スパ帝 の紹介

小さくて完璧なゲームを作ります。

#41 Not My Fault! (最終版)

2〜8人用ブラフカードゲーム。伏せた札の合計値を申告して次へ回す。以前のプロトタイプと別物になってしまったので新しい記事で。


コンポーネント

  • 進捗カード32枚
    • 0:2枚
    • 1〜6:各5枚
  • マイルストーンカード1枚
  • ポインタカード1枚
  • イエローカード8枚
  • レッドカード8枚

ゲームの準備

  • マイルストーンカードを全員から見える場所に置く
  • 進捗カードを全て混ぜ合わせて山札にする
  • 席順と初手番プレイヤーを決める

遊び方

  • 最初のプレイヤーは山札から1枚取って確認してから裏向きに置き、マイルストーンカードにポインタカードを重ねて数を申告する。嘘をついてもよい。
  • 以降のプレイヤーは次のどちらかを行う。
    • 自分もカードを1枚伏せ、前のプレイヤーより大きな数を申告する。
    • または「監査!」と言って全てのカードを表にする。
      • 伏せられた進捗カードの合計が申告された数より小さければ、直前のプレイヤーがレッドカードを1枚受け取る。
      • 進捗の合計が申告以上であれば、監査したプレイヤー自身がレッドカードを1枚受け取る。
  • 申告できる数は1〜30
    • 5/8/12/17/23/30以外の数は各プレイヤー1ラウンドに1回だけ申告できる。
    • 30を申告したら「完成」を宣言する。全ての札をめくり、30に達していればその時点で(ラウンドでなく)ゲームに勝つ。達していなければレッドカードを1枚受け取る。
  • 以上でラウンド終了。出された全てのカードを捨て札にし、前のラウンドで監査を宣言したプレイヤーから新たなラウンドが始まる。
  • 誰かがレッドカード2枚に達したら負け。残り全員が勝利。

XCOM 2の戦い方

XCOM 2のレジェンド難度攻略指南


XCOM: Enemy Unknownの続編XCOM 2が2016年に発売された。これに関して2つ明らかにしておきたい。まずこのゲームは非常に面白い。EUの時点で相当な完成度だったが、2はそれを全ての面で少しずつ上回った。次にこのゲームは難しい。EUの時点で相当な地獄だったが、2はそれを少しどころではなく上回っている。というわけで最高難度の攻略を掲載しCOMキチ氏を助ける事にする。

 

1.バカとXCOMは高いところが好き

最も重要な戦術訓は「高所を取れ」だ。撃とうとする敵よりも高い場所に射手がいれば命中率に+20の修正が付く。これは鼻が擦り合う間合いまで接近した場合の距離ボーナスと同じである。特に最初のマップではまず高い建物を見つけ、敵をそこで待ち伏せるか、遠過ぎるなら3人が待ち伏せて残り1人が突っ込むと良い。接近戦よりよほど確実に敵を始末できる。

また高所にいる側は後ろに下がる事で射線が通らない様にもできるし、必要なら飛び降りて地上戦にもできる。位置エネルギーは素晴らしい。

 

2.偵察せよ

索敵はこのゲームの非常に重要な側面である。2分隊と同時に交戦しないだけでも壊滅の危険は大きく減る。また敵の視界ギリギリで固まって監視をしておけば、敵のターンに一斉監視射撃を浴びせた上に次の自分のターンでも動けるので、実質的に2ターン分の先制攻撃ができる。

このため、潜伏技能を持つ隊員を先行偵察させたり、バトルスキャナーを投げて敵の位置を把握するのは非常に有利な行動だ。「一方的に居場所を知っている」というのは「銃口をケツに突っ込んでいる」と同じ程度の優勢である。

 

3.リスクを選択せよ

武装が充実する後半はともかく、序盤戦は絶対にゼロリスクで進める事ができない。どんなに完璧に動いても運が悪い時は隊員が死ぬ。ゆえに指揮官は安全と危険の選択でなく「どの危険を取るか」の選択を迫られる。

危険は大きく分けて3つある。

  • A.側面を取られる
  • B.敵を始末できない
  • C.別の敵分隊と遭遇してしまう

原則はA<B<Cである。つまり敵が遮蔽に隠れていて、回り込むと側面を取れるが自分も無遮蔽になってしまう場合、構わず突っ込む方が正解である。無遮蔽でボッ立ちになる危険よりも敵を討ち漏らして反撃される危険の方がたいてい大きい。

ただし突っ込む事で別の分隊に遭遇してしまう危険が予想される場合は自重した方がいい。敵を倒し切れない危険があるにせよ、一度に2分隊に襲い掛かられる危険よりはまだ小さい。

そして言うまでもなく遮蔽を取るために無駄に前進して敵分隊に発見されるのは最悪である。

 

4.火力を優先せよ

以上を踏まえている限り敵から奇襲を受ける危険は比較的小さい。つまり殆どの交戦は自軍の攻撃から始められるのだ。ゆえに投資は防御力よりも火力に回す。1ターンで敵を倒し切れば防御力は参照されない死んだ数値に過ぎない。

研究は磁力兵器をできるだけ早く完了させるのが良い。それ以前にすべき研究はバイオテクノロジー・オフィサー解剖・モジュラーウエポン・複合素材・トルーパー解剖(バトルスキャナー)ぐらいである。

 

5.医療を甘く見るな

戦略レベルでの典型的な負け方は、まず作戦レベルで事故が起きて一軍メンバーが負傷し、その間に別のミッションが発生して雑兵を送り込み、戦闘力が足りずにズルズルと負けを重ねる・・・というものである。これを防ぐ為に医療には能動的に投資すべきだ。先進戦闘センターはゲリラ戦術学校の次に作ってよい。非常に重要なスキャン目標が存在せず、3人以上が負傷しているなら本部で医療ボーナスを受けるべきだ。

 

( ・3・)なお全てを完璧に動かしても負ける時は負ける(無慈悲)

翻訳記事:「アグリコラ」–繁殖の空間すら無いゲーム

これは翻訳記事です

2016/11/16 Cheng Lap

 
「アグリコラ」の様な言わずと知れた名作をわざわざ紹介する必要は無い気もするが、名作をどれも紹介しない事にすると原稿の種が無くなってしまうので不要とは知りつつ取り上げてみよう。それに世界にはまだまだこのゲームを遊んだ事の無い人が残っているだろうし、紹介した所で大多数はどうせ遊ばないにせよ、遊べばきっと面白いのだ。少なくとも私は好きだ。そういうわけで一度紹介する事にした。

アグリコラはドイツ製ゲームである。プレイヤーはドイツの農家になり、2〜3個の食料と2人(夫婦を表している)の人間と大きな空き地を持って始める。そして他のプレイヤーと共にそこら中を駆けずり回って天然資源を採取し、家人を養い、土地を耕し、我が身と我が家を整えて天下泰平を目指すのだ。6回目の収穫の後最も点数の高いプレイヤーが勝者になる。

そして忘れてはならないのだが、最初の時点では家の空間は2人が生活するのにやっとの狭さであり、公営住宅よりマシな点と言えば羊や豚をペットとして飼ってもいい事だけだ。

どうして家が狭いのを強調するのかと思うかもしれないが、これが非常に重要な点なのだ。遊べばすぐに分かるだろうが、このゲームでは「家族を増やす」行動が極めて重要である。というのも家族1人はラウンドごとの行動1回を表しており、家族成員が多ければ多いほど点数を上げやすく、少なければ低いままになりやすい。さらに家族の人数そのものも最後に1人3点で計算される。このため多くの人が認める通り、アグリコラとはいかに子孫を増やすかのゲームなのだ。一直線に5人まで増やすべきかはやや疑問の余地があるものの、少なくとも3人目の家族はできるだけ早く生んだ方が有利だという点は誰もが同意するはずだ。

しかしこのゲームでは子供は作りたければ作れるという代物ではない。何か特殊能力を使わない限り、最初の狭い家では「家族を増やす」アクションを使うことすらできず、大人しく他の活動に励むしかない。木を集め、部屋を増設し、家を3部屋なり4部屋なりに拡大して繁殖のための空間を用意して初めて繁殖アクションを使えるのだ。要するに開始時点では「子作り部屋すら無い」という事である。結婚して家を建ててようやく始まるという恐ろしく現実的な仕様だ。もし家を建てやすいゲーム展開になれば出生率は上がるし、何らかの原因で家を建てるのが困難になれば出生率も期待できない事になる。

それにも増して現実的な事に、ゲーム終盤の12〜13ラウンド(14ラウンドが最後)になると「空き部屋がなくても繁殖」というアクションが新たに出てくる。果たして年齢も限度に近づいて焦り始めたのかどうか、生活水準も顧みず、部屋があろうと無かろうと構わず、とにかく子供を生んでしまう。そして生まれて来た子供は自分の寝室すら無く誰かと雑魚寝である。実に悲劇的だが、これでもちゃんと3点になる。

 

しかもこれは人間に限った事ではない。ゲーム中に出てくる他の動物も同じなのだ。羊も牛も豚も、家の中でなく牧場で暮らしているとは言え、その牧場に十分な空間が無ければ繁殖できない。つまり空間が余っていなければ仔牛も生まれて来ない。どうせ生まれて来ても人間に食われるだけにせよ、居住空間が狭すぎると動物ですら子作りの気分にならず何も生まれないのである。

そればかりか植物すらこの運命から逃れられない。このゲームでは土地を耕して畑を作らなければ、作物の種を撒いて育てる事は不可能である。農地が無ければどうなるか? 残念、植物もまた繁殖できない。つまり何もかも土地問題に収斂していく。一見したところ点数を取り合う農業ゲームに見えるが、その本質は繁殖空間争奪ゲームである。人間だろうが動物だろうが植物だろうがみな同じなのだ。

これを遊び終えた時ひとつの真実に気付くだろう。どうして香港や台湾の出生率は一人っ子政策も無いのにこんなに低くなっているのか。政府はもっと子供が生まれれば良いと言うが、一体何をどう生むつもりだ? 部屋が無ければ繁殖アクションすら使えないと知っているか? ボードゲーマーですら気づいている事に税金泥棒どもは目をつぶり、自分は何も間違った事をしていないと嘯いているのだ。

 

原文はこちら:http://www.cup.com.hk/2016/11/16/chenglap-agricola-boardgame/

#44 ぷにぅダイス

5個のダイスを3回まで振って役を作るゲーム。1人〜多人数。
( ・p・)<ヤッツィーの亜種やんけ 言うてくれるな>(・ε・ )


用意するもの

  • 6面ダイス5個
  • 得点表
  • 鉛筆

準備

  • 順番を決める
  • 得点表を配る

手番の流れ

ダイス5個を振る。2回まで振り直しができ(合計3回)、その度にどれを振り直すか自由に選べる。その後得点表のまだ記入していない役を1つ選び、得点失点を記入する。それぞれの役はゲーム中に一度しか選べず、また手番のたびに必ず1つ選ばなくてはいけない。

 

ゲーム終了

全員が8回ずつ手番を行ったらゲーム終了。得点表の得点と失点を合計する。失点が多い場合は得点が減らされる(後述)。最も最終得点の高いプレイヤーの勝ち。

 

得点ルール

役ごとに「当てはまるダイス」が決められている。例えば5sは5の目だけ。それ以外の余剰ダイスの目の合計値が失点になる。例えば55542で5sを選択したら得点15と失点6を記入する。

役一覧

  • 6s:6の目の合計が得点 それ以外の目が失点
  • 5s:5の目の合計が得点 それ以外の目が失点
  • 4s:4の目の合計が得点 それ以外の目が失点
  • 3s:3の目の合計が得点 それ以外の目が失点
  • 2s:2の目の合計が得点 それ以外の目が失点
  • 1s:1の目の合計が得点 それ以外の目が失点
  • チャンス:高い方から3つの目が得点 それ以外の2つが失点
  • カインド:1種類の目を選び、合計に関係なく10点 それ以外の目が失点

失点によるペナルティ

  • 30まで:何もなし
  • 31+:最も得点の高い役1つが取り消され、その得点を失う
  • 41+:最も得点の高い役2つが取り消し
  • 51+:最も得点の高い役3つが取り消し
  • 61+:最も得点の高い役4つが取り消し
  • 71+:最も得点の高い役5つが取り消し
  • 81+:最も得点の高い役6つが取り消し
  • 91+:最も得点の高い役7つが取り消し
  • 101+:全部取り消しで0点

 

( ・3・)<失点を抑えつつ得点を伸ばそう

ゲームマーケットに挑む人向けガイド

ゲーム作ったんでゲムマ出たい!という人向け案内


ゲームマーケットは近頃とみに盛況である。出展者と参加者の両方が増え続けており、新たにボードゲームを作ってみたいという人も多い様だ。そこで簡単な案内を提供する。人によって求める物が違うために「あれをしろ」「これをしろ」という指示は出しにくいので、「何が期待できるか」「何が期待できないか」「何を準備しておくか」という切り口で書いてゆく。

 

何が期待できるか

経験。制作は作って終わりではなく着弾確認まで行ってやっと完了である。完成させ、売って、遊んでもらい、感想を聞く。最後までやり遂げたプロジェクトは途中で放り出したプロジェクトよりも遥かに大きな経験になる。

情熱。制作の成果が誰かを喜ばせる事ができれば、それは次を作る原動力になる。必要とする誰かがいるから手を動かせるのだ。

交友。同業者とか隣接分野の人々と知り合う機会が非常に多い。自分から挨拶に行ってもいいし、誰かが来るのを待ってもよい。

 

何が期待できないか

利益。もし初めてゲームを作ってゲームマーケットに参加し100個を売り切ったら、ベルカーブのかなり右の方にいると考えてよい。中央値付近では印刷費を回収するのがやっとだ。豪華な箱やコンポーネントを入れたらだいぶ足が出るかも知れない。儲けが出るのはそれなりに固定客を掴み、規模のメリットを利用できる様になってからだ。

契約。ゲームを作ったらどこかの会社が見つけて契約してくれる/拾ってくれるというのは殆ど神話である。ライセンス契約をする場合、国外だろうと国内だろうと既に相当売れていなくてはならない。誰も馬の骨に資本を賭けたりしない。

評判。どんなに自信があろうと最初の反応は大した規模にならない。非常に奇抜だったり不謹慎な作品を出せば多くの人がそれについて言及するかも知れないが、それは不審者の写真を大勢で回覧しているのと大して変わらない。人気者とは違う。

要するに人生は1日で好転しない。

 

何を準備しておくか

釣り銭。コインケースに入れて多めに持って行く。半端な値段設定の場合は特に重要。

値段表。売っている物と価格の一覧を1枚の紙にまとめて印刷する。多く用意して配ってもよい。喧騒の中で何がいくらか口頭で伝えるのは悪夢だ。行列を解消するので周囲への配慮にもなる。

名刺。人が訪ねて来て名刺を置いていく事もある。交換できないと少し間が悪い。それに誰の印象に残り誰が連絡して来るか分からないものだ。

ガムテープ。売れ残りを梱包したり案内の紙を貼り付けたり壊れた備品を応急修理したりアポロ13号を地球に帰還させたりする*。

仲間。1人で出るとトイレに行けないぞ。

 

それではビッグサイトであいましょう( ・3・)ノシ

*厳密にはダクトテープ。

Not My Fault! ver.2.0

2〜人用ブラフカードゲーム。伏せた札の合計値を申告して次へ回す。


コンポーネント

  • 進捗カード32枚
    • 0:2枚
    • 1:5枚
    • 2:5枚
    • 3:5枚
    • 4:5枚
    • 5:5枚
    • 6:5枚
  • イエローカード 人数+1枚
  • レッドカード 人数+1枚
  • 進捗ボード(1〜30の数値)

 

ゲームの準備

  • 進捗カードを切って山にする
  • 席順と初手番プレイヤーを決める

 

遊び方

  • 最初のプレイヤーは山から進捗カードを1枚引き、数値を確認してから伏せる。
  • 数値を申告して進捗ボード上で示す。
  • 以後のプレイヤーは、まず前のプレイヤーの申告を信じる(引き継ぎ)か疑う(監査)かを選ぶ。
    • 信じる場合は同様に進捗カードを引いて伏せ、伏せられた全てのカードの合計数を申告する。必ず前のプレイヤーより大きい数を申告すること。
    • 疑う場合は伏せられた全てのカードを表にする。申告以上であれば監査したプレイヤーの負け。未満であれば直前のプレイヤーの負け。
      • 1ラウンド負けるごとに「レッドカード」を1枚受け取る。
      • レッドカード2枚で敗北、ゲーム終了。
  • 5/8/12/17/23/30以外の数値は申告の際に「イエローカード」を1枚取らなくてはいけない。1ラウンドに2枚イエローカードを取るとそのラウンドは負けになり、レッドカードを受け取る。
    • ラウンドが終わったらイエローカードは無くなる。
  • 30を申告したらその場で「完成」を宣言する。伏せられたカードを全て表にし、合計が30以上であれば即座に(ラウンドでなく)ゲームに勝利する。30未満であればレッドカードを1枚取る。
  • 誰かがレッドカードを取ったら1ラウンド終了。進捗を0に戻し、監査/完成を宣言したプレイヤーから次のラウンドが始まる。
  • 誰かが脱落するか完成させればゲーム終了。

 

c⌒っ・p・)っそのうち売ります

 

翻訳記事:「ナショナルエコノミー」–人口は力か重荷か

これは翻訳記事です

香港のニュースサイトで取り上げられたナショナルエコノミーのレビュー記事。
2016/8/10 Cheng Lap

 

「ナショナルエコノミー」–人口は力か重荷か

経済ゲームが好きなプレイヤーはとても多い…まあ大抵はゲームの中で富が増えるのが楽しいからだが。こう言うと些かさもしい様に思えるが、そもそもそれが経済ゲーム人気の衰えない主な理由でもある。

ただし我々が目にする多くの経済ゲームは「雪だるま式」の経済だ。要するに、人口が多ければ多いほど生産力が伸びるし、生産力が伸びれば経済力もうなぎ上りというわけだ。

経済が好調なら人口ももっと増える。これは問題ない。では人が増えれば生産力が伸びて経済がもっと良くなるか? これはちょっと問題だ。というのも政府の人間はしょっちゅうこう言う。人口が増えれば生産力が増え、市場が大きくなり、とにかく人が多ければ多いほどいい。数は素晴らしい。だが忘れてはならない、たとえ政府高官だろうと原因と結果を取り違えるのはいつもの事だ。ある国の人口が多く、「うちの国は上手く行っている」と叫ぶのが仕事の高官がいて、彼が人口が多いのは素晴らしいと言っているとしよう。この場合本当に人口が多いのは良い事なのか? 彼自身も本当は知らないのだ。

大抵のゲームもこの調子だ。アグリコラだろうとストーンエイジだろうとエイジオブエンパイアだろうと、人口は多ければ多いほどいい。ただしこの「ナショナルエコノミー」というゲームだけは完全に別だ。

このゲームは一見すると簡略版アグリコラの様だ。多分デザイナーも参考にしたのだろう。最初は2人のワーカーで始まり、典型的なワーカープレイスメントの流れで、各プレイヤーが毎回1つ職場を使う。開始時に存在するのは基本職場だけで、鉱山(カードを引く)、大工(カードを出す)、学校(ワーカーを増やす)、これで終わりだ。もしアグリコラを遊んだ事があればこう思うだろう。ワーカーを増やす前にまず家を建てなきゃいけないんだよな? どういう前提条件が必要なんだ?

答えは「何もなし」だ。増やしたければ増やせ。実際このゲームのワーカーはモリモリ増える。中盤になると一度に2人とか3人増やす事すら可能だ。ワーカー1人は行動1回だから、増えれば増えるほど生産力もGDPも自然と大幅に上がる。始めたばかりの頃はこれがものすごく得に思える。何しろあっちのプレイヤーは2人しかワーカーがいないのにこっちは3人で、カードだって沢山引けるのだ。違うか?

この発想で行くと3人と言わず13億人ぐらいまでワーカーを増やしたくなるかも知れない。だが申し訳ない、社宅を建てない場合5人が限度だ。それにそもそも、実際に遊んだら5人にだって増やしたくないと思えるだろう。

なぜならこのゲームのワーカーは飯を食う、じゃなかった、給料を持っていくからだ。まあ運用上飯を食うのとそれほど違いは無いのだが。ゲーム開始時には各ワーカーは2ドルの給料を要求する。ワーカーが増えればそれだけ給料の支払いも増える。もし給料が払えるだけの金が無ければ自分の建物を売らなければならないし、売ってもまだ足りなければ高利貸しに泣きついて1ドル借りるごとに3ドル返す羽目になる。そういうわけで毎ラウンドきっちり給料を払える様にしておきたいのだ。

給料を払うためには金を稼がなくてはならないだろう。となるとこう思うはずだ。だったらワーカーに金を稼いで来させればいいじゃないか、それでそいつ自身の給料を賄ったらいいんじゃないか? 例えばストーンエイジでも狩人は自分が食べる分を狩った上に余剰食料も持ち帰ってくれる。ゲームってどれもそういうものだろう? ところがこのゲームは違うのだ。

というのもこのゲームでは、ワーカーは直接金を稼ぐ事ができない。彼らは製品を作るか、建物を作るかで、直接金を生み出す事はできないのだ。なので手元の金はあっという間に給料に消えてしまう。現物支給は? 駄目だ。ワーカーを使って製品を市場で売って金を作るしかない。ところが市場がまた有限だ。つまり、市場に存在する金が有限で、製品を売るのも早い者勝ちなのだ。誰かが内需市場の金を全て持ち去ってしまったら、いくら手元に製品があっても売る事のできない不良在庫と化す。例えば1万本のスプーンを作っても内需が1000本分しか無かったら9000本は使い道のないゴミという具合である。

そういうことだ。現実世界における生産力・生産量崇拝者の一味はこのゲームでは大いに苦しむ。売る先の無い生産力はただただ無駄になり金に変わらないのである。

内需市場が尽きる? でもそれでも給料は払わなくてはいけない。どうすればいいんだ? 心配無用、市場には金が補充されて来る。人口が多いと市場が多いという話を覚えているかな? 実はこれはある程度正しい。なぜならこのゲームでは、プレイヤーの払った給料が全て市場へと流れていくからだ。言い換えると、プレイヤーは自分のワーカーに給料を払い、彼らが製品を買える様にしているのだ。同じ金が不断に流動していく。これこそがこのゲームの最も優れた点だ。よく政府高官が経済が不調だ消費が弱いとこぼし、それと同時に賃金を下げて「競争力」を上げろと要求するが、彼らはこのゲームを遊んだ事が無いに違いない。消費する金は元を正せば稼いだ金であって、労働者に可処分所得が無ければ企業だって内需市場の恩恵を受けられないのだ。

ただし大前提としてまず給料が払えるだけの金がプレイヤーに無くてはいけない。そうでなければ市場に流す事も不可能だ。しかもこのゲームの金は徐々にインフレで価値が下がる…というかワーカーの給料が徐々に上がっていく。どんなに人を増やしても給料を払えなかったら人口イコール市場とは言えない。2ドル給料を払ったら2ドルの市場が生まれ、4ドルなら4ドル、8ドルなら8ドル。2ドルの給料を払ったら8ドルの市場が生まれるという事は絶対にあり得ないのだ。このゲームを遊んだら金というのは同一のものが流動しているのであって無から生まれるのではないと分かるだろう。

ではどうやって市場に出回る金を増やせばいいのだろうか? 外資である。このゲームではプレイヤーが作った建物は全て外国人投資家に売り払える。そして建物という資産に応じて金を払ってくれる。この金は市場の外から出てくる。そしてその金はまた市場へと流れ込み、売り払った建物は公共建築と化して誰でも使える様になる。

ゲームの最後に全ての資産の売値を合計したものが勝利点になる。人口を増やしたければ好きに増やせばいいが、他のゲームと違って一部の建物の効果を除き人口は全く点数にならない。それどころか、製品を作って売る事ができないのであればワーカーどもは全くの重荷である。無駄に人口が多くとも点数や生産力が伸びないばかりか、巨大な消耗と化して経済を食いつぶし、富の集積を全く不可能にしてしまう。もし毛主席がこのゲームを遊んだらワーカーを7人まで増やすだろう……そして勝利点がゼロかマイナスで終わるはずだ。

人が少なすぎれば利潤を最大化できない。しかし人が多すぎれば今度は利潤を食いつぶしてしまう。本当に必要なのは人口と経済のバランスの取れた発展だ。初見プレイヤーの多くは他のゲームと同様に人を無闇に増やし、そして手痛い教訓を得るだろう。

最初はワーカー増加による生産力が非常に魅力的に見える。そして皆が落とし穴にはまる。そしてゲーム中盤から後半になってワーカーが重荷になり始めた時こう聞く。人を減らす方法は無いのか? 答えは「無い」だ。家族計画も、自然災害も、大飢饉も、大粛清も、大虐殺も文化大革命もここには無い。一度人口を増やしたらずっと養わなくてはいけないのだ。経済発展がそれに追いつかなければ、人口が負債になるとはどういう事か身にしみて理解できるだろう。

本作は貨幣経済の概念を表現した数少ないゲームのひとつと言えよう。いつか誰かが人口が多ければ生産力も市場も大きくなると言い出したらこのゲームを勧めてやるといい。すぐに過ちに気付くはずだ。

 

原文はこちら:http://www.cup.com.hk/2016/08/10/chenglap-national-economy-board-game/

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#43 宝探し

「A4の紙1枚に収まるダイス2個の1人用ゲームを作れ」という課題に対応して即席に拵えたもの。


用意するもの

  • 鉛筆
  • 6面ダイス2個

準備

紙に次の様に書く。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

黄金のスカラベ(5個)

ファラオの仮面(7個)

水晶のドクロ(9個)

不死の膏薬(4個連続する数字)

若返りの泉(6個連続する数字)

 

ゲームの流れ

プレイヤーは冒険家になって宝探しに出かける。一度出かけたら未発見の宝物を1つ持ち帰るか、諦めて途中で帰って来る。全ての宝物を集めれば勝ち。その前に3回失敗したら負け。

 

遊びかた

  • ダイスを2個振る。
  • 出た目のいずれかの数字か、両方か、または2つを合計した数字を選び、紙に書かれた数字の下にチェックマークを付ける。
    • 例えば3と4が出たら「3」「4」「3と4」「7」のどれかを選んでチェック。
  • これを繰り返して、十分に多くの数字にチェックが付いたら宝物を持ち帰れる。
    • 例えば5つの数字にチェックが付いたら「黄金のスカラベ」を持ち帰ってよい。
    • もっと良い宝物を求めて冒険を続けてもよい。ただし1回の冒険で持ち帰れる宝物は1つだけである。
  • 同じ数字を2回チェックしてはいけない。ダイスを振ってチェックできる数字が無かったら、その冒険は失敗する。
    • 2度チェックした数字の上にバツ印を付けて封印する。ゲームの終わりまでその数字をチェックすることはできない。
    • ただし「不死の膏薬」か「若返りの泉」を手に入れた時、バツ印を1つ取り消すことができる。
  • 上手く行くと思えなかったらダイスを振る前に諦めて帰ってもよい。その場合、好きな数字を1つ選んでバツ印を付ける。
  • 宝物を持ち帰るか、失敗するか、諦めたらその冒険は終わり。数字に付けたチェックマークを全て横線で消す。
  • 持ち帰った宝物にはチェックマークを付ける。同じ宝物は1度しか持ち帰れない。
  • 以上の流れで繰り返し冒険に出かける。
  • 全ての宝物を持ち帰ったら勝利。
  • その前にバツ印が3つ付いたら敗北。

 

( ・p・)<どうやって泉を持ち帰るんだよ (・ε・;)

魔法の論理的演繹

どうしてフィクション内の魔法が合理的でなくてはならないかの考察


ゲームなり創作物語なりを拵え、作品世界に魔法を存在させたとしよう。火の玉を作るとかネズミに変身するとか宿敵に納豆の匂いを全身から発させるといった便利な現実湾曲メソッドである。するとどこからともなく合理性の番人が現れて文句を付け始める。「この魔法は熱力学の第一法則を破っているぞ!」「変身中の声帯で人間の言語を使えるのはおかしい」「皮膚常在菌が納豆菌の繁殖を抑えるのでは?」といった調子だ。

ううむ、どういう事だろう? そもそも魔法には物理法則をねじ曲げる事が期待されているのではないか? 合理性の番人は物語に不合理な期待を抱いていてすべてが現実世界と同じでなければ気が済まないのか?

そうではない。こうした苦情には実は理がある。本質的な問題は現実を湾曲する事でなく、湾曲の帰結を十分に掘り下げていない事なのだ。

 

物を空中に持ち上げる魔法があったとしよう。その過程で獲得する位置エネルギーと同等以上のエネルギーを外部から供給してやる必要が無いとすれば、それはエネルギー保存則を破っている。そしてエネルギー保存則を破る方法が作品内に存在すると、当然次の様な疑問を惹起する。「どうしてこの人達は永久機関を作って粉挽きを楽にしないんだろう?」記録に残っている範囲でも永久機関を作る試みは13世紀から存在するし、粉挽きは人力でやると相当な重労働だ。

もしその世界の住民が我々の知る意味での生物であり、楽な栄養源を無意味な重労働よりも好むとすれば、永久機関文明を築いていない事についてそれなりに筋の通った説明が必要である。それは「魔法を使いすぎると環境中のマナが汚染される」でもいいし、「ラッダイト運動が激しく自動化はギルドからの執拗な妨害に遭う」でも構わない。またゲド戦記の様に魔法を使って目の前の問題を解決する事が本質的な改善に繋がらないと示唆するのでもよい。とにかくその世界の住人が馬鹿でない事を示すべきなのだ。登場人物の一部でなく全部が馬鹿だとすれば、それは真剣な感情の投入を妨げる理由にしかならない。

 

物理法則を曲げる魔法の論理的帰結を徹底的に描いたらどうなるだろうか? 永久機関文明の出現に伴い生産のボトルネックが情報や天然資源に移行し、経済構造の激変とそれに伴う政治体制の変化を迎え、我々の知る歴史とは全く異なる技術史を構成するかも知れない。あるいは「魔法でパンを生成する事は可能だがそれは必ず他人の食卓に供さなくてはならず、自分自身のためにパンを出す事は許されない」という魔術版インセストタブーによって濫用が戒められ冷たい社会を保つかも知れない。

こうした演繹無しにアドホックに魔法が導入された場合、社会体制や習慣や他の風景との整合性を取るために物理法則に従う事が要請されるのである。登場人物がネズミに化けるのは少しも問題ではない。ネズミを見ても「誰かが変身しているのかも知れない」と疑わない事が問題なのだ。