CCG “Hearthstone” に関して始めて4週間ほどで気付いた事を記録。
Hearthstoneの根幹は優位を積み重ねる事だが、これにはどうやら2つの側面がある。対称な優位と非対称な優位である。前者は彼我のデッキに関係なく有利になり、後者はデッキが異なっている事によってのみ有利になる。構築に大きく影響する概念として以下に論じよう。
対称な優位
まず、自分と対戦相手のデッキがほぼ同一であると仮定しよう。似たようなマナカーブを持ち、同じ大きさのミニオンを大体同数入れている。この場合、リソースアドバンテージ(自分の2マナミニオンで相手の4マナミニオンを打ち取った)とテンポアドバンテージ(自分のミニオンだけが盤上にいる状態を1ターン維持して相手を殴った)はどちらも確実に戦況を有利にする。山札の中身に大きな差が無い以上、戦場の資源で勝る側が勝利により近いのである。これが全ての基礎である。
カードパワーを論ずる際は往々にして対称な優位をどれだけ得やすいかが焦点になる。例えば我らが大グモくんは同じ2マナの3/2ミニオンと相打ちになった後、なお1/1を1体余すことができる。ヘックスの呪文は3マナをはるかに上回るミニオンを無力化できる。こうしたカードは彼我の陣営が対称であれ非対称であれ優位を得やすいために使いやすく強力とされるわけだ。
非対称な優位
これに対して非対称な優位はもう少し込み入っている。例えばパラディンが2ターン目にヒーロー能力で1/1を召喚し、相手のメイジがヒーロー能力でそれを除去したとしよう。双方の能力を打ち消しあっただけで盤上は何も変わらない。それぞれカードを引いて1ターンが経過したのであり、時は両者に平等に流れている。
あるいは双方のヒーローが盤上に同じミニオン1体ずつ展開していて、それぞれ相手のミニオンを無視してヒーローを直接殴ったとしよう。これまた両者平等に血を流した形であり対称な優位はどちらにも発生していない。デッキ内容が同等であれば戦況はどちらにも傾いていない筈である。
しかし現実にはしばしば対戦相手のデッキ構成は非常に異なる。そしてそれゆえに平等な展開であっても一方が有利になる。戦線が膠着したまま1ターン経過して双方1枚のカードを引いたとしよう。このとき一方のデッキにだけマウンテンジャイアント(手札が多いとコストが下がる)が入っていたら、この膠着によって少しだけ有利になる。あるいは一方のデッキだけファイアボールやフロストボルトを満載していたら、双方のHPが15程度まで下がると俄然王手がかかる。双方が同じ利益や不利益を被った様に見えても、実はデッキ構成の違いから一方が有利になる場合がある。
デスラトル:対称優位の塊
アンダーテイカーおよびデスラトル持ちのミニオンを満載したデッキはメタの一角である。これらはコストあたりの戦闘力が高かったり除去耐性が強く、同マナの殴り合いで非常に有利である。2マナの大グモを2マナのフロストボルトで除去しても尚1/1の子グモが2体残る。3マナの邪教徒が3マナのブレードマスターと相打ちになっても尚+3点のHPを味方に遺せる。同格の取っ組み合いで明らかに強いのだ。
ところがこうした強さは非対称な戦場では十全に発揮されない。大グモが除去されずに残っても、相手のHPを1点ずつ削る以外に大した事はできぬ。ナイフジャグラーなど攻撃的なミニオンを満載したデッキに比べ、どうしても相手に大きなミニオンを出すまでの時間を与えてしまう弱点がある。
デスラトル系は言わば同等のマナカーブを持ったデッキを殺す刺客である。それは「戦車を破壊する戦車」とか「投げを吸い込む投げ」とか「ニンジャを殺すニンジャ」みたいなもので、ジャンケンの中のサブカテゴリである。自身が属するカテゴリに対しては格段に強く、代わりに他のカテゴリにやや弱い。既にラダーではデスラトルデッキに対抗する低速デッキが流行しつつある。強力だが無敵ではないのである。
ただしアリーナではやや様相が異なる。こちらは強力な大型ミニオンがそもそも出て来にくいため、必然的に小〜中ミニオンの殴り合いになる。デスラトルおよび対称優位を得やすいカードは大活躍だ。
まとめ
どんなゲームであれ、上達の秘訣は失敗から学ぶことだ。そして失敗の原因をできるだけ細かく特定するのが何より重要である。「なんとなく決め手を欠いて負けた」より「3ターン目にアンダーテイカーを処理できないのにむざむざミニオンを差し出してしまった」の方が経験になる。勝ったにせよ負けたにせよ、それが対称な優位(ミニオンのやりとりで得をした)の産物か、それとも非対称な優位(重いカードを活かせる後半までもつれ込んだ)の結果であるかは区別する必要がある。
( ・3・)<いまランク6なんだ それなりー>(・q・ )
Tweet