翻訳記事:テーマはゲーム性にあらず(その1)

これは翻訳記事です

GDC#11:テーマはゲーム性にあらず(その1)
2010/6/14 Soren Johnson

Game Developer誌2010年2月号に掲載された物の再掲

 

ゲームの意味を決めるのは誰だろうか?

一見した所、人気ボードゲーム「乗車券」は鉄道王ゲームの系譜である。「蒸気の時代」や「ユーロレイルズ」や「1830」に近い感じだ。プレイヤーは都市と都市を繋ぐ路線を確立して行く。ニューヨークからサンフランシスコへ、マイアミからシカゴへ、という具合だ。

点数を得るにはいくつもの都市を結ぶ路線を作りつつ、他のプレイヤーの路線建設を妨害しなくてはならない。また連続した最長路線の確立や目標地までの路線確立など副次目標もある。

従って、「乗車券」は鉄道会社経営ゲームとして扱われる事が多い。優良な路線を選び、ライバルの路線を分断するゲームという風に。しかしながら、ルールブックの導入部にはそれと全く違うストーリーが書かれている…

———————————————————
風の吹きすさぶ秋の夜、五人の旧友が秘密のクラブの一室に集合した。それぞれ世界の果てから長い旅程をやって来たのだ。この特別な日の為に・・・。1900年10月2日、フィリアス・フォッグの偉業「八十日間世界一周」の28年後である。

この28年間、彼らは毎年この記念日を祝い、フォッグへの賞賛を表した。そして年々難しくなる新たな挑戦が与えられた。世紀の変わり目の今年、またも不可能と思える旅程が提案され賭けが始まった。掛け金は100万ドルで勝者の総取り。勝負の方法は、七日間で最も多く北アメリカの都市を回った者が勝ちというものだ。
———————————————————

この公式ストーリーを見てなんだこりゃと思う人も多かろう。ゲームに慣れている人もそうだ。だってストーリーとゲーム内容が合ってないじゃないか? 例えば、ただの乗客がどうして路線を独占できるのだ? 列車が扉を閉めて他の乗客をみんな閉め出してくれるのだろうか? むしろ鉄道王が路線を巡って争っていると考えた方がシステムに合致するではないか。

しかも路線の確立は好きな順番で行える。プレイヤーが旅行者で、路線の上に物理的に存在するとしたらこれは変だ。路線の確立は搭乗でなく買収と考えた方がすっきりする。

 

システムこそゲーム性を決める

この不一致は興味深い問題へと繋がって行く。プレイヤーのイメージと公式ストーリーが一致しない場合、開発者はそれを押し付ける権利があるのだろうか? 無いとすれば、そもそも「公式」ストーリーは何か意味を持つのか? こうも簡単に無意味になってしまうのに? ゲームとは、プレイヤーが何をするか、そして何を感じるかで決まる物ではないのか?

次の点を理解しなくてはならない。テーマはゲーム性ではない。ゲーム性とはシステムから生まれるものだ。即ち、一連の意思決定とその結果から生まれるのだ。ゲームはプレイヤーに何をする事を求めるか? 何をすると罰を受けるか? 何をすると報酬が得られるか? どんな戦略やプレイスタイルが成立するか? これらの問題に答える事でゲーム性の本質が見えて来る。

更に考察を進めよう。プレイヤーはゲームを買う時テーマで選ぶ(宇宙海兵になりたい!)が、ゲームの楽しさはシステムから生まれるのだ(宇宙人を射殺するなど)。もし両者に極端な不一致があれば、プレイヤーは騙されたと感じるかも知れない。羊頭狗肉だ! と。

進化をモチーフにしたゲーム”Spore”の例を見てみよう。Science誌の2008年10月号で、ジョン・ボハノンがこんな考察を書いている。ゲームのテーマから期待される要素がどう扱われているかという話題だ。

———————————————————
科学者達と一緒にしばらく”Spore”をプレイしてみた。そして科学考証がきちんと行われているかを評価した。生物学、とりわけ進化論に関して言えば、”Spore”は支離滅裂である。科学者達によれば、”Spore”の不正確ぶりはゲームならではの単純化といったレベルではなく、生物学の殆どの要素を無駄にねじ曲げている。
———————————————————

不一致の原因はこうだ。”Spore”は進化に関するゲームとして売られているが実際には進化とは関係無い。”Spore”は創造のゲームなのだ。”Spore”の楽しみとは、他のプレイヤー達が想像力の限りを尽くした作品を眺める事だ。開発者さえ予想し得なかった方法でエディタを活用(または誤用)し、楽器や想像上の生物、果ては演劇のワンシーンまで作れるのだ。

“Spore”は進化と無関係なゲームだが、進化を扱ったゲームはちゃんと市場に存在する。超人気ゲーム”World of Warcraft”がそれだ。テーマこそ剣と魔法の世界だが、キャラクター成長システムは自然淘汰の法則によって最適な形へと導いて行く。

数年間の経験を経て、WoWの古豪達は数多の育成レシピ(ビルド)を職業ごとに確立し、求められる役割それぞれに適切なビルドが存在している。例えばパラディン職には3つの主要ビルドがある。回復を担う聖魔法ビルド、盾の役目を担う防護ビルド、火力を担う天罰ビルドである。これらの主要ビルドの下にPvP用、PvE用、レベル上げ用といったサブビルドがそれぞれ存在する。こうしたビルドはどれもプレイヤーの試行錯誤から有機的に生まれたのだ。つまりゲーム内において何が報われ、何が罰せられるかに応じて生じたものだ。

 

テーマを超えて

ゲームシステムはプレイ体験にどう影響しているか? という眼鏡を通してゲームを見てみよう。スーパーマリオブラザーズはタイミングのゲームであり、配管工のゲームではない。”Battlefield”はチームワークのゲームであり、第二次世界大戦や現代戦のゲームではない。”Peggle”はカオス理論のゲームであり、ユニコーンと虹のゲームではない。

実際、テーマが同じでもゲーム性が異なる事はあり得る。例えば人類と異星人の戦争はビデオゲーム界によくあるストーリーだ。しかし異星人をモチーフにしている点は同じでも、ルールの違いによってゲーム性は全く違って来る。「ギャラガ」はパターン認識のゲームである。”X-Com”は限られた情報での意思決定ゲームである。”Gears of War”は遮蔽物を防御兵器として利用するゲームである。”StarCraft”は非対称戦争のゲームである。

逆に、テーマは違ってもシステムが同じならゲーム性は同じである。”Civilization”と”Alpha Centauri”は全く違う惑星を舞台にしているが、システムの部分は殆ど同じである。”Alpha Centauri”のマインドウォーム、特務班、秘密プロジェクトは本質的に”Civilization”の蛮族、スパイ、遺産と同じである。プレイヤーは外面上の違いに惑わされる事無く、”Civilization”と同様の意思決定を下して行ける。

ジャンル選択もゲーム性に影響を与える。テーマごとにそれぞれ固有の文法があり、プレイヤーが期待する物が違って来る(俺は魔法使いだ! 強力な魔法を唱えられる!)。ジャンルの因習はプレイヤーが店でゲームを手に取った時、何をイメージするかを決めてしまう。もう一度言うが、みんなテーマでゲームを買うのだ。システムがジャンルの因習から大きく外れていれば、プレイヤーの期待を裏切る結果になってしまう。

最近の2つのゲームを例として挙げよう。”Halo Wars”と”Brutal Legends”は、戦略ゲームになった事でプレイヤーを戸惑わせた。前者の場合、”Halo”と言えば戦闘アクションゲームの筈だった。後者の場合、ヘビメタ音楽は戦略ゲームに合わなかった。戦略ゲームとは熟考の末に決断を下すものであり、タイトルを見て本能のままに暴れるゲームを期待した人は裏切られたのだ。ゲームのルール自体は面白かったかも知れないが、掲げた看板のせいで売る対象を間違ってしまった。

 

テーマとシステムの合致

面白い比較をしよう。ボードゲームの”Risk”と「ディプロマシー」はどちらも世界征服をテーマにしている。一見した所システムの面でも似た様な感じだ。ゲーム盤は地域に分割され、陸軍や海軍のコマを動かして行く。戦闘によって地域の支配権はプレイヤーからプレイヤーに移る。そして領土を増やせば大きな軍隊を維持できる。

しかし、ルール上の小さな違いが両者を全く異なる物にしている。”Risk”では順番にターンを消化して行くのに対し、「ディプロマシー」の方は同時に解決する。この違いにより、”Risk”はリスクのゲーム、「ディプロマシー」は外交のゲームになったのだ。前者の場合、自分のターンにどれだけの領土が得られるかを見積もり、ダイスの目に嫌われない事を祈って突っ込む。後者の場合、そもそもダイスが無い。成功を収めるには必ず他のプレイヤーの援助が必要である。そして援助は約束はできても保証はできない。交渉フェイズが終わり、それぞれ伏せて指令書を書き、そして一斉に公開する。この時になって初めて誰が本当の友人で誰が裏切り者か分かるのだ。

「ディプロマシー」はテーマとシステムの完璧な合致を果たしている。実際、これはケネディ元大統領のお気に入りだった。ゲームの内容は看板と完全に一致している。外交交渉の手練手管のゲームである。逆にもしテーマとシステムが不一致を起こしていれば、プレイヤーの反応は否定的なものになる。その2ではうまく両者を合致させたゲームとそうでないゲームを考察しよう。そしてその報酬と代価も。

原文:http://www.designer-notes.com/?p=237

#11 Mech Arena

プロトタイプ。ここまでの制作時間:6日

タイトル:Mech Arena

2人で対戦するロボット戦闘ゲーム。ダイスを振ってストライクカウントを重ね、アウトカウント3つで撃破。

 

用意する物:戦闘カード各1枚、6面ダイス5個、各種カウンター

 

開始処理:

・それぞれ自分の戦闘カードを選んで使う。ロボの性能が記述されている。

・二者間の距離を記録するピンを置く。初期値は2、上限は4、下限は0。

・順番を決める。

 

ターン処理:

・順番が来たら戦闘カード裏面にある行動から一つ選ぶ。前のターンと同じ行動を続けて選択する事はできない。

・行動による無条件の効果を処理する。

・規定数ダイスを振り、条件付きの効果を処理する。

・「ストライク」は相手にストライクカウンターを追加する。6個が上限。

・「気力」は自分に気力カウンターを追加する。気力の上限に達したらそれ以上追加できない。

・「アウト」は相手にアウトカウンターを追加する。

・「格闘」はまず攻撃を仕掛けられた側がダイスを3個振り、ストライクカウンターの数以下の目が1つでも出たらアウトカウンターが増加。例えば2ストライクで6と2と3が出たらアウト。続いて仕掛けた側がダイス2個で同様のアウト判定を行う。

・アウトカウンターが増えた場合、ストライクカウンターは全て無くなる。

・気力を消費する行動もある。必要なだけの気力が無ければその行動を選べない。

 

終了処理:

・先にアウトカウンターが3つになった方が負け。

・3つ目のアウトを生じさせるロールはダイスを1つ減らす。例えば2アウトの相手にミサイル攻撃を仕掛けたらダイスを2個でなく1個振る。格闘戦を仕掛けたら3個でなく2個になる。

 

戦闘カード:イェーガー

戦闘ロボット。基本動作である射撃と格闘で戦う。全ての判定処理が2d6のどちらかが4以上で成功というシンプルな構成。

・気力上限:3

・キーワード「判定」 – 2d6のどちらかが4以上で成功。

 

・ハンドガン:距離-1。判定でストライク1。

・アームガン:気力+1。判定でストライク1。

・ブレード:距離-1。気力+1。その後距離が0なら格闘、距離+2。

・ミサイル:距離1以上でのみ使用可。気力3消費。判定で距離+1、アウト1。

・ダッシュ:判定で距離を0にするか+2。失敗なら+1または-1。

 

戦闘カード:イェーガー・スカウト

イェーガーのカスタムモデル。高性能なダッシュが持ち味。

・気力上限:4

・キーワード「判定」 – 2d6のどちらかが4以上で成功。

 

・アームガン:気力+1。判定でストライク1。

・ブレード:距離-1。気力+1。その後距離が0なら格闘、距離+2。

・小型ミサイル:距離1以上でのみ使用可。気力4消費。判定で距離+1、アウト1。

・クイックダッシュ:気力+1。判定で距離を0にするか+2。失敗なら+1または-1。

 

戦闘カード:イェーガー・アティラリ

イェーガーのカスタムモデル。高威力のデュアルアームガンが売り。

・気力上限:3

・キーワード「判定」 – 2d6のどちらかが4以上で成功。

 

・サブマシンガン:距離-1。その時点で距離が0なら格闘、距離+2。距離1以上なら判定でストライク1。

・デュアルアームガン:気力+1。2d6で4以上の目1つにつきストライク1。

・ミサイル:距離1以上でのみ使用可。気力3消費。判定で距離+1、アウト1。

・ダッシュ:判定で距離を0にするか+2。失敗なら+1または-1。

 

戦闘カード:イェーガー・アサルト

イェーガーのカスタムモデル。主武装であるアームガンを省き、代わりに二挺拳銃を装備して突撃力を大幅に高めた。

・気力上限:2

・キーワード「判定」 – 2d6のどちらかが4以上で成功。

 

・デュアルハンドガン:距離-1。2d6で4以上の目1つにつきストライク1。

・ブレード:距離-1。気力+1。その後距離が0なら格闘、距離+2。

・大型ミサイル:距離1以上でのみ使用可。気力2消費。判定で距離+1、アウト1。

・タックル:判定で距離を0にするか+2。0にした場合ストライク1。失敗なら+1または-1。

 

戦闘カード:イェーガー・スナイパー

イェーガーのカスタムモデル。ミサイルを持たず、気力が3になると銃に致死攻撃力が宿る。

・気力上限:3

・キーワード「判定」 – 2d6のどちらかが4以上で成功。

 

・ハンドガン:距離-1。判定でストライク1。

・スナイパーガン:距離1以上でのみ使用可。気力3なら全て消費、判定でアウト1。気力2以下なら気力+1、判定でストライク1。

・ブレード:距離-1。気力+1。その後距離が0なら格闘、距離+2。

・スニーク:判定で距離を0にするか+2、次の相手のターンの間ストライクもアウトも取られなくなる。失敗なら+1または-1。

 

戦闘カード:レズナク

アサルトライフル一丁で戦場を駆ける漢の機体。近接戦闘力が残弾数に依存する。

・気力上限:3

・開始時に5発の弾丸を持っている。

・キーワード「判定」 – 2d6のどちらかが4以上で成功。

・「全弾消費」は1発以上無いと使用不可。

 

・単射:1発消費。判定でストライク1。

・バースト射:2発消費。気力+1。距離-1。判定でストライク1。

・フルオート射:全弾消費(使用に1発以上必要)。気力+1。距離-1。その時点で距離0なら格闘、距離+2。ただし相手のアウト判定のダイス数は消費弾数に等しい。

・リロード:気力+1。判定で弾数を5に回復。

・グレネード:距離1以上でのみ使用可。気力3消費。判定で距離+1、アウト1。

・ダッシュ:判定で距離を0にするか+2。失敗なら-1か+1。

 

戦闘カード:レズナク・スカウト

レズナクのカスタムモデル。機動力で撹乱する。

・気力上限:3

・開始時に5発の弾丸を持っている。

・キーワード「判定」 – 2d6のどちらかが4以上で成功。

・「全弾消費」は1発以上無いと使用不可。

 

・バースト射:2発消費。気力+1。距離-1。判定でストライク1。

・フルオート射:全弾消費(使用に1発以上必要)。気力+1。距離-1。その時点で距離0なら格闘、距離+2。ただし相手のアウト判定のダイス数は消費弾数に等しい。

・リロード:気力+1。判定で弾数を5に回復。

・グレネード:距離1以上でのみ使用可。気力3消費。判定で距離+1、アウト1。

・クイックダッシュ:気力+1。判定で距離を0にするか+2。失敗なら-1か+1。

 

戦闘カード:レズナク・アティラリ

レズナクのカスタムモデル。高精度の射撃で戦う。

・気力上限:3

・開始時に5発の弾丸を持っている。

・キーワード「判定」 – 2d6のどちらかが4以上で成功。

・「全弾消費」は1発以上無いと使用不可。

 

・精射:1発消費。2d6で4以上の目1つにつきストライク1。

・連射:気力+1。距離-1。その時点で距離1以上なら2発消費、判定でストライク1。0なら全弾消費、格闘、距離+2。ただし相手のアウト判定のダイス数は消費弾数に等しい。

・リロード:気力+1。判定で弾数を5に回復。

・グレネード:距離1以上でのみ使用可。気力3消費。判定で距離+1、アウト1。

・ダッシュ:判定で距離を0にするか+2。失敗なら-1か+1。

 

戦闘カード:レズナク・アサルト

レズナクのカスタムモデル。タックルからのフルオート射撃は一級品。

・気力上限:3

・開始時に5発の弾丸を持っている。

・キーワード「判定」 – 2d6のどちらかが4以上で成功。

・「全弾消費」は1発以上無いと使用不可。

 

・単射:1発消費。判定でストライク1。

・フルオート射:全弾消費(使用に1発以上必要)。気力+1。距離-1。その時点で距離0なら格闘、距離+2。ただし相手のアウト判定のダイス数は消費弾数に等しい。

・ステップ:気力+1。距離-1。判定で弾数を5に回復。

・グレネード:距離1以上でのみ使用可。気力3消費。判定で距離+1、アウト1。

・タックル:判定で距離を0にするか+2。0にした場合ストライク1。失敗なら+1または-1。

 

戦闘カード:レズナク・スナイパー

レズナクのカスタムモデル。グレネードを持たず、気力が3になると銃に致死攻撃力が宿る。

・気力上限:3

・開始時に5発の弾丸を持っている。

・キーワード「判定」 – 2d6のどちらかが4以上で成功。

・「全弾消費」は1発以上無いと使用不可。

 

・伏射:1発消費。距離1以上でのみ使用可。気力3なら気力を全て消費、判定でアウト1。気力2以下なら判定でストライク1。

・バースト射:2発消費。気力+1。距離-1。判定でストライク1。

・フルオート射:全弾消費(使用に1発以上必要)。気力+1。距離-1。その時点で距離0なら格闘、距離+2。ただし相手のアウト判定のダイス数は消費弾数に等しい。

・クイックリロード:気力+1。判定で弾数を5に回復、次の相手のターンの間ストライクもアウトも取られなくなる。

・ダッシュ:判定で距離を0にするか+2。失敗なら-1か+1。

 

戦闘カード:ヴォルガ

投げ技を主体とした格闘機。機動力は劣る。

・気力上限:3

・キーワード「判定」 – 2d6のどちらかが4以上で成功。

 

・ハンドガン:距離-1、判定でストライク1。

・ボディスラム:距離-1。気力+1。その後距離が0なら格闘、距離+2。

・マッスルポーズ:気力+1。判定で更に気力+1、この追加分は気力上限を無視し、上限の2倍まで溜める事ができる。

・チェイス:1d6で4以上なら距離を0にする。失敗なら-1。

・アトミックスープレックス:気力3消費。距離-1。その後距離が0なら格闘、ストライク2、相手を1ターン行動不能にする。

 

戦闘カード:ヴァルトマン

Botを使役して戦う。本体の戦闘力はやや低い。

・気力上限:2

・Bot:初期値0。上限3。

・キーワード「判定」:2d6のどちらかが4以上で成功。

・キーワード「Bot判定」:(Bot数+1)d6のどれかが4以上で成功。

 

・ライトマシンガン:気力+1。Bot判定でストライク1。

・フラッシュ:距離-1。Bot判定で相手を1ターン行動不能にする。

・コンバットナイフ:距離-1。気力+1。その後距離が0なら格闘、距離+2。Botがあれば自分のアウトの身代わりになる。

・Bot生成:気力2消費。判定でBot+1。

・Bot自爆:距離1以上でのみ使用可。Bot1消費。判定でストライク1、相手を1ターン行動不能にする。

・スプリント:1d6で4以上なら距離を0にするか+2。失敗なら-1か+1。

 

戦闘カード:ラグナル

鈍足だが鎖で相手を拘束できる。近接戦闘力が高い。

・気力上限:2

・キーワード「判定」:2d6のどちらかが4以上で成功。

・チェーン:判定でストライク1、相手をチェーン状態にする。チェーン状態の機体は行動による距離増加が無視され、アウトが増えてもストライクが消滅しない。チェーン使用者にアウトが付くとチェーン状態は解除される。

・ハンドガン:距離-1。判定でストライク1。

・ヴァイキングアクス:距離-1。気力+1。その後距離が0なら格闘、距離+2。

・ヘッドバット:距離0でのみ使用可。気力+1。格闘。

・チャージ:気力2消費。判定で距離を0にするか+2。失敗なら-1か+1。

 

戦闘カード:オスカー

素手の格闘のみで戦うインファイター。

・気力上限:4

・ボディチェック:距離1以上なら判定でストライク1、距離を0に。失敗なら距離-1。距離0なら判定でストライク1、距離+2。失敗なら距離+1。

・ネックハンギング:気力+1。距離0ならダイスを1つ振り、1・2・3ならストライク1、スタン1。

・アッパーカット:距離-1。気力+1。その後距離が0なら格闘、距離+2。

・スウィープキック:距離-1。距離が1以下なら判定で転倒。転倒状態の敵を更に転倒させるとストライク1。転倒した機体は1ターン消費して復帰するまで転倒状態のまま。格闘戦の際相手にアウトを与える判定のダイスが1個少なくなる。

・バレットタイム:気力4消費。現在の自分のストライク+4個のダイスを振り、1・2・3の目が出た数だけ追加のターンをプレイする。

 

戦闘カード:ペルメル

全身火器の砲台マシン。

・気力上限:2

・チェーンガン:判定1でストライク1を外れるまで繰り返す。

・メタルファイア:距離1以上で使用可。気力1消費。判定2でストライク1、スタン1。

・H.E.A.T.ハンマー:距離-1。気力+1。距離0なら格闘、距離+2。

・ダッシュ:判定2で距離を0にするか+2。失敗なら-1か+1。

・シージキャノン:距離1以上で使用可。気力2消費。判定2でアウト1、距離+1。

2011/9/19テストプレイオフ終了報告

スパ帝国ゲーム制作会が無事に終了。参加者は入れ替わりつつ15人ほど。密度の高いテストプレイを繰り返し、全てのプロトタイプを完成まで持っていく事ができた。来てくれた皆ありがとう!

 

#1 iMperium

完成→完成(そのまま)

ゲームバランスの良さを再確認。勝利条件が多様である事からゲームの進め方が分かりにくいという問題も確認。得られた知見をもとにiMperium 2の制作にかかる。

 

#2 Bump! プロトタイプ2

プロトタイプ→完成

大富豪に近い感覚のゲームに。読みの材料もそれなりにあり面白い。

・52枚のトランプを13枚ずつ配る。山札は無し。

・親が2巡したら終了。

・数字はAが最強。次がK。

 

#2 Bump! プロトタイプ3

プロトタイプ→ボツ

ジャンケンのカードはいささか分かりにくく、読みの材料としても弱い。一旦制作を放棄し、アイディアを流用して他のゲームを作る可能性を残しておく。

 

#3 Gift

プロトタイプ→完成

面白かったが、汚い大人同士の対戦は壮絶な足の引っ張り合いに。そういうゲームとして完成させる事に。

・山札が尽きた場合は引き分けでなく全員負けとし、互いに汚い大人と罵り合う。

・人数は5人に固定。

・一番手の最初の順番はカードを引かない。

・公開手札は小さい数字から順に左から並べ、同じ数字は縦に重ねる。

・他のプレイヤーを勝たせるしか行動選択肢が無く、かつ誰を勝たせるか選べる場合、次の順番が早く来る方を勝たせる。

 

#4 ぷにぅめくり

ほぼ完成→完成

ことによるとこれが一番面白かったかも知れない。単純ながら熱くなれるゲームであった。

・ぷにぅ8枚、家紋3枚に変更。シャッフルした後1枚裏向きで取り除き、残りの10枚で試合を行う。

 

#5 ロシアンダイス

プロトタイプ→完成

大勢で遊べるパーティゲーム。参加者が悔しがる事で場を盛り上げる。これも中々の評判。

・ドボンしたプレイヤーはその場で立つ。最後まで座っていたら勝ち。

・人数はかなり自由である事が判明。2人〜無制限。

・起家も反時計回りで順繰りにする。

 

#6 バベル!

完成→完成(変更無し)

クリア可能な事が判明。

 

 

#7 Q.E.D.

ほぼ完成→完成

卓が立つ程度には好評。学習塾で遊ばれる事になった。

・誰かが解なしを宣言してから10秒以内に他のプレイヤーが解を見つけられなければ、宣言したプレイヤーの勝ち。

 

#8 家紋めくり

プロトタイプ→ボツ

とにかく確率計算が難しい。胴元が有利な調整をすると楽しさが失われる。一旦廃棄し、アイディアを他に再利用する。

 

#9 九年戦争

プロトタイプ→完成+拡張ルール

好評。2人用に加えて3人用・4人用ルールも生まれた。

・得点札は4〜10の数字をそれぞれ2枚ずつ用いる。

・3人用ルールは10ラウンド制の十年戦争となり、A〜10の札を使う。2人が同じ数字を出したらもう1人が勝つ。Aは「10の札が場に出ていると11の強さになる」。

・4人用ルールは13ラウンド制の十三年戦争。A〜Kの札を使い、ペアを組んで2対2で戦う。相互の相談や通信は無し。チームの合計得点を競う。なお同じ数字の組は1人のプレイヤーが揃えなくてはならない。チームメイト甲と乙がそれぞれ8の札を持っていても+10点にはならない。Aは「Kの札が場に出ていると14の強さになる」。

 

#10 へびすごろく

意外に盛り上がる。相手の尻尾に噛み付く事を「掘る」と呼称していた。

・ダイスの目を見てパスもできる。

・カードは40枚。

 

会合は大成功。プロトタイプを全て完成させた上、どれが面白いかも選抜できた。また色々と作り溜めてテストプレイを行う予定である。皆ありがとう!

#10 へびすごろく

10作目。制作時間2日。

タイトル:へびすごろく

2人用ボードゲーム。2匹の蛇が盤上を回って相手の尻尾に追いつけば勝ち。

 

用意するもの:駒4個、6面ダイス2個、カード40枚

・カード40枚を裏向きで輪の形に並べる。周回できるすごろく盤の形になっていれば円でなくてもよい。

・盤は反時計回りに周回する。進行方向を「前」、逆方向を「後ろ」と呼称する。

・最初に置いたカードの上にプレイヤー甲の「頭」の駒を置き、その1つ後ろに「尾」の駒を置く。

・21枚目のカードにプレイヤー乙の「頭」、その後ろに「尾」を置く。

・甲乙交代で手番を行う。順番が来たらダイスを2個振り、好きな方の目を選んで「頭」と「尾」のどちらかをその数だけ進める。動かさない事もできる。

・尾は頭に追いついてはならない。追い越したり同じマスに止まったりすると負けになる。

・頭は尾から7マス(間に6マス挟む形)までしか離れられない。それ以上離れると負け。

・駒を動かし終えたら(または動かさない事を選択したら)、頭が止まっているカードをゲームから取り除き、頭をその1つ先のカードに移す。マス自体が消滅するので頭と尾の距離は変わらない。また尾が移動した場合でも頭のいるカードが取り除かれる。

・自分の頭が相手の尾に追いついたら勝ち。

 

蛇の魔の手からは絶対に逃れられない!

#9 九年戦争

9作目。制作時間1日。

タイトル:九年戦争

2〜4人用のカードゲーム。数字の大小で勝負し得点札を取り合う。

 

コンポーネント:4〜10の数字が書かれた得点札各2枚。これにトランプ1組を加えて遊ぶ。

 

2人用ルール:

・得点札をよく切って山を積む。

・トランプからスペードの1〜9を抜き出してプレイヤー甲の手札にし、ハートの1〜9を乙の手札にする。

・残りのトランプは除けておく。

・山から1枚めくり表向きに置く。

・各プレイヤーは自分の手札を1枚選び、裏向きに伏せる。

・双方が伏せ終わったら表に返す。

・数字の大小で勝負。大きい方が勝ち。1は最弱の札だが、相手が9を出した場合のみ最強の札となる。強い札を出した方が得点札を獲得する。数字が同じなら引き分けでどちらも獲得しない。

・ラウンドを繰り返し、手札が全て無くなったら終了。

・終了時点でそれぞれの得点札を検分し、総得点の多い方が勝ち。

・得点札の数字がそのまま得点。

・同じ数字の札を2枚取っていると1組につき+10点。

 

3人用ルール:

・スペード、ハート、ダイヤの1〜10をそれぞれ手札として用いる。

・1は誰かが10を出した場合のみ最強の札となる。

・最も強い札を出したプレイヤーが得点札を獲得。

・2人が同じ数字の札を出すともう1人の勝ち。3人が同じ数字だと引き分けで誰も得点札を獲得しない。

 

4人用ルール:

・黒軍と赤軍、2つのチームで争う。チームの合計得点で勝敗を決める。

・各スートの1〜Kをそれぞれの手札として用いる。

・1は誰かがKを出した場合のみ最強の札となる。

・最も強い札を出したプレイヤーが得点札を獲得。複数のプレイヤーが最も強い札を出した場合は引き分けとなり、誰も得点札を獲得しない。

・同じ数字のペアは1人で持っている場合のみボーナス。チームメイト甲と乙がそれぞれ8を持っていても+10点はされない。

アテネの時間、ロドスの時間

ホラ吹きの男が外国から戻って来た。「俺はロドス島でオリンピアの優勝者さえ届かぬほどの大ジャンプをしてやった、ロドスに行く事があれば競技場に居合わせた人が証人になってくれよう」と言う。そこで一人が遮って言った。「それが本当なら証人はいらない。ここがロドスだ、ここで跳べ」

やるべき事を今この場でやれ。言い訳をするな。明日って今さ!そういう急迫した時間感覚をロドスの時間と呼ぼう。

これと対を成すのがアテネの時間である。アテネでは時がゆっくり流れる。哲学をしたり、自然を見つめたり、スポーツや芸術に励む時間はいくらでもある。人生は長い。急がなくていい。

ロドスの時間とアテネの時間、その最大の差異は時間の簿価である。仮に1時間に1500円稼げる人が3時間を思索に費やしたとしよう。ロドスの時間において、これは4500円の支出として計上される。もしその時間を労働に費やしていたなら稼げていたはずの金額が機会費用になるのである。

一方、アテネの時間において費やした時間の簿価は0である。一日中思索に耽ろうと、仲間内しか笑わない替え歌を徹夜で作ろうと、アリの行列を眺めていて日が暮れようと、それに費やした時間はいかなる支出でもない。もしその時間だけ働いていたらいくら稼げたかなどとは考えない。なぜならアテネ人は労働などしないからだ。

「思索はタダである」これがアテネの時間における法である。考える事にどれほど時間を費やそうともそれによって失う物は何も無い。そういう感覚から哲学が生じる。新しい考えが生まれる。下らなくも面白い、命を削った何かが生まれる。

スパ帝国。所在地アテネ。

#7 Q.E.D.

7作目。制作時間1時間。

タイトル:Q.E.D.

1人〜多人数用。20面ダイスの目を使って計算式を作るゲーム。

用意するもの:黒い20面ダイス1個、白い20面ダイス4個

 

一人用の遊び方:

・ダイス5個をまとめて振る

・白いダイスの目を2~4個使って四則演算式を作り、答を黒いダイスの目にする。例えば黒いダイスの目が16、白いダイスの目が14・8・4・7だったら8÷4+14=16など。

・目は2個以上使わなければならない。小さい目で答の数が出ていても16=16の様な式は作れない。16×1=16なら可能。

・どう組み合わせても計算式が作れない場合は「解なし」

 

複数人での遊び方:

・一番早く答えを出したプレイヤーの勝ち。

・誰かが解なしを宣言したら、10秒以内に他のプレイヤーが検証。解を見つけられたらそのプレイヤーの勝ち。見つけられなければ解なしを宣言したプレイヤーの勝ち。

 

上級ルール:

・ダイスの目を3〜4個使って答えを作る。

#6 バベル!

6作目。制作時間15秒。

20面ダイスを積んで塔にするゲーム。

用意するもの:20面ダイス10個

1人〜多人数で遊ぶ。順番に20面ダイスを積み重ねて塔を作る。崩してしまったら負け。10個積み重なったら「バベル!」と叫んで全員の合同勝利。

9/19 テストプレイオフ

これまでに作ったプロトタイプのテストプレイとバランス調整のためにオフ会を開催。

日時:2011/9/19(月) 10:00〜21:00 (途中参加・途中抜け自由)

場所:都内 大江戸線春日駅2分 文京区区民センター 3-D会議室  http://www.city.bunkyo.lg.jp/_9496.html

主催:スパ帝 https://twitter.com/#!/verdamil

会費:特に無し

飲食物:各自持ち込み

事前連絡:してもしなくても可。当日飛び込みでも問題無し。

「ぷにうめくり」という名義で場所を取ってあります。

 

追記:無地のカード、ペン、ダイスなどを持って来ると多分役に立ちます。

#5 ロシアンダイス

5作目。製作時間1日。

タイトル:ロシアンダイス

2人〜多人数で遊ぶダイスゲーム。酒場向け。コインを場に出してダイスを振り、1の目を出したらゲームから抜ける。最後まで残っていたら総取り。

 

・一番手を決める。

・反時計回りに順番が巡る。

・順番が来たらコインを1枚場に出し、ダイスを1個振る。

・次のプレイヤーは2個、その次のプレイヤーは3個と振るダイスの数が1ずつ増える。

・1つでも1の目が出たらドボン。そのプレイヤーはゲームから抜ける。ドボンしたプレイヤーはその場に立つ。

・ドボンしたら次のプレイヤーはまた1個振りから始まる。

・各プレイヤー1回までパスができる。コインは置くがダイスを振らずに次のプレイヤーに番が回る。ダイスの数は1に戻る。

・最後までゲームに残っていたプレイヤーが勝利。場のコインを全て取る。

・複数回ゲームを繰り返す場合は一番手が反時計回りで順繰りになる。