Tabletop Simulator

バーチャルボードゲーム空間”Tabletop Simulator”の活用事例


近年アナログゲームとデジタルゲームの境界は急速に曖昧になっている。ボードゲームがタブレットに移植されたり、人気PCゲームを元にしたボードゲームが発売されたり、相互にメカニクスやデザインが影響を与えあったりしている。そうした中でついに「仮想物理空間でボードゲームを遊ぶ」という決定的なツールが出てきた。

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Tabletop Simulator。発売前のアーリーアクセス版で15ドル。出来合いの部品でチェスやポーカーを遊ぶこともできるが真骨頂は画像を読み込ませて好きなコンポーネントを生成できるという点だ。要するに自分で作ったボードゲームをネットワーク上の仮想空間で遊べるのである。

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ゲーム製作者はこれで2つの大きなメリットを享受できる。第一にテストプレイの為に物理的に集まる必要が無くなる。第二にコンポーネントを印刷する前にゲーム内での見栄えを確認できる。上手く使いこなせれば相当な生産性向上に結びつくだろう。

http://store.steampowered.com/app/286160/

 

( ・3・)<なお英語必須

構想の呪い

なぜゲームの構想は面白そうに見えるのかという考察


ゲームの構想とか企画案は大抵面白そうに見える。というより、ゲームに限らず何事もアイディアを練っている段階では素晴らしい。こんなギミックを/ストーリーを/フレーバーを/キャラクターを考えたぞ! 実際に作れば必ず面白くなる!という具合にしてゲームの作り方を聞きに来る人は途切れないものであるが、質問に答える前にそもそも「なぜその企画は素晴らしく思えるのか」を考えてみよう。

 

構想はラフ画だ

絵を描く人はしばしば、どうして鉛筆書きのラフは綺麗なのにペンを入れると汚いのかという悩みを抱く。これは人間の頭の柔軟性がなする業だ。ラフ画は複数の輪郭線が重ね合わされた状態になっている。それを見た人間の頭は最も美しい線を選び出して勝手に補完する。ゆえにペンを入れて1本の線に確定するとしばしば美しくなくなるわけだ。

ゲームの構想はラフ画に似ていて、その段階ではまだ実装する方法が無数にある。少し前に作った「ソルヴァーズ」がまさにそうで、未来の足立区で傭兵をやるRPGという構想からはどんなものでも作れる。最初に実装してボツになった「ダイスを振って結末を選ぶ」ゲームも、最後に実装した「ダイスを割り当てて達成点を稼ぐ」ゲームも当初の企画要件は満たしている。

構想とはそれを実装する無数の方法を重ね合わせた概略図である。構想を弄り回している限りにおいて、我々の頭はその中で最も優れた可能性を無意識に見て取っている。企画は美しい。それは曖昧な部分が全て想像で補われているからだ。

 

実装こそ仕事

構想を現実世界に顕現させるには無数の可能性から1つを選ばなくてはならない。そしてこの部分が工程の大半を要求する。時間も知識も経験も、また世間が才能と呼ぶ何らかの代物も、全ては「沢山の実装可能性から1つを選び出す」ために費消される。スタミナは任務ごとにリセットするのか引き継ぐのか?任務に失敗したヒーローは入院するのか?車庫を屋上に建てることは許されるのか?一々決断せねばならん。

ルールにせよフレーバーにせよ審美的デザインにせよ、作り上げる物のありとあらゆる細部に無数の実装可能性があり、実現するのはその中の1つだけだ。ゆえに構想段階では素晴らしかったゲームが作ってみると大して面白くないという事態も頻繁に起きる。別に実装が何かを破壊したわけではない。素晴らしい構想が最初から想像の世界の住人だったからである。言い換えると、構想がまとまった段階では仕事の大部分は未完了であり、良し悪しを判断する材料すら無いという事だ。

 

小さなことから

仕事は無数の小さな作業が積み重なったものである。ゲーム作りならそれぞれの細部について実装を選び出す事だ。これに機械的方法論は無い。汎用の正解も無い。個別案件ごとに「コストが0のものは見張っておかないとバランスを破壊する」とか「資源AをBに換えてまたAに戻せる場合、変換レートによって永久機関が出来上がる」といった大量の経験則や「べからず」が存在するだけだ。

「ゲームはどうやって作ればいいか?」は妥当な質問ではない。それは無数の細部についての無数の質問を1つのパッケージにまとめた物だ。無効な質問からは無効な回答のみ得られる。有効な回答を得るには「数値を半分にする効果と+1する効果を同居させたが四則演算と端数切り捨てをどの順序で適用させるべきか?」とか「初心者へのチュートリアルでルールの細部を省くとしたらどの部分がいいか?」とか「タイトルロゴのAをɅにするのは審美的に妥当か?」など単一の質問へ分割せねばならん。

言い換えれば経験とはそうした無数の質問のそれぞれについて自分自身の答えを出せる様になる事である。それは構想を練っているだけでは決して得られない。実際に手を動かして結果を見るほかない。そしてまさに、そうした細部への想像が及ばぬが故に構想が途轍もなく素晴らしく思えてしまうという事がしばしば起きるのだ。

 

以上で「どうやってゲームを作ればいいか」という質問への一旦の答えとする。

言語依存指標

「洋ゲーやりたいけど英語わからん」という人に必要な語学力を伝える人向けガイド


「このゲームやりたいんだけどどれぐらい英語力あればいい?」という質問はたまに受ける。CivilizationでもEUでもFTLでもドイツ製ボードゲームでも何でもいいが、とにかく日本語化されていないゲームは地球上に大量にある。そこで既存のプレイヤーが必要語学水準を伝えようとするのだが、その際に適切な指標が無い事がしばしば問題になる。「簡単な英語が分かれば大丈夫だよ」「高校生ぐらいのテキストが読めればいいんじゃないかな」…簡単ってどの程度だ? どの高校のどのテキストの水準だ?

「簡単」とか「TOEIC何点程度の単語」といった基準は恣意的で曖昧ゆえ役に立たぬ。そこであるゲームがどの程度の言語依存性を持っているかを0〜5の数値で機械的に表す指標を考案した。英語に限らず「その言語をどれだけ読めれば良いか」を伝える為のツールとして活用されたし。

 

0:言語依存なし

そもそも言語記述が存在しなかったり、全く読めなくとも問題なく遊べるゲーム。例えば初代マリオは一切文字を読む必要が無い。「姫様はこの城にはいないのです」とキノコ太郎が訴えるのを完全に無視してもストーリーは平常運行する。ほとんどの格闘ゲームとか縦・横スクロールシューティングもここに入る。なおアラビア数字は便宜上「言語」に入れないので、数字だけを読むゲームもここに分類される。

 

1:単語のみ

“Fire” “Item” “Boss”といった単語を拾って意味を理解できればよいゲーム。例えばほぼストーリーの存在しないFPSでも武器の名前ぐらいは読めないと困る。グラフィックが荒すぎて緑色のアイテムが薬草なのかパセリなのか判然としない場合も文字の助けを借りる事になると思われる。またDiabloシリーズなどのRPGでも”Damage”や”Toughness”といったステータス画面の単語は分からないと完全にノーヒントで装備品を選ぶ羽目になる。

 

2:指示文まで

「石の平原へ行ってデッカード・ケインを探せ」とか「ソウルストーンを台座に置け」といったゲームからプレイヤーに与えられる指示を理解する必要のあるゲーム。近年のお使いクエストは親切なマーカーが表示されるのが普通だが、特定のアイテムを持っていく必要がある場合などは指示が読めないと詰まる。FPSでも「Eを押してアイテムを取れ」などのレクチャーは表示されるし、チュートリアルは往々にして「SHIFTを押しながら上の緑をクリックしろ」といった指示文を含む。

 

3:説明文まで

「穀物庫を建てると食料の半分が保持されます」「このスキルを使うと残りのマナに応じてダメージを与えます」といった説明文を理解する必要のあるゲーム。いわゆる思考系ゲームの大部分がここに入る。また装備品やスキルを吟味するタイプのRPGもここ。ボードゲームも大体はここ。ルールブックを読むのもほぼこの範疇。Civilizationを遊ぶには説明文の理解ができれば十分である。

 

4:叙述文まで

「惑星の地表に降り立つと奇妙な四本足の生物が佇んでいた。一見友好的に見えるがどうすべきか…」といった「何がどうしてこうなった」の文型を理解する必要のあるゲーム。中世君主なりきりゲームであるCK2はここまでの読解ができないと十全に楽しめない。また一見簡単そうなPapers, PleaseやFTLや洞窟物語も実はストーリーの読解がゲーム上必要になる局面があり、分類としてはここに入る。カーリーブレイスを処置して救出するのは実はかなり面倒くさい。

 

5:古文など

“Thou hast sworn to do thy Lord’s bidding in all. He covets a piece of land and orders the owner removed. Dost thou:” (汝は主君の命を全くすると誓えり。さて彼は一片の土地を不当に欲してその所有者を排さんとす。汝如何にせりや) これはウルティマ4の冒頭で浴びせられる質問である。Thou hastがYou haveの古形である事は当然知っていますよね? 古文、方言、その他非標準の文章がここに入る。

 

以上である。これで既に遊んだことのあるゲームの言語依存度を聞かれたら「単語が読めればいい」とか「指示文を理解する必要がある」などと明確に伝えられる。実際のところ、単語は辞書があれば簡単に調べられる。難しさを決めるのはむしろ文型である。

 

応用可能性

最後に、上記を踏まえて開発者向けに応用の可能性を提示する。例えば長々とした会話でお使いを依頼されたとしても、最後に1行だけ「薬草を隣町へ持っていけ」と違う文字色で書かれていれば言語依存度は4から2に下がる。これは外国人のみならず長い文章を読めない者にも助けになろう。言語的な難しさを決めるのは文章量とか単語の種類ではなく、「ゲームを進めるのに最低限必要な理解すべき文型」である。

翻訳記事:勝つ為に戦う(22)

これは翻訳記事です

 

マニアック

チェスプレイヤー:ダヴィド・ヤノフスキー(1868-1927)

このグランドマスターはチェスの一側面に取り憑かれていた。即ちビショップだ。

彼にはゲーム上のちょっとした悪癖があった。自分のビショップを大事にし過ぎるのは有名な弱点だった。しかもそれを誰よりも自信満々にやるのだ。ついでに彼は自分の容姿にも自信満々な伊達男だった。

-ヤノフスキーの友人、フランク・マーシャル

ヤノフスキーはビショップが大好きで、対戦相手もそれは重々承知していた。彼は様々な打ち手と盤面を編み出してビショップの力を最大に活かした。ひとつの側面に取り憑かれたプレイヤーにとって、その側面を誰よりもよく理解する事になるのは必然だ。大好きな部分に関しては世界最高のプレイヤーすら上回るのだ。ただし肝心の武器を失うと弱ってしまう。ヤノウスキーの対戦相手は、ビショップを守る為には他の駒を犠牲にしなくてはならない様な攻撃を仕掛ければいいと気づいた。そのうちアメリカではビショップを「ヤノフ」と呼ぶのが流行り始めた。

 

ストリートファイタープレイヤー、デイヴィッド・サーリン

そして著者である私自身の登場だ。私はオーティズの様な辛抱強さでも知られていたが、むしろ有名だったのは同じ技を繰り返し繰り返し出す事の方だ。まず100回でも繰り返し出せるような技を探し出す。お仕置きを恐れずにずっと出し続けられる技が見つかればこの上なく嬉しい。そういう技が存在するのはゲームデザインとしてどうかとも言えるが、それはプレイヤーである私にとってはどうでもいい事だ。「想定通りに」「楽しく」プレイする義務など負ってはいない。ヤノフスキーはビショップを使い続けてその駒が「ヤノフ」と呼ばれるに至ったが、私はストリートファイターでローズを使い続けた挙句に私自身が「屈中パン」と呼ばれるに至った。

理論上、もし特定の技を相手が止められなければ私は読み合いに付き合う必要が無い。自分の次の行動が読まれる心配もしなくていい。次に何をするかお互い承知だ!少なくともその技を出している限り負けないのであれば問題はないし、それを破れると証明する義務は相手にある。

私は操作が下手糞で反応が遅い事でも有名で、それを補う為にはタイミングを上手く読まねばならなかった。ストリートファイターアルファ2(ストZERO2の北米版)ではかなり活躍できた。いくつもの大会で優勝したし、ヴァイエとチョイを除けばアメリカのどんな選手にも安定して勝てた。ただ、他のゲームでは上級者のグループには入ったもののもっと強いプレイヤーの陰に隠れてしまった。

このプレイスタイルから学んだ教訓はこうだ。ひとつの側面を極めるだけでも相当上まで行けるが、頂点までは行けない。アルファ2の時ですらヴァイエやチョイとの頂上決戦では「同じ技をひたすら出す」作戦を放棄せざるを得なかった。別のキャラクターでオールラウンドな戦い方をする必要があったのだ。チョイの凄さに触れるにつけ、私は重点を他へ移して「すべてのボタンを使う」様になった。

 

原文:http://www.sirlin.net/ptw

#39 マゴス(仮)

2人用ダイスゲーム。魔法を浴びせて相手を倒す。


プレイ人数:2人

プレイ時間:5〜10分

コンポーネント:6面ダイス4個・HPとマナを記録する紙

 

概要

プレイヤーは魔法使いである。15のHPと最大8のマナを持つ。交互に手番を行い、ダイスを振って呪文を使い、相手のHPを0にすれば勝ち。ダイスは最大4個まで振る事ができる。ダイスの1つ1つが行動ポイントを表し、出目が行動の強さを表す。呪文はダイスを割り当てることで発動し、出目によって効果が変わる。

 

始め方

  • 各プレイヤーのHPを15/15に、マナを0/8にする。
  • 先攻プレイヤーを決める。

 

手番の進行

  • ダイスを振る。
    • 先攻1ターン目は1個、2ターン目は2個、3ターン目は3個、4ターン目以降は4個。
    • 後攻1〜2ターン目は2個、3ターン目は3個、4ターン目以降は4個。
  • ダイスを割り当てて呪文を使う。
    • ダイスがある限り1手番にいくつでも好きな順番で使える。
    • 同じ呪文は1手番に1回まで。
    • 余ったダイスは破棄する。使い切らなくてもよい。
  • 手番終了。

 

呪文一覧

*このプロトタイプではどちらのプレイヤーも同じ5つの呪文を持っている。

  • 調和:ダイスを1つ割り当てる。目の数だけマナを得る*。
  • 苦痛:ダイスを1つ割り当てる。2点のダメージを与える。
  • 火球:ダイスを2つ割り当てる。うち1つの目の数だけマナを消費し、もう1つの目の数だけダメージを与える。
  • 共鳴:同じ目のダイスを2つ割り当てる。マナを全て消費する。消費したマナと同じだけのダメージを与える。
  • 治癒:ダイスを1つ割り当てる。目の数だけマナを消費する。HPを4回復する。最大マナが1減る**。

*マナ最大値を超える分は消滅する。

**減った最大マナはゲーム終了まで回復しない。

追加呪文

  • 鬼火:ダイスを1つ割り当てる。目の数だけマナを消費し3点のダメージ。
  • 瞑想:ダイスを1つ割り当てる。マナ5回復。直ちに手番を終える。
  • 犠牲:ダイスを1つ割り当てる。目の数だけ自分にダメージ。マナを最大まで回復。
  • 憤怒:ダイスを1つ割り当てる。1ダメージ。ただし自分のHPが目の数以下である場合は4ダメージ。
  • 活力:ダイスを1つ割り当てる。目の数だけHP回復。マナ1消費。最大マナ1減少。
  • 地震:ダイスを3つ割り当てる。3マナ消費。7ダメージ。

 

( ・3・)<呪文をいっぱい増やして自由にピックするゲームにしたいのだ!

ある学生の告白

ある学生の告白

中学を卒業したTにとって、すぐに働き始める事はほとんど運命の様なものだった。アルコール依存症の父も薄弱の母もそれを当然と思っている様だった。新聞配達で得た少しの金を持ち帰り、あばら屋で暗い食卓を囲む生活を続けるうちに、彼は人生とはこんなものだろうかと思い始めていた。

それが四五年も続いたのち転機が訪れた。父が死んだのだ。母は泣いていたがTは内心好機だと思っていた。今自分の前に二つの道がある。一つは父の辿った道で、もう一つは学びへと通ずる道だ。Tは定時制高校に通い始めた。

同輩に比べてTは一際歳上であったが、持ち前の明るさと剽軽な性格とですぐに溶け込んだ。教師の覚えも良かった。学問に王道なしとは云いながら、お前ならできる、頑張ればもっと上へ行けると励まされた事は間違いなく歩む道を広くしていた。そして二十四歳の春、地元下北沢の大学に合格する。

学資の為に男性向けのビデオに出演した事もあった。職業を聞かれ、ためらい無く「学生です」と答えた。働いている状態は彼にとって否応無く与えられた運命である。学生の肩書きこそ自分の力で勝ち取った無二の宝なのだ。

夜はソープ系風俗店でボーイとして働き、昼は学び舎とホモビ屋を往復する毎日だったが後ろめたさは微塵もない。人の生業を笑うな。与えられた運命を精一杯生きて何が悪い。真っ直ぐな澄んだ瞳はそう訴えていた。人間はまさに無限の可能性を持った獣であり、どんなものにでもなれるのだと、Tはまざまざと思い知らせてくれた。

 

野獣先輩苦学生説・完

Hearthstoneの戦い方(4)

CCG “Hearthstone” に関して気づいた事をその都度記録。


Hearthstoneの戦い方(3)

 

リーサルの一歩前

自分の手番で確実に相手を殺せる状態を「リーサル」と称する。例えば相手のHPが残り1で、盤面に自分の1/1ミニオンだけが存在したら殴り殺して終わりである。また一見そうと分からない複雑な盤面に、実は相手を殺しきる手順が隠されている事もある。常にリーサルを探し、見落とさない様にするのはプレイングの重要事項だ。

ではリーサルの「前」はどうだろうか? 相手を詰める1ターン前、「これに対処できなければリーサル=詰みだ」と相手にぶつける手は果たしてどれほど重要か? 今回は詰みの手前、王手について詳しく考察してみよう。

 

3種類の王手

そもそも王手=相手が何もせずにターンを終えれば自分側のリーサルになる手は次の3つに分けられる。

  • 盤上の戦力で次のターンに殺せる
  • 盤上の戦力で次のターンに殺せる上に、相手の盤上戦力ではそれを防げない
  • 手札など相手に知られていない戦力で次のターンに殺せる

これらを便宜上「チェック」「メイト」「フェイタル」とそれぞれ呼称しよう。これらは戦術上の意味も文脈も相当に異なるからだ。

 

チェック:死ぬのが嫌なら交換しろ

まず1つ目は「盤上の戦力で次のターンに殺せるが、相手の盤上戦力でそれを阻止できる」状態である。例えば相手のHPが残り3で、自分と相手の双方に3/3のミニオンがいたらチェックだ。相手にHPの回復や挑発持ちミニオンなどの防御手段が無ければ、自分の3/3をぶつけて相打ちにするしか助かる途はない。これが目的だ。つまりチェックをかけるのは、相手を追い詰めて本来ならしたくない様な不利な交換を強いるためである。

言い換えると、相手がチェックを外すための手が相手を苦しめるのでなければ全く意味がない。4/4のミニオンを盤上に出して「これを倒さなければ次で詰んでしまうぞ!」と脅したとしても、相手の側に4/5ミニオンがあって一方的に打ち取れるとしたらどうだろう? 相手を追い詰めるよりむしろ助ける事にならないだろうか? チェックの意義は相手に「不利になる手を仕方なく打たせる」事にある。有利になる手で外せるチェックは用をなさない。

ははは避けてみろ!>(  ;´。 `;)ノ三☆ いかん避けたら姫に当たる>(・ε・;)ξ・q・ ξ

 

メイト:対処できなくば投降せよ

2つ目は「盤上戦力で次のターンに殺すことができ、相手の盤上戦力ではそれを阻止できない」状態だ。例えば相手の残りHPが3で自分の側に3/3が2体、相手側に1体いるとしよう。相手はたとえミニオンのうち1体を相打ちにしても死を免れない。つまり自分の手札=盤外戦力で危機を乗り切らねばならず、回避手段が無ければ負けが確定する。

これは直接的に、そのターンでゲームに勝つ事を目的としている。相手はフロストノヴァやジャラクサスで1ターン延命できるかも知れないが、それらを持っていないかも知れない。メイトをかけたターンに相手が投了爆発四散する可能性は常に存在する。また何らかの対処手段で切り抜けても、それは相手にとって切り札を犠牲にした事を意味する。ファイアボール2枚で辛うじてこちらのラグナロスを焼き払った? よろしい、だがその後どうやって勝つ気かね?

( ・3・)( ・3・)っ=[ニニフ(  ;´。 `;) (・ε・ )(・ε・ )<もう逃げ場はないぞ

 

フェイタル:実はさっき王手だった

3つ目は「手札などの番外戦力で次のターンに殺せる」形である。他の2つとは異なり、相手は王手をかけられた事自体をはっきりとは知覚できない。「もしかしたら手札に火力があるかも知れない」と予測して対処しなければ死んでしまうわけだ。言い換えればこれは「読み合い」であり、相手が読み違えればその時点でゲームは終わる。

この形が最も有効になるのは相手に最小の情報しか与えていない場合である。ラーヴァバーストとライトニングが2枚ずつあれば何もない所から16点のダメージが飛び出してくる。残りHP16の相手が「次でリーサルは無い」と読み間違ってそのままにしておく可能性はかなり高い。だが半分を小出しにしてHP8まで減らしてしまうと、次で殺し切れるだけの火力が手札にあると正しく推察してヒーローを回復するかも知れない。盤外の武器で殺すには情報を与えてはいけない。暗器はできるだけ隠しておいて、相手を殺し切れるターンに全て放つ方が突き刺さりやすいのである。

実はいっぱい隠し持っていたのだ>(  ;´。 `;)ノ三☆☆☆☆☆ Σ(・ε・;)

 

デッキの性格

3種のうちどの王手を主に活用するかによってデッキの性格は変わる。ウォーロックやハンターのズーデッキは徹底的に相手ヒーローを殴り、チェックをかけて対処に忙殺しつつ瞬間火力で勝負を決める。パラディンやプリーストは往々にして盤上の支配を固め、相手がどうしようもなくなるまで追い詰めて投了させる。メイジやローグには手札から瞬間的に大量の火力を生み出す手段がある。

ゴールが違えばそこまでの道のりも変わる。最終的にどんな形で勝つのか、大まかな展望を持っている事は作戦立案の助けになる。

 

( ・3・)<たまに1ターン目で投了する人いるよね 低い方のランクだけね>(・q・ )

月刊スパ帝国Vol.24(ソルヴァーズ・アフターマス)

月刊スパ帝国Vol.24の製品情報


Vol.22「ソルヴァーズ」の追加シナリオ。最終ミッションでドゥームドーザーに勝った世界と負けた世界、それぞれの5年後を舞台に展開する。どちらも結局倒産して一からやり直しになっており初期状態から開始。データの引き継ぎ等は無い。ルールブックとデータが含まれており、この1冊だけでプレイ可能。

ペラ紙RGBh-01

内容:

  • ルールブックver.1.1
  • レファレンス
  • シナリオ2(勝った世界)
  • シナリオ3(負けた世界)
  • 上級基地シート

 

ルールブックver.1.1

細かなバランス上の修正をほどこした改訂版ルール。弱体化はせず今まで使い道の無かった部分を上方修正。無印ソルヴァーズで分かりにくかったり誤解を生んでいた部分を踏まえ全て1から書き直した。プレイに必要な情報が全て含まれている。

 

レファレンス

スキル・施設・装備品の一覧。細かい挙動は全てルールブック内の解説に記述し、こちらはプレイ中に見直す「一覧表」として分離。最後の2ぺージに掲載されている。

 

シナリオ2

全10ミッションのキャンペーンシナリオ。ドーザーを倒したがグッズ商売に失敗して倒産し5年後に再起した世界を描く。長さはシナリオ1と同じで新聞記事も各ミッションごとに掲載。船生三郎の辛辣なコメントも健在である。キルドーザーを倒した社長でもこのシナリオは苦戦するやも……?

 

シナリオ3

こちらも全10ミッションのキャンペーンシナリオ。ドーザーに負けて5年後に再起した世界を描く。ゲームそのものは同じ長さだが、紙幅の関係で新聞記事はカットされナラティブがほぼ存在しない。純粋に戦うだけのハック&スラッシュである。敵も相応に強く突破するにはかなりの戦闘力が必要だ!

 

上級基地シート

H型をしたナイトメア難易度の基地シートを表紙に掲載。コピーして使おう。

 

どこで買えるの?

  • 電子版を買う(Gumroad)(アメロード)
  • 11/29以降にAmazonまたは地域のゲームショップで買う

( ・3・)<購読者は11月23〜25日に届きます

Hearthstoneの戦い方(3)

CCG “Hearthstone” に関して始めて7週間ほどで気付いた事を記録。


Hearthstoneの戦い方(2)

構築戦ではデッキの組み方・選び方が重要で、実際のゲームが始まる前の「メタゲーム」でだいぶ戦績が変わる。この部分をどう攻略するかを考察してみよう。

Hearthstoneは(基本的には)バランスの取れたゲームである。一方的に強いデッキとか常に有効な構成は存在しない。実戦レベルのデッキにはどれも得意な相手・苦手な相手があり、他のプレイヤーがどんな構成を使っているかによって有効な手立てが変わる。

例えば死んでもカードを引いたりシークレットを展開できるミニオンはダメージによる除去には強いが洗脳に弱い。強力な大型ミニオンは殴り合いに強いがポリモーフなどの単体除去に弱い。他のプレイヤーがどんなカードを多く運用しているかで、ミニオンも呪文も、そしてデッキもだいぶ戦術価値が上下する。

すると誰でも思いつくのが「流行りのデッキに対策を立てよう」という事だ。例えば小さなミニオンを並べるズーデッキが流行っていたら全体除去や凍結を入れる、という具合である。だがこの考えは2つの理由で上手く行かない。

 

流行デッキはせいぜい3割

1つ目の理由は、たとえ大流行しているデッキタイプであってもその分布はせいぜい環境中の2割か3割に過ぎず、それだけに的を絞って対策しても全体的な勝率向上に繋がりにくいという事だ。最も多い3割のデッキに勝っても残りの7割に弱くては意味がない。流行デッキへの対策を立てるのは流行に追随するプレイヤーを罰するためではなく、環境を利用して自分自身の戦績を改善するためである。

この問題は試合記録を付けていると気づきやすい。「一番多く」「みなクローンの様で」「なす術なくやられてしまう」デッキは非常に印象に残りやすく、実際よりも分布を多く見積もってしまう。対策を考える前に、そもそも対策するだけの価値があるかどうか統計を見直すべきだ。

 

対策が難しいからこそ流行する

2つ目の理由は、そもそも簡単に対策できるデッキは流行しにくいという事である。アンダーテイカーとデスラトル系を大量に詰め込んだデッキが流行ったのは、除去などの手段で対策するのが非常に難しかったからだ。ゆえに「流行デッキを破る」という考えでデッキを構築すると不自然で非効率な形になりやすい。マスディスペルを入れておけばデスラトルを没収できるだろうが、果たしてその呪文は実戦投入できるだけの強さがあるか?

 

「何に強いか」でなく「何に弱いか」

ではどうすれば良いか。考えを逆にするのだ。「いる奴に強い」ではなく「いない奴に弱い」形で構築する。例えば2014年11月現在、構築環境では全体除去呪文がほとんど使われていない。直近の30戦でフレイムストライクを受けたのは1回だけである。ゆえにシャーマンのトーテムなど、全体除去耐性の低いミニオンがかなり運用しやすくなっている。

バランスの取れたゲームでは弱点を持つものはそれを贖うだけの長所も持っている。トーテムは全体除去に弱い代わりに単体除去に対して駒得になりやすく、手数という点でも優れている。結果シャーマンのグッドスタッフが高い勝率を維持できる。環境中に何があるか、何が流行しているかは誰にでも見える。何が無いかを見て作戦を考えよう。

 

( ・3・)<25勝6敗だもんね レジェンドに行っても同じこと言えんの?>(・q・ )

Hearthstoneの戦い方(2)

CCG “Hearthstone” に関して始めて4週間ほどで気付いた事を記録。


Hearthstoneの戦い方(1)

Hearthstoneの根幹は優位を積み重ねる事だが、これにはどうやら2つの側面がある。対称な優位非対称な優位である。前者は彼我のデッキに関係なく有利になり、後者はデッキが異なっている事によってのみ有利になる。構築に大きく影響する概念として以下に論じよう。

 

対称な優位

まず、自分と対戦相手のデッキがほぼ同一であると仮定しよう。似たようなマナカーブを持ち、同じ大きさのミニオンを大体同数入れている。この場合、リソースアドバンテージ(自分の2マナミニオンで相手の4マナミニオンを打ち取った)とテンポアドバンテージ(自分のミニオンだけが盤上にいる状態を1ターン維持して相手を殴った)はどちらも確実に戦況を有利にする。山札の中身に大きな差が無い以上、戦場の資源で勝る側が勝利により近いのである。これが全ての基礎である。

カードパワーを論ずる際は往々にして対称な優位をどれだけ得やすいかが焦点になる。例えば我らが大グモくんは同じ2マナの3/2ミニオンと相打ちになった後、なお1/1を1体余すことができる。ヘックスの呪文は3マナをはるかに上回るミニオンを無力化できる。こうしたカードは彼我の陣営が対称であれ非対称であれ優位を得やすいために使いやすく強力とされるわけだ。

 

非対称な優位

これに対して非対称な優位はもう少し込み入っている。例えばパラディンが2ターン目にヒーロー能力で1/1を召喚し、相手のメイジがヒーロー能力でそれを除去したとしよう。双方の能力を打ち消しあっただけで盤上は何も変わらない。それぞれカードを引いて1ターンが経過したのであり、時は両者に平等に流れている。

あるいは双方のヒーローが盤上に同じミニオン1体ずつ展開していて、それぞれ相手のミニオンを無視してヒーローを直接殴ったとしよう。これまた両者平等に血を流した形であり対称な優位はどちらにも発生していない。デッキ内容が同等であれば戦況はどちらにも傾いていない筈である。

しかし現実にはしばしば対戦相手のデッキ構成は非常に異なる。そしてそれゆえに平等な展開であっても一方が有利になる。戦線が膠着したまま1ターン経過して双方1枚のカードを引いたとしよう。このとき一方のデッキにだけマウンテンジャイアント(手札が多いとコストが下がる)が入っていたら、この膠着によって少しだけ有利になる。あるいは一方のデッキだけファイアボールやフロストボルトを満載していたら、双方のHPが15程度まで下がると俄然王手がかかる。双方が同じ利益や不利益を被った様に見えても、実はデッキ構成の違いから一方が有利になる場合がある。

 

デスラトル:対称優位の塊

アンダーテイカーおよびデスラトル持ちのミニオンを満載したデッキはメタの一角である。これらはコストあたりの戦闘力が高かったり除去耐性が強く、同マナの殴り合いで非常に有利である。2マナの大グモを2マナのフロストボルトで除去しても尚1/1の子グモが2体残る。3マナの邪教徒が3マナのブレードマスターと相打ちになっても尚+3点のHPを味方に遺せる。同格の取っ組み合いで明らかに強いのだ。

ところがこうした強さは非対称な戦場では十全に発揮されない。大グモが除去されずに残っても、相手のHPを1点ずつ削る以外に大した事はできぬ。ナイフジャグラーなど攻撃的なミニオンを満載したデッキに比べ、どうしても相手に大きなミニオンを出すまでの時間を与えてしまう弱点がある。

デスラトル系は言わば同等のマナカーブを持ったデッキを殺す刺客である。それは「戦車を破壊する戦車」とか「投げを吸い込む投げ」とか「ニンジャを殺すニンジャ」みたいなもので、ジャンケンの中のサブカテゴリである。自身が属するカテゴリに対しては格段に強く、代わりに他のカテゴリにやや弱い。既にラダーではデスラトルデッキに対抗する低速デッキが流行しつつある。強力だが無敵ではないのである。

ただしアリーナではやや様相が異なる。こちらは強力な大型ミニオンがそもそも出て来にくいため、必然的に小〜中ミニオンの殴り合いになる。デスラトルおよび対称優位を得やすいカードは大活躍だ。

 

まとめ

どんなゲームであれ、上達の秘訣は失敗から学ぶことだ。そして失敗の原因をできるだけ細かく特定するのが何より重要である。「なんとなく決め手を欠いて負けた」より「3ターン目にアンダーテイカーを処理できないのにむざむざミニオンを差し出してしまった」の方が経験になる。勝ったにせよ負けたにせよ、それが対称な優位(ミニオンのやりとりで得をした)の産物か、それとも非対称な優位(重いカードを活かせる後半までもつれ込んだ)の結果であるかは区別する必要がある。

 

( ・3・)<いまランク6なんだ それなりー>(・q・ )