Hearthstoneの戦い方(5)

CCG “Hearthstone” に関して気づいた事をその都度記録。


Hearthstoneの戦い方(4)

 

デッキの生態学

このゲームにはデッキやクラス間の相性がそれなりにある。例えばプリーストは敵の手下を始末したり洗脳するのが得意なので、ハンターやシャーマンなど手下を並べて戦うデッキにはかなり有利である。その一方、敵が殴り合いに付き合ってくれないと機能しないカードが多く、ウォリアーなど手下にあまり頼らないデッキは苦手だ。

全てに強いデッキは存在せず、誰もがそれなりに弱点を抱えている。そしてひとつのデッキタイプが興盛を極めるとそれに対抗するデッキタイプの割合がじわじわと増え、一方それを苦手とするデッキは徐々に減る……という食物連鎖の様な仕組みでプレイヤー全体の生態系がバランスを保っている。

なのだが、この生態は実は全体に一様ではなく、強さの階級ごとにある程度層構造を成している様に思われる。

 

ランク制

このゲームのランクマッチは塔を登る様な仕組みになっている。 最初は最下層の「25」から始まり、勝つと星が増え、負けると星が減る。星が一定数溜まるとひとつ上の「24」に行ける。これを繰り返して最終的に「1」やその上の「レジェンド」に行くのが目標である。ランクは月ごとにリセットされるのでその都度登らなくてはならない。

基本的に対戦相手は同じか近いランクから選ばれるので、階層を上がるためには「同じ層にいるプレイヤーに勝ち越す」必要がある。あたかも各階の番人を倒して進む冒険の様なものだ。

このメカニクスの帰結として次の様な現象が生ずる。例えばある階層でハンターが大流行したとしよう。するとその階層ではプリーストは非常に有利であり、技量が同等なら相性のお陰で簡単に勝ち越せるだろう。すると勝ち越したことの帰結としてプリースト使い達はその上の階層に行く。一方ハンター使い達はそれほど極端には勝ち越せないので、すぐ上の階層ではやや分布割合が減る。

この結果、ある階層ではハンターが多く、そのすぐ上の階層ではそれに強いプリーストが多いという風にランクごとに異なったデッキ生態分布を見せることがある。そしてそのプリースト階ではコントロールウォリアーが有利であり、すぐ上にウォリアー階が形成される可能性もあるわけだ。

プレイヤープール全体ではデッキの分布はバランスが保たれる。しかし「勝ち越したら上に行く」「同じランクで対戦する」というランクシステムの関係上、階層ごとの分布は必ずしも一様ではなくなる。

 

複数のデッキを使い分ける

オールラウンド型のデッキであれば相性の問題はそこまで深刻ではない。しかし得意な相手と苦手な相手がはっきり分かれるデッキの場合、分布上の偏りが思わぬ壁となって立ちはだかる場合がある。例えば3回に1回はプリーストに当たり、3ターン目にはDeath Lordが出て来るとしたら手練のハンターでも勝ち越しはなかなか難しいだろう。本来もっと上の実力があってもそこで足踏みをしてしまうわけだ。

複数のデッキを用意しておくと存外あっさりとこの壁を越えてしまうことがある。私は2015年7月のシーズンでランク5までプリーストで上がり、そこからコントロールデッキと当たる回数が増えて徐々に辛くなった。そこで今度はウォリアーを使ってランク2まで上がり、そこで再びアグロ系デッキが増えたのでプリーストに切り替えてレジェンドへ進んだ。ランク2〜レジェンドの範囲はハンターやズーが非常に多く、試合開始と同時に勝っている様なマッチングに多数恵まれたのである。

ひとつのデッキを極めることで相性の差を覆せるというのも事実だが、いくつかの道具を使い分ければ楽ができるというのも事実である。当面の目標が階層を上がることなら戦術のひとつとして利用するのも悪くないだろう。