魔法の論理的演繹

どうしてフィクション内の魔法が合理的でなくてはならないかの考察


ゲームなり創作物語なりを拵え、作品世界に魔法を存在させたとしよう。火の玉を作るとかネズミに変身するとか宿敵に納豆の匂いを全身から発させるといった便利な現実湾曲メソッドである。するとどこからともなく合理性の番人が現れて文句を付け始める。「この魔法は熱力学の第一法則を破っているぞ!」「変身中の声帯で人間の言語を使えるのはおかしい」「皮膚常在菌が納豆菌の繁殖を抑えるのでは?」といった調子だ。

ううむ、どういう事だろう? そもそも魔法には物理法則をねじ曲げる事が期待されているのではないか? 合理性の番人は物語に不合理な期待を抱いていてすべてが現実世界と同じでなければ気が済まないのか?

そうではない。こうした苦情には実は理がある。本質的な問題は現実を湾曲する事でなく、湾曲の帰結を十分に掘り下げていない事なのだ。

 

物を空中に持ち上げる魔法があったとしよう。その過程で獲得する位置エネルギーと同等以上のエネルギーを外部から供給してやる必要が無いとすれば、それはエネルギー保存則を破っている。そしてエネルギー保存則を破る方法が作品内に存在すると、当然次の様な疑問を惹起する。「どうしてこの人達は永久機関を作って粉挽きを楽にしないんだろう?」記録に残っている範囲でも永久機関を作る試みは13世紀から存在するし、粉挽きは人力でやると相当な重労働だ。

もしその世界の住民が我々の知る意味での生物であり、楽な栄養源を無意味な重労働よりも好むとすれば、永久機関文明を築いていない事についてそれなりに筋の通った説明が必要である。それは「魔法を使いすぎると環境中のマナが汚染される」でもいいし、「ラッダイト運動が激しく自動化はギルドからの執拗な妨害に遭う」でも構わない。またゲド戦記の様に魔法を使って目の前の問題を解決する事が本質的な改善に繋がらないと示唆するのでもよい。とにかくその世界の住人が馬鹿でない事を示すべきなのだ。登場人物の一部でなく全部が馬鹿だとすれば、それは真剣な感情の投入を妨げる理由にしかならない。

 

物理法則を曲げる魔法の論理的帰結を徹底的に描いたらどうなるだろうか? 永久機関文明の出現に伴い生産のボトルネックが情報や天然資源に移行し、経済構造の激変とそれに伴う政治体制の変化を迎え、我々の知る歴史とは全く異なる技術史を構成するかも知れない。あるいは「魔法でパンを生成する事は可能だがそれは必ず他人の食卓に供さなくてはならず、自分自身のためにパンを出す事は許されない」という魔術版インセストタブーによって濫用が戒められ冷たい社会を保つかも知れない。

こうした演繹無しにアドホックに魔法が導入された場合、社会体制や習慣や他の風景との整合性を取るために物理法則に従う事が要請されるのである。登場人物がネズミに化けるのは少しも問題ではない。ネズミを見ても「誰かが変身しているのかも知れない」と疑わない事が問題なのだ。

パラドクスいろいろ

( ・3・)あたまのたいそう(・q・ )


 

ヴェブレン財のパラドクス

貴重である以外に実用上の価値が無く、経済力を衒示するための商品をヴェブレン財と呼ぶ。要するに「俺はこれが買えるぐらい金持ちだぞ!」と見せびらかす貴重品である。名刺と一緒に預金通帳を持ち歩いて会う人全てに見せるより貴金属のアクセサリを身につけている方が楽に同じ目的を達成できる。

ところが金持ちの度合いがある段階に達し、全ての人が知っているほどの名士になるとそうした衒示は必要がなくなる。ヴェブレン財を持っていようがいまいが金持ちであると知れ渡っているからである。カダフィ大佐が外国滞在時にテントに泊まっていても「あの人ホテルも取れないぐらい貧乏なのかしら?」と思われたりはしない。

それどころか、むしろヴェブレン財を買わないことによって「ヴェブレン財を買って経済力を衒示する必要がないほど知れ渡った金持ちである」ということを衒示できる。つまりヴェブレン財の不在というヴェブレン財が理論上生じうる。非常に成功したビジネスパーソンなのに質素な格好をしていると精神的にも豊かに見える。

言うまでもなくこの理屈は無限に入れ子にできる。つまり金持ちである事が知れ渡った名士のクラブで1人だけ成金の様な格好をしていれば「ヴェブレン財を買わない事によってヴェブレン財を買う必要がないほど金持ちである事が知れ渡っている事を衒示する必要がないほどの名士である」という衒示ができる。という事はその中であえてヴェブレン財を買わない事によって……

 

安全装置のパラドクス

事故を減らすために非常に感度の高い自動安全停止装置を導入すると、始終誤動作して業務の妨げになった挙句現場の判断で勝手にスイッチを切られるので却って安全性が低下する。同様の理屈で煩雑な確認手順が徐々に省略されたり、長いパスワードが紙に書きとめられて漏洩したり、それ自体が問題を起こすウイルス対策ソフトがアンインストールされたりする。

これらの事象は安全の為のコストが便益を上回っている場合に生ずると考えられる。ここから「コストを度外視して安全を追求する場合でもコストを度外視できない」という第二のパラドクスが導かれる。

 

悲劇のパラドクス

古典的作劇手法において、破滅は破滅を防ぐ努力によって引き起こされる。巫女の予言に従って子供を殺そうとしたら逃れて暗殺者になったり、小惑星を叩き割ったら破片が地球に落ちたり、タイムマシンで過去の事故を防ぎに行ったらタイムマシン自体が事故原因だったりするのだ。

これは物語に説得力を持たせる試みの帰結であると考えられる。読者を納得させるには登場人物が危機を防ぐために最大限の努力をせねばならない(さもなくば間抜けの自滅で終わる)。ハッピーエンドであれば「破滅が防がれた」という結果を以て努力の証にできるが、破局で終わる場合は「努力が不十分だったのではないか」という疑念が生じてしまう。そこで破滅を防ぐ努力をすればするほど破滅に近づく構造を導入しておくと、破局を迎えたというまさにその結末によって充分な努力が行われたと示せる。

従って歴史が充分に皮肉に富んでいれば、AIによる人類の滅亡はAIが反乱を起こそうとしていると勘違いした人間が機械を叩き壊してしまったせいで生活が立ち行かなくなるという経緯を辿るはずである。

 

冤罪のパラドクス

問1:ある人が財布を盗んだ嫌疑で逮捕された。この町の警吏は3回に2回は真犯人を捕まえる事で知られ、あとの1回は間違って無関係の人を捕まえてしまう。またこの町の泥棒は3回に1回は捕まる前に盗んだものを隠しおおせる。身辺を捜査したが盗まれた財布は出て来なかった。この人が有罪である確率はいくらか?

問2:今度は警吏が邪悪である。3回に2回は真犯人を捕まえるがあとの1回はそうと知りつつ無辜の人を捕まえて来る。しかもその場合は2回に1回の割合で証拠品を捏造し被疑者の周辺から「発見」する。それ以外は問1と同じ条件だとして、この人が有罪である確率はいくらか?

問3:警吏が輪をかけて邪悪である。無辜の人を捕まえた場合は常に証拠品を捏造する。それ以外の条件は問2と同じだとして、この人が有罪である確率はいくらか?

 

答1:40%

答2:約57.14% (4/7)

答3:100%有罪である!

 

( ・p・)<え、なんで捏造してる方が有罪の可能性高いん? (・ε・ )

 

解説

冤罪云々は一旦忘れて問題を次の様に変形してみよう。

  • 箱A・B・Cがある
  • 箱Aには白玉が6個入っている
  • 箱BとCにはそれぞれ白玉が2個、黒玉が4個入っている
  • 箱は外側からは見分けが付かない
  • 無作為に箱を1つ選び中の玉を1つ無作為に取ったら白玉だった
  • 手を突っ込んだのが箱BまたはCである確率はいくらか?

4/10 = 40%である。3つの箱に18個の玉が入っており、引く確率は全て1/18ずつで同じである。白玉10個のうち6個は箱Aに入っており、残り4個はBとCに入っている。よって箱Aからそれを引いた確率が6/10、BまたはCが4/10。

  • 箱Aの中身が白玉3個と黒玉3個だった場合はどうか?

4/7 = 約57.14%である。今度は白玉が合計で7個しかない(Aに3個、Bに2個、Cに2個)。Aからそれを引いた確率が3/7、BまたはCが4/7。

  • 箱Aの中身が黒玉6個ならばどうか?

4/4 = 100%である。白玉はBとCの箱にしか入っていない!

 

要するにこの問題は事後確率を求めるものである。箱BかCを選ぶ確率は2/3だが、「白玉を引いた」という情報を考慮に入れるとそれより下がる。箱Aの内容分布がBCに近づくに連れてこの情報は影響が薄くなり、AにもBCと同じく白玉2個と黒玉4個が入っている場合には引いた玉の色が全く確率に影響しない。この場合は最初に箱BCを選ぶ確率と同じ2/3が答えになる。箱Aの白玉の割合がBCよりも少なくなると、今度は情報の影響が反転してむしろBCの確率を高める。例えば箱Aが白玉1個黒玉5個であれば4/5が答えである。

先の問題が直感に反しているのは、真犯人が財布を隠しおおせた場合には警吏が証拠を捏造しないという非現実的な前提が含まれているせいである。証拠品が見つからない場合に常に同じ割合で捏造するのであれば有罪確率には影響しない(問3は0/0で定義不能になってしまうが)。

 

( ・p・)<ぱらどっくす 体操になったかな?>(・ε・ )

EU4 琉球世界征服計画

をv1.14 拡張全部入り


 

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ゲームファンのみんなご機嫌よう。今日はEuropa Universalis 4の初心者向け攻略記事として琉球による世界征服をしてみよう。このゲームの舞台は1444年から1821年。おおよそ大航海時代の始まりからナポレオンの死までだ。この激動の時代にスペイン、ポルトガル、イギリス、フランス、オーストリア、オスマンといった名高い帝国たちが覇を競う。その中で琉球帝国というのはどれぐらいの位置づけかと言うと……このゲームでは開発度という指数が大体人口と同義であり、明や全盛期のロシアで1000ぐらい、イングランドやカスティーリャなどの中堅王国で300程度、ポルトガルなどの小国で100ぐらいだ。これに対し琉球は5である。そう、5だ。これで全世界を征服しようというのは要するに戦闘力5のおっさんでベジータとフリーザとセルを倒して銀河を統一する様なもんであり、頑張ればまあ不可能ではないといった所だな。

 

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ちなみに琉球は開始時の君主も全能力1の屑であり、宗教は何のいい所も無いアニミズム、おまけに中国グループなので技術開発コストも60%増えている。それでは始めよう!

 

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最初に挑戦すべき課題は、琉球の二大弱点と言える宗教と技術グループを変更する事だ。このゲームでは宗教ごとに能力やボーナスが異なり、国力が増えて跡継ぎも生まれやすくなるイスラム、同君連合という超強力な外交ツールが使えるキリスト教、戦闘力の上がる神道、多神教ならではの守護神切り替えで状況に対処できるヒンズーなどそれぞれに強みを持っている。その中でアニミズムやシャーマニズムなどの原始宗教はちょっと反乱が起きにくくなるだけで殆どメリットの無い産廃だ。このゲームがヨーロッパに近いほどあらゆる物が強いというバランスなのでしょうがないのだが、世界に伍して戦うには我々も世界宗教に鞍替えしなくてはならん。

 

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そこでまずはイスラムのスンニ派に改宗しよう。具体的には、輸送船を7隻揃えてから1450年までじっと待つ。するとある程度ランダムな期間の後にスールー王国という島国が生成される。こいつは1州しかないスンニ派の国で生成時の兵力はわずか5000、そして誰とも同盟関係に無い。これなら人類のクソザコナメクジこと琉球ですら征服するチャンスがあるわけだ。言うまでもなく放っておくとすぐに隣のブルネイやクタイ王国に吸収されてしまうので急がなくてはいかんぞ。

 

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兵力を揃えていざ開戦!このゲームは戦争を始めるにもそれなりの口実が必要であり、土地への請求権とか貿易上の衝突とか何かしら大義名分をこさえないと安定度が下がってしまうのだが、そんな事をしている間に先を越されては敵わんので何の理由も無しに殴りかかる。逆に考えるんだ。罰符を払えば反則してもいいと考えるんだよ。

 

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数の暴力で上陸戦を制し島を占領!ただし遠すぎて直轄領にする事ができないので我々の属国にしてしまおう。ついでに金もむしる。

 

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ではここで、このゲームの重要な仕組みである中核化について説明しておこう。土地は奪っただけでは駄目で、役人を送り込んで統治できる様にしなくてはならん。この作業を中核化というのだが、中核化できるのは本国と地続きか、あるいは船で安全に行き来できる距離の土地に限られる。この距離が最初はクッソ短くせいぜい台湾ぐらいまでだ。仕方ないので今は属国化という形で間接統治しているわけだ。

 

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スールー島を中核化する為にはもう少し技術を進めなくてはいかん。幸い我が王国も代替わりして5/3/1という平均的能力の娘が跡を継いだ。徳川くんようやくまともな君主が出てきたぞ。それぞれの国は君主の能力に応じて君主点というパワーが毎月貯まっていく。これは宮廷における知的労働を抽象化したもので、土地を中核化したり技術を開発するのに必要だ。このゲームには科学税率とか研究投資みたいな概念は無く、技術水準は君主個人の能力でだいたい決まる。

 

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レベル5の管理技術を開発するとアイディアというものが解禁される。これは国をどんな方向に導くか決めて特殊能力を獲得するものだ。我々は「探索」という未知の世界に植民地を作りまくるアイディアを採用し、中核化可能な距離を1.5倍に伸ばした。

 

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するとスールーを併合できる様になった。属国化してから10年以上経ち、関係が非常に良く、中核化できる範囲内にあれば自分の国として吸収できるのである。

 

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これで琉球は1州から2州に増え、住民の宗教はアニミズムとスンニ派が半々という状態になった。そこでスールー島に宣教師を送り込んでアニミズムに改宗させようと試みると、ムスリム達が怒ってふざけんなてめえが改宗しろと要求してくる。これをおとなしく呑む事で我々は晴れてスンニ派を国教として制定できるのだ!後は沖縄の原始人どもをクルアーン漬けにすれば宗教対立は無くなりめでたしめでたし。なお併合すると同時に隣のクタイ王国が攻め込んで来てスールー島と金を分捕られたが改宗はできたのでまあ良しとする。

 

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それでは宗教問題が片付いたので空き地への入植を始めよう。このゲームでは空き地に新しい都市を作るのがけっこう面倒くさい。まず探索か拡張アイディアを取って入植者という専門家を利用可能にする。次に入植者を空き地に送り込んで植民地を作らせる。植民地は半人前の都市で毎月2ダカットちょっとの維持費がかかる。これは琉球の収入の110%に相当する。さらに空き地は完全な空き地ではなく未開人が住んでおり、たまに吹き矢を持って襲いかかって来るので軍隊を派遣してやらなくてはいかん。その様にして6年ぐらい耐えるとようやく都市として一本立ちするのだ。あ^〜めんどくせ。

 

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また入植の際は他の国に近付き過ぎない様に注意しなくてはならん。このゲームのAIは理由も無しに殴りかかって来たりはしないが、境界の近くに領土を持っているとそれを自分の物だと考えて襲いかかる。要するに居合の達人みたいなもので、間合いに入らない限りは安全だがそこから一歩でも踏み込むと真っ二つにされる。隣接する州および共通の海域に接する州は全てアウトなので注意しよう。

 

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探索アイディアを深めることで入植者が2人に増えた。しかし2つの植民地を支えるだけの税収基盤が無く借金財政に突入。社会の上部構造ばっかりじゃなく下部構造も頑張ってくれよ。

 

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入植者の通勤時間短縮のため首都を東南アジアに移す。琉球王国。スンニ派。首都マナド。これもうインドネシアやんけ!

 

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東西ティモールを確保したら経済力がだいぶ膨らんだ。今度はここから喜望峰を目指しインド洋へと針路を向ける。西向くんだよ90度!そして西ティモールからココス島へと渡りたいのだが、その為には入植範囲を伸ばす航海士という顧問が必要だ。どの種類の顧問が出るかはランダムで、金を払えば新しいのを引ける。というわけで金の続く限りガチャを回してみたが結局出なかったので仕方なくクリスマス諸島へ入植する。思う様に行かんのが人生、そして歴史というものだろうな。

 

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さて二代目の凡人女王が死に跡を継いだ三代目は2/6/4となかなかの秀才だ。このゲームの君主能力は最低が0で最高が6、平均は3だ。合計能力12は満足すべき水準だしこれなら軍事技術も伸ばせそうである。

 

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というわけで近くの弱そうな国を虐めて金と土地を奪う事にしよう。ティドレ処分じゃおんどりゃ!

 

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西方入植も順調である。ディエゴガルシアからモーリシャスを経由して喜望峰へ。この世界には先住民が大人しくて入植しやすいスイートスポットが点在しており、ポルトガルがアジアに来る時の足がかりとして機能するのだが、我々はそれを逆に辿って西方世界を目指すのである。

 

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ところで目を離している隙に日本が悲惨な事になっていた。西半分を朝鮮に、東半分を上杉家に分捕られて滅亡寸前になる足利将軍の屑。一休この状況を何とかせい!

 

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さて琉球が一方的にライバル視しているアユタヤ王国が第三者との戦争で壊滅状態に陥ったという知らせが入った。そこでまずアユタヤの農民一揆に金を渡して支援する。

 

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すると罪なき農民から年貢を絞るとは許せん!助太刀いたす!という開戦理由が使えるようになるので早速宣戦。農民は放置し軍隊がいないのをいい事に首都を制圧する。

 

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そして金をむしり取り向こうの君主に股をくぐらせる。このゲームはライバルを凹ませると君主点が増えるという仕組みがあり、時々こうして意味もなく戦争をふっかけて威張りくさる事で部下がやる気を出して国が発展するのだ。

 

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さて西方入植も順調に進みセントヘレナ島がそろそろ一本立ちする。そこで対岸のブラジルにいる先住民国家にお前は原始的だという理由で戦争をふっかけ土地と金をむしる。これで我々はスペイン人と隣同士になり、西洋化改革運動を始められる。即ち我々の技術グループを中国から西欧に変更し研究速度を大幅に向上させるのだ!

 

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用済みになった先住民の土地は隣の先住民に買い取ってもらおう。これぞ以夷制夷。

 

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西洋化の完了には10年ぐらいかかる。その間に外交包囲網を駆使して近くの国を切り取っておこう。時には反動勢力が蜂起する事もあるが武力で鎮圧。

 

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目の上のタンコブであったクタイ王国をだいぶ小さくしてやった。なおこれらの土地をいきなり直轄化すると過剰拡大ペナルティにより国内に問題が起きるので、まずブルネイ王国を復活させ我々の属国にする。そしてこの新しい土地を属国に預けておき、10年後に併合すれば問題は起きにくい。

 

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そうこうする内に西洋化完了。技術コストが大幅に安くなったぞ!最強になった記念に先住民貯金箱をどんどん叩いていこう。

 

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アメリカ先住民は内政効率が高くやたら金を溜め込んでいる。その一方技術開発コストは+250%という絶望的な水準なのでとにかく弱い。叩くとコインの出るハテナブロックみたいな存在だ。

 

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技術グループが西欧であれば、拡張アイディアによって「お前はアジア人だ!」という開戦理由が使える様になる。恐らくはイギリスやオランダの東方進出を再現する為のシステムなのだろうが、西洋化したアジア人が使うと歯止めがかからなくなる。弱い国から順番に切り取ってどんどん膨らんでいこう。おいらは西洋文明お前らは違う♪

 

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さて朝鮮と上杉に挟まれて滅亡しかかっていた日本だが、上杉家が新たな将軍に就任する事で復活を果たした模様。見事なとんちに足利元将軍も地獄で苦笑い。そして明が中華人民共和国ぐらいのサイズになっているんだがそれは大丈夫なんですかね。

 

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停戦期間が過ぎたのでクタイ王国に再侵攻。完全に消滅させ1世紀前の雪辱を果たす。

ベンガルがデリーとの戦争に忙しい様なので横から殴って金をむしる。弱い奴を容赦なく叩きのめすアジア的残酷さと潜在的ライバルを機に乗じて弱めておくヨーロッパ的陰湿さが融合したすごくいやらしい文明だよ。

 

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ベネズエラあたりに橋頭堡を築いたのでアステカ文明に喧嘩を売る。技術差があるしまあなんとかなるやろと思っていたらボコボコにやられたので謝って許してもらう。数の差がちょっときつかったね…

 

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入植者は東南アジアの空き地を埋めるかたわら南アフリカも確保している。ここは首都と違う大陸なのでほとんど税収が得られないのだが、塞いでおくとヨーロッパ人がアジアにやって来れなくなるのだ。機に乗じて隣のムタパ王国も倒す。じわじわ北上して領土を広げよう。

 

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東南アジアは大体埋まり、ブルネイは属国、パサイは同盟国だ。残るマジャパイトを叩き潰しに行こう。

 

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奴らはそれなりの軍事力を有していたがうっかり島嶼部に上陸したのが運の尽き。艦隊で包囲して閉じ込めてしまった。お前ら陸軍に比べて海軍が貧弱すぎるだろ。制圧完了。保護国にする。保護国は属国と違い併合できないが、貿易の取り分を召し上げることができる。これでモルッカ諸島の貿易は我々が制した!

 

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ブルネイ吸収完了!ただし住民はヒンズー教徒なので宣教師を送って悔い改めさせねばならん。

 

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宣教師は基本的に1国につき1人なので改宗はゆっくりとしか進まない。そこで同じスンニ派の国を襲って領土を奪うことで宗教上の問題を避けることにした。

 

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今度は東回りでメキシコに到達。アステカ文明にリターンマッチを挑む。前回はアステカとその属国どもをまとめて相手にしたから失敗したのだ。属国が離反しているこのタイミングなら各個撃破できる。アステカ人はナワトルという宗教を信奉しており、ひたすら戦争をして生贄を捧げ続けないと太陽が昇らなくなって国が破滅する。その無間地獄から逃れるためには5つの国を属国にしてからそれら全てを離反させるという作業を5回やらなくてはいかん。言うまでもなくその前にヨーロッパ人とか琉球人がやって来て植民地をこさえるのでアステカには二度と太陽が昇ることは無い。

 

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メキシコは一休みして他を殴りに行く。北米とカムチャッカでおやつをつまんだ後、満州地方の遊牧民を完全制圧し属国化する。属国と保護国のどちらになるかは技術グループで決まる。中国グループやインドグループは保護国に、遊牧民やムスリムやヨーロッパは属国になる。

 

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メキシコ殴り再開。先に海岸線を制圧しておくと後の兵站が楽だ。ここを起点にしてインカも殴る。

 

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さて、メキシコに中核州が5つ出来たので植民地国家が誕生した。その名もリューキュアン・メキシコ。これも従属国の一種で併合はできないが戦争に援軍を出してくれる。そして同じ地域で土地を獲得すると自動で全部こいつに流れるのだ。一見損に思えるかもしれないが、中核化を肩代わりしてくれると考えればなかなか便利だ。全力で征服を続けると土地が多すぎて統治の手が回らんのである。

 

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リューキュアン・コロンビアも成立。先住民の土地をどんどん食わせて膨らまそう。給食の嫌いなおかずを代わりに食べてくれる男子みたいなもんですね。

 

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コロンビアと言い条それ以外の地域を領有することも別に禁止されていないのでメキシコを分担させる。リューキュアンコロンビアメキシコというよくわからん地域が出来上がった。

 

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遊牧民は雑魚ばかりなのでどんどん征服。オイラトを完全制圧し、属国のホルチンにその土地を与える。地続きであれば従属国に自由に土地を配れるのだ。中核化作業とそれに伴う国内問題は臣下に肩代わりさせ全てが済んだところで併合する。

 

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続いてウズベクも制圧。今やモスクワ大公国すら目と鼻の先だ。日本が関ヶ原の戦いを迎える頃、琉球はアジアの3分の1を支配していた。ここ試験に出るからな。

 

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用済みになった同盟国パサイも飲み込む。君はいい友人だったがマラッカの港が素晴らしすぎるのがいけないのだよ。大きすぎて1回の戦争で飲み込めないので主要部分だけ奪いマラッカ王国を保護国として設立する。当然貿易は全部召し上げるぞ。

 

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1611年、ホルチンを併合し満州の覇者となった琉球。過熱した架空戦記は危険な領域に突入する。

 

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貧乏!腹立つ!ソマリアを殴る!貧乏!腹立つ!メキシコを殴る!世界各地をローテーションで殴り続けた結果、見事地球最大の帝国に成長した。随分小さく遠い存在になりました、クソザコミニ国家だった頃の琉球。

 

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固有イベントの国学により永久ボーナスが付与された。このゲームには歌舞伎が流行って技術コストが安くなるとか忍者が襲いかかってくるとか日本固有のイベントが色々あるのだが、嬉しいものは日本文化に、嬉しくないものは日本国に紐付いており、日本文化だが日本でない琉球はいいところだけを取れるのだ。

 

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「お前はアジア人だ!」という開戦理由が使えない相手との効率的な戦い方。まず1州だけ切り取って元々そこにあった国を復活させる。次の戦争でその国が過去に持っていた土地を奪い返す。後は併合すればあら不思議、領土が大きくなっちゃった!

 

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そうこうする内にカリフォルニア設立完了。ムタパも完全併合して東アフリカの覇者になった。1625年現在の勢力圏はこんな具合で、東南アジアを本拠にアフリカ東海岸とシベリアだか満州だかよくわからん地域を飛び地として持っている。成り行きで朝鮮と同盟を結んでいるため半島が青く表示されているぞ。後はモスクワ大公国の東方殖民を妨害しつつアジア全部を保護国にしよう。

 

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まずセイロン島のミニ国家を制圧して足場を確保。次にデリーと手を組んでバフマニーを挟撃だ。どんなにでかかろうがインドグループであれば一発で保護国にできる。なおその際に我々とは無関係にバフマニーを攻めている奴がいると防衛戦争を引き継がなくてはならんのが少々めんどくさい。

 

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そうして従えたはいいのだがここで問題発生。我々の従属国であるバフマニーにそのまた従属国がいた。通常他の国を保護国化するとその従属国は全て独立するのだが、防衛戦争の最中だったのでリセットされなかった模様。世界征服の実績は地球上に自国と従属国しかない状態を作るのが達成条件で、従属国のそのまた従属国があるとダメなのだ。グジャラートさん、話し合いの時が近づいております。

 

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一方その頃ヨーロッパではモスクワ大公国が黒海とバルト海の港を手に入れロシアに改組。デンマークがなぜかスウェーデンを吸収して膨れ上がり、百年戦争に敗れたフランスは虫の息であった。

 

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シンドとの交渉で保護国化を要求したところガタガタ震えながら快諾してくれた。これも人徳というものだ。

 

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中東琉球化計画の一環としてヒジャーズに宣戦。大国のオスマンが後ろ盾に付いていたが険所に誘い出し殲滅。同盟を破棄させると共にアデン湾の対岸を分捕った。

 

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そしてここに琉球帝国の首都を持ってくる!すると東アフリカ一帯が首都と地続きになるので100%の税収が得られるのだ。東南アジアやシベリアは同じアジア大陸という事で相変わらず内地として扱われる。

 

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アジアの小国を切り取っていたらデリーや明など大粒ばかりが残ってしまった。そして困った事にこの2つは同盟関係にある。そこでまずインドのどうでもいい国に宣戦しデリーにも付き合ってもらう。そしてその戦争が継続している内に明に宣戦。このゲームでは三つ巴の戦争は許されておらず、すでに我々と同じ側で戦争をしている国は敵方の援軍として呼ばれる事がない。首都を制圧し、同盟を破棄させ、交易の要衝を切りとりまくって弱体化させる。全てが終わったところで最初の戦争も講和に持っていく。

 

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かくてこんな世界地図になった。が、ここで問題が発生。非西欧文明が西洋化する為には隣に西欧技術グループの国が無くてはならず、だからこそスペインやイギリスの進出を完全にブロックしていたのだが、よく考えたら我々琉球も今では西欧文明であった。そのため我々から学ぶ形で明が洋務運動に成功。前近代中国に特有の内政ペナルティが無くなり超巨大な西洋国家が爆誕してしまった。どうしてくれんのこれ!

 

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とりあえず今できる事をしよう。アラビア半島を征服したり脅迫で領土を掠め取ったり日本を完全制圧して保護国にしたり。この世界の歴史には何か大きなイレギュラーが起きた様ですね。

 

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ヒジャーズをもう一回殴りたいのだが停戦期間終了と同時にすぐさまオスマンとの同盟を再締結したらしい。しょうがないのでいつもの手だ。まずオスマンと同盟し、どうでもいい国を一緒に殴ってその間に本命を攻める。

 

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かなり国力が付いてきたのでそろそろロシアに襲いかかろう。作戦はこうだ。まずシベリアの国境地帯を要塞でガチガチに固めておく。開戦と同時にロシア軍が殺到するが放置。その間に同盟国のオスマンを通ってヨーロッパロシアに突撃し本命のモスクワを落としてしまう。ロシア軍が慌てて引き返して来たらオスマン軍を盾にしてやっつける。というわけで無事に領土が手に入った。

 

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明がヤルカンドに侵攻。スンニ派の守護者を任ずる我々は援軍として明と戦わねばならん。そこでヤルカンドの防衛は完全放置してさっさと明の中枢を制圧、貴州省のあたりを分捕って勝手に停戦した。これで明は領土が東西に分断され兵站がものすごく面倒くさくなる筈である。

 

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先に併合した満州シベリア地域だが、ほぼスンニ派への改宗が終わった様だ。そのあおりでチベット仏教くんが息をしていない模様。

 

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クメールと朝鮮をまとめて叩き保護国にする。明は貿易摩擦を口実に攻め込んでさらに分断だ。ロシアにも攻め込んでもう一塊の土地を奪う。そしてグジャラート問題最終解決のためバフマニーを切り離し再度攻め込む!が、ここで問題発生。バフマニーくんは独立を企てて日本やマジャパイトと連携していたのだが、これが攻め込む際にも普通に同盟として機能してしまう。奴らはうちの従属国だから敵方に援軍は出さないとゲーム内レファレンスで言っていたが嘘だった。仕方ないのでもう一度それぞれ制圧しもう一度保護国化して始末をつける。人生が5回くらいあったら5回とも世界征服する。

 

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バフマニーは保護国化するのでなく海岸線を切り取って別の国を設立する。この方が過去の恨みが無いので言う事を聞かせやすい。

 

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一難去ってまた一難、今度は朝鮮が西洋化して保護国から外れてしまった。保護国は通常西洋化をしないのだが、保護国化の前に着手していた場合は別。二度手間三度手間。

 

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ヒジャーズを完全制圧したので次はオスマンの番だ。こいつの弱点は首都がヨーロッパ大陸にあるのに領土がアジアとアフリカにも広がっていること。間の土地を切り取って地続きでなくしてしまえば海外州扱いになって税収が激減する。

 

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ロシアが西洋化運動の副作用で非常に不安定になっているので悪戯をしてみよう。まずうちの領土の1州をペルミとして設立する。そしてロシアのペルミ分離主義者に金を送って活性化させる。するとこいつらが制圧した地域がどんどんペルミに鞍替えするのだ。戦わずして領土を増やす。

 

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さてここで楽しいお知らせだ。外交技術LV23を開発したことで「うちは帝国だぞ!」という開戦理由が使えるようになった。範囲無制限でいくらでも戦争をふっかけて領土を切り取れる。早速隣近所を制圧しよう。ヤルカンド、オスマン、ロシア、フンジ。片っ端から征服して属国を設立し10年経ったら併合する。かくて勢力圏がこれだけ広がった。

 

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ポルトガルの作った植民地国家が本国を見限り独立していた様なので海を越えて制圧に行く。ブラジルを完全併合しリューキュアン・ブラジルに改組だ。1703年オスマンほぼ消滅!アフガニスタン併合!ここから先は駆け足だ。

 

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滅亡寸前になっていたポルトガルを叩き太平洋の島々を奪う。リトアニアを併合して巨大化したポーランドに攻め込み、軍を粉砕して内乱を鎮圧できん様にする。シーア派の牙城ペルシャを半壊させ大正義スンニ派に塗り替える。我々がロシアを虐めすぎたせいで息を吹き返したノヴゴロドに制裁を加えつつモロッコ・ソンガイを破り、定期殴り便で明を少しずつ小さくして見事な打岩に仕立て上げる。先の動乱でポーランドから分離した小国も即座に併呑。俺の勢力圏がどんどん広がっていきますよ!

 

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続いてヨーロッパ戦線の足がかりとしてブリタニーを征服。すぐさま大英帝国に攻め込んでブリテン島北部を切り取りスコットランドを設立する。返す刀でフランスに攻め込み完全併合からの属国化。そうしたら今度は以前フランスだった地域に攻め込んで領土を奪還するのだ!更に大英帝国崩壊のどさくさで独立していたアメリカ合衆国に攻め込んで3分の1を奪い、何故か巨大化したトスカーナ公国を叩いてナポリを復活。

 

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後は時間との戦いだ。このゲームは1821年で強制的に終わってしまう。ハイチとスペインの二正面を同時に進めダブルピースで講和する。切り取った土地はどんどん属国に割り当てよう。ロシア消滅!カナダ消滅!ポーランド三分割!スカンジナビア制圧!メキシコ消滅!オーストリア大幅縮小!スペインを殴りつつ片手間に先住民国家を併呑しアメリカ大陸を綺麗に掃除。神聖ローマの領邦も順番に切り取って属国の養分にする。

 

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そしてスペインの完全併合によりその植民地国家もオマケに付いてきた!本国を完全併合すると従属国も所属が移るのである。スパニッシュブラジルという名前だが琉球の植民地国家であり、かつリューキュアンブラジルとは別の国なのだ。ややこしい。

 

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停戦が切れる端からどんどん攻め込もう。自分で何もしなくても属国が勝手に軍隊で制圧してくれるので楽である。さてここでマラッカを一旦切り離してから再度攻め込む。というのも、マラッカがオーストラリアに作った植民地がマラッカン・オーストラリアという別の国を形成してしまい従属国の従属国ができてしまったからだ。これでは世界征服が達成できんのでやむなく戦争をおっぱじめる。制圧完了。マラッカン・オーストラリアが琉球の従属国になった。なおスパニッシュオーストラリアもうちの従属国だ。

 

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これで残るは神聖ローマと東欧の一部だけだ。皇帝と選帝侯全てを制圧して帝国そのものを解体する。これで皇帝が一々防衛に出しゃばってくる事は無くなったぞ!しかる後は停戦を無視して攻め込んでしまおう。安定度が下がり厭戦感情が増えるペナルティを食らうものの、十分な君主力があれば安定度はすぐに回復できる。制圧!制圧!また制圧!

 

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と調子に乗っていたら厭戦感情のせいで一向一揆が起きそうになったのでしばらく休憩。うちスンニ派なんだけどな。分離主義者の反乱を鎮圧してから最後の2国に攻め入る。

 

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終わり!平定!世界征服完了!あと35年余ってはいるが特にする事もないのでここで終わりだ!では2016年も御機嫌よう。

EU4 琉球世界征服メモ

Europa Universalis 4で琉球王国による世界征服を狙う場合の手順(v1.13)


概要

世界征服計画は3つの段階に分かれる。琉球自体の弱点を克服する前期、世界最大の国力を獲得する中期、全てを飲み込む後期である。

前期は1444年から1550年ごろまで。この期間においてはスンニ派への国教変更と西洋化を達成する。

中期は1550年ごろから1680年ごろまで。この期間においてはアジア全てを征服する。

後期は1680年ごろから1821年まで。世界の残り全てを飲み込む。

 

前期

一時停止を解く前にしておくべき事は以下の通り。

  • 陸軍維持費を最低に下げる
  • 軽量船を杭州の交易保護任務に当てる
  • 残りの船は休眠させる(売り払ってはいけない!)
  • 商人を日本から杭州に移動させる
  • 国家重点を管理に設定
  • 国王を将軍に任命

外交官は周囲の国の機嫌を取りつつ適当に過ごす。1447年になったら輸送船2隻と歩兵1連隊を生産キューに入れる。最初に挑戦すべき課題はスールー王国の征服である。これは1450年以降にイベントで生成される小国であり、琉球でも勝てる唯一のスンニ派国家である。生成されるタイミングにある程度ランダムな幅があるので対処が2通りに分かれる。

早く生成された場合:

プレイヤーが探索アイディアを取る前にスールーが生じた場合、開戦理由無しで即座に殴りかかる。初期状態のスールーには歩兵3個連隊しか軍隊がいない。士気全快の5個連隊であれば上陸ペナルティを差し引いても確実に勝てる。占領したら和平交渉で属国化し、外交官を送り込んで関係を+190まで上げておく。その後探索アイディアを3つ目まで取ったら併呑する。スールーに宣教師を送り込むとスンニ派の暴徒が蠢き始めるので、その要求を飲む形で国教の方を変更。後は沖縄を改宗させればめでたくムスリム国家の仲間入りを果たせる。

遅く生成された場合:

スールーが生成された時点で探索アイディアがある場合、まずパナイ島(Panay)に一瞬だけ入植してスールー島の請求権を捏造。完了と同時に攻め込んで占領し、スンニ派に改宗したらスールー島自体はどこかに売り払う。マラッカ・シアク・パサイあたりに売るとブルネイとの対立を引き起こせる。

改宗する為には半数以上の州がスンニ派でなくてはならない(半数ちょうどは可:つまり2つのうち1つがスンニならOK)。またアニミズムのうちに予言(安定度コスト+5%・反乱-1%)と生贄(名声+1・安定度コスト-20%)の決定をしておくと改宗後もボーナスが残るので非常に便利。

管理技術LV5に達したら重点は外交に切り替え、探索アイディアを進める。

その後はブリトゥン島(Belitung)→ココス諸島(Cocos)→ディエゴガルシア島(Diego Garcia)→モーリシャス島(Mauritius)へ渡る。航海士がいれば西ティモール(West Timor)→ココス諸島の方がマジャパイト王国に睨まれないので楽。その次は喜望峰(Cape)へ。イニャンバネ(Inhanbane)に入植してから航海士を雇えばギリギリで届く。外交技術LV7になればモーリシャスから直接渡れる。

この後は空いていればセントヘレナ、いなければ象牙海岸地域の適当な空き地に入植。そこからブラジルへ渡り、貿易会社でない西洋文明と隣同士になったら西洋化開始。なおブラジルと象牙海岸の土地は争いの元なので用が済んだら売り払うべし。

首都は頃合いを見てブリトゥンに移し、日本がこちらを睨み始めたら沖縄を売り払って難を逃れる。予算と相談しながら東南アジアの入植も進めよう。ただしこの段階では付近の強国が請求権を捏造できる場所は避ける。先住民は全て虐殺する(西洋化前の段階では軍事君主点の価値が低い)。スンニ派同士である事を利用して強そうな国と同盟を組み生き延びるべし。

 

中期

西洋化が完了したら一気に技術を進める。マラッカやモルッカの小国を外交で保護国化し交易力を全て召し上げる。2つ目のアイディアは拡張を取り、全速力で空き地に入植すると共にアジア中に喧嘩を売る。

入植の優先はアジアと南アフリカ。アメリカとオセアニアは後回しでよい。ブルボン島などヨーロッパ人がアジアに来る際の足がかりを先回りして塞いでおくと後が楽。またアジア国家に隣接する州は中核化せずにおく。こうすれば連中は永遠に西洋化できない。植民地に限り非中核州でも過剰拡大を引き起こさない。

中国・東南アジア・インドを重点に弱い国を切り取って保護国化。金が潤沢になって来たら歩兵を全て傭兵に置き換える。騎兵と砲兵は正規兵のまま歩兵を傭兵にするとかなり人的資源の節約になる。

アフリカへの入植地についても、現地国に隣接する州は貿易会社にしておくと西洋化されずに済む。保護国のままにしておければ二度手間が防げる。

余裕があればメキシコとペルーに植民地国家を作り、現地の王国を切り取って太らせるのも良い。該当地域内に本国が持っている領土は中核化せずとも即座に植民地国家の物になる。植民地国家は中核化と改宗に大幅なボーナスが付いているので土地を食べさせるのに便利。

シベリアにも入植して西進しておくとロシアを足止めできる。ただしアジア国家に隣接する部分を中核化しない様に注意。

明は強敵だが反乱が起きたタイミングを狙って同盟国と共に攻め込めば勝つチャンスはある。順や呉などの痕跡が残っている土地を切り取って独立させるとその後の分離主義反乱によって勝手に膨らむ。明の領土自体を上手く寸断できれば反乱鎮圧が難しくなるので更に良い。

保護国化できる範囲はすべて保護国化で決着させ、直接土地を切り取る事は考えない。直轄領はむしろ中東に求めた方が良い。

アイディアは探索→拡張→物量までが鉄板で、その後は君主点と相談しつつ攻勢・精鋭・外交・管理あたりを取る。空き地がなくなったら探索と拡張を放棄してスロットを空ける。

 

後期

外交技術LV23に達すると「帝国主義」の開戦理由が使える様になる。これは好き勝手に宣戦して好き勝手に土地を切り取る全世界モンゴル化システムであり世界征服が一気に加速する。またこの先の外交技術は実質的に艦隊の強化と従属国の機嫌取りの為に存在しているので切り捨ててしまっても何とかなる。そこで外交スロットを気にせず属国を作りまくる戦略で版図を拡げよう。

外交スロット超過により月々の外交君主点が差し引かれるが、マイナスになっても単に君主点が使えなくなるだけでそれ以上のペナルティは無い。これによって出来なくなる事は以下の通り:

  • 外交技術とアイディアの開発
  • 「直接の宣戦相手から土地を割譲させる」「同盟を破棄させる」「中核を放棄させる」「金銭」以外の講和条件
  • 属国の併呑
  • 提督の雇用
  • その他文化書き換えなどの細かい仕事

以上を踏まえ、「完全併合して属国を設立させる」「占領譲渡により属国に切り取らせる」「切り取って附庸国(Client State)を作る」のどれかで世界地図を塗りつぶそう。この際注意する必要があるのは、附庸国を設立できるのは首都と同大陸か地続きになっている州のみであるという事だ。ヨーロッパ地域に設立したい場合は遷都を工夫する必要がある。

管理点の余剰があれば主に中東・トルコ地域を直轄地として切り取る。スンニ派なので改宗の必要が無い。アジア・ヨーロッパ・アフリカ全てにアクセスが良い。

本国を完全併合すると従属国は全てオマケで付いて来る。特に植民地国家などは馬鹿正直に切り取るより本国を押さえる方が早い場合も多い。

神聖ローマ帝国は可能な限り早く解体すべし。皇帝と選帝侯全ての首都を制圧すれば解体ボタンを押せる。

終盤になると属国の戦力が本国を上回る様になり反乱の機運が高まる。戦勝の際に得られる名声点を変換する形で機嫌を取ろう。

 

( ・3・)<だいたいこんなかんじです

Hearthstoneの戦い方(6)

CCG “Hearthstone” に関して気づいた事をその都度記録。


陸空の区分

このゲームの中心要素はミニオンである。盤上に自分のミニオンを並べて敵を殴り倒すのが全ての基本である。そしてまた、ミニオンは呪文や武器と決定的に違う点がひとつある。対戦相手からアクセスしやすいことだ。

このゲームは相手のターン中にできる行動が一切無く、特定のシークレットを伏せておかない限り発動した呪文を止める方法は無い。相手の手札を捨てさせる事もできない。武器を破壊する手段も限られているし、そもそも一撃目はどうあっても止まらない。ミニオン以外の攻撃手段は相手とのインタラクションが少なく、非常に邪魔されにくいのである。

これに対して速攻を持たないミニオンは場に出てから1ターン経過しないと仕事を始めない。つまり相手に最低1ターンそれを除去/無力化するチャンスが与えられる。ファイアボールを相手の顔面に向かって発射したらもう誰にも止められないが、マウンテンジャイアントが場に出たら次の相手のターンで除去される可能性がある。実際に顔面を殴れるのはその後だ。

そこでゲーム内の攻撃手段をミニオンという「干渉されやすい要素」と武器や呪文などの「干渉されにくい要素」に分割してみよう。そして干渉されやすい部分を「地上」、干渉されにくい部分を「空中」と考える。すると次の様な構図が浮かぶ。

  • 地上:ミニオン同士が殴りあう戦場
  • 空中:ヒーローという空中要塞が浮かぶ彼方

そして地上と地上、空中と空中、地上と空中それぞれの戦いを分類すると:

  • 地上戦:ミニオン同士の戦い
  • 空中戦:ヒーローによる直接打撃
  • 爆撃:ヒーローの呪文や武器によるミニオンの除去
  • 対空砲火:ミニオンによる顔面殴り

という形になる。これによってクラスやデッキの強み・弱み・相性などを説明可能である。

 

ウォリアー

  • 地上戦:全然ダメ
  • 空中戦:スゴイ
  • 爆撃:超スゴイ
  • 対空砲火:全然ダメ

典型的なウォリアーは重戦闘爆撃機である。1:2交換が簡単にできる斧、1マナ除去の処刑、5マナ全体除去の乱闘などミニオンの始末には事欠かない。またグロマシュのコンボによって14点ぐらいまでは簡単に相手の顔面にダメージを叩き込める。相手が干渉できない、ヒーローから直接出てくる攻撃手段が非常に豊富だ。

一方ミニオン同士の殴り合いは貧弱である。固有ミニオンの戦闘力が低く、使われるのは補助系やコンボパーツが中心である。フローシングバーサーカーや実質固有カードの増えるおじさんはあくまで「1ターンで敵ヒーローを殴り倒す」ためのミサイルであり、素出しして敵ミニオンと殴りあう事は稀だ。

こうした地上への対応力の高さと自身があまり地上戦を展開しない性質のため、ミニオン同士の戦いに重点を置いた戦車タイプに対してとても有利である。プリーストがクレリックを出せば斧で始末し、デスロードは処刑し、洗脳されるミニオンはそもそも出さない。一方フェイスハンターやテンポメイジの激しい対空砲火には押し負ける事が多く、顔面を徹底的に殴られると意外に早く陥落する。

 

プリースト

  • 地上戦:超スゴイ
  • 空中戦:ダメ(一部例外あり)
  • 爆撃:スゴイ
  • 対空砲火:ダメ

プリーストは地上戦の得意な戦車である。ヒールで自分のミニオンだけを生き残らせたり、1マナキャントリップで耐久力を増やしたり、敵を弱らせたり洗脳したりととにかく地上戦の選択肢が多い。一方こうした能力でアドバンテージを稼ぐには敵がミニオン同士の地上戦に付き合ってくれなくてはならず、全体的に攻撃力が低い事もあって相手の顔面を殴るのもそれほど得意ではない。

地上戦の強さからフェイスハンターなど対空砲タイプには有利に戦える。一方爆撃機に対しては出せる手が乏しく、ランプドルイドなど大型ミニオンによる地上戦タイプにもやや厳しい。

 

ハンター

  • 地上戦:まあまあ
  • 空中戦:スゴイ
  • 爆撃:まあまあ
  • 対空砲火:スゴイ

ハンターの最大の強みはヒーローパワーである。阻止手段のない2点ダメージはHPを回復できないデッキにとっては迫り来る死そのものだ。瞬間的なバーストダメージは乏しいが継続的な顔面殴りでは他の追随を許さない。

この強みを素直に活かしたのがフェイスハンターで、駒損は厭わずとにかく顔面に打撃を加える。他のヒーローであればあと1点が削り切れずに逆転負けする局面でもハンターならば確実に討ち取る。展開の遅いデッキは何もさせずに殴り倒してしまう。一方速攻持ちなどミニオン同士の殴り合いには弱い物が多く、戦車に対しては不利になる。

一方、堅実なミニオンを並べて盤面を取るミッドレンジハンターも存在し、こちらは地上戦がかなり強い。その代わり性質が戦車に近くなった事で爆撃機タイプには盤面を処理されてしまう場合が多い。

 

メイジ

  • 地上戦:ダメ
  • 空中戦:スゴイ
  • 爆撃:スゴイ
  • 対空砲火:まあまあ

メイジの強みは豊富な呪文である。フロストボルトやファイアボールは明らかに強く、ミニオンの除去に使っても相手の顔面にぶつけても有効である。ミニオンも呪文と相互作用する物が多くいかにも魔法使いだ。一方殴り合いの性能はそれほど高くなく、普通に展開しただけでは押し負けてしまう。

この問題を2つの工夫によって解決したのがメックメイジやテンポメイジだ。即ち「除去と展開を同時に行う」「相手の除去を邪魔する」である。

ブラストメイジは自身も相応の大きさを持ったミニオンでありつつ、登場と同時に4点火力を撒き散らす。フレイムウェイカーとポータルの組み合わせも召喚と砲撃を同時に行う。アプレンティスが居れば1マナで3点火力を浴びせつつ、余ったマナでミニオンを展開できる。こうして敵ミニオンを除去してしまえば殴り合いは回避できるわけだ。

またアノイオトロンやミラーイメージによって盾を作り敵ミニオンを押しとどめておくのも重要な戦術である。本命ミニオン同士の潰し合いを遅らせつつ相手の顔面を殴り、ファイアボールによる即死圏まで持っていく。武器を持ったヒーローが相手ならスノウチャガーやフロストボルトで凍らせる。こうした継続的な対空砲火によって遅いデッキや地上戦の苦手なデッキを叩きのめすのである。

これに対し、フリーズメイジは強力な除去で前半を凌ぎ、後半になったら強力な火力呪文で相手の顔面を粉砕するという素直に強みを活かした構成である。分類は戦闘機に近い。

 

ウォーロック

  • 地上戦:スゴイ
  • 空中戦:ダメ(一部例外あり)
  • 爆撃:まあまあ
  • 対空砲火:スゴイ

ウォーロックの強みはヒーローパワーだ。カードを1枚引けるのはほとんどの局面でアドバンテージを生み出す。敵ミニオンと1対1で交換しても自分はカードを補充できるし、マウンテンジャイアントなど手札枚数参照系の大物を素早く繰り出す事もできる。以前は大物中心のハンドロックと小物中心のズーロックが分かれていたが、最近は両方のいいとこ取りをしたハイブリッドが多くなった。

資源基盤が潤沢なお陰でまともに戦えば相当に強いが、HPを消費してしまう関係で顔面を集中的に殴るタイプには極端に弱い。また攻めも守りもミニオンに頼る割合が大きく、除去を山積みしたデッキには封殺される。

 

ドルイド

  • 地上戦:スゴイ
  • 空中戦:スゴイ
  • 爆撃:ダメ
  • 対空砲火:ダメ

典型的なドルイドは2つの強みを持っている。マナ加速によって大型ミニオンが敵よりはるかに早く出て来ること。そして自然の力と野生の唸りによる14点コンボである。ヒーローから直接出て来るダメージ源は相手の顔面に向かい、ミニオンを止めたり殴り合ったりするのは自分のミニオンという風に比較的役割分担がはっきりしているのが特徴だ。除去呪文も一応あるものの、大型ミニオンや多数が並んだ場合など対応できない局面がかなり多い(少なくともTGTリリース前の現時点では)。

戦車と戦闘機の両方の性質を持っている事から爆撃機タイプにはかなりのプレッシャーを与えられる。自然の力コンボのせいで即死圏がかなり広く、除去の過程でHPをあまり消耗できない。またミニオンを盤面に残しておく事自体にかなりのリスクがある。一方動き出しの遅さから速攻デッキに殴り倒される事もしばしばある。

 

シャーマン

  • 地上戦:ダメ
  • 空中戦:スゴイ
  • 爆撃:まあまあ
  • 対空砲火:超スゴイ

シャーマンはドルイドとはある意味で逆の構成になっている。ミニオンはミニオン同士の戦いには弱いが顔面を殴る能力が非常に高い。2回攻撃とフレイムタントーテムを組み合わせると恐ろしい速さで敵のHPが溶けてゆく。一方敵のミニオンを始末するのはヒーローの仕事であり、3マナ除去のヘックスや各種の武器を用いて確実に仕留める。空対地と地対空という役割分担になっているわけだ。

と、理屈の上では強力なのだが現環境では除去がうまく機能していない。アースショックはルートホーダーの天敵だが最近はあまり使われない。パワーメイスは3マナという重さのためその後に出るミニオンを討ち取りにくい。サンダーストームは取りこぼしが発生しやすい。またメイジと違い敵の除去を妨害する手段が豊富なわけでもなく、爆撃機タイプに対してしばしば攻め切れずに終わる。

こんなわけで構築戦で困難な状況にあるシャーマンだが、2回攻撃やブラッドラストの爆発力はとても大きな魅力だ。敵は序盤の対処に失敗すればそのまま棺桶へ超特急でぶち込まれる。メタが長期戦中心になり、軽い除去をあまり持たないデッキが増えれば急速に暴れ出すだろう。

 

パラディン

  • 地上戦:スゴイ
  • 空中戦:まあまあ
  • 爆撃:まあまあ
  • 対空砲火:まあまあ

武器・除去・ミニオンがバランス良く揃っており、ディバインシールドのお陰で地上戦もかなり得意だ。顔面に撃ち込む強力な呪文は乏しいが武器で少しずつ削り取れば蓄積ダメージはかなりのものになる。

典型的なアグロパラディンは対空砲に除去耐性を加えた形で構成されている。ディバインシールド・デスラトル・サイズ増加・単純な頭数の多さなどを組み合わせてミニオンでも武器でも討ち取られにくい盤面を作り、できるだけ長い時間にわたって顔面を殴り続けるというものだ。たとえミニオンを一掃されてもディバインフェイバーで手札を回復でき、持久力の点でも優れている。

ただし単純な速度という点ではテンポメイジやフェイスハンターよりやや落ちる。またパラディン自身に瞬間的な大ダメージ源が無い事もあり、敵に与える脅威はマイルドになっている。

 

ローグ

  • 地上戦:全然ダメ
  • 空中戦:超スゴイ
  • 爆撃:スゴイ
  • 対空砲火:ダメ

現環境での典型的なローグはオイルローグである。敵の脅威を除去で凌ぎつつスプリントでカードを引き、材料が揃ったら一気に即死級のコンボを繰り出す。相手にとってHP20は全く安心できる水準ではない。

こうしたコンボデッキに共通の弱点は、序盤からプレッシャーを与えられると対処に忙殺され必殺技の準備ができない事だ。デッキ内のかなりの割合を最終ターンに使うカードが占めているという事は、相手よりも有効牌を引く確率が低いという事である。もちろんコンボパーツを眼前の脅威への対処に使う事もできるがそうすると今度は勝つ手段が減ってしまう。飛車を防ごうとしても上手く行かないが、王手飛車取りをかけ続けると存外脆いというわけだ。

 

 

(´・ヮ・)<どうして拡張が出て内容が陳腐化する寸前に書くのか理解に苦しむね

ルールデザインの話(3)

ゲームのルールを作る際のあれこれ


簡単さ

面白い意思決定と並んで重要なのが簡単さだ。ルールは誰でもさっくりと理解できる程度に簡単になっているべきである。人生は短い。難解なルールブックとにらめっこして過ごせる時間はそう長くない(せいぜい10代の10年間を丸々当てられる程度だ)。そこで今回は簡単なルールについて考察してみよう。

柱となる要素は3つある。一貫性があること。個々の要素が単純であること。テーマに沿ってうまく説明されていること。そしてこの順番に重要である。

 

一貫性

ユーザーインターフェースデザインの鉄則はパターンを定めてそれを繰り返すことだ。ある設定ウインドウが閉じるだけで変更を保存する方式なら他のウインドウもそうなっているべきである。あるアラートで”Yes”が右で”No”が左なら他のアラートでもそうなっているべきである。これと同じ意味で、ルールデザインも挙動のパターンを決めて繰り返すことが重要である。

例えばプレイヤーにできる行動が「ワーカー駒を職場に置く」であれば、新しい行動は職場の追加という形を取るのが望ましい。ワーカーと無関係な起動型能力などはねじ込まない方が賢明だろう。プレイヤーの資源収入がターンごとの不労所得に依存しているゲームなら、「建てるとじわじわ収入が得られる施設」と「建てた瞬間に何かがもらえる施設」を並存させるのは混乱の元だろう。ひとつのパターンを踏襲する方が分かりやすい。

特に、微妙に違うふたつのパターンが無文脈に混在していると非常に間違いやすい。カードを引いてから捨てる機能と捨ててから引く機能が涼しい顔で同居していると毎回ルールテキストを注視せねばならん。金をサプライから取る職場と資源置き場から取る職場が並んでいて、かつプレイヤー全員がメタクソに酔っ払っていると何が起きるかはほぼ予測可能だ。ひとつのゲームの中ではひとつの挙動に統一した方が遊ぶ側の心的負担は少なくて済む。

「アグリコラ」と「ルアーブル」を比較すると面白い知見が得られる。どちらも同じ作者の手によるワーカープレイスメントゲームで、プレイヤーは手番ごとに職場を起動して資源を集める。戦略的な奥深さではルアーブルの方が完成度が高いが、ルールの一貫性と遊びやすさではアグリコラが勝る。

アグリコラではプレイヤーが手番でできる事はワーカーを職場に置くだけだ。一方ルアーブルではワーカーを職場に置くか、資源置き場から1種類の資源を取るかという2種類の行動のどちらかを選ぶ。さらにそれとは別に手番中ならいつでも建物や船を売り買いできる。アグリコラの資源は職場に紐付いているが、ルアーブルには「資源置き場から取る」「職場を使ってサプライから取る」「職場を使って資源置き場から取る」など種々に異なった挙動がある。またルアーブルでは他人の職場を使う際に使用料を払うのだが、一部の職場はそれとは別に起動コストとして金を払う。これは職場の持ち主でなくサプライに支払うのだ。

一事が万事この調子でとにかくルアーブルは例外挙動が多い。「市場」はサプライから資源を取り「闇市」は資源置き場から取る。そしてテストプレイヤーが混乱した痕跡として両方のカードにくどくど念を押す如く説明が書かれている。これは意思決定という観点において物凄く面白いゲームであると同時に、物凄く取っ付きの悪いゲームでもあるのだ。

 

単純さ

一貫性の次に重要なのは単純さである。要するに「カードを2枚引く」という挙動は「残り手札が奇数であれば山の一番下から4枚のカードをめくり、それらのコストのうち最も高いものと残り3枚の中から無作為に1枚を引く」よりも扱いやすいという話である。単純なものが望ましいという事にはたいていのルール制作者が同意するが、それでもなんやかんやで複雑なものは世に生まれ出ずる。理由は大体3つだ。

  1. バランスを取るため
  2. デザイン空間を広げるため
  3. 価値の見積もりを難しくするため

1は強さの調節の結果として生じる複雑さである。1点のダメージを与えるのでは弱すぎるが2点のダメージでは強すぎる……という場合にしばしば「1点のダメージを与える。コイン投げをして勝ったらもう1点のダメージを与える」などの中間案が採用される。

2は多様なものや過去に無かったものを作る努力の帰結である。「X枚のカードを引く」という機能で作れるバリエーションはせいぜい7種類かそこらだが、X枚のカードを色々込み入った手順で引くのであればその中の手順や数値や条件分岐を組み合わせて数十万種類のバリエーションが生成できる。デザイン空間の中の単純な土地はわずかな面積しか無い。開拓を進めるとどうしても複雑さの荒野へ向かわざるを得ない。

3は意思決定の際にどれが得かを考え込ませるための意図的な仕掛けだ。つまり、2枚のカードを引くのと3枚のカードをごちゃごちゃした手順で引くのとどちらが得かプレイヤーは容易に見積もることができないので、意思決定の作業が必要になるというわけだ。

実はこれらの問題はゲーム内の数値を巧妙に利用することで回避可能である。設計段階で複数の資源を用意し、それぞれの価値比率が綺麗な倍数にならない様に調節しておく。例えば消費財カード3枚は建物カード2枚より価値が大きいが消費財4枚は建物3枚よりほんの少しだけ落ちるとか、1点のダメージは2点のマナ回復よりは有効だが2.5点のマナほどには重くないという具合だ。

こうしておくと、例えば「2点のダメージ」よりほんの少しだけ弱いものを作りたい場合に「1点のダメージと2点のマナ」という形で微調整が利く。逆にほんの少し強いものを作りたければ「1点のダメージと3点のマナ」にできる。もし1点ダメージと2点マナが等しいという風に綺麗な価値比率が出来ているとこうした小技は使いにくい。

また細かい「お釣り」を出せる関係で作れるものの幅も広がるし、共通項を差し引く操作もやりにくくなるのである程度の解析耐性が付く。もちろん数値設定だけでありとあらゆる問題が片付くわけではないが、複雑さを避ける上では結構便利である。

 

テーマによる説明

挙動そのものは複雑でもプレイヤーの知識を活用することで分かりやすく伝えられる。ルアーブルの埠頭という建物は手持ちの資源を金に変換する機能を持っている。資源はそれぞれいくらで売れるかが決まっており、また一度に売れる量の上限は手持ちの船舶数で決まる。さらに追加コストとして船舶数×3の燃料が必要だ。こうしたルール自体は確かに複雑だが、「商品を船に載せて出荷する」という文脈が与えられることで理解可能な範囲に収まっている。一方同じゲームのパン屋はやや奇怪で、小麦と燃料を消費してパンと金を生成する。どうしてパンと売り上げが同時に手元に残るのか? まるでEat cake and have itという慣用句の物理的顕現だ。挙動そのものは単純なのにプレイヤーの理解を微妙に拒むのである。

工場は原料を加工して製品を吐き出す。発電所はエネルギーを生む。道路のあるところは歩きやすく、傭兵は金を請求し、ドラゴンはやたら熱いガスを吐いて人間を炭にする。プレイヤーが既に知っている事に沿って挙動を説明すれば頭に入りやすくなる。「このルールに最もうまく近似した現象はなんだろう?」と問い、適切な名前と背景設定とフレーバーを与えることでゲームを少しだけ取っ付きやすくできる。そんなわけで珍妙な得点方式を持ったゲームには「気まぐれに恩寵を与える王」が出てくる決まりなのだ。

ルールデザインの話(2)

ゲームのルールを作る際のあれこれ


意思決定

ボードゲームのルールは面白い意思決定を生み出すために存在している。意思決定というのは要するに「う〜ん農場を作ろうか工場を作ろうか労組を作ろうか」と悩んだり考えたりするプロセスだ。農場を作れば素早く手札を増やせるが次の建物の選択肢は増えない。工場は別の建物を作る材料を吐き出すが少し元手が要る。労組はどちらの機能も無いが得点源になる。果たしてどれが一番いいのかと考えを巡らす現象が「ゲーム体験」そのものである。

意思決定の要諦は答えを一義的に絞り込めないという点だ。そこで「どれにしようかなあ」と考えるものを意思決定、考えるまでもなく正当な答えが1つしか無いものを機械的判断と呼んで対比してみよう。

機械的判断の例

機械的判断の特徴はON/OFFが明確にされる事だ。例えばこの「どこへ出かけよう?」フローチャートでは雨天時には「家にいる」以外の全ての選択肢がOFFになり、人生に疲れていない時は「近所の森」はOFFになる。与えられた状態に対して選ばれうる結果は1つだけであり、他は全てプロセス違反である。

意思決定の例-01

一方、意思決定は複数の選択肢に選ぶ理由がある時に、その理由の大小を比較して天秤を傾けるというアナログな工程だ。2つの映画のどちらを観ようか迷ったら、頭の中に天秤を用意して両方の皿に水桶を載せる。一方の映画に好きな俳優が出ていたらそちらの桶に水をジョボボボボと注ぐ。もう一方の映画の方が上映時間の都合が良かったらそちらにジョボボボと注ぐ。こうやって諸々の理由を量的に足し合わせて、最後に傾いている方を選ぶわけだ。それ以外の理由が全く拮抗していたら、アベンジャーズの陳腐なキャッチコピーを見た瞬間に均衡が破れてターミネーターに傾くかも知れん。全ては量的な問題なのだ。

 

選ぶ理由、選ばない理由

意思決定とは、複数の選択肢に選ぶ理由がある場合の判断過程である。より厳密にはある選択肢に「選ぶ理由」と「選ばない理由」の両方が同時に存在している時の判断である。

そもそも2本の映画の間で悩むのは、一方を観たらもう一方を観る時間が無くなるからだ。家にいて無限の時間があり2本のDVDを持っているならどちらを観ようかと悩む事は無い。「こっちを選んだらアベンジャーズは観られないよ!」という機会損失がターミネーターを「選ばない理由」として働くわけだ。

ゲームのルールはこうした選ぶ理由と選ばない理由のせめぎ合いを生成する。自分のキャラクターを改造して速さを3割増にできるが耐久力が半分になるという場合、速さの増加が選ぶ理由、耐久力の減少が選ばない理由として働く。両者の価値がそれほど隔たっていなければ改造するかすまいか悩むだろう。

同じ悩みが機会損失の場合でも起きる。改造Aを施すと速さが3割増になり、改造Bを施すと耐久力が倍になる。ただしAB両方を取る事はできない。この時に改造Aを選ぶ理由は速さの増加であり、選ばない理由はBを選べば得られたはずの耐久力の喪失である。「ジェットブーツを履くと体がヤワになるよ!」と「ジェットブーツを履くと鎧は着られないよ!」は本質的に同じ選択を提示しているのである。

 

理由の対消滅

面白い意思決定を生むルールとは、ゲーム内の諸々の選択肢にそれぞれ選ぶ理由と選ばない理由があるものだ。どの選択肢もあまり魅力的でなく「選ぶ理由」が不足していると雲を掴むような薄味ゲームになる。あまりに魅力的すぎる選択肢があって「選ばない理由」が不足しているとバランスの崩れた大味ゲームになる。両方の理由をうまく並存させなくてはいかん。

ここで問題になるのは、プレイヤーは何とかして選ぶ理由と選ばない理由を対消滅させて意思決定を省こうと試みるという事だ。最も単純な例として:

  • A:6勝利点を得る
  • B:5勝利点を得る

という2つの選択肢が提示されたとする。Aを選ぶ理由は6勝利点を得る事であり、選ばない理由はBを選んでいたら得られたはずの5勝利点を失う事だ。そこで代数学よろしく両方から5勝利点を差し引くと:

  • A:1勝利点を得る
  • B:なし

という具合にAを選ばない理由が消滅する。選ぶ理由にはなお1勝利点が残っているので、最早選ぶ理由と選ばない理由の比較は必要なくなり機械的判断のみでどちらを取るか決められる。もちろんこれはバカバカしい例なのだが、もっと複雑な選択でも同じプロセスが起きるのだ。

例えば今度はそれぞれの選択肢に「金」と「勝利点」の2つの要素が含まれているとしよう。

  • A:3勝利点と5金を得る
  • B:6勝利点と2金を得る

この場合も共通する3勝利点と2金を両方から差し引いて比較できる:

  • A:3金を得る
  • B:3勝利点を得る

もしこのゲームが終了時に手持ちの金を1:1で勝利点に変換できるルールだったら、Aを選ばない理由は事実上消滅する。というのも両方からさらに3勝利点を差し引くと:

  • A:3勝利点を失い3金を得る
  • B:なし

という形になるからだ。Aで得た3金はそのまま使わなければ結局3勝利点として返って来るし、途中で他の目的のために使う事もできる。流動性が手に入る分だけこちらの方が明らかに得なのだ。

ゲームコミュニティはこの種の代数学を日夜研究している。「カードXの効果はカードYとZを合わせて更にダメージを追加したものに等しい」という具合にそれぞれの要素の選ぶ理由と選ばない理由を分解し、共通項を見つけて対消滅させる。そうして明らかに選ぶ必要のないエレメントや常に正しい選択を発見し、意思決定の余地をじわじわと削り取るのである。

 

対消滅耐性

なのでゲーム内の複数の選択肢、ないし選ぶ理由と選ばない理由はできるだけ複数の部分で異なっている事が望ましい。「ナショナルエコノミー」の建物は意図的にこれを組み込んでいる。このゲームには起動した時にカードを引ける建物がいくつかあるのだが、それらは次の様になっている。

  • 設計事務所(コスト1、評価額8):5枚めくって好きな1枚を引く
  • 工場(コスト2、評価額12):手札を2枚捨てて4枚引く
  • 製鉄所(コスト4、評価額20):3枚引く
  • 自動車工場(コスト5、評価額24):手札を3枚捨てて7枚引く

コストはそれを建設する際に捨てるカードの枚数、評価額は持っている事による得点の増加である。もちろんコストの重い建物の方が手札をたくさん増やせるが、「2枚引く」「3枚引く」「4枚引く」という具合の単純な上位種にはなっていない。

設計事務所は正味1枚しか増えないが、選択肢が多いため欲しいカードをピンポイントで引いて来る確率が高い。工場は正味2枚増えるが「原料」の手札が必要である。製鉄所は正味3枚増え、捨てるカードを持っていない時でも使えるが、欲しいカードを引いて来る確率は最も低い。自動車工場は正味4枚増えるが大量の原料が必要である。

これは要するに、プレイヤーがどの建物を作ろうかと悩んだ時に理由の対消滅をさせないためである。もし自動車工場が「4枚引く」という単純な製鉄所の上位種だったらどちらを建てるかの選択はあまり悩まないだろう。手札に製鉄所と自動車工場の両方があり、どちらでも建てられ、その後すぐに起動するつもりだとしよう。手札を4枚捨てて製鉄所を建てた後に3枚引こうと、5枚捨てて自動車工場を建てた後に4枚引こうと結局は同じだけの手札が残る。違いは後者の方がより強力で高価な建物を所有しているという点だけだ。

こういう事態を防ぐために建物の機能はできるだけ多くの点で異なる様にしている。どうしてもピンポイントで探し出したいカードがあれば製鉄所より設計事務所を起動する事を選ぶかもしれない。ルール制作者がどう足掻こうとプレイヤーは酵母菌のごとくゲームを消化分解するのだが、選択肢同士が複数の点で異なっている方が少しは耐性が付く。

 

上位互換?下位互換?

最後に「上位互換」の問題について触れておこう。ゲーム内に存在するエレメントが、他のエレメントより全ての点で同じか上回る場合、一方がもう一方の上位互換であると見なされる。モンスターAとBはどちらもコストが2で強さが3なのに、Aはそれに加えて追加ダメージを与える機能まで付いている!といった具合だ。

言うまでもなくゲーム内に上位互換があるのは望ましくないデザインだ。どちらを選ぶかの判断が機械的作業になってしまうからである。ただしこれまでの話を踏まえて言えば、本質的な問題は「強さが異なる事」でなく「強さ以外の部分が同じである事」だ。

ゲームバランスとは全ての選択肢をちょうど同じだけ魅力的にする事ではない。選択肢同士を比較する際に共通項を差し引いて機械的判断に還元できない様にする事である。

良いルールとはプレイヤーの意見が割れるものだ。AとBのどちらが強いかをコミュニティが議論した際に、「Aの方が強いだろう」と全会一致するのも、「AとBはちょうど同じだけの強さでどちらを選んでも変わらないだろう」と一致するのも同じくらい退屈である。Aが強いという一派とBが強いという一派に割れて実際の対戦で決着を付ける方が面白い。

 

ルールデザインの話(3)

ルールデザインの話(1)

ゲームのルールを作る際のあれこれ


ボードゲームのルール作りについて1冊本を書こう! と半年前に思い立ったものの着地点が定まらず一向に原稿が進む気配が無い。仕方ないので一旦本は諦めてブログ記事として散発的に発信し、反響があったら内容を拡充してまとめるという方針に切り替えた。第何回まで続くか全く不明だが気楽に読んで頂きたい。

 

ルールは最初に作る

最初の話題は「ゲームはどういう順番で作るか」という問題である。1つのゲームはルールやアートワークや図案や説明書や駒や箱やその他色々なエレメントが合わさって出来ている。どこから手をつけるべきだろうか?

ルールである。これは「場合による」とか「大抵の環境では」といった但し書き無しに、常にルールを最初に作るのが望ましい。理由は主に2つある。歩留まりと他工程への影響である。

第一に、ルールデザインは工程として見ると歩留まりが物凄く悪い。10個ぐらい遊べるゲームルールを作ると、「これは面白い!」というのが1つか2つ、「まあ悪くはないんじゃないかな」というのが3つか4つ、残りがカスである。これは他の工程に置き換えてみるととんでもなく高い不良品率だ。ゲーム用画像を依頼したアーティストが箸にも棒にも引っかからん落書きを10枚中5枚並べ、「何か問題でも?」という顔をしたら0.2秒後には右ストレートが鼻の頭に突き刺さっている。説明書の半分のページで日本語が破綻していたらライターは紆余曲折の末病院に送られる。10回試みて7回失敗したら「3回も成功してすごいな!」と褒められるのはルールデザイナーと野球の打者ぐらいのものだ。

第二に、ルールは他の部分への影響が大きい。ゲームというのはルールを中心に回っている物なので、何か変更を加えると他工程もそれに合わせる必要が出てくる。例えばモンスターを戦わせるゲームで、全てのモンスターを「機械系」と「八本足の軟体動物系」の2系統に分けたとしよう。機械系は電撃に弱く、八本足の軟体動物系はタコツボを見ると入ってしまうという具合にそれぞれルール上の挙動を定める。数十のモンスターを作り、アーティストがそれらのアートワークを制作した。ところがその後になって八本足の軟体動物系モンスター「明石丸」を機械系に変更したとすると、幸運にもタコにも機械にも見える宇宙的なデザインをしていない限りその絵は描き直しになる。

こういうわけで、他の仕事をしてからルールを変更すると二度手間三度手間が発生するし、他の部分を全て完成させた後でルールを作ってみたらあまり面白くなかったという場合「これまでの全ての労力を無駄にする」か「これまでの全ての労力に加えて生産コストを無駄にする」かという選択を迫られる。ほとんど疫病神だ。

従って理想的な工程順序は、まず遊べる形のルールを作り、面白ければ他の工程を始め、面白くなければ何も見なかった事にしてプロジェクトを打ち切るというものだ。これならたとえ失敗しても無駄骨を折るのはルールデザイナーだけで済む。というよりそもそも、面白いルールが出来上がった時点を以てプロジェクトの第一日とすべきである。その前の段階でアーティストに「俺さ、今すげえゲーム作ってるんだけど絵描いてみてくんない?」などと相談すべきではないのだ。

なお企画書は助けにならない。ストーリーを読む類の広義のゲームはともかく、ルールから面白さが生まれるゲームはまずプロトタイプが必要だ。企画や構想の段階では曖昧な部分が全て想像で補われているため非現実的に美しく見える。このあたりの仕組みは「構想の呪い」という記事で解説している。

 

ルールデザインの話(2)

翻訳記事:解析可能性

これは翻訳記事です

 

解析可能性

対戦型の戦略ゲームを作るには解析可能性と戦い続けなくてはならない。簡単に理解できる程度にシンプルに、かつ単一の正解を見つけていつもそれを使う事ができない程度には複雑なシステムを作らなくてはならない。

 

純粋解法 vs 混合解法

ゲームに「純粋戦略」による解法がある場合と「混合戦略」による解法がある場合ではだいぶ違いがある。何故かを理解するために、まずはこの2つを定義しよう。

純粋戦略とはゲームのプレイ方法を完全に定めるものだ。全ての起こりうる局面に対してプレイヤーが打つべき手をまとめた指南である。もし何らかの純粋戦略がゲームにおける最善の方法であれば、それは純粋な解法である。ゲームの純粋解法を知っていればもはや意思決定は実質的に残っておらず、ゲームですらなくなる。単純に純粋解法の指南する所に従うだけでよいのだから。

混合戦略とは純粋戦略をいくつか組み合わせてそれぞれに確率を割り振ったものだ。この場合の指南は「相手がXをしたらYをしなさい」という形でなく、「相手がXをしたら30%の確率でYを、70%の確率でZをしなさい」となる。混合戦略がゲームの最善手である場合、それを混合解法と呼ぼう。

ゲームに混合解法があるのは純粋解法があるのと同じぐらい悪いと思うだろう。結局プレイヤーは何も意思決定をしておらず、複数の選択からランダムに選んでいるだけなのだから。ところが違う。混合解法があってもプレイヤーは色々やる事がある。そこでそもそも「最適」な手とは何を意味するかを掘り下げてみよう。

 

最適な方法

いくつかの混合戦略がある時、その中で最適なものを混合解法と呼ぶ。これは「ナッシュ均衡点」とも呼ばれる。混乱の元になるのは「最適」という語が2つの事を意味するからだ。日常語と数学用語でそれぞれ定義が違う。この記事では「最適」を常に数学用語の方で使っており、日常語の「一番よい方法」という意味ではない。数学用語での最適とは「最も相手に利用されにくい方法」である。

相手に利用されやすい方法とは何だろうか。例えばじゃんけんで100%グーだけを出していたら、それは非常に利用されやすい。相手は傾向に気付いてパーだけを100%出すようになる。相手はこちらの戦略を完全に利用し、こちらの勝率は0%に下がる。もしグーを出す確率を80%にしたら(そしてパーとチョキが10%ずつ)、それでもやはり悪いのだが先ほどよりはマシになる。相手は相変わらずパーを100%出せるがこちらの勝率は0%から10%に増える。

最も利用されにくい方法を採るならば全ての手を33%ずつの確率で出すべきだ。こうすれば相手はどういう戦略を取ろうとこちらを上回れない。これがじゃんけんの混合解法である。

 

最適は「最高」ではない

最適な方法は素晴らしく見えるだろうが、大会で優勝するのが目標ならばそれではやって行けない。例えばじゃんけんの大会に出場したとしよう。対戦相手はグーを100%出すという評判で、実際にそれをやって来た。ここで最適な方法を採るとそれぞれの手を33%ずつの確率で出す事になり、33%の確率で負けてしまう。一方別のプレイヤーはこの相手に100%パーをぶつける。「最適な」はずの方法はこれよりも負ける確率がずっと高く、早々に敗退してしまう。

最適な方法を採るという事は目の前にある利用可能な優位を捨て去るという事だ。相手が非常に利用しやすい戦略を用いているのにつけ込まないという事だ。大会での優勝を目指すにはお粗末なプレイングと言わざるを得ない。もちろんこれは極端な例だが、相手がグーを出す確率が40%や35%であっても同様の議論は成り立つ。

ではグー100%の相手にパー100%を数ラウンドにわたって繰り出し、その後相手が戦略を変えてきたらどうなるか?  今度は相手がこちらの戦略を利用するという事もあり得る。というのも、こちらも最適戦略から乖離しているからだ。なのだが、それでも最適から外れるというのはやる価値のある事である。相手が戦略を変えて対応して来るのが心配であれば、パー33%をいきなりパー100%にしてしまう必要はない。40%かそこらでも33%の場合よりは試合に勝てる確率が高いし、自分自身もそれほど脆弱ではなくなる。更に相手は a)こちらの戦略を観察し最適からの乖離を見つける b)それに対抗する戦略を正しく採用する の2点がどれほど得意だろうか? こちらの方が得意であるなら迷いなく相手の戦略を利用すべきだ。相手がゆっくり戦略を修正する間にこちらは素早く修正できるのだから。

 

ドンキースペース

ドンキースペースというのはフランク・ランツ氏の造語で、非最適なプレイングの概念的空間を表す。上の項で述べたように、優れたプレイヤーはドンキースペースにいる相手を利用するためにわざとドンキースペースに入る事がある。言い換えれば、自分も相手に利用されうる戦略を採用する。もし双方とも優れたプレイヤーであればドンキースペース内の様々な場所を踊りまわり、優位を求めて駆け引きをするだろう。

全体像をもう少し明らかにしておこう。上級者同士の戦いでは全員が最適なプレイをするのでドンキースペースで踊る余地など無いと思うかも知れないが、実際のゲームではそれはだいぶ非現実的だ。そもそも上級者でも最適から大きく外れている事はよくある。それに対戦相手の(全員ですらなく)誰か1人でも最適なプレイングやそれに近いことをしているというのは稀だ。優れた対戦ゲームでは最適な戦略を知るのは非常に難しい。もちろん大まかな指針はあるにせよ、特定の局面でどの選択肢をどれだけの確率で繰り出すべきかを完璧に把握するのは無理だ。あまりにも変数が多すぎる。人気があり非常に研究されたゲーム、例えばポーカーであっても、最適な戦略はまだ完璧には解明されておらず、プレイヤーは最適からかなり乖離している。ましてパンダンテやYomiではポーカー以上に難しいだろう。

重要なのは、他のプレイヤーが最適から外れていたら、たとえ自分が最適な戦略を知っていて混合解法を完璧に執行できるとしても、勝率を最大化するにはなお相手のプレイスタイルを観察してそれに合わせる必要があるという事だ。

そして混合解法を執行するのは他にも色々と困難な要素がある。たとえその解法が何かを知っていてもだ:

  1. 人間はランダムに何かをするのがとても苦手だ。だから例えば特定の選択肢を42.3%の確率で選ぶというのは非常に難しい。
  2. そしてランダムに選ぶ事に失敗すると、本人も気付かない癖がパターンとなって表れる。対戦相手はそれを見つけて利用できる。
  3. 安全な道を行くかリスクを取るかの決断で人間はどうしても性格が出てしまう。
  4. リアルタイムのゲームであれば、タイミングや操作精度(難しいコンボを出したり狙撃をしたり)の面で数学的最適に達しているプレイヤーは1人もいないだろう。

2番は特に面白い。レヴィツキ(1997, 1998)によれば、人間は自分でも気付かないままにパターンを学習できる。それが何であるかを説明したり表現する事はできないが、それでも学習しているのだ。被験者は円を4つに区切ったそれぞれのエリアに数字が書かれたものを見せられ、特定の数字を含んでいるのはどれかボタンを押して答えた。被験者はテストを繰り返した。ただし、数字の場所がランダムでなく実は法則があるという事は伏せたままだ。配置には10の込み入ったルールがあった。テストが進めば進むほど反応速度は良くなり、かつパターンの存在には気付かないままだった。パターンを説明できれば100ドルあげますと言っても誰一人できなかった。しかも、配置パターンをこっそりランダムに変えてみたところ被験者の成績はすぐさま大幅に下がった。特に面白い事に、レヴィツキの同僚で実験内容を知っている心理学教授ですら、それらの配置パターンは「ランダム」だったと言い張ったのだ。人はパターンを学んで利用しつつ、パターンなど存在しないと思ってしまうのだ。

論点はこうだ。人は無意識に混合戦略を不完全に執行してしまう。そして自分でも気付かないままパターンにはまっている。対戦相手は自分でも気付かないままそれを発見して利用できる。混合戦略ゲームにおけるドンキースペース内のダンスとは、表層意識同士に加えて無意識同士の戦いでもある。そして前者においては何が最適であるかについてそもそも意見が異なっているのだ。

 

純粋解法は混合解法よりもゲームを早く腐らせる

よって、たとえゲームに混合解法があったとしても、対戦相手が何をやっているかには細心の注意を払わなくてはならない。相手が最適からどれだけ離れているかを検知しその戦略に対抗するのだ。これは非常に難しい。何しろ無意識を働かせてパターンを読み取るわけだから。

純粋解法のあるゲームでは相手が何をしているかに注意する必要は全くない。その解法を知っていれば相手が何をする傾向を持っていてどんな考えを抱いているかは全く関係ない。単に最適な道を辿れば良いだけであって、実質的なゲームプレイはもう残されていない。

もうひとつ重要なのは、混合解法と純粋解法のあるゲームがそれぞれどんな風に見えるかだ。両者ともプレイヤー達はまだ解法を見つけていないがそれに近づいているとしよう。どちらのゲームも時間が経つにつれてどんどん解析される。最適なプレイングに次第に近づいてゆく。純粋解法のあるゲームの場合、プレイングの技巧とはつまるところ定石の暗記になり対戦相手とは関係なくなる。例えばチェスの終盤、メイトまでの道筋が解明された局面などがそうだ(ちなみにチェス2では中央突破ルールがあるのでこの種の局面が発生しない様になっている)。チェスの序盤も似た様なものだ(これまたチェス2では違うが)。年月が経ちチェスの解明が進むにつれ、オープニングの教本は進歩し、それら定石を覚えて不利な中盤戦を迎えない様にするのが重要になって行った。

一方、混合解法へと近づいているゲーム、例えばポーカーとかパンダンテとかYomiでは、単なる定石の記憶に集約される事はない。対戦相手を観察して反応するのは相変わらず重要だ。そしてついに完全な混合解法の解明に至ったとしても(Yomiでは我々が生きている間には無理だろうが)、なお全てのプレイヤーがドンキースペース内にいる。上級プレイヤー達も全ての局面で全く混合解法通りにプレイできているわけではない。誰もが何らかの点でドンキースペースにおり、誰がどのぐらいの位置にいるかそれぞれ意見が分かれる。対戦はある意味でその論争を決着させる手段である。「この局面では42%の確率でガードすべきだろう」とある人が言い、別の人が60%だと主張する。そして対戦相手の「間違った」近似解を利用しようとする。そもそもそれを見つけられればの話だが。

ゲームデザインの観点から言えば、混合戦略型のゲームは解析可能性との戦いで本質的に有利である。たとえ解法が見つかっても面白いままでいる様にゲームを作るのは、最終的に定石の暗記だけで何も意思決定をしなくなる作り方よりもだいぶ安全なのだ。

 

純粋解法ゲーム制作 vs 混合解法ゲーム制作

先に説明した様に、純粋解法を持つゲームを作るのはいささか危険である。もちろん十分にゲームが奥深ければ、解法が見つかるまでには相当な時間がかかる。チェスや囲碁は何世紀も遊ばれているが完全な解法は見つかっていない。だが一方、純粋解法のあるゲームを作るという事はそういった古典と同様の耐久力が求められるという事でもある。例えばチェッカーは既に解法が見つけられてしまった。更にたとえチェスと同じくらい深いゲームを作ったとしても、そもそもチェス自体が定石の進歩とともに記憶のゲームと化している。対戦ゲームにとってはいささか不幸な運命と言わざるを得ない。

更に皮肉なのはこうだ。完全情報ゲーム(決断を下す全ての瞬間においてゲーム内の全ての情報が明らかになっている)でランダム性も無いというと「実力主義」に聞こえるだろう。もし実力の出るゲームが好きならば良さそうに見える。しかし実際は、これによってゲームに純粋解法が生まれる事を保障してしまい、ゲームの実力(その場の判断)よりも定石の記憶が最後にはずっと重要になる。不確定要素や、隠れた情報や、ランダム性が入っている方が実はずっと実力が出やすいのだ。

ゆえにゲームデザインでは、そうした不確定要素なり隠れた情報なりランダム性なりを採用する事をお勧めする。ランダム性というのはある種不名誉な烙印を押されているが、純粋解法によって解決されてしまうのを防ぐには有効な道具である。

 

KONGAI

私の作ったKongaiというゲームはその例だ。プレイヤーはターンごとに2つの決断を行い、そのどちらもダブルブラインドである。つまり相手も同時にその決断をして同時に公開する。これは解析可能性との戦いをずいぶん助けてくれる(完全情報ゲームでなくなる)し、そもそもこのゲームは何らかの隠れた要素が無いと非常に解決しやすくなってしまう。またポケモン(Kongaiの元になったゲーム)の様に命中率や追加効果発動率という形でランダム性を入れる事でも解析可能性に対抗している。こうした命中率のおかげで数手先を読むには非常に大きな可能性の分岐技を計算しなくてはならなくなったのだ。

Kongaiプレイヤーの中には最適解を計算するのが好きな人もいるが、その場合はまず単純な状況から始めなくてはいけない。特定のキャラクターの組み合わせ同士で、特定のアイテムを装備し、それぞれ最後の1人まで追い詰められて交代や横入りができず、HPも残り僅かという状況だ。この小さな局面ですら数十ページにわたる分析でようやく正しいプレイングが計算できるのである。ゲーム全体に同じ計算を適用するのはほとんど不可能だろう。

 

結論

対戦ゲームはできるだけ解析不可能でありつつ、同時にプレイヤーに理解可能でなくてはいけない。純粋解法のあるゲームは実力主義に見えるが、時間が経つにつれて単なる定石の暗記へと縮小していく。ところが混合解法のあるゲームはずっと長い期間にわたって戦略的な面白みを維持する。

混合戦略型のゲームを作るには不確定要素や隠れた情報やランダム性を入れる事だ。ターン制でなくリアルタイムであればこの点では有利だろう。

 

原文:http://www.sirlin.net/articles/solvability

Hearthstoneの戦い方(5)

CCG “Hearthstone” に関して気づいた事をその都度記録。


Hearthstoneの戦い方(4)

 

デッキの生態学

このゲームにはデッキやクラス間の相性がそれなりにある。例えばプリーストは敵の手下を始末したり洗脳するのが得意なので、ハンターやシャーマンなど手下を並べて戦うデッキにはかなり有利である。その一方、敵が殴り合いに付き合ってくれないと機能しないカードが多く、ウォリアーなど手下にあまり頼らないデッキは苦手だ。

全てに強いデッキは存在せず、誰もがそれなりに弱点を抱えている。そしてひとつのデッキタイプが興盛を極めるとそれに対抗するデッキタイプの割合がじわじわと増え、一方それを苦手とするデッキは徐々に減る……という食物連鎖の様な仕組みでプレイヤー全体の生態系がバランスを保っている。

なのだが、この生態は実は全体に一様ではなく、強さの階級ごとにある程度層構造を成している様に思われる。

 

ランク制

このゲームのランクマッチは塔を登る様な仕組みになっている。 最初は最下層の「25」から始まり、勝つと星が増え、負けると星が減る。星が一定数溜まるとひとつ上の「24」に行ける。これを繰り返して最終的に「1」やその上の「レジェンド」に行くのが目標である。ランクは月ごとにリセットされるのでその都度登らなくてはならない。

基本的に対戦相手は同じか近いランクから選ばれるので、階層を上がるためには「同じ層にいるプレイヤーに勝ち越す」必要がある。あたかも各階の番人を倒して進む冒険の様なものだ。

このメカニクスの帰結として次の様な現象が生ずる。例えばある階層でハンターが大流行したとしよう。するとその階層ではプリーストは非常に有利であり、技量が同等なら相性のお陰で簡単に勝ち越せるだろう。すると勝ち越したことの帰結としてプリースト使い達はその上の階層に行く。一方ハンター使い達はそれほど極端には勝ち越せないので、すぐ上の階層ではやや分布割合が減る。

この結果、ある階層ではハンターが多く、そのすぐ上の階層ではそれに強いプリーストが多いという風にランクごとに異なったデッキ生態分布を見せることがある。そしてそのプリースト階ではコントロールウォリアーが有利であり、すぐ上にウォリアー階が形成される可能性もあるわけだ。

プレイヤープール全体ではデッキの分布はバランスが保たれる。しかし「勝ち越したら上に行く」「同じランクで対戦する」というランクシステムの関係上、階層ごとの分布は必ずしも一様ではなくなる。

 

複数のデッキを使い分ける

オールラウンド型のデッキであれば相性の問題はそこまで深刻ではない。しかし得意な相手と苦手な相手がはっきり分かれるデッキの場合、分布上の偏りが思わぬ壁となって立ちはだかる場合がある。例えば3回に1回はプリーストに当たり、3ターン目にはDeath Lordが出て来るとしたら手練のハンターでも勝ち越しはなかなか難しいだろう。本来もっと上の実力があってもそこで足踏みをしてしまうわけだ。

複数のデッキを用意しておくと存外あっさりとこの壁を越えてしまうことがある。私は2015年7月のシーズンでランク5までプリーストで上がり、そこからコントロールデッキと当たる回数が増えて徐々に辛くなった。そこで今度はウォリアーを使ってランク2まで上がり、そこで再びアグロ系デッキが増えたのでプリーストに切り替えてレジェンドへ進んだ。ランク2〜レジェンドの範囲はハンターやズーが非常に多く、試合開始と同時に勝っている様なマッチングに多数恵まれたのである。

ひとつのデッキを極めることで相性の差を覆せるというのも事実だが、いくつかの道具を使い分ければ楽ができるというのも事実である。当面の目標が階層を上がることなら戦術のひとつとして利用するのも悪くないだろう。