月刊スパ帝国 Vol.10

スパ帝国がミニ雑誌になった! ゲームに関する記事を1冊の中に凝縮! 更にアナログゲームが1つ付録に! Vol.10の内容:

  • ロボット格闘ゲーム”Mech Arena 2013″専用カード
  • ダイス&チップ
  • 20ページ+表紙のオフセット誌
  • Mech Arenaデザインノート
  • ゲームレビューコーナー(ウルティマIX、Civilization II、Machinarium、Solar 2など)
  • ぐう凡艦長航海記
  • ほか

 

ゲームレビューコーナー Civilization II

Civilizationシリーズの2作目。これを最高傑作と見なす人も多い。1の足りない部分を補いつつ完成度を高めた仕上がり。とにかく都市を大量に作って技術を進めて最新鋭の軍隊で隣国を押し潰す、というCivシリーズの様式は今作で完成している。

初代Civの作者、シド・マイヤーは天才でアカである。ゆえにCivシリーズはマルクス経済学と唯物史観をアルゴリズムにぶち込んだゲームである。例えば市民は毎ターン食糧を2つ必要とするが、それを超える分の生産物はみな国庫に入る。これはまさにマルクス経済学の利潤の原理そのものだ。

また土地やインフラなどの経済基盤を社会の下部構造、政治や文化を上部構造と呼ぶのだが、Civではまず下部構造があってそれを基に上部構造を作る。例えば土地から出る生産力で寺院や図書館を作る事はできるが、図書館の力で土地を造成したりはできない。下部構造の優越はこれまたマルクス流の歴史観である。

Civ2は厳密にはブライアン・レイノルズの作品であってシドは補助的な役割しか果たしていないのだが、ブライアンもやっぱりアカで天才でシドの後嗣なので結局同じである。とにかく領土を広げて土地や人口といった下部構造を獲得し、それを基に強力な上部構造を築いて世界を獲る。首尾一貫して迷いの無いデザインだ。「領土が大きければ強い」「技術が進んでいれば強い」という具合に「何が良くて何が悪いか」が非常に明確なので、今自分が勝っているのか負けているのか、先の戦争は成功だったのか失敗だったのか、判断の良し悪しが実に分かりやすい。

こうした素直さもあって難易度はそれほど高くなく、初期拡張とラッシュのやり方を覚えればいくらでもAIを手玉に取れるため、Civシリーズに入っていく作品としては非常に優れている。この点においてCiv4は一歩を譲る。4を作ったソレン・ジョンソンもやはりアカで天才なのだが、それに加えて自由主義者であるため「単一のやり方がいつも通用するとは限らない」という信念を自分の作品に注ぎ込んでしまった。その結果、勝ち筋が複数ある奥深いゲームになったが、構造が非直線的で初心者には少々分かりにくい。ひたすら国を広げれば勝てるCiv2やレヴォリューションの方が入門には良かろう。

なお余談だがCiv5を作ったジョン・シェーファーはアカでも天才でもないふつうの人である。結果5はふつうの作品となった。

 

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