XCOM: Enemy Within インセーンチャレンジ

XCOM: Enemy Withinの研究はなんやかんやで進みまくり、次の条件で挑戦する馬鹿が現れた:

  • XCOM: Enemy Within (挑戦時の最新パッチ)
  • 難易度インポッシブル
  • アイアンマン:ON
  • DLCミッション全部入り
  • 遮蔽を取ってはならない
  • MECとSHIVは禁止

兵士は遮蔽のある場所でターンを終了してはならない! パニック等で遮蔽に張り付いた場合は動かせる様になって即座に遮蔽を出ること。また戦闘中に誤操作で遮蔽を取ってしまった場合はその兵士を死刑とする。

勝手にやってくれ。

【ニコニコ動画】【遮蔽禁止】XCOM:Enemy Within(1)

翻訳記事:勝つ為に戦う(20)

これは翻訳記事です

 

プレイスタイル:亀

あらゆるゲームコミュニティは、他のゲームコミュニティの歪像である。同じ様な性格と同じ様なプレイスタイルがどのゲームにおいても繰り返し現れる。チェスの歴史を紐解いてプレイヤーの性格を調べると、それがストリートファイターの世界と余りに似ている事に驚かされる。これから私はそれらの性格について語る。そして極めて賛否の分かれるだろう立場を取る。即ちある1つの性格が他の全ての性格に勝るという主張だ。上級プレイヤー層は様々なプレイスタイルの混合であるが、「真の」スタイルこそその中で頂点を占める。私自身はそのスタイルの持ち主ではないが努力はしている。もしかしたら読者の身近にもそういったプレイヤーがいるかも知れない。

 


チェスプレイヤー:チグラン・ペトロシアン (1929-84)

ペトロシアンはしばしば指し手が地味だと評される。彼は自分のポーン陣形に非常な注意を払い、滅多に弱点を露出しなかった。彼は相手の攻撃が始まる前にそれを止めようとした。

「ペトロシアンは主導権を握ると、蛇の如くじわじわと締め付けた。相手が喜んで投了するまで圧迫するのだ。旗色が互角ならマングースの如く全ての攻撃をいなしてしまった」—正直なチェスプレイヤー、ラリー・パー

私の村ではこの種のプレイヤーは違う動物に例えられる。亀だ。亀はリスクを取らず、不必要な動きは一切しない。ゆえに観客はたいてい亀が大嫌いだ。ペトロシアンは批判に応えてこう言った:

「私のチェスは用心深過ぎると考える人もいるが、問題はそこではない。私は好機を避けているのだ。好機に依って戦わんとするならトランプやルーレットをする方がいい。チェスはそれとは違う物なのだ」—チグラン・ペトロシアン

「もっと面白いチェスを見せてくれと言われる事もある。その場合私は負けるだろう」—チグラン・ペトロシアン

2つ目の返答は問題の核心を突いている。ペトロシアンを含むほぼ全ての亀プレイヤーは、単に与えられた状況で勝つ為に最善を尽くしているのだ。ペトロシアンはそれほど多くの大会で優勝しておらず、大抵は2位か3位だったが、それでも彼を打ち破る事はほとんど不可能だと思われていた。そして亀プレイヤーにも勝利の日は来る。1963年、チェス世界選手権でそれまでの王者ミハイル・ボトビニクを破ったのだ。

 

ストリートファイタープレイヤー:リッキー・オーティズ

オーティズは小さな変わり者だ。華奢で女性的、ヘアスタイルと髪の色を始終変えている。顔に光り物を付ける時もある。そしてペトロシアンと同様、「地味」なプレイスタイルで批判され、打ち破る事はとても難しいと考えられている。

私自身も大会における辛抱強さと相手を苛立たせる技術には定評があるが、オーティズはそれを遥かに上のレベルで行う。彼はほぼゼロリスクの試合をし、僅かな体力リードを得たら恥も外聞も無く逃げ回る(こうすれば相手は攻撃を当てられず、制限時間が来たら残り体力の多い方が勝つ)。彼の無限の辛抱強さはどんな真面目な対戦相手をも苛立たせ、残り時間に追われた無謀な逆転策へと駆り立てる。オーティズはぬめる魚の如く捕まえにくいのだ。

彼のもう1つの特技は「ちょうど都合のいい間合い」に留まり続ける事だ。自分の攻撃は有効で相手の攻撃は当たりにくいという距離である。苛立った相手から上手く攻撃を誘い、優れた反射神経ですかさずそれに反撃を浴びせる。そして体力リードを得たらますます逃げ、相手(と観客)をますます苛立たせるのだ。

 

原文:http://www.sirlin.net/ptw

XCOM: Enemy Within イモータルチャレンジ

XCOM: Enemy Withinの研究は日夜進んでいる! 最早アルティメットチャレンジすら生温くなり、その上のレギュレーションを設ける事になった!

  • XCOM: Enemy Within (挑戦時の最新パッチ)
  • 難易度インポッシブル
  • アイアンマン:ON
  • DLCミッション全部入り
  • 第二波全部入り

第二波オプションは衛星の費用が大幅に上がる等人類に非常に不利な条件が満載だ! これを全て入れたとしても、尚理論上はクリアが可能である事が最近の挑戦で判明した。2014/3/28現在まだこれを突破した者は誰もいない。最初の1人にならんとすれば今がその時だ!

クリアした人はTiwtterの@verdamilまで!

XCOM: Enemy Within アルティメットチャレンジ

マゾゲーマーの諸君! XCOM: Enemy Withinは相変わらずクッソ難しいが面白い! そこで日本XCOM界暫定一位を自称するox_quiz氏の協力のもと、このゲームを徹底的にやり込むための競技レギュレーションを制定した!

  • XCOM: Enemy Within (挑戦時の最新パッチ)
  • 難易度インポッシブル
  • アイアンマン:ON
  • DLCミッション無し
  • 第二波無し
  • アーミーオブフォー (部隊サイズのアップグレードを取らない)

この条件でキャンペーンをクリアするのが最低条件である! その上でクリアに要した「ゲーム内日数」を競う。当然短い方が偉いぞ! 現在の記録はox_quizの170日だ!

XComEW 2014-03-27 12-43-31-854

クリアした人はTiwtterの@verdamilまで!

ゲームが強くなる100の知恵++

月刊スパ帝国Vol.13の特集「ゲームが強くなる100の知恵」は非常に好評だった。そこで増補してKindleストアでも売ろうと試みたのだが、いざ登録する段になって彼らに独占配信権を与えないとまともな印税が支払われない事が明らかになり計画を放棄した。そのままお蔵入りにするのも忍びないので加筆分を掲載。なお記事内容は月刊スパ帝国Vol.21「ゲーム2.0」とリンクしている。


ゲームが強くなる100の知恵++

 

#101 自分自身を知る

ここから加筆分である。ゲーマーはそれぞれゲームにどんな体験を求め、そこから何を学ぼうとするかによって様々なタイプに分かれる。筆者はこれを民族と呼んでいる。例えば細かい数値管理を通じて複雑な手順の遂行をマスターする性向を持った人々は管理民族だ。民族には大きく分けて意思決定・研究・管理・軍人・操作・ロボット・消費者の7つがあり、ゲームに対するアプローチが根本的に違っている。

これは本来ゲームデザインの為の概念であるが、ゲーム攻略にも適用可能だ。自分がどんなタイプであるかを知れば、どんなアプローチを無意識に行っているか明らかになる。するとどんな要素を構造的に見落としているか発見しやすい。稽古事は「自分はどの様にして間違うか」を見つけるプロセスである。強くなる事を目指すなら自分自身を知ろう。

 

#102 意思決定民族

意思決定とは不完全な情報で決断を下す事である。ローグライクで強力な敵に出くわした時、逃げるのとアイテムを使うのとどちらが生き延びる確率が高いか? 射撃をすれば70%の確率で命中して敵を倒せるが、外れたら反撃で殺されるかも知れないという時に押すか退くか? こうした「正解が完全には分からない」判断が意思決定であり、それを好むのが意思決定民族である。戦略ゲーマーやボードゲーマーと大きくオーバーラップする。

意思決定民族はゲームが「公平」で「まとも」である事を当て込む癖がある。ゲームはどんな時も面白い意思決定の問題を呈示し、答えが分かり切った単純作業は存在しないと思いたがる。それゆえ退屈で卑怯な解法を構造的に見落とすのである。例えば2012年版XCOMは遮蔽に隠れて敵と撃ち合うゲームだが、実は最高難度でそれをするのは非常に危険だ。こちらが全身遮蔽に隠れていてさえ敵の攻撃は十分に致死的だからである。安全な解法は敵のレンジ外で塹壕に立て籠り、ひたすら時間をかけて1体ずつ狙撃するという物である。

言うまでもなく、この解法を適用すると戦場は反復作業に限りなく近くなる。前衛の兵士はひたすら伏せ、後衛の狙撃手は敵がひょっこり顔を出すまで無限に待ち続ける。それは意思決定民族が思い描くゲームとは少々異なっており、故にその解法を無意識の内に探索候補から外すのである。

*ちなみに2013年の拡張パックでAIが改善され、この種の塹壕戦は使えなくなった。

 

#103 研究民族

研究民族はゲーム世界のハッカーである。彼らはゲームの隠れた細部を調べ上げ、プレイヤーが見る事を想定していないデータに辿り着き、驚くべき解法を探し求める。開発者をアウトスマートする事こそゲームをする理由である。「お前は完璧なゲームを作ったと思っているのか? そうじゃない事をこれから証明してやるぜ」という具合なのだ。TASや凄まじい縛りプレイの挑戦者と概ねオーバーラップする。

この民族はゲーム世界をトゥルーマン・ショーの様な物だと当て込む。つまり一見もっともらしいシステムともっともらしい攻略定石が用意されているけれど、それらは全てハリボテであってよくよく検分すると継ぎ目が綻び、最後にはライトが落ちて来て世界の化けの皮が剥がれるのだ。この期待の故に目の前に差し出された明白な解法をしばしば拒絶してしまう。「相手が投げに来たら投げ抜けを入力して引き分けにしろ」といくら言われても、何か別の手段で裏をかけるとつい考える。

これはある意味で意思決定民族の裏返しである。意思決定民族がゲームを綻びの無い物と当て込むのとちょうど逆に、研究民族は何らかの綻びがある筈だと当て込む。「開発者が想定していなかった不思議な答え」を不釣り合いに好む性向が自分にあると知っておこう。裏技を見つけられないのは自分が無能だからではなくて、単にきちんと作られたゲームだからかも知れないのだ。

 

#104 管理民族

管理民族とは、多数のデータと複雑な手順をミス無く取り扱うゲーマーである。実際のところ、過去の「シミュレーション」ゲームの多くは管理民族向けに作られている。停電やら交通渋滞やら汚染やらを一々管理して適切な処理を与えるのも一種の才能だ。

管理民族はゲームが「法の支配」の下にあると当て込む。つまり「正しい手順」と「間違った手順」がどこか見えない就業規則書に網羅されており、それに従っている限り決して悪い結果が生じる事は無い。失業率が高ければ職場を増やす。渋滞が酷ければ公共交通機関を整備する。所与の状況に対して「正しい答え」は常に決まっており、何が正解か分からない状況を好む意思決定民族とはこの点で大きく違っている。

例えばXCOMで敵と撃ち合いになったら遮蔽に隠れるのは正解、道路の真ん中に突っ立っているのは不正解である。だから隠れた。なのに敵の弾が当たるなんてルール違反じゃないか! という具合だ。あるいは無防備な敵に上手く接近した。命中率は95%だ。なのに自分の弾が外れるとこれまた不公平だと感じるのである。

残念ながら歪んでいるのは乱数表でなくゲーマー自身の期待である。管理民族は「定石に則っている限り悪い結果は生じない」という世界を無意識に当て込む。ゆえに95%を100%と容易に混同するのである。

 

#105 軍人民族

軍人民族とは反射と操作精度を極限まで高め、人間戦闘マシンへと昇華して行くゲーマーである。強くなり続ける事は彼らの目標だ。ゆえに「強さで全てが決まるシンプルな世界」を無意識に当て込む。

ゲームデザイナーのデイヴィッド・サーリンはある時、格闘ゲームの対戦で相手に5回連続で投げを浴びせた。すると相手は抗議した。おいおいそれしか出来ないのか? 興味深いのは、その対戦相手がプレイ自体は上手かったという事である。彼は軍人民族の陥穽にはまっていたのだ。操作のテクニックとか、相手の技に反応する精度といった戦闘マシンとしての技能を磨くと「戦闘力」が上がる。試合前に両選手の戦闘力を計測すればどちらが勝つか分かる……という様な根拠の無い当て込みだ。

勝負を決めるのはそれだけではない。駆け引きや互いの考えの噛み合わせも関わって来る。格闘ゲーマーはしばしば、自分より少し弱い相手には安定して勝てるけれども、もう一回り弱い相手には思わぬ黒星を貰う事がある。実力が違い過ぎると考えを読む事ができなくなり、連続して裏をかかれる事がよくあるのだ。強さを追求する者の落とし穴とは、自分が「強さ」と定義する以外の要素を過小評価する事である。

 

#106 ロボット民族

ロボット民族は機械の指示に従って反復作業をこなすゲーマーである。実のところ、この民族は本書で扱う戦略ゲームとはいささか居住地が離れている。戦略ゲームは複雑な問題に対して自分で解法を考えるゲームである。ロボット民族は村や農場の経営といった、するべき事が分かっていて機械の指示に従えばよい作業を楽しむ。

ロボット民族の当て込みは「報酬」である。つまり一定の時間を投下したらそれに見合った成果が得られると考える。これはしばしば、ゲームの練習において障害になる。上級者の指導の下に自分のリプレイを見て改善点を探しながら練習するプレイヤーと、ひたすらコンソールの前で時間を潰すプレイヤーでは上達の速度に大きな差がある。上手くなるというのは時間を生贄に捧げて技量を神から下賜される過程ではない。自分がどう間違っているか、どの様に下手かをひとつひとつ発見して直してゆく創造的な作業である。

 

#107 消費者民族

消費者民族は広義の買い物を楽しむゲーマーである。MMORPGでレベル90まで到達したい。その為には時間なり金なりを投じなくてはならない。では何を買ってどの狩り場でレベルを上げるのが最も効率良く欲しい物を手に入れる道筋なのだろうか……とあれこれ思案する事に喜びを見出す人々である。

これも戦略ゲームとはだいぶ居住地が離れている。消費者民族はしばしばアイテム課金制ゲームに逗留しているが、これは戦略ゲームと非常に相性が悪い。恣意的に難易度を上下させられると戦略のバランスそのものが崩壊するからだ。

消費者民族の当て込み、というより世界観は「コストと欲しい物」の二分法である。例えば格闘ゲームのコンボを練習するのであれば、練習時間がコストでそれによって得られる勝率が欲しい物である。これはしばしば過程を楽しむ障害になる。練習を「本当のゲーム体験を始める前のコスト」と見なしてできるだけ圧縮しようと考えると、結局苦行の長さに飽き果てて放り出す事になる。上手いプレイヤーの多くは練習過程も含めて楽しんでいる。「すぐ勝てるキャラはいますか?」と聞くのは一番不毛だ。

 

#108 操作民族

操作民族は固定の集団というより、ゲーマーになりたての未分化細胞である。彼らの目標は機器の操作に習熟する事だ。子供や若年層と比較的オーバーラップしている。アクションゲームとかカジュアルゲームが主な居住地だ。

未分化ゆえ悪い習慣や構造的な当て込みを指摘するのは困難である。彼らに伝えるべき何かがあるとしたら、ゲームは非常に範囲の広い物で、ちょっと足を伸ばせば非常に様々な世界が広がっているという事だ。箱庭を眺めたり、1/60秒単位の駆け引きをしたり、味方のうち誰が一番死んでも構わないか決断するのもゲームの楽しみである。ボタンの押し方を覚えただけで「卒業」してしまうのは勿体ないぞ!

 

#109 交流しよう

これが本当の最後だ。他のゲーマー、とりわけ他民族のゲーマーと交流してみよう。自分がどんなゲーマーでどんなアプローチを採っているか、他の人々と比較するとよく分かる。筆者は研究の得意なゲーマーと出会うまで、自分が無意識に「ゲームを壊す」解法を避けている事に気付かなかった。自分自身を相対化し、どんな存在であるか知る事は、遠回りだが確実にゲームが強くなる道である。という所でゲームファンのみんな、また次の本までご機嫌よう。

 

「ゲームが強くなる100の知恵」「ゲーム2.0」の購入はストアから
Amazonでも取り扱っている。

Bitcoin騒動に関して

Bitcoinについて色々調べていたら急にニュースが来たので現状の考えを記録。


貨幣の成り立ちを説明する際にはしばしば牛の寓話が挿入される。君は牛を2頭持っている。1頭を手放して羊に換えたい。そこで羊が余っていて牛を欲しがっている人を捜して市場を練り歩く。しばらくの後にそれが不便だと気付き、まず牛を金に換えてから羊を買う様になる……

これは全く正しくない。人類の経済は物々交換で始まったのではない。経済システムは大まかに4種類あり、成立順に次の様になる:

 

1:貸し借りの経済

狩りで大きな獲物を捕って来たが自分達だけでは食べ切れない。そこで近隣の家族みんなを呼んで豪華な食事を振る舞う。彼らはその恩義を覚えておいて、後で困った時に助けてくれる。即ち「これで貸し1つだよ」という経済である。共同体に存在する人間の数が少なければこれは十全に機能する。我々も知人に対して「この間お世話になったから」と手土産を持って行ったりする。

 

2.贈与の経済

土産を持って行くのは別に見返りを期待してとか借りを返すためばかりではない。単に贈りたいからかも知れぬ。また部族の境界付近にごみを捨てたら、隣の部族が勝手にそれを拾った挙げ句自分達への贈り物だと解釈する事もある。そして何らかのお返しをして来る。ポリネシアには霊的価値を持ったアクセサリを島から島へ贈与して受け渡す習慣も存在した。これも財物が流通する形態の1つである。

 

3.交換の経済

他の部族と特産品を交換する、あるいは珍しい貝とか金属をやり取りする。古代ギリシャでは35kgの青銅塊が通貨として使われた。要はコモディティを取引の媒介にする仕組みである。オンラインゲームの取引ですら手頃なアイテムが通貨として使われたりする。

 

4.信用の経済

銀行は当初貸金庫であった。金貨を安全に保管してくれるサービスである。預け入れたら代わりに引換証を貰う。窓口に引換証を持って行けば金貨を払い出してくれる。するとこの引換証を金貨の代わりに支払いに使うのが便利だと分かる。どうせいつでも金貨に換えられるからだ。これが銀行券、いわゆる紙幣である。

これは一見金というコモディティを介した交換の経済に見えるが実は違う。もし自分の金庫に入れておいた金貨が盗まれたら無くなってそれきりだが、銀行に預けておいた金貨が金庫に侵入した泥棒に盗まれても銀行券は手元に残る。そして銀行に金貨を請求できる。銀行はもうその金貨を持っていないけれど、他所から工面して支払わなくてはならない。銀行は引き換え義務というマイナスの金=負債を抱えている。誰かが負債を抱え、同じ額の請求権を別の誰かが持ち、その請求権を流通させる。金本位制廃止後も銀行券は中央銀行の負債であり本質的には変わらない。誰かが借金を抱え、それを返済する為に働く債務者本位制である。

 

Bitcoinやその他の新興通貨に関する混乱は、社会制度が4に達しているのに通念上の「貨幣」に対する理解が3で止まっているせいである。金は交換すべきコモディティではない。誰かの負債である。政府がそれを金だと定めたから金になるのではない。そういう金は政府紙幣と呼ばれすぐ紙になる。信用通貨を「無価値なコモディティを政府の力で流通させている」と誤解した所から全ての問題が始まっている。

Bitcoinの根源的な問題は誰の負債でもない事だ。世界には1200万少々のコインが存在するが誰もそれに対する支払い義務を負ってはいない。つまりこれは信用通貨ではない。またコインは使用価値を持たないビットの塊であり交換用コモディティでもない。民間の政府紙幣である。それ自体に使用価値の無い4の「お金」と、誰も負債を抱えておらず金山から掘り出せる3の「お金」を巧みに混同させ、あたかも無から有を作り出したかの様に見せているだけである。無より生まれし物無に帰すべし。

月刊スパ帝国Vol.21

ゲーム付きミニ雑誌「月刊スパ帝国」Vol.21の紹介


Vol.21は特集「ゲーム2.0」と題し、ゲーマーを7つの民族に分類してデザイン上の論争を解きほぐす。変則トランプゲーム「ロンバルホールデム」ルール付き。

Vol21-01

内容:

  • 特集「ゲーム2.0」
    • 1章:ゲームは未来のキャリアだ
    • 2章:私は何者か
    • 3章:ゲーム2.0
    • 4章:2030年に向けたゲーム作り
    • 5章:未来の衝撃
  • 動画を分業する話
  • 強くなる為に戦う
  • 作文の話
  • なぜ有料コンテンツは失敗するか

Vol21

1部¥950+送料。注文は直販ストアから。

Amazonから買いたい場合はこちら(ちょっと高いけど送料無料)
秋葉原のお店で買いたい場合はこちら(Amazonと同じ価格)
電子版はこちら(Gumroad)(アメロード)(¥600)

大西君の推薦状

求職中の大西君に持たせた推薦状の写し


私は西村裕と申します。小規模な独立ゲーム開発者として「ゲーム工房スパ帝国」を運営しております。またゲームプレイヤーとしてもスパ帝の名が少々知られており、解説動画が述べ1300万回視聴されております。このほど、ゲーム開発仲間である大西凌平君を職位に推薦したく、彼の優れた点や将来性についてご紹介申し上げます。

ゲーム開発者にとって重要な素養のひとつは柔軟性であると私は信じます。彼はその点において優れています。自分のゲームについて忌憚の無い意見を聞く事を彼は恐れません。顧客からのフィードバックが開発の上で重要である事を彼は理解しており、積極的に多数の人々に作品を見せて意見を求めます。またより重要な点として、彼はユーザの意見に反駁しません。「つまらないと思うのは君の遊び方が間違っているからだ、このゲームはこうやって遊ぶんだ」という弁舌を彼は振るいません。楽しい遊び方にユーザを誘導できなかった事を製品の瑕疵と受け止め、改善に努めます。

また彼は自ら成長する術を知っています。カードゲーム「ロンバルディアの王冠」を開発する際に彼が最初に用意したのは、構想や草案ではなく遊べるプロトタイプです。彼はゲームのアイディアを練る事を好みますが、それと同じ程度にアイディアを現実に存在させる為に手を動かす事を好みます。コンポーネントとルール文書を完全に整え、そのゲームが良いか悪いか余人が批評できる状態で呈示する事は彼の原則である様です。そして批評や意見を余す所なく聞き、次のプロトタイプに反映させます。こうした柔軟性と勤勉さは彼を優れたチームプレイヤーにしており、「王子カードの活用範囲が狭い」「司教のパワーレベルが低い」といった注文を次々に繰り出すテストチームと完全な連携が取れていました。

「クエストフォーザニューワールド」の制作の際にはそうした将来性を見る事ができました。彼が当初用意したプロトタイプには国ごとの特殊能力や数の組み合わせによる特殊な勝敗など、種々な例外ルールがありましたが、それが覚え切れないというユーザの意見に素直に耳を傾けました。そして次のプロトタイプにおいては戦略性を損なわないまま大幅にルールが整理されていました。彼は常にソリューションを探します。他の人々の意見も、手を動かす時間も、全て経験として吸収していきます。大西君を迎え入れれば、短い期間のうちに大きく成長する様を見る事ができるでしょう。

以上の点に基づき、大西凌平君をゲーム開発の職位に推薦致します。

2014年2月4日 西村裕

翻訳記事:勝つ為に戦う(19)

これは翻訳記事です

 

冷静さ

冷静さとは、一瞬の内に起きる出来事の全ての瞬間を見る能力である。それにはしばしば時間の流れが遅くなったかの様な感覚が伴う。これが可能になるのは、その状況に十分に慣れて、脳が不必要な情報を全て遮断できる様になった時だ。そうなれば残るのは必要な手がかりだけである。

新しいゲームを始めたばかりで不慣れな内は、決定的瞬間は文字通り瞬く間に過ぎ去ってしまうだろう。最初はそもそも、その瞬間が重要で注意を要するという事に気付かないかも知れない。たとえ気付いても、その瞬間に起こりうる何百万もの可能性に圧倒され、全てを正しく認識する事は不可能だろう。それが変わるのは、その瞬間を迎える準備ができる様になった時である。決定的瞬間が来るのが分かり(なぜならその前に起きる事のパターンを既に知っているから)、その瞬間に起きうる事はほんの数種類だと分かり、待ち望む1つか2つの合図以外は全て無視できる様になる。

格闘ゲーム「ギルティギアXX」から例を取ろう。私の使用キャラクターはチップだ。私は突進して行って連続攻撃を繰り出し、相手にガードさせる。恐らくはしゃがみガードだ。私はここにトリックを差し込んで、「中段」蹴りを繰り出す事ができる。これは立ちガードしなくてはならない。相手がチップとの対戦に慣れていなければ、こちらの攻撃は瞬く間に展開し、ただそれを終わるのを待つだけになるだろう。そして攻撃から抜け出すには何らかの判断をしなくてはならないという事にすら気付かないだろう。

では仮に、前もってこの中段蹴りを見せておいて、それがどういう物か説明したらどうだろうか? 中段を出す度に立ちガードせよと伝える。練習する。ガードできる様になる。そしていざ実戦になると、それでもやはり私は中段蹴りを当てる事ができる筈である。実戦の混沌の中で中段蹴りを正しく見極めるのはかなり難しいからだ。中段蹴りがいつ来るか分からないので備えておく事もできない。立ちガードそのものは反射神経が良ければ可能なのだが、格闘ゲームは(通説に反し)反射神経だけの問題ではない。反射神経が役に立つのは、次に何が起こるか分からないのに素早く反応しなくてはならない状況である。鋭い読みがあれば相手が次にやりそうな事を予測する基盤ができる。それが無い場合に反射神経に頼らなくてはならないのである。

ここで、中段蹴りをガードするための重要な手がかりを教えよう。実はこちらは好きな時にこの技を出せるわけではない。出し方は2つしか無いのだ。相手に向かって走って行った後、まず6P、斬撃、斬撃、重い斬撃という具合に連続技を出す。これは別に注意しなくてもよい。何が何やらよく見えなくてもそれで構わない。この時点でこちらができる事は非常に限られており、せいぜい裂掌からの連続攻撃ぐらいである。これは派手な炎を纏ったパンチで始まる。そしてその後、中段蹴りを繰り出すチャンスが来る。あるいはそうせずに下段蹴りを出すという選択肢もある。下段蹴りの後にはもう1回中段蹴りのチャンスがある。こちらが中段蹴りを出せるタイミングはこの2つだけなのだ。

これを知っていれば、次に同じ状況になった時に冷静さを保っていられる。こちらは走って行ってパンチか何かを繰り出すが、別にこれは吟味する必要が無い。ただしその後にはたいてい裂掌が来る。それが来たら、立ちガードするかしゃがみガードするかを決めるタイミングである。よし、裂掌が来た。予定通りだ。中段蹴りが来る最初のタイミングだ。実戦上の都合に照らすと、こちらの選択肢は2つしかない。多くの可能性に圧倒される必要は全く無い。次に来るただ1つの瞬間にだけ集中すればよい。それを待つのだ。画面上の無関係な情報は全て遮断せよ。体力バーは忘れよう。スーパーゲージも忘れよう。SEも忘れよう。キャラクターや背景の美麗なグラフィックも忘れよう。見る必要があるのは中段蹴りの始動モーションだけだ。練習するうちに、この状況は慣れ親しんだ物になり、無駄な情報を遮断する能力が発達するに連れて中段蹴りを食らう事など想像すらできなくなる。その瞬間はあたかもスローモーションの様に流れ、相手がそんな蹴りを当てようとしている事が可笑しく感じられる。一方、初心者にとっては同じ瞬間が一条の閃光の様に過ぎ去り、何が起きているか全く分からないのである。

喩え話をしよう。ある人物の声を聞いたら手を叩く事に決めたとする。そして30人がめいめい勝手に話している部屋に入る。数秒ごとに新しい人物が話し始める。その全てが不協和音であり、聞き取る事などできるわけがない。ではここで、同じ任務を別の部屋でやってみよう。今度はその部屋は完全に無音であり、中に入るのは目的の人物だけである。その1人が静寂を破って話し始める。「簡単じゃないか、誰がこんな任務に失敗するんだ?」と思い、少しも困難なくすぐに手を叩く。これが上級プレイヤーの見ている1/60秒の世界である。完璧な集中によって不必要な全ての情報を遮断し、重要な手がかりだけを残しているのだ。

 

「バーチャファイター3」から別の例を挙げよう。ジェフリーが「大カウンター」(相手の技を潰すタイミング)でローキックを当てると確実に投げを決める事ができる。キックの当たりが大カウンターでなかった場合は確実には投げられない。プレイヤー達にどうやってそれを判断しているか聞いたところ、彼らは「大カウンターの音を聞いたら投げコマンドを入力しろ」と言った。最初は冗談を言っているのだと思った。実戦の混沌の中でその音だけを聞き分けるのは至難の業である。しかし練習するうちに、キックボタンを押した後、全てがスローモーションになってその音を待ち構える事ができる様になったのだ。その音を聞いた時には既に準備ができており、投げコマンドを入力するのは馬鹿馬鹿しいほど簡単になった。

ただし気をつけよう。もしそうした瞬間を見る事ができ、対戦相手の誰もができないとしたら、対戦は非常に有利になる。トリックは毎回通用する。そしてそのトリックは優れているのだと勘違いする。そしてある日同等の冷静さを持った強敵に出会い、向こうはこう思うのだ:「何だこいつは? こんな見え見えのトリックに引っかかると思っているのか?」ここに至って今度は自分が馬鹿に思えるだろう。そしてトリックはもちろん通用しない。

だが話はここで終わらず、まだその上がある。上級者と対戦したら「冷静さによるトリック」はもう一切通用しないのだろうか? 基本的に通用しない、ゆえに全く新しい戦略を考えなくてはならない、と以前私は思っていた。だが気付いたのだ。あるプレイヤーは間違いなく最強なのに、時々セオリーから全く外れた行動をしていた(彼の名はアレックス・ヴァイエ。後の章でもまた登場する)。行動Bが優れていると誰もが知っている状況で彼は行動Aを選ぶ。あるいは、まともなプレイヤーなら誰でも見破れる様な見え見えのタイミングでトリックを繰り出す。それは時間の無駄の筈である。ところが彼はそれを当てて、しかも勝ってしまうのだ。何故だろう?

ヴァイエに言わせれば、対戦相手はいつでも一定の認識能力を持っているわけではない。ヴァイエは相手を苛立たせたり混乱させる為にあらゆる手を尽くし、その認識能力を減衰させる。もしゲーム中に恐ろしく変な事が起きれば、相手はその瞬間に囚われて「なんじゃありゃ?」と思い、一時的に目の前の事が見えなくなる。その時こそ、いつもなら見え見えの攻撃が当たってしまうのである。ヴァイエは相手の集中力を失わせ、時間がスローダウンする感覚を奪い去るのである。

興味深い事に、セオリーから外れる行動はヴァイエにとっては非常に効果的なのだ。彼は本来なら当たらない様な攻撃を上手く差し込むだけでなく、それを可能にする為に敵を惑わせる。非常識な行動で敵を混乱させる。もし彼の行動を棋譜の上で吟味したら、「この行動は危険だ、この行動は無意味だ、この一連の動きは全く非効率で別のコンボの方が常にダメージが大きい」という風に批評できるだろう。彼の選択はしばしば非論理的で非最適である。しかしゲームの達人は彼であり、学ばねばならないのは私の方である。誰よりも冷静に状況を見据える達人と対戦する事になったら、セオリーから外れて相手を惑わす事はますます重要になる。相手の目に「砂」をぶつけるのである。普段は見える瞬間が見えなくなったら、本当は通用しない数多くの戦術を差し込むチャンスだ。

 

闇の如く知り難くあれ。雷の如く素早く動け。
—孫子兵法

 

原文:http://www.sirlin.net/ptw

2014/3/9 ゲームマーケット2014大阪参戦情報

アナログゲーム即売会「ゲームマーケット」に出展します。

  • 名称:ゲームマーケット2014大阪
  • 開催日:2014年3月9日(日)
  • 会場:大阪マーチャンダイズ・マート(OMMビル)2階 B・Cホール
  • 開催時間:10:00〜17:00
  • 入場料:1000円(カタログ付き、税込予価)
  • ※保護者同伴の場合、小学生以下無料
  • A07「スパ帝国」

月刊スパ帝国Vol.7、9〜21を頒布予定。ウォータイムエコノミーをお持ちの方には会場限定の追加国カード「スパ帝国」をプレゼント!最新号「ゲーム2.0」もあるよ!

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会場地図:クリックで拡大

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ゲームマーケット運営サイト