翻訳記事:プレミアムからフリーミアムへ

原文:http://www.sirlin.net/blog/2012/3/6/gdc-2012-the-day-before-day-1.html

プレミアムからフリーミアムへ:マネタイズ手法の変遷

Appy Entertainmentのポール・オコナー氏はアプリのマネタイズ手法をいかに変遷させたかを語った。元々は料金を払ってダウンロードする有料アプリの方式だったのを、アプリ自体は無料にしてゲーム内購入をたくさん入れる形に変えたのだ。

ポールはフリーミアム方式を擁護する議論として次の様な引用をした。1920年代の大恐慌で株を空売りして儲けた投資家の言葉である。「市場は決して間違わない。意見は間違う事がある」ポールの論理というのはつまり、市場はフリーミアムの方が儲かるとはっきり言っているのだから、我々は皆そうすべきだというものだ。面白いが酷い議論である。第一に、これは「勝つ為にプレイする」類の論法である。これを実生活に当てはめようとすると、そもそも勝利とは何ぞやという問題が噴出する。人生の目的が出来る限り多く金を稼ぐ事ならこの論法に問題は無い。しかしそれが人生の目的だとするなら、コカインを売りさばくのも儲かると市場は言っている。顧客はコカインが大好きだ。確かにそれを売るのは難しいだろう。だが海外でのコカイン販売事業に投資するとしたらどうか?

それはともかく、ポールが我々に言っているのはフリーミアムに関してもう議論の余地は無いという事だ。彼の見せた統計によれば、75%以上のiOSアプリはこの方式で収益を出しており、選択肢はこの波に乗るか非合理でいるかしか無い。フリーミアムか死か。GDCでは似た様な意見を何度も聞いた。彼らは今この時代こそゲーム作りに最高の時代だと主張する。デジタル配信とフリーミアム収益モデルによって成功への道が史上最も平坦になっていると。

ポールはAppy Entertiainment社のゲーム”Trucks and Skulls”がいかにフリーミアム化したかを説明した。彼らは新しいゲームをリリースするのでなく、既存のゲームに大幅なアップデートを加えたのだ。ゲームが持つ勢いやプレイヤーベース、アプリランキングを放棄したくなかったからだ。また彼らは既存のプレイヤーの機嫌を損ねない事に非常に注意を払った。変更によって既存プレイヤーが失う物はなにもない。コインとそれで買える物、そしてコインを稼ぐ手段を追加しただけである。

どんな活動によってコインを得られるかに関してだが、これはプレイヤーの好きな事が良いそうである。例えばプレイヤーはハイスコアを競ったり、ステージごとに技量を評価されたり、100以上あるステージ全てで最高評価を目指したりするのが好きである。これらをそのままコイン報酬に繋げてやればよい。またこの変更の後、全てのプレイヤーに少量のコインが配られた。ストアを試しに使ってみる様に誘ったのである。

ゲーム内の優位を金で買えるのかどうか、ポールは言及しなかった。おそらく買えるのだろう。その場合競技ゲームとしては腐る事になる。実際どうなのかは知らないが。追加のトラックを買ったりはできる様で、それは問題無さそうである。

ポールの話で最も狂っていた点は、この変更に抗議した人が誰もいなかったという主張だ。彼は変更に不満を持つ人がいるのではないかと心配していたが、新バージョンはより良いゲームになったそうである。彼はゲームを良くしようとしたのでなく収益を増やそうとしたのだが、コイン報酬システムがゲーム体験を強化してプレイヤーを熱中させる結果になったとの事だ。Facebook/Twitter/その他のコミュニティをチェックして苦情が来ていないか調べたところ、文字通り苦情はゼロだったという。このお話にひとつ問題があるとすれば、それは全く不可能だという点だ。そもそもゲームに何らかの変更を加えて誰も苦情を言わないという事態があり得ないのは自明である。本当に真面目な話、そうである。とにもかくにも、フリーミアムは大人気だ。彼らの収益は劇的に向上したそうである。ダウンロード回数は9倍に、収益は5倍になった。

ポールによれば消耗アイテムを入れておかなかったのは失敗だという。フリーミアム方式で行くなら1人のプレイヤーが支出できる上限額は青天井にしておかなくてはならない。Trucks and Skullsは何もかも全て買ったとしても比較的低い金額で終わってしまう。消耗アイテムの欠如はフリーミアムの世界では大失態と見なされるわけだ。フリーミアムか死か。それがテーマだ。

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