翻訳記事:解析可能性

これは翻訳記事です

 

解析可能性

対戦型の戦略ゲームを作るには解析可能性と戦い続けなくてはならない。簡単に理解できる程度にシンプルに、かつ単一の正解を見つけていつもそれを使う事ができない程度には複雑なシステムを作らなくてはならない。

 

純粋解法 vs 混合解法

ゲームに「純粋戦略」による解法がある場合と「混合戦略」による解法がある場合ではだいぶ違いがある。何故かを理解するために、まずはこの2つを定義しよう。

純粋戦略とはゲームのプレイ方法を完全に定めるものだ。全ての起こりうる局面に対してプレイヤーが打つべき手をまとめた指南である。もし何らかの純粋戦略がゲームにおける最善の方法であれば、それは純粋な解法である。ゲームの純粋解法を知っていればもはや意思決定は実質的に残っておらず、ゲームですらなくなる。単純に純粋解法の指南する所に従うだけでよいのだから。

混合戦略とは純粋戦略をいくつか組み合わせてそれぞれに確率を割り振ったものだ。この場合の指南は「相手がXをしたらYをしなさい」という形でなく、「相手がXをしたら30%の確率でYを、70%の確率でZをしなさい」となる。混合戦略がゲームの最善手である場合、それを混合解法と呼ぼう。

ゲームに混合解法があるのは純粋解法があるのと同じぐらい悪いと思うだろう。結局プレイヤーは何も意思決定をしておらず、複数の選択からランダムに選んでいるだけなのだから。ところが違う。混合解法があってもプレイヤーは色々やる事がある。そこでそもそも「最適」な手とは何を意味するかを掘り下げてみよう。

 

最適な方法

いくつかの混合戦略がある時、その中で最適なものを混合解法と呼ぶ。これは「ナッシュ均衡点」とも呼ばれる。混乱の元になるのは「最適」という語が2つの事を意味するからだ。日常語と数学用語でそれぞれ定義が違う。この記事では「最適」を常に数学用語の方で使っており、日常語の「一番よい方法」という意味ではない。数学用語での最適とは「最も相手に利用されにくい方法」である。

相手に利用されやすい方法とは何だろうか。例えばじゃんけんで100%グーだけを出していたら、それは非常に利用されやすい。相手は傾向に気付いてパーだけを100%出すようになる。相手はこちらの戦略を完全に利用し、こちらの勝率は0%に下がる。もしグーを出す確率を80%にしたら(そしてパーとチョキが10%ずつ)、それでもやはり悪いのだが先ほどよりはマシになる。相手は相変わらずパーを100%出せるがこちらの勝率は0%から10%に増える。

最も利用されにくい方法を採るならば全ての手を33%ずつの確率で出すべきだ。こうすれば相手はどういう戦略を取ろうとこちらを上回れない。これがじゃんけんの混合解法である。

 

最適は「最高」ではない

最適な方法は素晴らしく見えるだろうが、大会で優勝するのが目標ならばそれではやって行けない。例えばじゃんけんの大会に出場したとしよう。対戦相手はグーを100%出すという評判で、実際にそれをやって来た。ここで最適な方法を採るとそれぞれの手を33%ずつの確率で出す事になり、33%の確率で負けてしまう。一方別のプレイヤーはこの相手に100%パーをぶつける。「最適な」はずの方法はこれよりも負ける確率がずっと高く、早々に敗退してしまう。

最適な方法を採るという事は目の前にある利用可能な優位を捨て去るという事だ。相手が非常に利用しやすい戦略を用いているのにつけ込まないという事だ。大会での優勝を目指すにはお粗末なプレイングと言わざるを得ない。もちろんこれは極端な例だが、相手がグーを出す確率が40%や35%であっても同様の議論は成り立つ。

ではグー100%の相手にパー100%を数ラウンドにわたって繰り出し、その後相手が戦略を変えてきたらどうなるか?  今度は相手がこちらの戦略を利用するという事もあり得る。というのも、こちらも最適戦略から乖離しているからだ。なのだが、それでも最適から外れるというのはやる価値のある事である。相手が戦略を変えて対応して来るのが心配であれば、パー33%をいきなりパー100%にしてしまう必要はない。40%かそこらでも33%の場合よりは試合に勝てる確率が高いし、自分自身もそれほど脆弱ではなくなる。更に相手は a)こちらの戦略を観察し最適からの乖離を見つける b)それに対抗する戦略を正しく採用する の2点がどれほど得意だろうか? こちらの方が得意であるなら迷いなく相手の戦略を利用すべきだ。相手がゆっくり戦略を修正する間にこちらは素早く修正できるのだから。

 

ドンキースペース

ドンキースペースというのはフランク・ランツ氏の造語で、非最適なプレイングの概念的空間を表す。上の項で述べたように、優れたプレイヤーはドンキースペースにいる相手を利用するためにわざとドンキースペースに入る事がある。言い換えれば、自分も相手に利用されうる戦略を採用する。もし双方とも優れたプレイヤーであればドンキースペース内の様々な場所を踊りまわり、優位を求めて駆け引きをするだろう。

全体像をもう少し明らかにしておこう。上級者同士の戦いでは全員が最適なプレイをするのでドンキースペースで踊る余地など無いと思うかも知れないが、実際のゲームではそれはだいぶ非現実的だ。そもそも上級者でも最適から大きく外れている事はよくある。それに対戦相手の(全員ですらなく)誰か1人でも最適なプレイングやそれに近いことをしているというのは稀だ。優れた対戦ゲームでは最適な戦略を知るのは非常に難しい。もちろん大まかな指針はあるにせよ、特定の局面でどの選択肢をどれだけの確率で繰り出すべきかを完璧に把握するのは無理だ。あまりにも変数が多すぎる。人気があり非常に研究されたゲーム、例えばポーカーであっても、最適な戦略はまだ完璧には解明されておらず、プレイヤーは最適からかなり乖離している。ましてパンダンテやYomiではポーカー以上に難しいだろう。

重要なのは、他のプレイヤーが最適から外れていたら、たとえ自分が最適な戦略を知っていて混合解法を完璧に執行できるとしても、勝率を最大化するにはなお相手のプレイスタイルを観察してそれに合わせる必要があるという事だ。

そして混合解法を執行するのは他にも色々と困難な要素がある。たとえその解法が何かを知っていてもだ:

  1. 人間はランダムに何かをするのがとても苦手だ。だから例えば特定の選択肢を42.3%の確率で選ぶというのは非常に難しい。
  2. そしてランダムに選ぶ事に失敗すると、本人も気付かない癖がパターンとなって表れる。対戦相手はそれを見つけて利用できる。
  3. 安全な道を行くかリスクを取るかの決断で人間はどうしても性格が出てしまう。
  4. リアルタイムのゲームであれば、タイミングや操作精度(難しいコンボを出したり狙撃をしたり)の面で数学的最適に達しているプレイヤーは1人もいないだろう。

2番は特に面白い。レヴィツキ(1997, 1998)によれば、人間は自分でも気付かないままにパターンを学習できる。それが何であるかを説明したり表現する事はできないが、それでも学習しているのだ。被験者は円を4つに区切ったそれぞれのエリアに数字が書かれたものを見せられ、特定の数字を含んでいるのはどれかボタンを押して答えた。被験者はテストを繰り返した。ただし、数字の場所がランダムでなく実は法則があるという事は伏せたままだ。配置には10の込み入ったルールがあった。テストが進めば進むほど反応速度は良くなり、かつパターンの存在には気付かないままだった。パターンを説明できれば100ドルあげますと言っても誰一人できなかった。しかも、配置パターンをこっそりランダムに変えてみたところ被験者の成績はすぐさま大幅に下がった。特に面白い事に、レヴィツキの同僚で実験内容を知っている心理学教授ですら、それらの配置パターンは「ランダム」だったと言い張ったのだ。人はパターンを学んで利用しつつ、パターンなど存在しないと思ってしまうのだ。

論点はこうだ。人は無意識に混合戦略を不完全に執行してしまう。そして自分でも気付かないままパターンにはまっている。対戦相手は自分でも気付かないままそれを発見して利用できる。混合戦略ゲームにおけるドンキースペース内のダンスとは、表層意識同士に加えて無意識同士の戦いでもある。そして前者においては何が最適であるかについてそもそも意見が異なっているのだ。

 

純粋解法は混合解法よりもゲームを早く腐らせる

よって、たとえゲームに混合解法があったとしても、対戦相手が何をやっているかには細心の注意を払わなくてはならない。相手が最適からどれだけ離れているかを検知しその戦略に対抗するのだ。これは非常に難しい。何しろ無意識を働かせてパターンを読み取るわけだから。

純粋解法のあるゲームでは相手が何をしているかに注意する必要は全くない。その解法を知っていれば相手が何をする傾向を持っていてどんな考えを抱いているかは全く関係ない。単に最適な道を辿れば良いだけであって、実質的なゲームプレイはもう残されていない。

もうひとつ重要なのは、混合解法と純粋解法のあるゲームがそれぞれどんな風に見えるかだ。両者ともプレイヤー達はまだ解法を見つけていないがそれに近づいているとしよう。どちらのゲームも時間が経つにつれてどんどん解析される。最適なプレイングに次第に近づいてゆく。純粋解法のあるゲームの場合、プレイングの技巧とはつまるところ定石の暗記になり対戦相手とは関係なくなる。例えばチェスの終盤、メイトまでの道筋が解明された局面などがそうだ(ちなみにチェス2では中央突破ルールがあるのでこの種の局面が発生しない様になっている)。チェスの序盤も似た様なものだ(これまたチェス2では違うが)。年月が経ちチェスの解明が進むにつれ、オープニングの教本は進歩し、それら定石を覚えて不利な中盤戦を迎えない様にするのが重要になって行った。

一方、混合解法へと近づいているゲーム、例えばポーカーとかパンダンテとかYomiでは、単なる定石の記憶に集約される事はない。対戦相手を観察して反応するのは相変わらず重要だ。そしてついに完全な混合解法の解明に至ったとしても(Yomiでは我々が生きている間には無理だろうが)、なお全てのプレイヤーがドンキースペース内にいる。上級プレイヤー達も全ての局面で全く混合解法通りにプレイできているわけではない。誰もが何らかの点でドンキースペースにおり、誰がどのぐらいの位置にいるかそれぞれ意見が分かれる。対戦はある意味でその論争を決着させる手段である。「この局面では42%の確率でガードすべきだろう」とある人が言い、別の人が60%だと主張する。そして対戦相手の「間違った」近似解を利用しようとする。そもそもそれを見つけられればの話だが。

ゲームデザインの観点から言えば、混合戦略型のゲームは解析可能性との戦いで本質的に有利である。たとえ解法が見つかっても面白いままでいる様にゲームを作るのは、最終的に定石の暗記だけで何も意思決定をしなくなる作り方よりもだいぶ安全なのだ。

 

純粋解法ゲーム制作 vs 混合解法ゲーム制作

先に説明した様に、純粋解法を持つゲームを作るのはいささか危険である。もちろん十分にゲームが奥深ければ、解法が見つかるまでには相当な時間がかかる。チェスや囲碁は何世紀も遊ばれているが完全な解法は見つかっていない。だが一方、純粋解法のあるゲームを作るという事はそういった古典と同様の耐久力が求められるという事でもある。例えばチェッカーは既に解法が見つけられてしまった。更にたとえチェスと同じくらい深いゲームを作ったとしても、そもそもチェス自体が定石の進歩とともに記憶のゲームと化している。対戦ゲームにとってはいささか不幸な運命と言わざるを得ない。

更に皮肉なのはこうだ。完全情報ゲーム(決断を下す全ての瞬間においてゲーム内の全ての情報が明らかになっている)でランダム性も無いというと「実力主義」に聞こえるだろう。もし実力の出るゲームが好きならば良さそうに見える。しかし実際は、これによってゲームに純粋解法が生まれる事を保障してしまい、ゲームの実力(その場の判断)よりも定石の記憶が最後にはずっと重要になる。不確定要素や、隠れた情報や、ランダム性が入っている方が実はずっと実力が出やすいのだ。

ゆえにゲームデザインでは、そうした不確定要素なり隠れた情報なりランダム性なりを採用する事をお勧めする。ランダム性というのはある種不名誉な烙印を押されているが、純粋解法によって解決されてしまうのを防ぐには有効な道具である。

 

KONGAI

私の作ったKongaiというゲームはその例だ。プレイヤーはターンごとに2つの決断を行い、そのどちらもダブルブラインドである。つまり相手も同時にその決断をして同時に公開する。これは解析可能性との戦いをずいぶん助けてくれる(完全情報ゲームでなくなる)し、そもそもこのゲームは何らかの隠れた要素が無いと非常に解決しやすくなってしまう。またポケモン(Kongaiの元になったゲーム)の様に命中率や追加効果発動率という形でランダム性を入れる事でも解析可能性に対抗している。こうした命中率のおかげで数手先を読むには非常に大きな可能性の分岐技を計算しなくてはならなくなったのだ。

Kongaiプレイヤーの中には最適解を計算するのが好きな人もいるが、その場合はまず単純な状況から始めなくてはいけない。特定のキャラクターの組み合わせ同士で、特定のアイテムを装備し、それぞれ最後の1人まで追い詰められて交代や横入りができず、HPも残り僅かという状況だ。この小さな局面ですら数十ページにわたる分析でようやく正しいプレイングが計算できるのである。ゲーム全体に同じ計算を適用するのはほとんど不可能だろう。

 

結論

対戦ゲームはできるだけ解析不可能でありつつ、同時にプレイヤーに理解可能でなくてはいけない。純粋解法のあるゲームは実力主義に見えるが、時間が経つにつれて単なる定石の暗記へと縮小していく。ところが混合解法のあるゲームはずっと長い期間にわたって戦略的な面白みを維持する。

混合戦略型のゲームを作るには不確定要素や隠れた情報やランダム性を入れる事だ。ターン制でなくリアルタイムであればこの点では有利だろう。

 

原文:http://www.sirlin.net/articles/solvability

Hearthstoneの戦い方(5)

CCG “Hearthstone” に関して気づいた事をその都度記録。


Hearthstoneの戦い方(4)

 

デッキの生態学

このゲームにはデッキやクラス間の相性がそれなりにある。例えばプリーストは敵の手下を始末したり洗脳するのが得意なので、ハンターやシャーマンなど手下を並べて戦うデッキにはかなり有利である。その一方、敵が殴り合いに付き合ってくれないと機能しないカードが多く、ウォリアーなど手下にあまり頼らないデッキは苦手だ。

全てに強いデッキは存在せず、誰もがそれなりに弱点を抱えている。そしてひとつのデッキタイプが興盛を極めるとそれに対抗するデッキタイプの割合がじわじわと増え、一方それを苦手とするデッキは徐々に減る……という食物連鎖の様な仕組みでプレイヤー全体の生態系がバランスを保っている。

なのだが、この生態は実は全体に一様ではなく、強さの階級ごとにある程度層構造を成している様に思われる。

 

ランク制

このゲームのランクマッチは塔を登る様な仕組みになっている。 最初は最下層の「25」から始まり、勝つと星が増え、負けると星が減る。星が一定数溜まるとひとつ上の「24」に行ける。これを繰り返して最終的に「1」やその上の「レジェンド」に行くのが目標である。ランクは月ごとにリセットされるのでその都度登らなくてはならない。

基本的に対戦相手は同じか近いランクから選ばれるので、階層を上がるためには「同じ層にいるプレイヤーに勝ち越す」必要がある。あたかも各階の番人を倒して進む冒険の様なものだ。

このメカニクスの帰結として次の様な現象が生ずる。例えばある階層でハンターが大流行したとしよう。するとその階層ではプリーストは非常に有利であり、技量が同等なら相性のお陰で簡単に勝ち越せるだろう。すると勝ち越したことの帰結としてプリースト使い達はその上の階層に行く。一方ハンター使い達はそれほど極端には勝ち越せないので、すぐ上の階層ではやや分布割合が減る。

この結果、ある階層ではハンターが多く、そのすぐ上の階層ではそれに強いプリーストが多いという風にランクごとに異なったデッキ生態分布を見せることがある。そしてそのプリースト階ではコントロールウォリアーが有利であり、すぐ上にウォリアー階が形成される可能性もあるわけだ。

プレイヤープール全体ではデッキの分布はバランスが保たれる。しかし「勝ち越したら上に行く」「同じランクで対戦する」というランクシステムの関係上、階層ごとの分布は必ずしも一様ではなくなる。

 

複数のデッキを使い分ける

オールラウンド型のデッキであれば相性の問題はそこまで深刻ではない。しかし得意な相手と苦手な相手がはっきり分かれるデッキの場合、分布上の偏りが思わぬ壁となって立ちはだかる場合がある。例えば3回に1回はプリーストに当たり、3ターン目にはDeath Lordが出て来るとしたら手練のハンターでも勝ち越しはなかなか難しいだろう。本来もっと上の実力があってもそこで足踏みをしてしまうわけだ。

複数のデッキを用意しておくと存外あっさりとこの壁を越えてしまうことがある。私は2015年7月のシーズンでランク5までプリーストで上がり、そこからコントロールデッキと当たる回数が増えて徐々に辛くなった。そこで今度はウォリアーを使ってランク2まで上がり、そこで再びアグロ系デッキが増えたのでプリーストに切り替えてレジェンドへ進んだ。ランク2〜レジェンドの範囲はハンターやズーが非常に多く、試合開始と同時に勝っている様なマッチングに多数恵まれたのである。

ひとつのデッキを極めることで相性の差を覆せるというのも事実だが、いくつかの道具を使い分ければ楽ができるというのも事実である。当面の目標が階層を上がることなら戦術のひとつとして利用するのも悪くないだろう。

英語の話

ゲームを作っていると英語運用力が必要になる事が多い。英語のゲームを遊ぶ。英語で書かれたデザイン論やレビューを読む。海外から材料を仕入れる。通念に反し、中国の工場と交渉する際には中国語でなく英語を用いる。国際取引は大体そういうものだ。

他の全ての技能と同様、英語の運用も別に全ての人間ができる必要はない。やりたい者が能力を伸ばしてできない者の手助けをすれば宜しい。遠く隔たった言語の習得は資質の差が非常に大きい部分なので分担した方が得である。そういう訳で「じゃあ俺がチームの分の仕事を引き受けてやるか」と思う人向けに書いていこう。

 

言語間の距離

地球上には数千の言語が存在する。およそ6000ぐらいだろうと推定されているが、途轍もない奥地の少数民族語が発見されたり話者がいなくなって絶滅したり混ざり合って新種が生まれたりするので正確な数は誰も知らない。

言語と言語には類縁関係がある。例えばポルトガル語とスペイン語とフランス語とイタリア語はどれも元々ラテン語から派生したもので共通点が多い。琉球語は奈良時代に日本語から分化したと考えられており、構造そのものは同じである。一方アイヌ語は日本語とは別系統の言語であってあまり共通点がない。

これの何が問題かと言うと、日本語と英語は非常に隔たった言語で相互に習得が難しいという事だ。少なくとも日本語話者が韓国語を学んだり英語話者がオランダ語を学ぶ場合よりはるかに多くの労力を要する。既に知っている言語と共通部分の無い言語を新たに習得するには、大まかな目安として2500時間みっちり勉強せねばならん。はっきり言って「労働時間」として勘定すると全く割に合わんのだ。私が英語や中国語やエスペラント語を随分やったのは単に好きだからであり、勘定科目としては「遊び」に入っている。

言語習得を巡る言説の混乱はしばしば言語間の距離を見落としているためである。韓国人の日本語が上手いのは近い言語だからであり、日本人の英語が下手なのは遠い言語だからである。別に熱意や社会環境の専一な帰結ではない。

 

最初の足がかり

遠い言語を習得する際に重要なのが文法である。第二言語が「ちょっと分かる」人が「ちゃんと分かる」へ進めない最大の理由はここだ。文章の構造を理解せずに分かる単語を拾い出して意味を想像で繋いでいると、複雑な話が始まった途端に頭が爆発四散する。例を挙げよう:

 

Subjects can no longer declare war with their own subjects’ wargoals.

(属国はそのまた属国の戦争目標を使って宣戦布告できなくなった)

 

これはEuropa Universalis 4のパッチ情報である。意味は要するにこうだ。このゲームでは戦争を始めるのに口実が要る。例えばその土地は本来我々の物だった、と言って取り返す為の戦争を仕掛けるのだ。また属国を持っていれば属国の口実を利用して宗主国が戦争を始めることもできる。その土地は本来うちの属国の物だったから返してやれ! という具合だ。

またこのゲームでは「属国の属国」が生まれることがある。ピラミッド構造だ。その場合に、子属国が孫属国の口実を利用して戦争を始める事が今まではできたがこれからはできなくなったという話なのだ。

文章構造としては何もおかしな所は無い。しかし”Subjects” “subjects’ wargoals” といった部分部分を抜き出して意味を想像していると「属国が属国の口実で戦争できない」、つまり属国は自分自身の口実を使えないという風に誤読してしまう。

これが大体の人の躓く点なのだ。簡単な文章は読めても込み入った物を理解できない。そこからどう上達すればいいかも分からない。文法構造という基礎を理解していないためである。およそ学問や技芸は分からない部分を放置したまま先へ進むと理解不能な範囲が雪だるま式に膨れ上がって爆散するものだ。

 

動詞を探す

日本語の文章を理解するにはまず述語を探し、他の成分との修飾関係を明らかにする。例えば「朝から米を炊いた」であれば

 

炊いた (述語)

米を炊いた (目的語+述語)

朝から米を炊いた (補語+目的語+述語)

 

という風に述語を核にして1語ずつ理解する。これは私が読み語りの先生から教わった事であるが、英語や中国語にも応用可能なので日本語だけの性質ではないのだろうと思う。例えば “Deal 2 damage to a minion.”という英文であれば

 

Deal (与える)

Deal damage (ダメージを与える)

Deal 2 damage (2のダメージを与える)

Deal 2 damage to a minion (手下1体に2のダメージを与える)

 

という具合に少しずつ語を加えるのだ。Dealは動詞、damageは目的語、2は目的語の数詞でa minionは関節目的語、toは前置詞である。

 

前頁の文章でも実演してみよう:

declare (宣言する)

can declare (宣言できる)

can declare war (宣戦布告できる)

Subjects can declare war (属国は宣戦布告できる)

Subjects can no longer declare war (属国はもはや宣戦布告できない)

Subjects can no longer declare war with wargoals (属国はもはや戦争目標を使って宣戦布告できない)

Subjects can no longer declare war with subjects’ wargoals (属国はもはや属国の戦争目標を使って宣戦布告できない)

Subjects can no longer declare war with their own subjects’ wargoals (属国はもはや彼ら自身の属国の戦争目標を使って宣戦布告できない)

subjects

 

肝は係りの関係である。文章中の全ての語は最終的に述語に情報を加える。例えば ”Subjects” は「誰がそれをするか」という情報を “can declare” に追加している。 後半の ”subjects’” は “wargoals” を修飾してそれが誰の物かを示し、wargoalsは「何を使ってそれを行うか」という情報を動詞に加えるものだ。

 

リスニング

聞き取りが苦手だと称する人は多い。スクリプトを目で見れば理解できるが同じ内容を耳から聞いても理解できない。そうすると耳の側に何らかの問題があると考え始めるものだが、実はそれは間違いである。

人間はそもそも正確に言語を発話していないし正確に聞き取ってもいない。音声認識プログラムの様に聞いた音の波形を音素に分解して並べ、単語を構成してテキストを作って読み取る……という仕組みにはなっていない。そうでなく、前後の文脈から先を予想したり空白を頭の中で補完しながら話を聞いているのである。

あるイギリスの大学教授がこんな実験をした。講義の最中に “map” (地図)という語を全て “nap” (昼寝)に置き換えて発話してみたのだ。果たして学生は誰一人それに気づかず “map” と聞き取っていた。napと聞き取ってmapの間違いだろうと想像したのではなく、そもそもnapと言っていた事自体に気づかなかったのだ。

人間は文脈に基づいて次にどんな言葉が来るかを予想する。「あのーすいません、小林ですけど」と言われたら、「すいません」の時点で次は名前か用件だろうと察する。また社会的関係から下の名でなく姓を名乗ると合理的に予見する。そうすると小林とか山田とか斎藤といった日本人の姓が「次に聞くであろう言葉」の集合を形成するので、実際に聞き取った音に最も近い物を選ぶわけだ。

このせいで外国名や珍しい苗字は常に電話口で聞き返される。「菱田ですけど」と言うと「岸田様ですか?」と返ってくるのだ。もちろんこれは初回の事であって、一旦その名で予約を入れてしまえば菱田と聞き取ってもらえる。顧客の名前は「聞きそうな言葉リスト」の上位に入るからだ。

外国語を聞き取れないのは耳が悪いからではないし音素を弁別する能力が足りないせいばかりでもない。話の中身を十分に理解しておらず、次に何が来るか予見できないからだ。ゆえに適切な文脈が外部から与えられると非常に簡単になる場合が多い。例えばあなたが中国語を全く解さないとして、中国の飲食店で注文を聞く係を担当する羽目になったら途方に暮れるだろう。しかしその店に麻婆豆腐(マーポードウフ)と卵炒め(チャオタン)しかメニューがなく、すべての客がぶっきらぼうにどちらかの料理名を叫ぶ以外に一切の発話をしないとしたら数分で完璧にこなせるようになるのではないか? 音素を精密に聞き取る必要が全く無く、2つの音声パターンのどちらに近いかだけを判断すればよいわけだから。

音声言語の聞き取りは多かれ少なかれこういう仕組みになっている。自分が何についての話を聞いていて、次にどんな内容が展開されるかを理解していないと第一言語ですらまともに聞き取れない場合がある。無文脈な固有名詞は特にそうだ。人間は音を聞き取って理解するのでなく、理解する事で音を聞き取るのである。

 

教材

学習教材を推薦する場合は常にEnglishClubというwebサイトを提示している。全て平易な英語で書かれており文法の基礎から順に並んでいる。日本語で手に入る教材はあまり質が良くない。手っ取り早く何かを習得しようとすると大体基礎が貧弱で後になって困る。

受験英語は果たして北米で話されているのと同じ言語であるか疑わしい。むしろこれは日本語話者が英文を機械的に和文に置き換えて理解する技術であって、中国語に対する漢文の関係に近いと思う。 “I’m fine, thank you” と応答する自動機械は多言語話者ではない。

マゴス百科事典

マゴスの背景設定。説明書のページが足りずに割愛されたもの。


a-1:練習用ダミー

HP 10 1ダメージ/2ダメージ/3ダメージ/ミス/ミス/ミス

規則的にスイングする人形にどつかれて怪我をした人を慰める専門の仕事が成立する程度にこの街の分業は進んでいる。

 

a-2:怪魚

HP 10 2ダメージ/2ダメージ/ミス/ミス/3ダメージ/4ダメージ・重複不可*

*6の目が複数出ても1回分しか適用されない

水浸しの牢獄跡にはいくつかの亀裂から太陽光が注いでおり、人食い魚を頂点とする生態系が成立している。

 

a-3:ウィッチドクター

HP 10 ミス/マナに2ダメージ/3ダメージ/ミス/5ダメージ/ミス

彼は元々山菜や小動物を採集して暮らしていたが、ある時異界から金を持った間抜けが現れて谷底に落ちて死んだ。それ以来谷の番をして獲物を待ち続けている。

 

a-4:フロストトロル

HP 15 ミス/2ダメージ/ミス/4ダメージ/ミス/6ダメージ・重複不可

脇から固有の臭い物質を分泌しており縄張りの主張と他生物への警告に用いられる。不用意に生活圏に侵入すると出会い頭に襲われる危険がある。

 

a-5: ネクロマンサー

HP 15 HP4回復/2ダメージ/3ダメージ/4ダメージ/ミス/ミス

彼らの宗教において屍体は自然からの贈り物とされ、髪の毛一本まで利用し尽くす事が返礼であると考えられている。彼ら自身の遺体にこの法則は適用されない。

 

a-6:ヴァンパイア

HP 10 HP2回復・2ダメージ/ミス/HP2回復・2ダメージ/ミス/HP2回復・2ダメージ/ミス

成体のヴァンパイアは1日に3~4リットルの血液を摂取するほか、必要に応じて果物や昆虫などの副食で栄養を補う。

 

a-7:ウォートマトン

HP 20

HPが20~11の時:ミス/ミス/3ダメージ/4ダメージ/ミス/ミス

HPが10~1の時:5ダメージ/ミス/5ダメージ/ミス/5ダメージ/ミス

魔術的に組まれた全自動殺戮機。「動く物を探す」「動かなくなるまで殴る」の2種類の命令だけが与えられている。

 

a-8:暗殺者

HP 15 HP3回復/2ダメージ/ミス/ミス/ミス/10ダメージ・重複不可

彼らは主観的には自警団である。怪しいと感じたよそ者に尋問する裁量と最高で死刑までの量刑を判断する裁量が同時に与えられているに過ぎない。

 

a-9:石像ガーゴイル

HP 25 ミス/2ダメージ/ミス/ミス/5ダメージ/ミス

石に擬態して獲物を待ち伏せる森の狩猟者。実は鳥目なので新月の夜になると地元民に網で収穫される。

 

a-10:死神

HP 15 マナに4ダメージ/マナに4ダメージ/ミス/ミス/4ダメージ/5ダメージ・重複不可

魂を半分だけ刈り取っても人間は問題なく生きていられる。こうした機能的冗長性をマナとして活用する呪文も存在する。

 

a-11:骸骨騎士

HP 15

HPが15~11の時:ミス/2ダメージ/ミス/4ダメージ/ミス/ミス

HPが10~1の時:HP全回復*/2ダメージ/ミス/4ダメージ/ミス/6ダメージ・重複不可

*HPが回復しても行動パターンが変わるのは次の手番から

工学と芸術に多様な才能を発揮し初めて詳細な骨格標本をスケッチした経歴は第二の人生に全く活かされなかった。

 

a-12:眠りライオン

HP 25

HPが25~16の時:HP2減少*/HP2減少/ミス/ミス/3ダメージ/4ダメージ・重複不可

HPが15~1の時:2ダメージ/2ダメージ/ミス/ミス/5ダメージ/7ダメージ・重複不可

*HPが減っても行動パターンが変わるのは次の手番から

極めて不活発で1日16時間寝ているが、ちょっかいを出して来る生物に反射で噛み付くだけの活動レベルは睡眠中も維持している。

 

a-13:デーモン

HP 20 HP4回復/マナに2ダメージ/3ダメージ/4ダメージ/5ダメージ/ミス

世界の亀裂を押し広げて虚無との直結街道を建設すべく送り込まれた尖兵。優れた規律と忠誠心を持ち1日に40キロ行軍する。

 

a-14:地竜

HP 20

HPが20~11の時: HP4回復/HP4回復/ミス/ミス/5ダメージ/6ダメージ・重複不可

HPが10~1の時: マナに2ダメージ/マナに2ダメージ/ミス/ミス/3ダメージ/4ダメージ・重複不可

体の3割が硅素で構成されており、傷ついても土を摂取して再構成できる。色と模様がしばしば変わる。

 

a-15:水竜

HP 10 HP全回復/HP全回復/HP全回復/ミス/5ダメージ/6ダメージ・重複不可

実質的には巨大なクラゲであるが、鋭い爪と猛毒の牙と炎の息を持つ点だけが異なる。

 

a-16:炎竜

HP 10 3ダメージ/3ダメージ/マナに4ダメージ/ミス/5ダメージ/6ダメージ・重複不可

易燃性のガスを排泄する羽虫の群体。獲物に取り付いて自爆攻撃で殺し卵を産み付ける。

 

a-17:虚無よりの闖入者

HP 25

HPが25~16の時:HP全回復/HP全回復/ミス/ミス/5ダメージ/6ダメージ・重複不可

HPが15~11の時: マナに3ダメージ/マナに3ダメージ/ミス/ミス/3ダメージ/4ダメージ・重複不可

HPが10~1の時:4ダメージ/4ダメージ/ミス/ミス/5ダメージ/6ダメージ・重複不可

熱力学的死を迎えた世界の集合的住民。脆弱な生物の暮らす異界を約束の地と見なしている。

 

1/2:調和

ダイスを1個置く。目の数だけマナ回復。

過呼吸処置の要領で血液中の酸素を減らしマナ濃度を高める。窒息の危険があるので初学者は適切な指導の下で行う事が望ましい。

 

3/4:苦痛

ダイスを1個置く。2ダメージを与える。

対象の筋肉を異常緊張させる。元は剛力術として研究されたが、骨折に繋がる場合が多かったため攻撃手段に転用された。

 

5/6:火球

ダイスを2個置く。うち1個の目の数だけマナを消費し、もう1個の目だけダメージを与える。

火のついた松明を投げて爆発させる。魔力のみで燃焼材まで作り出す場合よりはるかに省力である。

 

7/8:治癒

ダイスを1個置く。目の数だけマナ消費。HP4回復。最大マナ1減少。

千切れた腕を再接合するには30~40秒以内が限度。それ以上経過するとマナが流出して傷口が引き合わなくなってしまう。

 

9/10:共鳴

同じ目のダイスを2個置く。好きなだけマナを消費し、同じ数だけダメージを与える。

空気中のマナと固有振動数を合わせる事で無制限にエネルギーを放出する呪文。学習者は様々なポーズを取って同期を図る。

 

11:炎の環

ダイスを1個置く。目の数だけマナ消費。3ダメージを与える。

外縁ほど温度が高いため伏せたり飛び退いて避けるのは逆効果。実は環をくぐる形で飛び込むのが最も安全である。

 

12:瞑想

ダイスを1個置く。5マナ回復。直ちに手番を終える*。

*この呪文を使った後に他の行動はできない

慈悲の瞑想をしている最中の魔法使いは最も強大な殺傷力を持つ。

 

13:地震

ダイスを3個置く。3マナ消費。7ダメージを与える。

魔法使いの土地は常に打ち消しあう方向に揺れており、わずかに同期をずらすだけで地表に大きな震動を作り出せる。

 

14:霊なる炎

ダイスを2個置く。3マナ消費。ダイスのうち1個の目の数だけダメージを与える。

犯した罪と同じ熱さの炎を浴びて火傷をしなければ潔白という神明裁判に用いられる。あらかじめ氷水をかぶっておくのがコツ。

 

15:魂削り

ダイスを1個置く。1ダメージを与える。2マナ回復。

霊魂は機能上の中核部分とそれに栄養を供給する外縁部分に分かれている。外部から衝撃を加えると保持しきれなくなった分のマナが漏れ出すので素早く回収する。

 

16:かまいたち

同じ目のダイスを2個置く。目の数だけダメージを与える。

広い場所で周囲に人や物がない事を確認してから使いましょう。

 

17:野性の咆哮

ダイスを1個置く。自分のHPを2減らす。その後3ダメージを与える。

人間が他の野生動物と区別されるのは自身の体を傷つけるほどの力を出せない事によってである。

 

18:霊感

ダイスを1個置く。マナ全回復。その後ダイスの目の数だけマナ消費。

アイディアを得た時に頭上に閃く電球をマナとして活用する呪文。逆はできない。

 

19:嵐

ダイスを3個置く。5マナ消費。8ダメージを与える。直ちに手番を終える。

発動の前に樹木などに術者自身の体を固定する必要があり、結合が緩いと着地のできない飛翔呪文と化す。

 

20:吸血

同じ目のダイスを2個置く。3ダメージを与える。HP2回復。

血液と母乳の成分が重複する事から吸血はカニバリズム禁忌に抵触しないと論じた随筆は当代における修辞学の到達点である。

 

21:血の生贄

ダイスを1個置く。最大HP2減少。その後ダイスの目の数だけHP回復。

元々は体力を前借りして12時間後に利子と共に返す呪文だったが、日付変更線を利用して踏み倒す手法が広まったため先払いに約款が変更された。

 

22:献身

ダイスを1個置く。目の数だけ自分のHPを減らす。マナ全回復。

もしあなたの右の手が罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に落ち込まない方が、あなたにとって益である。- マタイによる福音書 5:30

 

23:煉獄火

ダイスを2個置く。うち1個の目の数だけ自分のHPを減らし、その後もう1個の目だけダメージを与える。直ちにターン終了。

*説明書の記載ミスで直ちにターン終了が漏れている。

人を呪わば穴二つ。ただし受ける傷の深さに差があれば攻撃手段に転用が可能である。

 

24:暗殺剣

ダイスを1個置く。7マナ消費。目の数だけダメージを与える。

陽炎の様にゆらめく殺気が対象の精神を蝕み、次の一太刀を避ける事ができないと思い込ませる。

 

25:三連射

この呪文は3種類のモードを持つ。手番ごとにどれか1種類のモードだけを発動できる。

  • ダイスを1個置く。1ダメージを与える。
  • ダイスを2個置く。3ダメージを与える。
  • ダイスを3個置く。5ダメージを与える。

魔弾を確実に命中させる種々な手段が研究された結果、採用されたのは「たくさん撃つ」であった。

 

26:魂の刈り取り

ダイスを2個置く。2ダメージを与える。ダイス目の合計だけマナ回復。

霊魂を少しずつ刈り取って別人の物を流し込み、最終的にすっかり置き換えても全くパーソナリティに変化は無い。

 

27:鮮血の迸り

ダイスを1個置く。最大HP4減少。その後HP全回復。

生物の体は傷を受けると緊急事態と判断して心拍を高めるが、これは同時に出血も増やしてしまう。

 

28:憤怒

この呪文は2種類のモードを持つ。手番ごとにどれか1種類のモードだけを発動できる。

  • ダイスを1個置く。1ダメージを与える。
  • 自分の残りHPより大きい数のダイスを1個置く。4ダメージを与える。

人間には高度の共感能力があり他者の痛みを知覚できる。このメカニクスを逆用して苦痛を流し込む呪文。

 

29:末日

ダイスを4個置く。自分のHPを好きなだけ減らす。その後相手に同じだけダメージを与える。

世界の終りを告げる角笛を魔術的に鳴らして同じ空間にある全てのものを虚無へと引きずり込み、術者自身が消え去る寸前に止める自爆技。

 

30:炎竜剣

ダイスを3個置く。8マナ消費。ダイスのうち1個の目+4のダメージを与える。

高熱の刃によって非常に治りにくい傷を付ける。人道に反する武器として教会資格の停止要件になるか否かが目下議論されている。

 

31:快癒

ダイスを2個置く。目の合計だけマナ消費。HP全回復。最大マナ2減少。

術者本人が持つ十全な肉体のイメージに向けて再構成する。あなたが想像する全ての応用手段が既に試された。

 

32:覚醒

ダイスを1個置く。目の数だけ最大マナ減少*。HP2回復。マナ全回復。

*最大マナが残りマナを下回った場合、残りマナがその値まで減少する。

目の前が明るくなって疲労と倦怠が立ち所に消え去り集中力が高まる便利な呪文。

 

33:蘇生

ダイスを1個置く。好きなだけマナを消費し、同じ数だけHPを回復する。最大マナ1減少。

意外なことに、媒介として使うのでなくマナそのものを体力に変換しているのはこの呪文だけである。

 

1人用ストーリー

頭のおかしい公爵がお城の地下で秘密の拷問を繰り返していたら世界を切り裂く悲鳴によって魔法使いの住む土地と繋がってしまいました。異界を探検して呪文書を持ち帰りましょう!

 

2人用ストーリー

仲間とともに首尾よく呪文書を持ち帰りましたが、戦利品の分配に関して意見の不一致が起こりました。ここは文明人らしく魔術的「論争」で決着をつけましょう!

 

ストーリー(ボツ版)

ネルデスカの公爵様は美しい街と立派な城をお治めになり、その地下には輪をかけて立派な牢獄(ダンジョン)と秘密の拷問部屋をお持ちでした。公爵様はここで囚人を責め苛むのが大変にお気に入りで、お城の地下からは夜ごと微かな悲鳴が轟いて参ります。ある日、魔法使い(マゴス)の嫌疑で捕らえた男に焼きごてを当てますと、血も凍るような、この世の終わりの如き悲鳴を上げました。それに続いて地鳴りがして床石が割れ、水が噴き出して地階が水浸しになり、見たこともない巨大な人食い魚や瘴気を帯びた小鬼が現れて参りました。こうした訳でお城の地下は魔法使いの住む異界の土地と繋がってしまったのでございます。

公爵様は何より体面を重んじられる立派な方でしたから、穴を塞ぐ為に勇士を募られました。地下深くの異界に分け入り、世界の亀裂を元通りにする方法を探し出すこと。そしてあわよくば魔法使いの秘術を地上に持ち帰ること。これが命知らずどもに課せられた使命でございます。

未知への冒険に旅立つ準備はよろしいですかな?

小屋経済の話

Civ4攻略情報


Civilization 4の小屋教徒と工房教徒は今日も血で血を洗う宗教戦争を繰り広げている。両者の教義はどこが違うかというと、前者は全ての土地に「小屋」地形改善を敷き詰める事を目指し、後者は「工房」地形改善で埋め尽くさんとしている。そして敵の地形改善を見つけたら直ちに焼き払って正しい姿に作り変える。小屋教徒にとっての小屋のメリットは「お金が沢山出てくる」事だが、工房教徒にとっては「焼き払うとお金が沢山出てくる」である。

どちらが正しいかは状況によるのだが、その前にまずどうして「小屋経済」とか「専門家経済」とか「初手ストヘン経済」といった経済システムが存在し、そのどれか1つを選ぶのが習わしになっているかを考察しよう。

 

シナジーの問題

経済システムをある程度割り切って組み立てる理由は社会体制との相乗効果である。例えば金融志向で小屋を街まで育てると毎ターン6商業を産出する。ここで法制度の「言論の自由」を採用すると全ての街に+2のボーナスが付いて8商業になる。一方同じ法制度の「官僚制」を採用すると、首都に限って商業力が50%増加する。つまり街は実質的に9商業を生み出してくれるわけだ。

都市というのは普通6つぐらいあるので、全ての都市が街まみれになっていれば首都だけ9で他が6よりも全部8の方が総産出が多い。しかし都市に作れる地形改善は街だけではない。工房や畑を作って軍隊や人材の生産基地にする事で、経済以外の面で帝国に貢献することもできるのだ。

するとここで2つのやり方が生まれる。全ての都市を街だらけにして言論の自由を採用し、大量の商業力を生み出す経済。首都は街まみれ、他の都市は畑まみれにして官僚制を採用し商業と工業をバランスよく産出する経済。前者は小屋経済、後者は官僚制経済という名が付いている。

 

1つに集中

このゲームの社会制度メカニクスは万事この調子である。代議制は「全ての専門家」を強化し、普通選挙は「全ての街」を強化する。選べるのはどちらか片方だけだ。カースト制は「全ての工房」を強化し、奴隷解放は「全ての小屋」を促成栽培する。これも採用できるのは片方だけだ。

つまりプレイヤーは「どの地形改善を強化するか」を決めてそればかり作る様に求められる。奴隷解放で小屋を強化するなら小屋ばかり作る。カースト制で工房を強化するなら工房ばかり作る。「色々な地形改善を少しずつ作る」より「1種類の地形改善を大量に作る」方が総出力が高くなる様にゲームがデザインされているのだ。

このため工房を強化している国が小屋だらけの都市を占領しても大した産出にならず、全て焼き払って工房に建て替える必要が出てくる。一方小屋を強化している国は小屋を作れば作るだけ国力が伸びてゆき、未強化の工房には目もくれない。これがあたかも宗教戦争の様を呈しているわけである。

実際上、このゲームに単一の最適解は無い。地形や周囲の環境を見ながらその都度どれかの経済システムを選ぶ事になる。ただ何を選ぶにせよ中途半端はダメだ。「何を強化するか」を決めて集中的に作る方が国力が増える。

 

 

( ・p・)<初手でストヘン作っといたよ (;´。 `;  )

Civilization: Beyond Earth テラフォーマー経済(後編)

Civ:BEの公式販促記事


前編はこちら

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大急ぎで不健康問題に対処しよう。まず繁栄カテゴリの美徳「病は気から」を取る。これは健康状態がクソな時でも精神力を用いて何も問題は起きていないと言い続ける事によって事態を軽減する裏技だ。まあバスの中で気を紛らわせてゲロを我慢する様な話だな。さっさと状況をコントロール下に置かなくては。

 

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同時にジェナリ南東の瘴気を労働者で片付けカヴィサンへの交易路を開く。瘴気の壁がルートを完全に塞いでいたせいで今まで交易ユニットを送れなかったのだ。対外交易は最初こそ貧弱だが、ゲーム後半の発達した都市が相手なら凄まじい量の金と科学力をもたらしてくれる。協定や同盟を締結していれば利益は更に増えるぞ!

 

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また外国貿易は互恵的であって先方の都市にも利益があるため、両者の外交関係にプラスの影響を及ぼす。当分攻め込む予定の無い人々と貿易するのがお勧めだ。

 

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過去のシリーズは富は土地から生まれるという重農主義的世界観に基づいていたが、今作の富は交易から生まれる。科学力の過半を外国貿易で稼ぐのは割と普通の事だ。平時には対外交易を重視して研究を進め、有事には国内交易に切り替えて工業力を増やすといった使い方もできるぞ。

 

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アフリカ連合から「領内への侵入」について警告を受けた。翻訳がまずいせいで少々分かりにくいのだが、これは彼らから奪った傀儡都市が文化圏を広げて向こうの領土に肉薄している事について文句を言っているのだ。安心したまえ、我々の友好関係が壊れることはあり得ない。何故なら最初から存在しないからだ。

 

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諜報員を1つの都市に滞在させて任務をこなし続けると、潜入レベルが上がって徐々に高度な仕事ができる様になる。例えばレベル1になると科学力を取ってこれるぞ。金はその気になればいくらでも稼げるし大抵余るのだが、科学力はいくらあっても十分という事は無いのだ。

 

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戦術ロボット工学を完成させ、同時にクエストも達成してアフィニティが上がった。

 

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4と5はそれぞれ砲兵と軍艦のアップグレードだ。砲兵はCiv5のカタパルトと同様、セットアップに時間がかかるが都市への攻撃力が高い。軍艦は海上から遠隔攻撃ができる。どちらも固い都市を落とす時のワンポイントリリーフとして活躍するぞ。

 

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大陸の東端に住む勢力フランコ-イベリアから協定のお誘いだ。なるほど悪くないんじゃないか? 大陸の東半分で同盟を組んで、その間に西半分を制圧するのだ。共に手を携えて事に当たりましょう。殺すのは最後にしてあげます。

 

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繁栄カテゴリを押し進め、ついにエコスケーピングの美徳を獲得した。これで今回ぶちかますテラフォーマー経済の材料が揃ったぞ。必要な物は3つ。外国貿易、テラスケープ、バイオウェルだ。

 

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テラスケープはテラフォーミングで解禁される地形改善で、元の地形に関係なくタイルの産出を食料2・生産2・文化2に問答無用で変えてしまう。非常に強力だが1つにつき6ゴールドの維持費がかかる。

 

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一方バイオウェルはバイオニクスで解禁される地形改善で、タイルの食料産出を2増やした上に健康度を1上げてくれるという超強化版の畑である。ただこちらも1つにつき2ゴールドの維持費がかかる。

 

図解-01

そこでこれらの経費を賄うために傀儡都市の貿易で金を稼ぎ、直轄都市を国土改造しまくるのがテラフォーマー経済である。傀儡都市の生み出す不健康はバイオウェルによって相殺する。エコスケーピングで強化されたテラスケープは食料3・生産3・文化3と化け物じみた産出を誇り、畑と鉱山とモアイを1つのタイルに同時に建てた様なものである。

 

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そうする内に自立システムの研究が終わり至高アフィニティがレベル6に達した。主力の歩兵が戦闘力14から24へ一気に強化されるぞ! シヴィロペディアには複数のアフィニティをバランス良く上げるのも選択肢のひとつと書かれているが完全に嘘だ。1つだけに傾注した方が明らかにユニットが強い!

 

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それでは南西の隣人、ARCことネオアメリカ暗黒メガコーポに宣戦布告しよう。向こうはアフィニティレベル2にすら達していない原始的な奴らだ。

 

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その結果一瞬でこうなった。敵はガンナーすら配備しておらずまともな戦力が存在しない。地球の歴史においてテクノロジーで後塵を拝する民族が辿ったのと同じ運命を、この惑星では思想を十分に深めていない者たちが辿るのだ。まあ思想を深める方法自体も特定分野のテクノロジー研究なんだがな。

 

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先方のCEOがついに折れた様だ。10ターンの停戦と引き換えに第2都市を割譲させた。都市を武力で占領すると各施設が66%の確率で破壊されるので、無血開城できるならそれに越した事は無いのだ。

 

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かくてこんな形になった。これ以上西への進軍を続けるにはARCの首都セントラルを迂回する方法が必要だ。

 

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そこでこの位相トランスポーターという人工衛星を使う。こいつは早い話がどこでもドアの出口である。打ち上げた場所に自分の都市にいるユニットを一瞬でテレポートさせる事ができ、あらゆる兵站問題を過去にする究極の輸送手段だ。衛星を打ち上げられるのは本来自分の都市の周辺だけなのだが、至高アフィニティがレベル8に達するとフィラクサイト資源のある場所ならどこでも打ち上げられる様になり惑星の裏側へも一瞬で行ける。

 

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というわけでブラジリアに宣戦布告だ! 東側のカヴィサンとフランコ-イベリアは同盟相手、ARCは停戦中。後顧の憂い無く全軍を突入させるぞ!

 

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と思ったらインド婆さんがアフリカに攻め込んだせいで我々も巻き込まれてしまった。このゲームの同盟は双務的かつ攻撃にも適用されるのでたまにとんでもない形で戦争が始まったりする。

 

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みんな遠征に出払っていてパンアジア本国には軍隊がいない!このままでは領土と交易路を好き放題に荒らされてしまう。

 

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そんな時に役立つのがこの軌道レーザーだ。いわゆる衛星砲という奴で、軌道上から敵のユニットを狙い撃ちできる。そして同世代のオバーシーヤーが攻撃力26しか無いのにこっちは破格の70である。攻め込んで来たローバーが1ターンに1個ずつ蒸発するのだ。まるで生けるもの全てに終わりの時を告げる死の天使みたいだぁ…(中学二年生並の感想)

 

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通行の邪魔なので停戦が切れ次第ARCも滅ぼしておく。このおばさんはモーガン社長の系譜で銭ゲバキャラらしいのだが、あまりそれを発揮する事なく退場となってしまった。

 

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衛星砲は視界さえ通っていれば都市を撃つ事もできる。ボンガニは63という破格の戦闘力を持ち近づいただけで消し炭にされてしまう。衛星を使ってじわじわ削る方が安全だろう。

 

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ARCから奪った貧しい都市を国内交易に活用する。テラスケープで直轄都市の生産力を高めつつ傀儡都市をバイオウェルだけに留めておく事で交易の利益を最大にできるのだ。

 

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フランコ-イベリアとの同盟を締結。東側3国で固まっておけば当面の安全保障は鉄壁だ。大丈夫、きっと何も悪いことは起きませんよ。

 

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と言った次のターンにカヴィサンがフランコに攻め込んでしまった。我々はその両方と同盟していたが防衛の方が優先されフランコ側で参戦する羽目になった。なんやかんやでカヴィサンとアフリカとブラジリアを同時に倒さなくてはいかん。戦い続ける呪いでもかかってるのかこの星は。

 

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主力が留守なのでカヴィサン方面は衛星砲で対処しよう。この際微妙に不便なのが、人工衛星は他国のものとも効果範囲が重なってはいけないというルールと、衛星砲の有効範囲がやたら広いという事だ。向こうの首都にはソーラーコレクターが打ち上がっていて衛星砲を置ける場所がここしか無かった。

 

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どうにかこうにかアフリカを叩きのめして停戦。どうかこの平和が世界最後の日まで続きますように!

 

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そして遂に、協調的思考の研究が完了しアフィニティレベル11のユニットが解禁された! 歩兵の戦闘力が24から48へ大幅に向上。このゲームの戦力カーブはかなり気前が良く、後半の方がユニット性能の伸び率が高いという構造になっている。序盤は接戦で終盤になると一気に盤面が傾いて行くのだ。

 

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ひたすら押しまくってブラジリアの首都を陥落させ停戦合意。健康度が酷いことになってしまった上に外国交易ができなくなった影響で財政が火の車だ。国が傾く前にゲーム自体を終わらせよう。

 

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カヴィサン首都のすぐ側にちょうど良くフィラクサイトが湧いていたので位相トランスポーターを打ち上げた。パンアジアの全ての軍団をマンディラにお住いのみなさんに直接お届けします。

 

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かくて首都を黒焦げにし講和に至った。これで惑星に存在した6つの国のうちアフリカ・ARC・ブラジリア・カヴィサンの4つが元々の首都を失ったわけだ。つまりあと1カ国が首都を失えば制圧勝利の条件を満たせる。

 

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というわけでフランコの領土にも位相トランスポーターを置こう。いきなり庭先に転送ゲートが開いてトンがった鎧の軍団が攻めて来るとか宇宙戦争感があるな。ちなみに海ヘックスには海軍ユニットも送れるぞ。

 

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これより全ての戦争を終わらせる戦争を始める。もう後戻りはできん。

 

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本命の戦略目標は首都のル・クールだが、生憎そちらには衛星を打ち上げられる場所が無い。まずプロスペリテを落として橋頭堡を築く。

 

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プロスペリテの衛星打ち上げ範囲を活用して衛星砲とトランスポーターを展開。地形が険しいせいでまともに攻めたらとんでもなく面倒臭い拠点だが、宇宙戦力を活用すれば割と何とかなってしまうのだ。

 

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海と陸から完全に包囲された姿はコンスタンティノープルの最期を思わせる。さらばだ偉大なる文明よ。

 

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かくて首都を制圧! 勝利! 細かい変更点だがCiv5と違い1ターン維持する必要は無くなった。最後の首都を落とした瞬間に勝ちだ。サクサク展開だな!

 

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では最後に、この記事を読んでいる人が一番知りたいと思われる質問に答えておく。このゲームは面白いのか? 少なくとも言えるのはCiv5より遥かに良くなったという事だ。5は古いCivのデザインと新しいデザインとが混在していてプレイヤーを振り回した。敵の都市を占領すると国力が増えるぞ! でも不幸も増えるから手加減して征服しろ! こういったコンフリクトがBeyond Earthではほぼ全て解消されている。伝統的なCivの文法と違う所もあるがデザインに一貫性と必然性がある。

 

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インターフェースの挙動の軽さとゲーム展開の速さは非常に大きな魅力だと思う。気前のいいボーナスといい畳み掛ける終盤といいCivilization Revolutionに近い部分がかなりある。本気でやり込むとAIが人間に敵わなくなるのだが、これは戦術システムを採用した全てのゲームに言える事だ。ゲームバランスという点だけで言えばアルファケンタウリよりも整っている。

 

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というわけで結論としては、ユニットを動かして探検したり戦ったりするのが好きなゲーマーならきっと気に入るだろう。何千時間もやり込む代物ではないかも知れないが、ストラテジー分野の良作の1つだ。この作品を紹介できた事は個人的経験として素晴らしいと思う。という所で終わりだ。ではまた会う日まで御機嫌よう。

 

Civilization: Beyond Earth
https://www.civilization.com/jp/games/civilization-beyond-earth/
日本語対応(音声は英語)
Windows / Mac / Linux
デモ版あり

Civilization: Beyond Earth テラフォーマー経済(前編)

Civ:BEの公式販促記事


動画版はこちら:

 

ゲームファンのみんなご機嫌よう。今回は公式からの依頼でCivilizationシリーズ最新作Beyond Earthを攻略するぞ。いつもみたいな不適切要素は無いので安心して楽しんでくれ。

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まずこいつがどんなゲームか簡単に説明しておこう。Civilizationシリーズは国を作って運営する文明管理ゲームで、今作はその宇宙版だ。未知の惑星に人類の様々な党派が降り立ち、未来国家を作って領土紛争をしたりイデオロギー対立をしたり貿易利権を争ったりして楽しく過ごす。科学が進んでも人間のやる事は変わらんな。

 

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ところで宇宙版Civと言うと15年前に出た「アルファ・ケンタウリ」を連想する人がいるかも知れない。あちらも別の惑星に人類の党派が降り立っていつもの争いを始めるゲームで、本作Beyond Earthとも様々な共通点がある。ただしあちらがCivilization 2ベースだったのに対してこちらはCiv5が基盤になっており、システム面はまるで別物だ。

 

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またストーリーの面でも、アルファケンタウリは本来一致協力する筈のクルーがガーランド船長暗殺事件によってバラバラになってしまったという話だったが、今作は最初から様々な国や企業が自前の入植者を送り込んでおり、予定通りバラバラに降り立って予定通り争いを始めるというより一層度し難さの増した末法世界になっている。

 

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また党派自体もアルファケンタウリでは国籍や人種ではなく思想によって分かれていたが、今作では地球のそれぞれの地域ごとにプロジェクトを進めたためネオアメリカやネオ中国やネオブラジルが惑星上にのさばる形になる。それゆえ指導者たちも特定の思想の代表者というよりは文化グループの代表であり、要するにまんまCiv5の続きなのだ。

 

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それでは早速ゲームを始めよう。難易度は最高のアポロ。速度は標準でマップサイズは「小さい」にしておこう。普通サイズのマップはやたらでかいのでみんなも最初に遊ぶ時は小さい方を選択しておくとよいぞ。

 

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今作の面白い特徴として、党派をある程度自分でカスタマイズできる。つまり固有能力・都市ごとのボーナス・最初に持っている情報・最初に持っているブーストの4つのカテゴリについてそれぞれ好きな物を選べるのだ。言うまでもなく今回は最強の組み合わせを容赦なく選んでゲームをなぎ倒すぞ。まずスポンサーはパンアジア連盟。でかい中国に日本と韓国とベトナムが加わった連中で、労働者の作業効率が高い。

 

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ちなみに指導者はダオミン・ソチュアというクソババアで、恐らくダオミン・スーとム-・ソチュアを適当に組み合わせて名付けたんだろう。科学知識と管理能力に優れた天分を持ち、その有り余る才能を部下を酷使して長時間労働させる事のみに費やす鬼のようなおばさんだ。これより酷い奴は多分プレイヤーしかいないと思う。

 

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続いて入植者のタイプを選択する。選べるのは科学者・難民・貴族・技術者・芸術家の5種類で、何だか半分ぐらいロクでもない連中な気がする。今回使うのは芸術家だ。これは各都市の文化産出量を+3するという破格の能力を持っており他に比べて頭2つ抜けている。Civ5無印におけるフランスの強さを覚えているかな? 各都市の文化産出が+2される「アンシャン・レジーム」能力だ。その1.5倍だぞコンチクショウ!

 

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宇宙船の装備は最初に得られる情報を決める。これは明白にどれかが強いという事は無いのだが、総合的に見て生命体センサーが便利だろう。惑星にはやたら強い原住生物がうようよ棲息しており巣に近づくと血相を変えて襲いかかってくる。だから予め巣の位置を知っておくと探索ユニットを殺されずに済むのだ。

 

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最後に貨物だが、これは機械で決まりだ。このシリーズにおいて最初から労働者ユニットがいるのは尋常ではない。パンアジア連盟の固有能力とも相性が良い。これで党派のカスタマイズが完了した! 勘のいい人は気づいているだろうが、要はひたすらスタートダッシュに有利な属性を詰め込んだのだ。

 

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そして目指す惑星の種類を選択。今回は全ての陸地が一体になったパンゲアタイプに挑もう。地続きとは言い条けっこう通行不可能な地形が多いので興味深い地政学上の選択が生まれる。

 

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ではいよいよ惑星降下だ! 首都を作る場所は降下地点と周辺6ヘクスから選べるのだが、その前に少し解説しておこう。今作では以前のシリーズと都市タイルの産出量に関するルールがかなり異なっている。基本産出力が食料・生産・金銭2/1/1というのは同じだが、以前は地形と基本産出のうちどちらか高い方が適用されたのに対し、今作では両者を足したものが都市タイルの産出になる。

 

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だからこの様に食料2を産出する草原に都市を作ると都市タイルは4/1/1になる。逆に丘は生産1しか生み出さないので、その上に建てると2/2/1になってしまう。つまり丘都市は厳禁、国力最大化の為には都市は草原か平原に作らなくてはいけない。以前の作品とは正反対だ。また資源のあるタイルに作るとその資源は消滅する。これも以前とは違う所だ。

 

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序盤はエクスプローラーを生産しつつ惑星の探索を進めよう。戦闘力を持った原住生物が徘徊しているが、こいつらは開始時点では友好的だ。まあ、狂王の試練場で出会う友好的なゾンビと同程度には友好的だろう。うっかり巣に近づいたりこちらからちょっかいを出さなければ襲いかかって来る事はあんまりない。

 

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文化ポイントを一定量貯めると新たな美徳を獲得できる。これはCiv5の社会政策とほぼ同じで、様々な文明ボーナスを選択する事になる。今回の戦略であるテラフォーマー経済においては「繁栄」カテゴリの美徳が特に重要だ。

 

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未来版お菓子の小屋こと資源ポッドを漁っていたら人工衛星が手に入った。こいつは動かない空中要塞みたいなもので、打ち上げると都市の上空に数十ターンに渡って浮かび続ける。ソーラーコレクターの効果は真下にある7ヘクスの金銭産出量が1増えるというものだ。

 

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衛星を打ち上げられるのは自分の都市の周辺だけ。また衛星の効果範囲同士が重なってはいけない。アルファケンタウリの衛星が惑星上空を飛び回って特定の位置というものを持たなかったのに対し、こちらは完全に静止衛星で空に浮かぶ城みたいな扱いになっている。

 

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おっと、新しい党派が降下して来たぞ。以前のシリーズとは違い、今作では勢力がバラバラのタイミングで登場する。また降りてきた瞬間に全員とコンタクトするので中盤になってやっと別大陸の住民と初顔合わせをするといった事態は起こらない。

 

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惑星の裏側にも降りて来た。本拠地同士の距離は外交政策を決める上でも結構重要なファクターだ。基本的に近ければ滅ぼし遠ければ後でゆっくり滅ぼす。

 

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さてここで今作の研究システムを説明しておこう。伝統的なテクノロジーツリーに代わり、Beyond Earthではテクノロジーウェブというものが登場する。今までのように1つの方向へ伸ばしていくのではなく、中心から始まって外縁へと進歩する。この結果研究の方向を非常に偏らせる事が可能になった。今まではどのテクノロジーも最終的には研究しなくてはいけなかったのだが、今作では例えば下方向のサイバネティクス分野に傾注して上方向の生物分野をまるきり無視するといったやり方もできる。

 

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序盤は先駆者と生態学を研究し、首都ではエクスプローラー2つの後に地球遺物を作る。美徳はコロニー・イニシアティブを一直線に目指そう。数十回試行錯誤したのだが多分これが一番動き出しが早い。

 

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美徳のお陰で本来186ハンマーかかるコロニストが無料で貰えた。首都のすぐ北に入植し、右上に見えるオレンジ色の勢力「アフリカ連合」に喧嘩を売っていこう。ここを前哨地とする。いや本当に「前哨地」というシステムなのだ。都市は作った当初は人口ゼロで何も産出せず、15ターンぐらいかけてやっと一人前の都市になる。

 

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その間に首都では交易拠点を作る。交易はCiv5: Brave New Worldで導入されたのとほぼ同じ仕組みで、交易ユニットを使って都市と都市を結び毎ターン何らかの資源収入を得る。国内なら食料と生産、国外なら金と科学といった具合で、これが滅茶苦茶強力なので大急ぎで第2都市を作ったのである。

 

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またCiv5にあった都市国家もステーションという名で再登場している。今回は金をやって仲良くなるのではなく純粋な交易相手だ。コアゲーマーはそろそろ気づいたかと思うが、今作はCivilizationシリーズの伝統を捨て去り、Civ5が目指した物を集めて昇華させたデザインになっている。このお陰でだいぶシステム間のコンフリクトが減って遊びやすくなっているのだ。

 

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それでは交易システムの説明に入ろう。交易拠点を建てた都市は交易ユニットを生産できる。こいつらは自分で動かすのでなく、どの都市へ行けと命ずると勝手に往復して収入を生み出してくれる。1つの都市につきそこを出発点とする交易路を2本まで設営できるぞ。

ただし目的地まで物理的に歩いて行けない場合は不可能だ。他国の国境とかユニットは構わずすり抜けて行くが、山岳や亀裂の様な通行不可能地形には阻まれるし、陸上交易ユニットであれば海を渡ることもできない。また惑星上には瘴気と呼ばれる毒の霧が点在していて、軍事ユニットならダメージを受けるだけだが交易ユニットは通行が完全に不可能である。ナウシカみたいな世界だ。

 

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交易収入のルールは国外・国内・ステーションでそれぞれ異なる。国外であれば相手の都市の規模に応じて金と科学力が手に入る。ステーションはそれぞれ得られる物が決まっていて、交易を続ける内に成長する。そして国内の場合、2つの都市の食料と生産の「差」に応じて交易収入が決まる。つまり豊かな都市と貧しい都市の間で交易をするのが一番効率的なのだ。そしてどちらから出発したかに関係なく、何故か豊かな都市の方に収入が加算される。

 

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従って国内交易から最大の利益を得るためには貧しい都市は貧しいままにしておかなくてはならん。下手に平等発展させると却って国力が減ることもある。豊かは貧しい、貧しいは豊か。まるでマクベスだ。この世界において中央は収奪すべき地方があって初めて栄えるのだ。そしてこれが後で重要な戦略上の意味を持ってくる。

 

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ステーション交易のお陰で文化がどんどん貯まる。コロニーイニシアティブと支援の手まで取った所で繁栄カテゴリは一旦止め、力カテゴリの応用戦術とサバイバル術に進む。

 

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するとTier 1の美徳を6つ取ったボーナスとして1つ無料で美徳が貰える。6つというのが中々良く出来ていて、1つのカテゴリだけだとギリギリ足りないので色々組み合わせを考える事になる。それではスカベンジャーを取って原住生物をぬっ殺す度に研究が進む様にしよう。

 

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都市の施設には全て「選択クエスト」というものが設定されていて、建ててしばらくすると2種類のボーナスのうち好きな方を選べる。要はどっちのUBを使うか環境を見て決められるという事だ。

 

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北東に住むアフリカ連合のおっさんがラブコールを送って来た。是非とも受けたいが1つ問題がある。協定を結んだ相手に攻め込むと世界の嫌われ者になってしまうのだ。申し訳ないが今は応じる事ができない。あなた方を滅ぼした後でもう一度話し合おうではないか。

 

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というわけで着々と準備を進める。適応科学の美徳を取ってアフィニティを沢山得られる様にしておこう。このアフィニティというのは今作で新たに出てきた概念で、平たく言うと惑星に対する思想である。地球みたいに暮らすか、現地に適応するか、全てを機械化するかという考え方の違いを表している。そして思想が先鋭化すればするほど軍隊が強くなるのだ。

 

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実際にやって見せよう。今、電力システムを研究したことで「あ^〜やっぱり機械は最高なんじゃぁ^〜」という機運が住民の間で高まり、至高アフィニティが1段階上がった。

 

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その結果、戦闘力10の初期型兵士ユニットが戦闘力14のマリーンにアップグレードされた。なんじゃそりゃと思うかも知れないがそういうゲームなんだ。特定の思想が深まれば深まるほど兵隊の持ってる銃がでかくなったり戦車の装甲が厚くなって敵の兵器を圧倒できるというイデオロギーの戦いなんだ。ジオンの精神が形になった結果ノイエ・ジールが出てくる様なもんだと思ってくれ。

 

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しかもアップグレードは取った瞬間に既存の全てのユニットが無料で新型に変身する。つまり予め安い旧型をいっぱい作っておいて、十分な数が揃ったらまとめて新型にアップグレードするのが一番効率的なんだ。それまでの期間はエイリアンを虐めて暇をつぶしておけば科学力と経験の両方が手に入る。

 

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そして好戦的瞑想という物凄く矛盾した美徳を取って至高アフィニティをもう1段階上げよう。

 

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すると予め作っておいた攻撃力8のレンジャーが全て攻撃力14のガンナーに化ける。Civ5で説明すると、弓を作ってから文化を貯めて瞑想すると目を開けたらみんなクロスボウになっている感じだ。バイオレンスジャックのガクエン退屈男編みたいにこの惑星そのものが誰かのイマジネーションで出来ているのかも知れん。

 

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ところで3つのアフィニティがどう違うのか説明しておこう。調和は地球の生き物も惑星の生き物も仲良く暮らそうという博愛主義で人口を増やすのが得意だ。純血は地球の生き物こそ最高だという排外主義で文化を高めるのに適する。至高は地球の生き物も惑星の生き物も全部始末して機械に置き換える平等主義で軍事力に優れる。そして現行バージョンだと明らかに至高が強い。

 

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それでは仕事に取り掛かろう。まず隣人その2ことカヴィサン保護領のインドおばさんに同盟を申し込む。これでどちらかが戦争を始めるともう一方も自動的に引きずり込まれる様になった。

 

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そしてこちらの方が優れた戦力を持っている事を確認した上で隣人その1に攻め込む。これで少なくとも形の上では2対1になる。ネオ中国とネオインドが組んでネオアフリカに侵攻するとはたまげた未来だなぁ。

 

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戦争のやり方はCiv5と同じだ。まず自分の陣地をガチガチに固めて敵を誘い込み、首尾よく殲滅したら徐々に戦線を押し上げる。いきなり突っ込んでも射撃の的になるので気長にやろう。

 

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敵都市からの砲撃が届かない位置に陣取って守りを固め、うっかり近づいて来たユニットがいれば矢玉を浴びせて叩き潰す。自分の兵が少なければ陣地に下がり、有利なら敵地に向かって踏み込む。本作の戦術の極意はこの一点に尽きる。

 

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そして15ターンほどの押し合いへし合いを経て敵都市を完全に包囲した。攻城戦のコツは十分な数のガンナーを揃えて一気に間合いを詰める事だ。ぐずぐずしていると敵も撃ち返して来るので戦力の小出しはいかん。傷ついたユニットがいる場合は回復を待ってから全員で突撃しよう。

 

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敵の前線都市を占領したぞ! 奪った都市の処遇はCiv5と同じで、併合して自分の物にもできるし傀儡にして金と科学力だけを吸い上げる事もできる。傀儡の方が不幸が増えにくいのも相変わらずだ。

 

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そうそう、不幸ではなく「不健康」なんだ。Civ5の幸福システムがほぼそのまま引き継がれているが、名前が健康度に変わっている。また今回はマイナスになった時のペナルティがかなり軽い! 国民がゲロまみれでも成長・文化・科学・生産がじわじわ下がる程度であり、前作みたいに赤くなった途端全てが滅茶苦茶になったりはしない。国内情勢に配慮して征服戦争を途中で止める必要は無くなったのだ。

 

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そして傀儡都市は国内交易においても重要なファクターだ。どの道ユニットを取り出すことができない関係上、こいつらは必然的に工業生産力が低くなる。そこで国内交易路に組み入れてしまえば中核都市に生産力を提供する外部ブースターとして運用できるのだ。一見珍妙な国内交易ルールだが傀儡都市システムと絡むと俄然歯車が噛み合って来る。まさに征服した属州からの収奪そのものなのだ。

 

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この概要を見てくれ。ティアンゴンとアヤヤンの交易で、生産力の高いティアンゴンは3の生産を得ており、食料の多いアヤヤンは2の食料を得ている。加えてアヤヤンには国内交易路1本につき1の生産を得る施設が建っている。ここから更にティアンゴンの開発を進め、同時にアヤヤンを貧しくする事によってティアンゴンの得る交易収入を大幅に増やす事もできるのだ。

 

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さて戦争と並行してイベントの方も進めておこう。体を半分機械化した難民が助けを求めて来たので彼らの居住地を作ってやる事になった。次の獲物に向けた前線基地として首都の南西に入植する。

 

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すると見返りにサイバネティクスのノウハウを教えてくれた! 至高アフィニティがレベル3に到達し道路の維持費が無料になる。本作でもCiv5と同様道路1本につき1ゴールドの維持費が必要だが、機械化帝国のみその限りではない。

 

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アフィニティレベル3のアップグレードはローバーだ。戦闘力12から18に向上し特殊能力も付く。前作の騎兵が騎士になるのと大体同じだと思ってくれ。

 

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それと説明するタイミングが無かったのだが、戦争が始まった直後に諜報機関を完成させていた。こいつは1人1つ作れる国家遺産で、Civ5と同じように諜報員を雇って金やテクノロジーを盗める様になる。ただし盗むと言い条盗まれた側の金は減らんし、盗む金額も完全にターン数依存で向こうの金庫とは無関係だ。テクノロジーに関しても落語の蒟蒻問答よろしく向こうの知らんことを何故か学んできたりする。なので潜入先は割とどうでもよく、当分攻め込む予定の無い地点へ送り込めばほぼ正解だ。

 

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そんなこんなでアフリカ連合の首都を奪ったりその隣を掠めたりしていたら健康度がマイナス31に達してしまった。文化と科学が2割ずつ差っ引かれる上に工業生産まで下がっている。流石にこのままだとゲロで窒息するので停戦しよう。

 

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ミスターアフリカ、寛大な提案をしよう。君を殴るのを止めてやる。というわけで平和が戻って来た。

 

後編に続く!

2015年ロードマップ

2014年の総括と2015年に何を作るかの概略


年の切れ目なのでこれまでの1年について振り返っておく。別に12/31という日付そのものに特段の意味は無く1年の中のどの日だろうと振り返る事は可能であるが、1年後に「あれ前回はいつ振り返ったっけ?」と思い出せなくなる確率が極めて高いので大晦日という「目立つ日」を集合地点にする。

 

2014年に作った物

この1年間で作って発行した物は以下の通り:

  • ウォータイムエコノミー
  • ウォータイムエコノミー拡張
  • ゲーム2.0
  • ソルヴァーズ
  • ゲームを極める100の知恵
  • ソルヴァーズアフターマス

月に1つ出す事は完全に不可能になっているわけである。理由は主に「為替」と「流通」の2つ。まず急激な円安で輸入物価が跳ね上がりゲーム用コンポーネントを含めるのが難しくなった。加えてマスでの流通が始まりある程度商品としての体裁を整える必要が出てきた。つまり完成度の高い原稿を大量に書き続けないと短いスパンで発刊できないのであり、兵站面から破綻し始めているわけだ。

 

システムの改築

そこで生産方式を環境に合わせて改める事にした。今後作り出す物のラインは大まかに3つに分ける:

  • 単発読み物:ブログに掲載(言語依存指標など)
  • 長編読み物:冊子として発行(100の知恵など)
  • カードゲームとボードゲーム:箱に入れて発売

要するにゲームの試作品をオマケに付けたミニ雑誌という路線を漸次的に放棄する。コンポーネントを伴うゲームは工場生産に切り替えてコストを低減する。往年のイタチョコシステムめいた家内制手工業は終わりだ。その分フットワークは重くなり試作品を繰り返し出したり短いスパンで仕様を変更するのは難しくなるが、それらの工程を発行の前にTTSのシミュレーション空間上で済ませておけば問題はだいぶ軽減される。

なおこれとは別に気が向いたら動画を上げたり下げたりする。

 

2015年の展望

次の1年のために以下の様な企画を用意している:

  • 家紋トランプ
  • ボードゲーム「ウォータイムエコノミー」
  • ボードゲーム「ころころシアム」
  • ボードゲーム「ナショナルエコノミー」
  • カードゲーム「マゴス」
  • カードゲーム「ロンバルホールデム」
  • 長編読み物「数の魔術」
  • 長編読み物「ルールブック・ルールズ」
  • 動画「XCOM地球防衛十字軍(4)」

またやがもんが独力でロンバルディアの王冠を再販せんと試みているのでみんなで応援しよう。

 

といった体制の移行を準備していたのでここ数ヶ月は動きが鈍かったのである。およそ製品デザインはそれを製造する工程とは無縁であり得ず、仕様の多くは工業的都合に拘束される。そしてデザイナーは決まった枠の中でどれだけ自由に動けるかを以て創造性を競う。次の1年はできる事がだいぶ広がりそうだ。それではよいお年を。

最悪のユーザ体験

Webサービスの使い勝手を限界まで悪くするとどうなるかという思考実験


公共料金のプランをWeb上で変更したいと考えたとしよう。まずGoogleで社名を検索して一番上のページへ行く。すると会社情報やら投資家情報やらそれが提供する謎のサービスについての情報が並んでいるが、問題の料金に関するセクションは見当たらない。検索ボックスにキーワードを入れても的外れなFAQばかり出てくる。散々格闘した挙句にようやくそれが目的の会社でなく一切情報を共有しない関連会社のページである事に気づく。

そこで書類束をひっくり返し、数ヶ月前に送られていたと思しき葉書を発掘してアドレスを手打ちする。ところが生憎いつも利用するサイトと前半部分が同じなのでオートコンプリートが発動する。リターンキーを押したら違う場所へ行ってしまいやり直しだ。言うまでもなくoか0か、1かlか、2かzかさっぱり分からないフォントが使用されており正しく打ち込める確率は1/16だ。

すったもんだの末に目的のサイトに辿り着くがまたしてもどこを押せば良いか不明である。数十回の不毛な行き帰りの末にようやく一般>その他>サービス>問い合わせからコンタクトフォームを呼び出した上で一番下にある「よくあるお問い合わせ」欄に正しいリンクを発見する。すると必要なサービスを受けるにはJavaアプレットを動かさなくてはならんと告げられる。当然認証などはされていないのでPCのセキュリティ設定を下げなくてはならん。Java自体のアップデートとPCの再起動も必要だ。

アプレットが起動するとPCが途轍もなく熱くなりファンが唸りを上げ始めるが我慢して先に進む。パラグラフの中に同じ色でリンクが埋め込まれているため地雷原よろしくミスクリックが多発するが、バックボタンを押すと「正しい操作が行われませんでした」と表示され最初からやり直しだ。ようやく認証画面を出す事に成功し、葉書に記載されていたIDとパスワードを入力するが「無効です」と言われる。打ち間違えたかな? 更にやり直すが同じ結果になる。そして「3回ログインに失敗してアカウントがロックされました」と告げられる。よく見るとIDではなくその下に記載されたお客様番号を全角数字で打ち込む事が期待されていたらしい。

仕方なくページ下部に記載された番号に電話をかけるが今は金曜の夕方である。全く予想して然るべき事にコールセンターは平日の昼間しか稼動しておらず次のチャンスは59時間後だ。忘れないように電話番号と要件をポストイットに書いて電話機に貼っておく。

そしてどうにか週明けに電話すると同じ事をしていた連中が大勢いたらしく非常に繋がりにくい。自動応答システムの案内に従って電話機のボタンを押すが何度やってもエラーになり、仕方なく「その他のお問い合わせ」カテゴリに突入してひたすら待機。奇跡的にオペレーターと邂逅して事情を告げるとIDを郵送で再発行すると言われる。

1週間後にようやく届くが何故か書留扱いで送られており郵便受には不在連絡票が入っていた。郵便局に電話して再配達を申し込もうとするが今日の受付時間は過ぎている。仕方なく健康保険証を持って郵便局まで直接赴くが身分証明書がもう1点必要だと言われてすごすご引き返し、自分宛の郵便とパスポートを持って捲土重来を期すが前者は無効で後者は期限が切れていた。そこでまたも家に帰り、工具箱から電動ドリルを取り出して自らのこめかみを貫き苦痛に満ちた人生から解放された。

〜完〜

Tabletop Simulator

バーチャルボードゲーム空間”Tabletop Simulator”の活用事例


近年アナログゲームとデジタルゲームの境界は急速に曖昧になっている。ボードゲームがタブレットに移植されたり、人気PCゲームを元にしたボードゲームが発売されたり、相互にメカニクスやデザインが影響を与えあったりしている。そうした中でついに「仮想物理空間でボードゲームを遊ぶ」という決定的なツールが出てきた。

tts

Tabletop Simulator。発売前のアーリーアクセス版で15ドル。出来合いの部品でチェスやポーカーを遊ぶこともできるが真骨頂は画像を読み込ませて好きなコンポーネントを生成できるという点だ。要するに自分で作ったボードゲームをネットワーク上の仮想空間で遊べるのである。

kamo

ゲーム製作者はこれで2つの大きなメリットを享受できる。第一にテストプレイの為に物理的に集まる必要が無くなる。第二にコンポーネントを印刷する前にゲーム内での見栄えを確認できる。上手く使いこなせれば相当な生産性向上に結びつくだろう。

http://store.steampowered.com/app/286160/

 

( ・3・)<なお英語必須