メカニクスの語る哲学

Civilization 4のプレイヤーは、慣れて来るとある程度の常備軍を持つ事を覚える。「軍事力が足りないと隣国が攻めて来る」からだ。実際には十分な技量があれば外交努力のみで非武装のまま進める事も可能なのだが、その域まで到達している人はそう多くない。

また彼らは遠方の国よりも近隣の国を警戒する事、信仰を同じくする者を仲間と見なす事、大国を恐れ小国を侮る事を覚える。ゲームのどこかにそうしろと書いてあるわけではない。そうした行動は全てゲームメカニクスによって報奨される。プレイヤー自身がその様に振る舞う事を「発見」し、「上達」する事でそれらの考えを自家薬籠中の物にしていく。

ゲームメカニクスは報奨と懲罰を含む一連のシステムだ。報奨は命令よりも遥かに強力な命令である。ストーリーが正義のヒーローとして振る舞う事を求めていても、メカニクスが遭遇した生物を惨殺して所持品を奪う事を報奨していればプレイヤーはそれに従う。

世界をどう解釈し、どう考え、どう振る舞うべきか。どうすれば最も報われるのか。そうした世界観をゲームメカニクスは強烈に伝える。しかもプレイヤー自身の体験としてだ。これほど雄弁に哲学を語るメディアは他に存在しない。ゲーム作家は哲学者たりうる。

そしてスパ帝国にも背骨となる哲学がある。「考えれば良い結果が出る」というのがそれだ。