せねばならぬ。

この場合、私には「最も優れた者を昇進させる」以外に選択肢が無い。私には誰が優れているかを調査する責任があるけれども、誰が優れているか「恣意的に」宣言する事はできない。私は人員を管理する立場にはあっても支配はしていない。誰がどの職位に就くかを支配しているのは物理的現実と予め定められた手続きであって、私はそれを動かすという仕事をしているに過ぎない。

一方、全く重要でない施設があったとしよう。この施設の全ての職位はどんな大バカでも務まる。元々の主任が退職するので後釜を決める事になったが、管理者である私は誰を昇進させてもよい。選ばれたのが誰であっても全く実社会に影響が無く、何ら致命的事態を引き起こさないからだ。

この時私は最大の恣意性と権力を手にする。私は毎日茶を運んで来たおべっか使いを昇進させる事ができる、と皆が知っているからである。実際にそうするかどうかは問題ではない。私は人々の運命を自由にできる。人員は私にへつらい始める。私は彼らを支配しており、気分次第でその運命を左右できる。

権力とは相手の望む物を恣意的に与えられるという事である。それは職位や報酬かも知れないし、罰を受けずに済むという二重否定形の報奨かも知れぬ。正味の上下関係を決めるのは恣意性である。恣意的に相手の運命を左右できる者は「権力」を持つ。少なからぬ人々は権力が好きであり、恣意的に他人の運命を左右できる事を楽しいと感じる。

 

権力行使としての評価

作品によい評価を付けたら作者が喜んだ。これは楽しい。見つけた作品が、自分の推薦の結果として広く評価された。これは尚楽しい。そこには良い物を掘り起こせたという喜びの他に、他の人々を左右できるという楽しみが含まれている。評価は多くの人が欲しがる通貨であり、それを何の説明責任も無く恣意的に与えるという事は権力行使そのものである。

評価者は、被評価者の運命を自由にできる事を好む。その人が大いに成功して栄えるか、破れて凋落するか、最終決定を下すのは自分でありたい。あるいは集合的な「自分達」でありたい。それは害意でも善意でもなくコントロールの欲求である。

評価者が嫌うのはコントロールの喪失である。自分達がどれほど賞賛しようと世間は歯牙にもかけぬ、あるいはどれほど酷評しようと世間は持て囃す。この様な事態を最も嫌う。そして被評価者が恣意性から逃れようとする事に反発する。どう酷評しようと平気でいる態度、あるいは評価者達は次の作品にも評価を与えて当然だという態度に苛立ち、これを罰する。それは旧約聖書の神が、神は人間の運命を自由にできると知らしめる為に苦しみを与えた時と同じ構造である。

 

ビジネスとの食い合わせ

ビジネスは計画を伴う。費用がこう、効果がこう、売上がこうで利益がいくらという計算をしてから取りかかる。その計画にコミュニティから評価を得る要素が含まれているとリスクを生ずる。評価者は評価を恣意的な権利として与える事を好み、当然の義務として請求される事を嫌うからである。「あなた方はこの種の作品が好きなんですから当然これを評価して我々のビジネスを助けてくれますね?」という態度を罰するのである。

評価者はしばしばビジネスを助けるが、それはコントロール欲求による部分が大きい。彼らが聞きたい言葉は「こんな風に評価されて売れるとは思っていませんでした、ありがとう」であって「計画通りです、ご苦労様」ではない。人は人の運命を左右する事を好む。行動によって何か世界に違いをもたらしたいと考える。

ビジネスとの食い合わせが悪いのはここである。彼らは人を恣意的に金持ちにするけれども、計画通りに金持ちにはしない。当て込みは失敗する定めである。

 

ランキングにこだわった先には

何も無い。少なくとも「実力に裏付けられた確固たる永続の評価」を目指す限りは不毛である。評価者は恣意性から逃れようとする者を好まない。それは彼らからコントロールを奪う存在だからである。評価は「それをいつでも取り上げる事ができる」という恣意性と引き換えに付与される。恣意性を奪う事は支払いの踏み倒しである。

コントロール不可能な物に対する執着は身を苦しめる。恣意的に与えられた物は恣意的に取り上げられる。積み上がった評価は資産の様に見えるけれども、実は同じ額の負債を伴っている。それは稼いだのでなく借りたのである。だから簡単に積もる。ランキングに上る物は非常に大勢からの評価を受けているけれども、それはいつでも、恣意的に、求めに応じて返上するという返済条項付きである。

自分がそれを持ち続けるかどうか他人が決められる資産は、果たして自分の資産だろうか? ただの借財である。借財を運用して商売をする事はあっても、借財で暮らす事はできぬ。たくさん借財をする事は人生の目標ではない。どんなに僅かに見えたとしても、友情とか、技能とか、経験といった自分の財産を増やす方がよい。大事な物を見失ってはいけない。ランキングに載るのは全く大した事ではない。

 

(´・ヮ・)<まあ上げたからには気になりますけどね?

翻訳記事:Plants vs. Zombies 2 無料化の悲劇

これは翻訳記事です

 

以下の2つの記事はPlants vs. Zombies 2を全く逆の側面から描き出している:

言い換えれば、前者はこのゲームがアイテム課金で台無しになったと信じており、後者はEAが「ユーザーを怒らせるのを恐れて」手ぬるい事をしたと信じている。EAはPlants vs. Zombies 2を基本プレイ無料にした事で駄目にしたのか? それとももっと徹底的に改造すべきだったのか? 2つの記事はあたかも違う並行宇宙で書かれたかの様だ。

実際、両記事の著者は非常に異なる世界に住んでいる。ファラデイはモバイル向け戦略ゲームブログの筆頭、Pocket Tacticsの創始者である。コアゲーマーにとって基本プレイ無料はおよそ唾棄すべきものだ。カトコフはそれと逆に、Supercellの金のなる木、基本プレイ無料MMO “Clash of Clans”のプロダクトマネージャーだ。このゲームは大口顧客を誘い込んで何千ドルも使わせる事で悪名高い。

カトコフから見れば、Plants vs. Zombies 2は基本プレイ無料ゲームとして巨大なポテンシャルを持ちながらそれを発揮できていないのだ。それはEAのプレイヤーに金を使わせる努力が不十分だったせいである。それはつまり、このゲームは簡単すぎてプレイヤーがアイテムを買う必要が無いのだ:

残念な事にPlants vs. Zombies 2は馬鹿馬鹿しいほど簡単である。ステージをクリアするには欠片ほども努力を要さない。簡単で退屈である。Plants vs. Zombies 2はリアルマネーで消費アイテムを買ってステージを突破する事ができる。だがその需要が生じる為には、プレイヤーがあと少しでステージをクリアできそうになり、それでもあと一歩を消費アイテムに助けて貰わなくてはならないという状況が必要だ。低い難易度のために消費アイテムへの需要は伸びず、収益も低迷する事になった。

更に、このゲームは大抵の基本プレイ無料ゲームの様なプレイ制限要素が存在しない。これまた種々な強化やアイテムへの需要を鈍らせている:

Plants vs. Zombies 2には制限要素が無く、よってコアループが存在しない。このゲームに相応しいコアループは”Candy Crush Saga”に似たスタミナシステムだろう。スタミナシステムがあればこのゲームの収益はもっと増えたと言っても差し支えないと思う。スタミナ回復と、貴重なスタミナでステージに挑戦した後のパワーアップとで継続的に需要が発生したのではないか(ステージに挑むのにコストが必要であれば、それをクリアできない事態は避けたがる)。

EAは金を使う方法を色々用意した。プラントの解禁とか、特殊能力とか、追加のプラントフードとか……しかしゲームそのものがプレイヤーに金を使わせる様に作られていない。結果、本作はあっという間にiOSの収益トップ20から転がり落ち、現在では50位付近をうろうろしている。カトコフに言わせれば、これだけの宣伝と期待がかけられたゲームとしては失敗でしかない。

それと対照的に、ファラデイはこのゲームに失望している。商業的な都合でゲーム性が台無しになり、雰囲気が毒され、プレイヤーを満足させる事が重点項目ではなくなってしまった:

もちろんPlants vs. Zombies 2は面白くなる様に作られている。しかし同様に明白なのは、プレイヤーが適度に苛立って財布を開く程度にしか面白くしていないという事だ。プレイヤーは$5でプラントを早く解禁するなり、$6で新しいステージに行くなりといった形で金を使う。全く無神経で野蛮な仕組みだ。

初代Plants vs. Zombiesの独創性に対する賞賛の後、ファラデイはこう宣言する。「Plants vs. Zombies 2に関してEAとPopCapが犯した最大の間違いは、このゲームを鈍速の挽き臼に変えてしまった事だろう」。不幸にして、ゲーム時間を延ばしてゲーム内購入の余地を作る為にEAがやった事はこうだ:

最初の11面をクリアした後、Plants vs. Zombies 2は挽き臼の速度を弄り始める。ステージ11のエジプトをクリアするとそのワールドは終わりなのだが、次のワールドに進むにはそれまでの面を繰り返し繰り返し遊ばなくてはならない。そうやって星を集めて海賊の海を解禁するか、さもなくば$6支払うかだ。

両方の著者は事実認識について少々異なっている(ファラデイの言う星システムはカトコフが求めるコアループに近い。ゲーム内の関所がプレイヤーを先へ進ませないという仕組みだ)。どちらにせよ、ファラデイとカトコフの両方がPlants vs. Zombies 2を失敗と見なしているのはEAにとって頭が痛いだろう。このゲームが無料ゲームで金を稼ぐ人間も、元々のゲームのファンも満足させないとしたら、一体誰を満足させられるというのか? もしかするとこの苦い教訓は、元々のファンを失うリスクを冒すのであれば、何が何でも金を稼がなくてはならないという事かも知れない。

EAはコアゲーマーと大口顧客の板挟みになっている様だ。コアゲーマーは何を遊ぶかに関心があり、数十年に渡ってEAに富をもたらして来た。不幸なのは、大口顧客が他の会社をそれよりもっと金持ちにしている事だ。Supercellは2つの基本プレイ無料ゲームだけで30億ドル級の企業になった。2つのゲームは今や1日に250万ドルを生み出し、利益率は驚愕の75%である。これに対してEAの去年の利益率は2.5%に過ぎず、2つどころか遥かに多くのゲームを作っている。株主のいる会社として、一体どうしたらこの大口顧客を無視できるだろうか? 彼らを相手に商売をするSupercellに対抗せねばならないのに? 答えは「無視できない」であり、PopCapはもう初代Plants vs. Zombiesの様な物は作らないのである。

 

原文:http://www.designer-notes.com/?p=674

スパイマスター ver.2

旧題マインドマスター。2人用読み合いカードゲーム。交互に攻撃側と防御側を担当し、攻撃側の伏せたカードを防御側が当てる。当て損ねるとスパイに浸透され機密書類を暴かれる。3枚の機密書類全てが暴かれると負けだ!


 

コンポーネント

spymaster_1

 

ゲームの始め方

  • 公平な方法で最初の攻撃側プレイヤーを決める。
  • 機密書類カードを3枚ずつ配り、それぞれのプレイヤーの前に裏向きに並べる。
  • スパイ・特殊部隊・ハッカーの合計21枚のカードをよく切って山を積む。
  • 山から5枚ずつカードを配り手札にする。
  • アイサツをして試合開始!

 

遊び方

勝利条件

自分の前に並んだ3枚の機密書類はヒットポイントである。暴かれるごとに1枚表に返す。交互にラウンド(攻撃番)を繰り返し、相手の機密書類カードを3枚とも表に返せば勝ちだ!

chap7_3

 

 

ラウンド構造

  1. 攻撃側プレイヤーは山からカードを1枚引く(先手の最初のラウンドは除く)。
  2. 攻撃側プレイヤーは手札から1枚選び、裏向きで出す。
  3. 防御側プレイヤーは「スパイ」「特殊部隊」「ハッカー」のどれかを指定する。
  4. カードを表に返し、指定と違っていれば攻撃成功!
    1. 出したカードは攻撃側プレイヤーの前に左から右の順で並べる。
    2. 2.に戻り、再び攻撃側プレイヤーがカードを伏せる。
      1. ただし特殊部隊は攻撃に成功してもラウンドが終わる。
  5. 指定通りであれば攻撃失敗!
    1. ラウンド終了。攻守交代して次のラウンドを始める。
  6. ラウンドが終わったら……
    1. 攻撃側プレイヤーの並べたカードは全て捨て札置き場へ移動する。
    2. 手札が8枚以上あれば半分(端数切り捨て)を選んで捨てる。

 

特殊部隊

  • 成功:防御側プレイヤーは機密書類を1枚暴かれる(表に返す)。ラウンド終了・攻守交代。
  • 失敗攻撃側プレイヤーは機密書類を1枚暴かれる。ラウンド終了・攻守交代。

 

ハッカー

  • 成功:攻撃側プレイヤーは山からカードを2枚引く。
  • 失敗:ラウンド終了・攻守交代。

 

スパイ

  • 成功:スパイが3枚並ぶごとに防御側プレイヤーは機密書類を1枚暴かれる。
    • つまり3枚目・6枚目・9枚目の攻撃成功時。
    • 1回のラウンドで並べる必要がある(ラウンド終了時に並べたカードは捨てる)。
    • 右端に並んでいる(直前に出した/奪った)カードが、攻撃に成功したスパイより小さい数字のスパイであれば、攻撃側プレイヤーは山からカードを1枚引く。
      • 例えばスパイ1の直後にスパイ5を出した場合など。
    • その後、攻撃側プレイヤーは手札からこれより大きい数字のスパイを1枚出してよい。このカードの下に横向きに差し込み、+1枚分の攻撃成功として扱う。
      • 例えばスパイ2で攻撃成功し、スパイ6を追加で出してスパイ2の下に横向きに差し込む。これでスパイが2枚並んだ事になる。
      • 差し込んだカードは「直前に出した」とは扱われない。上の例では直後にスパイ5を出せばカードを1枚引く。
  • 失敗:見抜かれたスパイは相手に寝返る! このカードは相手の場の1枚目になり ラウンド終了・攻守交代。

 

その他のルール

  • 捨て札置き場は共用・公開。ここにあるカードは全て表向きになる。
  • カードを引こうとする時に山札が無ければ、その前に捨て札を切って山を積む。
  • 途中で手札が無くなった場合はラウンドが終わり攻守交代する。

月刊スパ帝国 Vol.18

ゲーム付きミニ雑誌「月刊スパ帝国」Vol.18の紹介


Vol.18は特集「カードゲームをつくろう」と題し、ルール作りからデザイン・印刷までひとつの作品を完成させる手順を解説。チュートリアルとして2人用カードゲーム「マインドマスター」を掲載する。いつもの記事も継続中!

vol.18

内容:

  • 64ページ+表紙のオフセット誌
    • 特集「カードゲームをつくろう」
      • 1章:芸は模倣から
      • 2章:ゲーム作りの手順
      • 3章:ルール作り
      • 4章:デザイン作り
      • 5章:印刷と裁断
      • 6章:説明書の書き方
      • 7章:作例「スパイマスター」
    • XCOM: Enemy Unkownプレイ日記「ぐう凡地球警備隊」
    • 格闘ゲームへの誘い
    • 中国サーガ
    • 日本語を教える話
    • ゲームレビューコーナー(シティビルダー、Yomi: Shadows、ドッカーン、アンドールの伝説)
    • 2人用カードゲーム「スパイマスター」ルール

 

XCOM: Enemy Unknownプレイ日記 ぐう凡地球警備隊

今回の「ぐう凡」の題材はXCOM: Enemy Unknownである。街中に立て籠るエイリアンを掃討するため、銃で武装した兵士を4~6人送り込んで撃ち合うというSRPGだ! 身を隠す・回り込む・遮蔽物を爆破するなどのリアルな歩兵戦術が勝利の鍵である。なお難易度は最高の「インポッシブル」に設定し、リロードを禁じる「アイアンマン」をONにする。DLC・拡張・MODの類は一切無し。「拘束」等のバグ技は禁止とする。Wikiには「絶対に不可能」と書かれている条件だが何とか頑張ってみよう!

 

開始

2015年3月、外宇宙からの侵略を受け地球は危機に瀕している! 世界各国は特殊戦闘部隊XCOMを編成、これに対処する事になった。プレイヤーはその司令官としてエイリアンと戦いつつ、目に見える戦果を挙げて口うるさい評議会を納得させなくてはいけない。簡単に言うとネルフの司令みたいな立ち位置だ。

最初に決める事は、XCOMの本部基地をどこの国に置くかだ。XCOMは世界16ヶ国の共同プロジェクトながら、毎月資金を拠出してくれるのは本部のある1ヶ国だけである。残りの国は人工衛星を打ち上げて保護する事によって金を出してくれる様になる。当然豊かな国の方が拠出金は多いぞ!

またこれに加えて「大陸ボーナス」という物もある。1つの大陸全ての国に衛星を打ち上げた場合、またはそこに本拠地がある場合、それぞれ異なった特殊ボーナスが貰える。例えば南米大陸ならエイリアンの生態研究が一瞬でできる様になり、アジアなら新兵器の開発が安くなる。今回は拠出金が最も多いアメリカ合衆国を選択しよう。大陸ボーナスは戦闘機の購入・維持費50%減だ。では始めよう!

 

ミッション#1

最初のミッションはメキシコで発生した人間誘拐事件の調査だ。エイリアンが地球を侵略しているとは言い条、いきなり宇宙艦隊で押し寄せて来て爆弾を落としているわけではない。今はまだケチなUFOで散発的にやって来て人間を拉致したり種々な悪戯をしているだけだ。今回はメキシコの商店街に降下ポッドが現れ、人間が大勢連れ去られている。XCOMの精鋭部隊4人(全員新兵)を突入させ掃討だ!

降下地点の目の前には商店の入り口があるが、真っ直ぐ突っ込むとエイリアンの待ち伏せを受ける確率が高い。ここは横から迂回しよう。殆どのマップには正面ルートと迂回ルートがあり、どれも迂回した方が楽である。商店の横の壁に沿って歩き、角から顔を出して覗いてみると……エイリアン発見! 裏口のゴミ箱の傍に宇宙人3体がたむろしていた。この面に出て来るのは「セクトイド」というグレイめいた灰色のチビである。こちらに気付き戦闘隊形を取り始める!

さていよいよ交戦が始まる訳だが、どうやって戦うべきか? 突っ込んで撃ち合うという答案は零点だ。敵はゴミ箱や壁を「遮蔽物」として利用し身を隠している。こちらには一切身を隠せる場所が無い。遮蔽の後ろに隠れているユニットは敵の射撃が大幅に当たりにくくなるので、このまま戦っても不利である!

模範解答は「一旦引っ込む」だ。まず壁の後ろに隠れる。すると敵が「地球人どもはそっちか? 見て来いカルロ」とばかりに1体ずつひょっこりと顔を出す。そうしたら分隊全員の一斉射撃で蜂の巣にするのだ。これを繰り返して見事殲滅。最初の面に出て来る敵は8体なので、これで残り5体となった。

そのまま店の裏沿いに進んで隣の本屋へ行く。ドアを開けるとここにもエイリアンが2体潜んでいた! こちらに気付き店内の本棚の後ろに隠れる! こういう場合は突っ込むのが正解だ。本棚も遮蔽物であり防御ボーナスをもたらすが、それはあくまで「射撃手と対象の間」に遮蔽があった場合だ。踏み込んで横に回り込めば遮蔽効果は一切無くなり、無防備なエイリアンを撃ち殺せる! これで残りは3体だ。

すると店の表側から物音がし、エイリアン3体が出現! そこでこちらは店の2階へ素早く移動する。2階部分は地上から死角になっており撃たれる心配が無い。のこのこと近づいて来た所に上から手榴弾を落とし爆殺だ! 任務完了。死者0人。

 

続きは雑誌で読もう。1部¥950+送料。注文はストアから。

翻訳記事:さらば諦めの日々

これは翻訳記事です

 

*Civ4リードデザイナー、ソレン・ジョンソンの手記。Firaxisを退社してからMaxis・EA・Zyngaを渡り歩き独立スタジオを設立するまでの経緯が書かれている。

 

私がゲーム業界に入ってから今年で13年になる。その間にCiv3Civ4という2つのゲームを円満に成功させて来た。残念なのは、その2つのゲームが私のキャリアの最初の5年間だという事だ。その後の8年間に携わったプロジェクトは制作が上手く行かなかったり、完全にキャンセルされたりした。どうしてこんな「失われた十年」を職業人として経る事になったのだろうか?

これに答えるには2005年10月から話を始めなくてはならない。Civilization 4が発売された時だ。このゲームは批評家から絶賛され(メタスコア94はFiraxis作品で最高)、商業的にも成功した。比較的低予算のプロジェクトで300万本以上を売ったのだ。ゲームオブザイヤーにも輝いた。私が選んで編集したサウンドトラックも好評だった。テーマソングの”Baba Yetu”はグラミー賞を取った。これはビデオゲームの音楽としては初である。ModのひとつFall from Heavenは多くのファンを集めた。Civ4は本当に奇跡のプロジェクトであり、成功する可能性のある部分が全て成功したのである。

私はこのプロジェクトをゼロから始め、ゲームとAIのプログラムを全て書き、2年半かけてチームを膨らませ、スケジュールの2週間前に出荷した。私の全てをこのプロジェクトに注ぎ込んだ。ただひとつの心残りは、終わった後にスタミナが残っておらず、拡張版にまともな貢献ができなかった事である。

6ヶ月後。パッチ当て作業が終わり、気力も回復した。次に何をするか決めねばならなかった。Firaxis(というよりそれを買ったTake-Two)はCiv5のリードデザイナーにならないかと言ってくれたが、わざわざ新しい作品を出すほどの根本的な変更は思いつかなかったので辞退した。Civ4の制作を始めた頃はCiv3の経験を基にしたアイディアが溢れていたのだが、それらは皆やり尽くしてしまった。もうこれ以上Civシリーズに与えられる物は持っていなかった。

しかし新しい戦略ゲームのアイディアなら沢山あった。そしてそれを形にしたかった。Civ4のデザイナーとして名声を得た今、そろそろ自分自身のゲームを作る時だ。私は秘蔵のアイディアをぶつけてみたが却下された。他のいくつかの案も出してみたがやはり駄目だった。会社は人員を割けなかったのだ。その時はRailroads!が開発の真っ最中で、Revolutionの企画も持ち上がり、将来的にはCiv5も見えていた。

要するにFiraxisは台所が苦しかったのだ。開発コストは上がる一方、PC用のリテールゲーム市場は縮小していた。新しいシリーズを立ち上げるのはどんどんリスクが大きくなっていた。更に会社はシド・マイヤーの作った定番シリーズを持っており、それを開発せずにわざわざ新シリーズを作る機会費用は大きすぎた(実際、Firaxisは1997年のGettysburgから2013年のHaunted Hollowまで、1作も新シリーズを出していない。SimGolfは例外的なオリジナル作品と言えなくもないが、Simブランドのひとつとして売り出された)。

私の企画はどれも比較的小規模なプロジェクトで、100万ドルから200万ドルの予算を想定していた。問題は、その当時そんな規模のゲームを流通させる方法は無かったという事だ。この規模のプロジェクトで採算を取るには数十万本が売れればよい。会社の名声を考えれば妥当な数字だ。だが流通はそれに対応していなかった。PCゲームは大量の予算を使って50ドルの箱で数百万本売るか、過去作品を焼き直して10ドルでCDケースに入れて売るかしか無かった。Steamはサードパーティ作品を扱い始めたばかりで、2007年時点ではid、カプコン、Eidosしかゲームを供給していなかった。つまりデジタル配信という選択肢は無かったのである。

今日では状況は全く変わり、60ドルから無料までどんな価格帯のゲームにも市場が存在する。そしてプロジェクト予算も100万ドル未満から1億ドル超まで様々だ。デジタル配信、少額課金、多様なプラットフォームが業界の景色を塗り替えたのだ。私がFiraxisで提出したアイディアも今なら実現していただろう。だが当時の私にあった唯一の選択肢は、クリエイティブディレクターとして完成するかどうかも分からないゲームのプロトタイプ作りを手伝う事だけだった。

実際のところ、その後の6年間がどうなるかを知っていたら私はFiraxisに留まっていたと思う。そして何か良い変化が来るのを待っていただろう。あの会社も、そこで働くのも大好きだった。だが私も人間だったのだ。私はCiv4という仕事を終えたのだから、今度は自分自身のゲームを作る資格があると思ったのだ。それを否定された事で、もしかしたら拙速な決断をしてしまったのかも知れない。私はFiraxisを退社した。

その後は私の尊敬する会社を当たって面接を受けた。Blizzard、Ensemble、Valve……そして最終的にはMaxisに入りSporeの制作に携わった。GDC2005におけるウィル・ライトの発表は業界人とジャーナリストを驚かせた。その作品に携わるという事は、業界で最も有名なゲームを作るという事だった。Sporeについての感想は先の記事で触れている。この作品には色々拙い所もあるが、だからと言ってそれに携わった事を後悔しているわけではない。開発チームはアイディアと才能に溢れていたし、私もあまり時間を置かずに何か作品をリリースしたかった。私は開発を終わらせる為に雇われ、それから18ヶ月で作品は完成した。

Maxisに入ったもうひとつの理由は、先方が私のプロジェクトを将来的に支援すると言ってくれたからだ。会社の中で才能を発揮すれば、Sporeが終わった後にチャンスが与えられるはずだった。残念ながらSporeは思ったほど成功せず、EAの株価も暴落した(この2つの事象は言うまでもなく関連している)。(訳注:MaxisはEAの子会社) 会社はレイオフを行い、リスクの大きい新シリーズ制作からは手を引いて安全策に走った。この時点で私が新しい戦略ゲームのアイディアを出し、EA内で採用されて妥協無しに完遂できる見込みはゼロになった。

私はまたしても岐路に立った。EAの中でどうやって自分のやり方でゲームを作ればいいか分からなかった。Sporeがリリースされた後の数ヶ月、シリコンバレー周辺のブラウザゲーム企業やベンチャーキャピタリストを回ってアイディアを売り込んだ。当時非同期性基本プレイ無料は人気のある投資案件であり、自分の会社を作ってゲームを制作すれば全てをコントロールできると思ったのだ。だが、残念ながら私の展望は投資家から見てニッチ過ぎた。私はコアゲーマー向けの戦略ゲームを作り、プレイヤー自身のModによって発展させたかったのだが、それに投資を募る事ができなかった。

そこで私はEA2Dへと流れて行った。EA本社にあるブラウザゲームのスタジオである。そこの中核チームはDragon Age Journeysを作っていた。これはDragon Ageのスピンオフ作品で、Flashを使い戦術的ターン制戦闘システムを持っていた。スタジオのマネージャーだったマーク・スペナーは私にチャンスをくれた。1年に渡り、webゲームStrategy Stationを作らせてくれたのだ。これは基本的には先に投資家達にプレゼンテーションしたのと同じ企画である。Modに対応した3つの戦略ゲームを作り、オンラインで非同期対戦ができる様にした。ブラウザエンジンとしてGoogle Web Toolkitを用いた。

ゲームは静かに発表された。実際、このブログ(Designer Notes)で紹介した事は一度も無い。せいぜいThree Moves Aheadのある回で言及した位である。ある意味で、私はこれを広める事を恐れていた。どうやってサイトを上手く回せばいいのか、ユーザー規模にどうやって対応すればいいのか、またどうやって利益を出せばいいのか分からなかった。EA上層部で私の展望に乗ってくれる人は少数だった。とにかく自分でできる限りの事をやり、結果が出るのを待った(開発チームがそもそも存在しないプロジェクトを解散させる事はできないだろうと当時の私は考えた)。

そのサイトは数千ユーザー以上には広がらなかった。ただし日本では非常に熱心なファンを獲得し、中には数千ゲームをこなしたプレイヤーもいた程である(このゲームを扱った日本の人気ブログがある。3つの中で最も人気だった王国ゲームの動画もある。日本語化+画像差し替えModを入れてプレイされており、人間の兵士が何らかの理由でウサギになっている)。こんな変なプロジェクトに予算を付けてくれと、どうやって頼めばいいのだろうか。これの存在を正当化するには商業的成功が必要だとEA2D側が考えている事も分かり、私は先手を打ってプロジェクトを消す事にした(プロジェクトをEA外で存続させて日本のコミュニティが遊び続けられる様にする事も試みたが、上手く行かなかった。独立したStrategy Stationは熱心なニッチ層を楽しませられただろうが、これはEA内の、会社規模に相応しくない私の個人的プロジェクトだった)。

EA2Dは次にDragon Age Legendsというプロジェクトに賭けた。これはJourneysの緩やかな続編で、Facebook内で営業した。2010年当時はソーシャルゲームが非常に熱く、新しいフォーマットでコアゲーマーを満足させられるかどうかを試してみたかった。結果は賛否両論だった。このゲームは会社内では好評で、特に経営陣には人気だった。CEOジョン・リッチティエロとゲームタイトル責任者のフランク・ジボーは非常に高いレベルのキャラクターを育て上げ、かなり課金もしていた。だが最終的に、スタミナシステムの軋轢、コアゲーマーの基本プレイ無料に対する敵視、Facebookとのユーザー層のずれなどが積み重なり、プロジェクトは死すべき定めとなった。

私自身はこのプロジェクトを興味深い実験として熱心に追求していた。だが出来上がったゲームは、もし私が全てをコントロールしていたらこうはならなかっただろうという代物だった。悲しい事に、私はそもそも自分の作りたいゲームを作ろうとEA内で試みさえしなかった。企画をぶつける際につきものの社内政治に関わりたくなかったし、そもそも採用されるか分からず、採用されたとしたらそれがどう扱われるか恐れていた。要するに私は、始める前に諦めていたのだ。

2011年の夏は私の職業人生で最低の時期だったろう。私の好きなサイトであるRock Paper Shotgunがビジネスモデルを理由にLegendsを酷評したのだ。そしてゲーム自体のユーザーも徐々に減り、日毎のアクティブユーザー数が2万人程度に落ちていた。このゲームはEA2Dが求めた、将来のプロジェクトを支える為の成功とはならなかった。チームはBioWare Socialに改組され、才能の流出が始まった。EA内でどうすればいいのか、私には分からなかった。

そしてZynga、というよりZynga Eastに入った。ここはブライアン・レイノルズを始めとする多くのBig Huge Gamesの残党が立ち上げたZyngaのスタジオで、ソーシャルゲームを制作していた。2010年のヒット作Frontiervilleもここから生まれたのだ。この作品はスタミナバーやストーリー型クエストなど多くの革新を含んでいた。Zyngaには金がうなっており、スタジオのマネージャー(にしてBHGにおけるブライアンのパートナー)であるティム・トレインは私をスカウトする際、私のやり方でブラウザゲームを作ってよいと約束してくれた。スタジオの一角に安全なスペースを作り、そこでじっくりプロトタイプを作れる様にしてくれると。

Zyngaで働いたのは18ヶ月にもならないが、言うまでもなく素晴らしい経験だった。自分の好きなゲームを作る自由を与えられた。数ヶ月でプレイ可能な段階に達し、オフィスでは非常に人気だった。だがある意味で、私は自由を与えられ過ぎていた。そのゲームはスタジオ外からは殆ど監視を受けず、代わりに支持も得られなかった。私は経営陣の干渉を恐れるが故にプロジェクトを査定に出さず、謎に包まれた存在にしてしまった。会社は否定も肯定もせず、そもそも関心を持っていなかったのだ。それゆえスタジオがCityVille 2の失敗を受けて閉鎖される事になった時、一緒に開発中止になったのは必然だった。

私はZyngaで信じ難いほどの自由を与えられていたが、結局プロジェクトは最初から死すべき定めにあった。だが悪いのは私である。EAを退社する時、Zyngaは魅力的な選択肢だった。給料は良く、個人的リスクは少なく、作りたいゲームを作れる。だが問題は、私が作りたいゲームは製品として出荷される物だったという事だ。外部からの干渉がどうというのは結局言い訳に過ぎない。Zyngaに入る時、私は自分のゲームをコントロールできない事を知っていた。いつ大幅に変更されたり開発中止にされたりするか分からないのだから。

Civ以後の職業人生を振り返るに、私は自分の作りたいゲームと雇い主が作らせたいゲームの間で妥協し続けて来た様だ。Sporeにおいては他人の作品を仕上げるという妥協である。Strategy Stationにおいてはチームを持つ事ができないという妥協である。Dragon Age LegendsにおいてはRPGをソーシャルゲームに変えるという妥協である。Zyngaにおいては無関心な管理の陰に隠れてゲームを作るという妥協である。私は始める前に諦めていたのだ。

もう諦めるのはやめにしよう。自分のやりたい様にゲームを作るならば選択肢は1つしかない。時間も、エネルギーも、生活の安全も犠牲になるけれども。私には大量のゲームのアイディア在庫がある。一生かけても作り切れないほどだ。つまり私は既に遅きに失しているのである。

そろそろ物事を変える時だ。

そろそろ独立する時だ。

そしてmohawkgames.comに続く。

 

 

原文:http://www.designer-notes.com/?p=697

翻訳記事:勝つ為に戦う(18)

これは翻訳記事です

 

勝負の秋

ゲームにはしばしば「決定的瞬間」が訪れる。試合の勝敗が決まる、あるいは試合の流れを大きく変える瞬間である。小さな優位を慎重に保ったまま試合の90%を過ごしたとしても、決定的瞬間はそれを吹き飛ばし、試合を不確定にし、運命を変えうる。

青天井のポーカーで小さな勝負を10回繰り返したとしよう。その後に相手が大きな賭けを挑んで来たら、それにどう応対するかで全てが決まる。格闘ゲームでじっくりとリードを築いたとしても、1回の判断ミスで大きな隙を晒し、大コンボを食らって再び互角に戻される事もある。チェスで慎重に陣形を築き上げても、1回の妙手で防御を外されチェックメイトを取られれば終わりである。StarCraftで20分かけて大軍を築いたとしても、決定的な数秒間によそ見をしていれば、敵のテンプラーに全てを吹き飛ばされてしまう。

この章を「兵法」セクションの終わりの方に持って来たのは、今までに論じた多くの問題と絡むからだ。試合の勝敗が1度か2度の決定的瞬間で決まるなら、相手を騙すのは遥かに強力になる。その瞬間が来るまで敵から隠れ続けるのも手だろう。操作練習と精神力も重要な問題になる。特定の技を出せる様になったとしても、肝心な時に練習と同じ様にできるだろうか? 決定的な瞬間は集中力が摩耗するゲーム後半、あるいは何試合もくぐり抜けた後のトーナメント終盤に発生する。集中力と体力を消耗した状態で、決定的な瞬間に精神力を保てるだろうか? 試合の帰趨を決する瞬間に敵がどう出るか、観察によって見抜けるだろうか? その瞬間に敵がする事を読んで勝利を手にできるだろうか?

不利な時こそ決定的瞬間を作り出し、それを利用せねばならない。そして有利な時はそれを防ぎ、避けなくてはならない。勝っている時に最もしてはならないのは、読み間違えればリードを失う状況に陥る事だ。安全な状況を作ってリードを守り、相手を僅かな逆転の目に賭けて大きなリスクを取る様に仕向けるべし。

例えば格闘ゲームの「転倒」を考えてみよう。殆どの格闘ゲームでは、転倒すると起き上がるまでしばらく無敵になる。この無敵時間にもかかわらず、転倒させた側は常に有利だ。何故なら相手が起き上がる最初の瞬間に、自分のコントロールする読み合いを押し付ける事ができるからである。起き上がりに攻撃を重ねて上下段のガードで選択を迫ったり、ストリートファイターなら「めくり」で左右のガードを選択させたりできる。あるいはまた何もせず、相手がリバーサル技を出して来るのを待ち構える事もできる。状況を支配しているのは転倒させた側であり、それ故に有利である。ただしこれはあくまで読み合いであり、転倒した側が読み勝ったり幸運を得て反撃に成功し、そのままコンボなり超必殺技なりを決める事もある。殆どの場合、可能なら成功に賭けて読み合いを押し付けるべきだ。押し付ける側にはデメリットよりメリットが多いからである。しかし勝っている時はどうだろうか? 最も攻撃的なプレイヤーであっても、攻撃的プレイとは安全な攻めとリスク計算である事を知っている。ラウンドの開始時点において、決定的瞬間を作るのはリードを得たり敵を震え上がらせる為に有効である。既に大きくリードして勝っていたら話は違う。もちろんリスクを計算してもなお賭けた方が良いとか、読みの神が相手のする事を正しく告げてくれるという場合もあるだろうが、普通はリスクを取らない方がいい。後ろに下がっていれば100%の確率で敵の望む決定的瞬間を避けられる。

「状況作り」の技とは決定的瞬間を作り上げる技である。決定的瞬間が迫っており、それが望ましくないのであれば、あらゆる手を講じてその状況を防止せよ。読み合いに付き合っては駄目だ。ストリートファイターでは、決定的瞬間は相手が凄まじい攻撃を繰り出した直後、自分が動ける様になった瞬間に訪れる。多くのプレイヤーはこの状況にフラストレーションを感じ、見え見えの馬鹿な行動をしてしまう。そして相手はそれを待ち構えているのだ。最初の瞬間は避けよう。動ける様になったその瞬間に技を出すのはありふれた、予見可能な行動である。これは確かに教科書通りだが、相手はその瞬間を待ち構える事ができる。その瞬間に何か技を出す事を相手は知っている。代わりに例えば、2秒間待ったらどうなるだろうか? 格闘ゲームにおける2秒は沢山の瞬間である。最初の瞬間に攻撃しなければ、その次の瞬間だろうか? あるいはその次の瞬間だろうか? 何もしないという選択は状況を仕切り直しに持ち込み、決定的瞬間を曖昧にする。相手にしてみれば、ノーヒントで瞬間的な動作(ブロッキングや超必殺技)を出すのは非常に難しい。相手は予見可能な瞬間に頼っているのだ。勝っている時には、その様な瞬間を与えてはならない。

逆に負けているときは、相手を戦いに引きずり出して接触しなくてはならない。そしてできれば混沌とした状況を作り出し、劣勢を覆すチャンスを手にするべきである。ウォーゲームならば「火攻め」によって相手を防御地点から燻り出して交戦するという事だ。その戦いには負けるかも知れないが、少なくともチャンスはある。ポーカーなら「オールイン」で全てのチップを賭けて相手を脅かす。こちらが良い手を持っている危険を押して相手はそれに乗って来るだろうか? ここで読み間違えれば試合の流れは大きく変わってしまうのだ。

剣を鞘に納めたまま勝つのは常に最上だが、決定的瞬間の活用は今までに紹介した多くの概念の結晶である。欺きから読みに至るまで、全ての勝敗は決定的瞬間にこそ集約される。

 

原文:http://www.sirlin.net/ptw

ボードゲームの楽しみ

久しぶりのコラムである。ここ最近は記事を思いつくと月刊スパ帝国の方に書いていたのだが、今回は是非とも雑誌を購読していない人に届けたい内容なのでブログに書く。即ち「なんでわざわざボードゲームで遊ぶのか?」という問題である。

ボードゲームはめんどくさい。コンピューターゲームと違って物理的に集まらねばならぬし、準備やら片付けやらが手間だし場所も取る。それにもかかわらずボードゲームで遊ぶ理由とは何だろうか? それは主に3つである:

  • ルールの透明性
  • コンポーネントの楽しさ
  • 先進的なメカニクス

以下、順に解説しよう。

 

ルールの透明性

ボードゲームはルールのあらゆる詳細がプレイヤーに明かされている。この行動が成功する確率は何%あるのか? 成功と失敗それぞれの結果は何か? 最終的にどうすると勝ちなのか? こうした戦略判断の基盤になる情報は全てルールブックなりカードなりに書かれている。人力で駒を動かしている以上、そうでなければゲームが進行しない。

コンピューターゲームは往々にして内部の挙動をプレイヤーから隠している。次のフロアに店が生成される確率は何%か? AIへの平和的アプローチと脅迫的アプローチはそれぞれ何%の確率でどんな結果をもたらすのか? このステータスは戦闘で何がどれだけ有利になるのか? 全ての細則がプレイヤーに明かされているコンピューターゲームは非常に少ない。酷い物になると表示上の確率と実際の確率が異なっていたり、プレイヤーの状況に合わせて恣意的に結果を弄ったりしている。これは「与えられた規則に対する最適解を創造する」というゲームの中核そのものを台無しにしている。

ボードゲーマーが往々にしてコアゲーマーであるのはまさにこの理由による。ゲームを熱心にやり込むと、次第にルールの細部を研究し始める。この特殊能力は内部でどういう挙動をしているのか? 敵はどういうアルゴリズムで生成されているのか? そうした情報に基づいて理知的に意思決定をする事がゲームプレイなのだ。そうしたゲーマーにとって、全ての細則が公開されているボードゲームは素晴らしい選択肢である。

 

コンポーネントの楽しさ

駒、ボード、ダイスといったコンポーネントそのものも楽しみの源泉である。例えば「ストライク」はダイスを物理的にぶつけて奪い合うゲームであり、実際に物を投げるからこそ楽しい。「ツォルキン」の盤には巨大な歯車が付いていて、ぐるぐる回すだけで楽しい。「テラミスティカ」には小さな人型の駒「ミープル」が付いて来て、「じじい僧院送り」と称してどんどんボードに放り込む。

楽しさは指先でも感じるものだ。綺麗に加工された木製の駒や、スリーブに入ったカードや、厚みのあるボードはそれ自体として素晴らしい玩具である。次はどんな工作品に出会えるのか、それも楽しみのひとつなのだ。

 

先進的なメカニクス

ゲームのルール・メカニクスに関する限り、ボードゲームはコンピューターゲームより進んでいる。例えば「インペリアル」は20世紀初頭を舞台にしたヨーロッパ征服ゲームだが、プレイヤーは国家指導者でなく投資家になる。色々な国の債権を買い、最も多くの債権を有するプレイヤーがそこを支配する。そして利子を支払わせたり他の国を潰したりして自分の得点を増やすのだ。

「エクリプス」は宇宙を舞台にした帝国建設ゲームで、支配星系を増やせば増やすほど収入が高まる。そしてそれは指数的増加なのである。5つの星を持っていると収入は8だが、10の星を持っていれば収入は21になる。その一方で多くの命令を一度に下そうとすると管理コストが跳ね上がるため、拡大と集中のバランスを上手く取らねばならない。

ボードゲームは開発に要する人員がコンピューターゲームより遥かに少ない。市販のボードゲームの多くは1人でデザインし、もう1人がアートワークを担当するという形で作られている。これゆえ実験は遥かに容易であり、先進的なルール・メカニクスが次々に生まれている。ちょうどインディーズゲームと同じ状況だ。

ゲームとは即ちルールの集合体である。優れたルール、優れたメカニクスを探し求めるならばボードゲームを避けて通る事はできない。それゆえに我々はボードゲームで遊び続けるのである。

#34 ロンバルホールデム

2〜11人用ポーカーゲーム。「ロンバルディアの王冠」のカードを使う。全員が2枚ずつ手札を持ち、共用のコミュニティカード5枚と組み合わせて役を作る。最も強い役を持っていたプレイヤーが賭け金を総取り。最初にコインが16枚になったプレイヤーの勝ち。なおコインはサプライからも供給されるので、プレイヤーが持つコインの総数は増え続ける。

 

使う物

  • 「騎士」カード1〜11
  • 「貴族」カード2〜10
  • 「司教」カード4〜8
  • 「王子」カード4・6・8
  • コインチップ

 

始め方

  • 席順と最初のディーラー(カードを配る役)を決める。
  • 全員にコインを8枚ずつ配り、残りをサプライに置く。

 

遊び方

  • 28枚のカードをよく切る。
  • 各プレイヤーに2枚ずつ配る。これは本人だけが見る事のできる「ホールカード」である。
  • 山札から3枚めくり卓に置く。これは共用の「コミュニティカード」である。
  • サプライからコイン1枚を取ってポット(賭け金置き場)に入れる。
  • ディーラーの左のプレイヤーから順に、時計回りで1回ずつ手番を行う。できるアクションは以下の3種類:
    • コール:所持金からコインを1枚出してポットに入れ、ホールカードのうち1枚を選んで公開する。
    • ダブル:所持金からコインを2枚ポットに入れ、サプライからも1枚ポットに入れる。
    • フォールド:このラウンドを降りる。次のラウンドまでゲームに参加しない。
  • 全員がアクションを終えたら山札からもう2枚めくり、コミュニティカードに追加する。
  • フォールドしていないプレイヤー全員のホールカードを公開する。
  • それぞれホールカード2枚とコミュニティカード5枚の計7枚から自由に5枚を選び出してポーカーの役を作る。
  • 最も強い役を持っていたプレイヤーがポットにある賭け金を総取り。
  • ディーラーが左のプレイヤーに移って次のラウンドへ。
  • 誰かのコインが16枚になった時点で決着。
  • 所持金が足りなければいつでもサプライから借りてよい。

 

役の作り方

  • ポーカーと同じ。ストレートフラッシュ>フォーカード>フルハウス>フラッシュ>ストレート>スリーカード>ツーペア>ワンペア。
  • 王子3枚が揃った場合は「ロイヤル」として最強の手。
  • 王子2枚はオールマイティ1枚として使える。
    • 任意のスートの1〜11になる。司教の1など存在しないカードも可。
    • オールマイティ1枚を含めて5枚になる様に選び出す。つまり4枚+王子2枚の計6枚を使う事になる。
  • 役の強さが同じである場合、次の方法で勝者を1人にする:
    • ワンペア・スリーカード・フォーカードなら数字の大きい方が強い。
    • ツーペアは大きい方のペアの数字を比べ、同じなら小さい方を比べる。
    • フルハウスはスリーカード部分の数字を比べ、同じならペア部分を比べる。
    • ストレート・フラッシュ・ストレートフラッシュは最も大きい数字を比べる。
    • 役に含まれる数字も同じであれば、ホールカードのうち数字が大きい方同士を比べる。
    • 数字も同じであれば王子>司教>貴族>騎士の優先順位になる。