ゲーム付きミニ雑誌「月刊スパ帝国」Vol.17の紹介
Vol.17は帝国建設パズル「4X」全20面を掲載。内政・研究・征服を駆使して銀河に版図を広げよう! 今号は大真面目な考察記事も多数掲載。読み物目当ての人も存分に楽しめるぞ!
内容:
- 64ページ+表紙のオフセット誌
- 1人用帝国建設パズル「4X」
- デザインノート
- Papers, Pleaseプレイ日記「ぐう凡入管報告書」
- ゲームレビューコーナー(Papers, Please・アリスインナイトメア・カーマゲドンTDR2000・FEZ・Cookie Clicker・ロッカレイル・Wolfenstein 3D・禁断の島・Rock of Ages)
- ライトゲーマー論批判
- キングメーカー問題
- フリーフォーオール問題
- 揮発性リソースの考察
- ゲームの金に関して
フリーフォーオール問題
恣意的な掩護=キングメーカーと並ぶ問題が、「恣意的な妨害」である。例えば古典ボードゲーム「RISK」がそうだ。これは世界征服ゲームで、各自が地球上に陣地を持ち、隣接していれば誰でも好きな相手を攻める事ができる。当然ながら対人戦は「こっち来んな」「あっちを攻めようぜ」という外交場になるわけだ。
「ディプロマシー」の様に外交プロセスそのものがゲームの中核であればそれは問題ではなくデザインである。しかし戦略の技量を競うゲームにおいてそれは瑕疵である。AとBが攻撃と報復を繰り返している間にCが力を蓄えて勝利をかっさらう。BがCを攻めたせいでAの勝利が決まる。これはいささか理不尽である。
「パズルストライク」はかなり攻撃的にこの問題を解決している。プレイヤーは他のどのプレイヤーでも自由に選んで攻撃できるし、誰から誰の攻撃でも自由に横から打ち消せる。攻撃を受けるとそのプレイヤーの場にジェムが積み重なり、一定量を超えると負けになる。その時点でゲーム終了だ。
面白いのは、この時最もジェムの少ないプレイヤーが単独勝利するというルールである。つまりABCが共謀してDを集中攻撃したとしても、Aのジェムが最も少なければBとCは負けてしまうのだ。従ってその状態でDに致死的攻撃が浴びせられたら、自分が勝つ可能性を残すためにそれを横から打ち消さなくてはならない。
つまり各自が勝利を目指した場合、必ずどこかで同盟が破綻して新たな陣営が組まれるのだ。そして新たな協力関係もまた一時的であり、「誰かを負けさせない」物であっても「誰かを負かす」あるいは「誰かを勝たせる」物にはならない。
「テラミスティカ」もこの問題の解決策をゲームの中核に持っている。これはボード上に家や交易所を建てる開拓ゲームである。「カタン」がそうだった様に、この種のゲームは空いている場所が有利だ。同じ地域に他のプレイヤーと共生していると開拓の余地が減る。自分のいる所に他のプレイヤーは来て欲しくない。これまた「こっち来んな」「あっち行け」の大合唱である。
ところがテラミスティカの場合、他のプレイヤーと隣接している事によるボーナスが存在する。誰かが隣接地域に建物を作ると「マナ」という特殊資源が手に入るし、他のプレイヤーに隣接している家は交易所へのアップグレードコストが安くなる。
更に、入植できる土地はプレイヤーごとに異なる。あるプレイヤーは沼地にしか入植できず、またあるプレイヤーは山岳にしか入植できない。この2つの仕組みによって「誰かの近くに入植して妨害する」という行為は非常にやりにくくなっている。
恣意的な妨害はゲームバランスの爆弾であり、人間関係にも悪影響を及ぼす。先進的なゲームはこれをできるだけ取り除く様に作られている。
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*訂正
10面の答えは正しくは4.内政 5.征服です。
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