全てはバッファである

ここに一本の河がある。河には山から水が入って来る。河の水は海に出て行く。入る量が出て行く量より多ければ河のかさは増え、出る量が多ければ減って行く。

これがバッファである。山(入力)から来る水は最終的に海(出力)へと出て行く。しかしその間にタイムラグがある。入り次第直ちに出なくても良いのである。そして「入力されたがまだ出力されていない」タスクを保管しておく場所が河、すなわちバッファである。

バッファは非常に多くのゲームに見られる。落ちものパズルのフィールドはバッファである。ブロックが上から振って来て、配列によって消えて行く。その間ブロックが逗留する場所がバッファである。タワーディフェンスは敵の出現位置から到達先までの距離がバッファである。敵が点滴の様に一定に流れて来るならバッファは必要無い。入り次第直ちに処理できるからである。カードゲームの手札もバッファであり、山から引いてから場に出すまでのタイムラグを作る機構である。さらにRPGのマナや経営ゲームの手持ち現金もバッファの性質を持っている。入って来た物が直ちに出なくて良くなるのである。

バッファゲームの基本的な要素は4つある。タスクが入って来るルール。出て行くルール。溜めておくルール。そしてタスクが前三者に影響を与えるルールである。

例えば落ちものパズルはフィールド内のブロックの配置によってブロックが消える。つまりこれはタスクの出て行くルールがバッファ内のタスクに依存しているのである。

カタンは資源を消費して拠点を作り、拠点から資源を採取する。つまり消費した資源=出て行ったタスクが入って来るタスクを決める。

TDは入って来るルールと出て行くルールとがそれぞれ独立している場合が多いが、範囲攻撃という形でバッファ内のタスクが多いと急速に出て行くケースもある。

良いバッファゲームはタスクが明確に「良いもの」か「悪いもの」であり、「良い物が増える」「悪い物が減る」という形で達成を即座に認識できる様になっている。そして良い物にも悪い物にも、それ相応のアートアセットが付けられている様だ。