翻訳記事:勝つ為に戦う(9)

これは翻訳記事です

 

スポーツマンシップ

勝つ為に戦うと聞くと、 スポーツマンシップを顧みないという意味に取る人がいる。全く反対だ。一流のプレイヤー達は素晴らしいスポーツマンである。スポーツマンシップの条件の1つは負けても喚かない事だ。「勝つ為に戦う」では敗北を学びと成長の機会として捉えている。顔を真っ赤にして対戦相手に文句を付けたり、「実力の無い雑魚に負けた」と陰で呟いていてはそれは達成できない。

良いスポーツマンになるという事は、上品に勝ち、試合のエチケットを守るという事だ。試合の前には一礼や握手をしたり、「よろしく」と言ったり、とにかく相応しい振る舞いをする。勝って満足しても、礼儀と節度を守る。そうすると他の人々にも良い影響を与える。審判も人間だ。態度の悪いプレイヤーには細かい違反を指摘したくなる。他のプレイヤー、練習相手、チームの仲間、秘密情報の持ち主などもスポーツマンには良くしてくれるだろうが、錯乱者や馬鹿にはそうではなかろう。

ある者は言う。なぜ対戦相手に向かって「人種差別主義者」などの罵倒をぶつけてはいけないのか? 対戦相手の靴に唾を吐いたり、胸をどついたり、脅迫してはいけないのか? 結局のところ目的は、あらゆる合法的な手段を駆使して勝つ事だろう? そう言ったじゃないか? まず指摘しておきたいのだが、それらの手段は大会においてしばしば禁止されている。次に、それらは先に述べた友好の原則に反している。第三に、そもそもそれに戦略的なメリットは無い。私は馬鹿でございますと喧伝している様なものだし、悪い雰囲気が付いて回るに相違ない。

とは言え、実力者の中にもそういう汚い手を使うプレイヤーが少しはいる。大会の規則に違反しない範囲で他のプレイヤーを物理的に脅したり、罵倒や威嚇を浴びせたりする余地は存在する。事前にネット上でゴミの様な話を書き散らすのもおおむね合法だ。彼らはいじめっ子になるのが得意なのかも知れない。中にはそういう手が有効な相手もいるだろう。しかし総体としてその代償は余りに大き過ぎ、勝つ為の戦略としては支持しかねる。

対戦相手を怒らせたいなら、ほとんどの場合ゲーム内にその手段がある。相手を苛立たせたり挑発する様なプレイスタイルは色々ある。相手が防御一辺倒に構えて攻撃を待っていたら、こちらも防御に徹する。相手は計算が狂う。あるいは明らかに無意味な技を繰り出して余裕を見せつけ、相手を「挑発」する事もできる。これらはゲーム内でやる限り、全て善良かつ公正である。これはスポーツマンとしてどうこうという次元には関わって来ない。戦争に卑怯も何も無い。

対戦相手を脅したいならそうすれば良い。しかしもっと礼儀正しく、スポーツマンシップに則ってその目的を達する事もできる。最上の手段は大会で優勝する事だ。次の試合で当たる相手は震え出す。試合前にちらっと見やり、「お手柔らかに」と言ってやれば、相手は圧倒されて羽根の様に吹き飛ばされるだろう。試合を完全に支配しているプレイヤーは「恐怖のオーラ」をまとう。青白いオタクが対戦相手を恐怖させるという事態が起きる。彼は”PhantDan09″、あるいは他の名前でもいいが、有名な大会の優勝者だったのだ! 恐怖のオーラがあれば、本来はとても通用しないトリックが通し放題になる。何をやっても相手は裏を疑ってしまうからだ。恐怖のオーラの主が隙を晒している様に見えたら、もしかしたらそう見せかけているだけかも知れない。ちょっと様子を見よう……と思っている間に負ける。優れた戦いと勝利を通じてひとたび恐怖のオーラを身につけたら、大して効果のない口先の脅しを笑い飛ばせる様になる。

原文:http://www.sirlin.net/ptw